【獣医師監修】猫にパンを与えてはいけない理由は？特に注意が必要なパンや猫用のパンについても解説

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• はじめに
• 猫にパンを与えてはいけない理由は？
• 猫は炭水化物を消化しづらい
• 消化不良や便秘になる
• 塩分や糖分が体の負担になる
• アレルギーを起こす可能性
• 猫によくない食材が入ったパンは特に注意！
• 玉ねぎなどのネギ類が入ったパン
• レーズンが入ったパン
• チョコレートが入ったパン
• コーヒーが入ったパン
• 猫用に作られたパンなら大丈夫？
• 猫用のパンと人間用のパンは何が違う？
• 猫用でもたくさん与えるのはよくない
• おやつとして少量与える
• 猫がパンを食べてしまった時の対処法
• 食べた量が少量ならしばらく様子を見る
• いつもと違う様子があれば動物病院へ
• 食べてはいけない食材が入っていた場合はすぐに受診
• 自己判断で吐かせたり水を飲ませたりしない
• パンは猫の手が届かない場所に置く
• まとめ

はじめに

人間にとって手軽に食べることができるパンですが、猫にとっては危険な食べ物なので注意が必要です。

猫は飼い主がパンを食べていると欲しがることも多いですが、むやみに与えてはいけません。

特に菓子パンや惣菜パンには、猫にとって毒性のある食材が含まれている可能性があります。

また、パンなどの炭水化物は肉食動物の猫にとって消化しづらく、体調不良や病気の原因になる可能性もあるので避けた方が良いです。

今回は、猫にパンを与えない方が良い理由や食べてしまった時の対処法を紹介します。

人間にとって身近な存在のパンが愛猫にどのような影響を与えるのか、しっかり確認してください。

猫にパンを与えてはいけない理由は？

猫にパンを与えてはいけない理由は多くあります。

それぞれなぜ危険なのか、身体にどのような影響があるのかを紹介するので確認していきましょう。

猫は炭水化物を消化しづらい

猫は元々肉食動物なので、消化器官がタンパク質や脂質を消化しやすいように作られているため、パンなどの炭水化物を消化する酵素がそもそも少ないです。

猫の身体の特性上、炭水化物は消化しづらいので摂りすぎには注意してください。

消化不良や便秘になる

パンは炭水化物であり、原料の小麦なども肉食動物の猫には消化しづらい食材なので、食べると消化不良を引き起こす可能性があります。

消化不良で吸収できなかったパンは、腸に溜まり便秘になるので、パンを食べさせることは避けた方が猫の健康のために良いです。　

他にもパンに含まれるイースト菌は、猫のお腹の中でガスを発生させるので、便秘の原因はイースト菌の可能性もあります。

便秘は放っておくと巨大結腸症などの大きな病気を引き起こす可能性があるので、便秘の原因になる食べ物はなるべく避けた方が良いです。

塩分や糖分が体の負担になる

パンには塩分・糖分共に多く含まれているため、猫が食べ過ぎると体調不良や病気を引き起こす可能性があります。

猫の1日に摂るべき塩分量は、体重1kgあたり0.7g程度です。

数値を明らか超える量の塩分を摂ると、胃腸に負担がかかり嘔吐をすることがあります。

塩分は腎臓でろ過されて体外へ排出されますが、継続的に塩分を摂りすぎていると上手くろ過できずに腎臓に負担がかかり腎不全や慢性腎臓病を引き起こすリスクが高くなるので注意が必要です。

また、過剰に塩分を摂ると血液量が増えるため、血液を循環する働きのある心臓にも負担がかかります。

心臓病を患っている猫は特に注意してください。

一方、糖分は猫に必要ないと言われています。

糖分を摂りすぎると肥満になるリスクが高まり、肥満は糖尿病の原因にもなります。

糖尿病は一度なってしまうと、一生付き合っていかないといけない病気です。

なるべくリスクを減らすためにも、糖分の摂取は控えましょう。

アレルギーを起こす可能性

猫の中には、パンの原材料である小麦などにアレルギーを持っている子がいます。

アレルギーの主な症状は、皮膚症状と消化器症状です。

赤い斑点やぶつぶつが現れ、痒みを伴う場合もあります。

特に頭や首周り、耳に痒みが出ることが多いため、掻きむしりや脱毛に注意が必要です。

消化器症状である下痢・嘔吐はその他の病気の症状でも見られるため、アレルギー症状と見分けにくいですが、異変を感じたらすぐに動物病院へ連れて行き、診察をしてもらいましょう。

猫によくない食材が入ったパンは特に注意！

炭水化物であるパン自体が猫にとって食べない方が良い食べものですが、パンの中でも惣菜パンや菓子パンなどは食べたら中毒症状を引き起こす原因の食材が使われている場合があるのでより注意が必要です。

中毒症状を引き起こす危険のある食材が含まれるパンは、危険度が高いので絶対に食べさせないようにしましょう。

玉ねぎなどのネギ類が入ったパン

猫にとって玉ねぎなどのネギ類は、中毒症状を引き起こす危険のある食材です。

玉ねぎやネギ類に含まれる有機チオ硫酸化合物という有害物質が、猫の血液中の赤血球を壊して溶血性貧血や血色尿を引き起こします。

更に破壊された赤血球の色素が腎臓を破壊し急性腎障害を引き起こしたり、最悪の場合は命の危険もあるので間違っても猫に与えないように注意しましょう。

もしも、猫が玉ねぎやネギ類を口にしてしまった場合はすぐに動物病院へ連れて行ってください。

時間外でも夜間対応をしている動物病院や、24時間サポートしてくれる動物病院に電話をして獣医の指示に従いましょう。

自宅で無理に吐かせるのは危険なので、絶対にやめてください。

レーズンが入ったパン

レーズンは、皮や実を含めて猫が食べると中毒症状を引き起こす危険な食材です。

加熱した状態でも危険性は変わらないので、加工されていても食べさせないようにしてください。

レーズンを食べると、なぜ中毒症状が出るのか明確な原因はまだ解明されていません。

しかし、食べると数時間以内に中毒症状が出る可能性が高く、急性腎不全になると急激に悪化して重篤な状態に陥るのが特徴です。

パンの中にはレーズンの実が使われているものもあれば、ブドウの果汁が使われている事もあります。

実や皮だけでなく果汁にも中毒症状を起こす危険があるので、猫がブドウやレーズンを使用したパンを食べてしまったらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。

急性腎障害になってしまうと最悪の場合、命を落とす可能性もあります。

長時間放置するのは危険なので、行きつけの動物病院だけでなく夜間診察を受け付けてくれる動物病院も把握しておきましょう。

チョコレートが入ったパン

チョコレートの原料であるカカオ豆には、テオブロミンが含まれており、猫が摂取すると中毒症状を引き起こす可能性があります。

症状が軽度の場合は嘔吐や下痢などの症状で治る事もありますが、重度になると痙攣などの重篤な症状が起こります。

数時間〜半日ほどで症状が出ることが多いですが、早くても症状が出るのに2時間ほどかかるのでチョコレートが含まれたパンを食べてしまった時は1日は安静にして様子を見ましょう。

チョコレートを食べた量が多いと24時間以内に死亡するケースも考えられるので、中毒症状が見られたらすぐに動物病院へ連れて行ってください。

その時にどのくらいの量を食べたのか、どのようなパンの種類だったのかを的確に伝えると適切な治療を受けられるのでメモをしておくのがおすすめです。

コーヒーが入ったパン

猫にとってコーヒーに含まれるカフェインは中枢神経を刺激し興奮させたり、中毒症状を引き起こす可能性があります。

コーヒーに含まれるカフェインを摂取すると、神経症状や消化器症状が出たり呼吸が乱れる可能性が高いです。

ハァハァと辛そうに息をしていたり、痙攣、よだれ、ふらつきが見られる場合は緊急性が高いので注意しましょう。

摂取してすぐに症状が出るわけではなく、成分が吸収される1〜2時間後に現れることが多いので、カフェインを間違えて摂取させてしまった場合はよく観察して、なるべく早く動物病院へ連れて行ってください。

個体差はありますが、猫の体重1kgに対して15〜20mgのカフェイン摂取で症状が出始め、100〜200mgのカフェイン摂取では重篤な症状が出る危険があります。

少量では症状が出ないとは言え、猫が口にしないように細心の注意を払いましょう。

猫用に作られたパンなら大丈夫？

猫用に作られたパンは人間用とは違い、猫の身体に毒になる成分が含まれていません。

とはいえ、猫の主食はキャットフードです。

猫用だからといって安易に考えるのは危険なので、与えすぎには注意しましょう。

猫用のパンと人間用のパンは何が違う？

猫用のパンは人間用と違い、猫の身体に適した食材で作られています。

害になるものが含まれてなく、調味料や味付けがされていないプレーンのものが理想です。

塩、砂糖が不使用

人間が食べているパンには、塩や砂糖が使われています。

塩分の摂りすぎや砂糖の摂りすぎは、猫の身体に負担が多く様々な病気を引き起こしてしまうので猫用のパンには使用されません。

バターや保存料が入っていないものも

パンにはバターが含まれていることが多いですが、バターの摂りすぎは肥満や病気を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。

また、保存料の中には発がん性があるものや、歩行障害や肝機能・腎機能の障害を引き起こす可能性があるものがあります。

市販のパンは防腐目的や酸化防止目的で保存料を使っていることが多いので避けましょう。

猫用のパンには、バターも保存料も使っていないものが理想です。

猫用でもたくさん与えるのはよくない

猫用のパンは猫が食べても毒にならないように作られてはいますが、1日に食べても良い規定量を超えるほど食べさせれば体調不良や病気を引き起こす可能性があります。

欲しがるだけ、好きなだけ、与えるのはやめてください。

おやつとして少量与える

猫の身体に毒がないパンだったとしても、主食として与えることは絶対にしないでください。

必要な栄養素はキャットフードから摂るので、他の食材を与える必要はありません。

猫用のパンを与えるなら、ご褒美やおやつとして少量のみ与えるようにしましょう。

猫がパンを食べてしまった時の対処法

猫がパンを誤飲してしまった場合の対処法を紹介します。

もしも愛猫がパンを食べてしまったことに気付いたら、焦らず冷静に最善の対処をしてあげましょう。

食べた量が少量ならしばらく様子を見る

猫がパンを誤飲してしまった場合、食べた量が少量で中毒性のある食材が使われていないのなら1〜2日ほど様子を見ましょう。

少量なら症状が出ない可能性もありますが、稀にアレルギー反応や中毒症状が出る事もあるので愛猫からなるべく目を離さないでください。

いつもと違う様子があれば動物病院へ

猫がパンを食べてしまってから、いつもと違う様子が見られたらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。

元気がなかったり、食欲がない時は体調不良のサインです。

猫は体調不良を隠したがることが多いので、見逃さないようにしっかり見てあげてください。

誰もいない部屋にいることが増えたり、見えないところに隠れている時は注意が必要です。

猫の異変に気付くためにも、普段から愛猫の行動はよく見て把握しておきましょう。

食べてはいけない食材が入っていた場合はすぐに受診

猫が食べてしまったパンにネギ類・レーズン・チョコレートやコーヒーなどが含まれている場合は、様子を見るなどせずにすぐに動物病院へ連れて行ってください。

誤飲してから時間が経っていない場合は、催吐処置をして吐き出させることが多いです。

危険性の高い食材を含むパンを食べた場合は、全身麻酔をして胃洗浄を行うこともあります。

他にも活性炭などの吸着剤や下剤を使い、中毒の原因物質を取り除く治療を行うなど、猫の状況に合わせて適切な治療が行われます。

時間が経ってしまって、胃や腸にまで到達してしまうと内視鏡や切開手術をしなければならなくなる可能性もあるので、誤飲に気付いたらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。

自己判断で吐かせたり水を飲ませたりしない

猫が中毒症状を起こす食材を誤飲してしまうと焦ってしまいますが、無理に吐かせたり水を飲ませたりしないでください。

自己判断で対応すると、重篤な症状に繋がってしまう危険があります。

呼吸が苦しそうなど急を要する場合は、動物病院へ連絡して専門の獣医の指示に従いましょう。

そして、早急に動物病院へ連れて行き適切な治療を受けてください。

パンは猫の手が届かない場所に置く

パンは、猫にとって食べるべきではない食材です。

誤飲することがないように、目を離す時は必ず猫の手が届かない場所に置くようにしましょう。

猫の誤飲は、飼い主の責任が大きいです。

中毒症状やアレルギー症状で苦しい思いをさせないように、出しっぱなしや手の届く場所に保管しないなど注意しましょう。

まとめ

今回は、猫がパンを食べてしまった時のリスクや対処法を紹介しました。

パンは肉食動物の特性をもった猫にとって、消化がしづらいため消化不良を引き起こしたり、小麦などの材料でアレルギー症状が出る子もいるのでむやみに与えるのは危険です。

また、惣菜パンや菓子パンには猫にとって毒になる食材が使われていることがあり、知らずに食べてしまうと中毒症状を起こし、最悪の場合は死に至る可能性もあります。

人間にとっては手軽に食べれる身近な存在であるパンですが、猫にとってはハイリスクの食べ物です。

誤飲防止のために飼い主の方は猫が届く場所にパンを置いたり、欲しがるからといって与えることはしないように気を付けましょう。