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はじめに
この記事では、猫の下痢について分かりやすく解説しています。
下痢の原因、症状、予防と対処法、獣医師に相談するべき症状など、さまざまな観点から詳しい情報をまとめました。
猫が下痢になって対応に困ったときは、動物病院への受診タイミングなどを判断する際の基礎知識として、当記事の情報を役立ててください。
猫の下痢の原因とは?
猫の下痢の原因としては、大きく分けて「病気によるもの」と「病気以外のもの」の2つがあります。
- 下痢の症状を引き起こす可能性のある病気
- 猫の下痢の一般的な原因とは?
次の項目で、それぞれ見ていきましょう。
下痢の症状を引き起こす可能性のある病気
下痢の症状を引き起こす可能性のある病気には、感染症、内臓疾患、内分泌疾患、腫瘍性疾患、遺伝的要素などがあります。
感染症 |
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内臓疾患 |
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内分泌疾患 |
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腫瘍性疾患 |
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遺伝的要素 |
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猫の下痢の一般的な原因とは?
病気以外の理由として考えられる一般的な原因としては、「食事の変化」や「食べすぎ」などがあります。
食事の変化 |
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食べすぎ |
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下痢の原因の1つとして、「ストレス」も考えられるでしょう。
ストレスによる大きな負荷がかかった場合に、猫の健康を害する要因となり、下痢を起こしてしまうことがあります。
過度の緊張や重圧となりえる事柄に配慮して、極力ストレスを与えないように心がけ、ストレス発散やストレス軽減のサポートをすることが大切です。
ストレス |
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下痢の原因の1つには、誤飲も考えられます。
体内に異物があると腸の運動が亢進し、腸内の水分が増加することによって下痢が引き起こされます。
誤飲が原因で下痢になっている場合は、腸閉塞の可能性があり危険です。
腸閉塞は重篤な状態であり、場合によっては死亡する可能性があります。
腸の血流が悪化すると腸が壊死し、腹膜炎や敗血症などの合併症が起こる可能性があるため、すみやかな治療が必要です。
猫が以下のようなものを誤飲した場合は、下痢の原因となることがあります。
誤飲が疑われる場合は、ただちに獣医師に相談してください。
誤飲 |
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注意点
猫の下痢は、病気によるものなのか、病気以外のものなのかを区別することが大切です。
下痢の症状が見られたら、まずは猫の様子をよく観察してください。
嘔吐、食欲不振、元気消失などの症状が見られる場合は、とくに注意が必要です。
病気の早期発見・早期治療のためにも、すみやかに動物病院を受診して、適切な治療を受けてください。
下痢の症状が軽度で、病気以外の原因が考えられる場合は、食事の管理やストレスの軽減などによって改善する場合があります。
しかし下痢の症状が重度である場合や、病気による可能性が高い場合には、獣医師に相談して問診や検査を受けることが大切です。
猫の下痢の原因を飼い主さんが特定したり判断したりすることは難しいですが、以下のような症状がある場合は病気が原因である可能性が高いです。
- 数日間にわたり下痢が止まらない
- 1日に何度も下痢便を排泄する
- 便に粘液や血液が混じっている
- 食欲が減っている
- 体調に異変がある
下痢における重度と軽度の違いを見極めるための基準としては、以下のようなものが挙げられます。
次のような症状が見られる場合は、重度である可能性が高いです。
- 下痢の症状が数日以上続く
- 下痢の回数や量がさらに増える
- 便の色や臭いがさらに悪化する
- 水様便(水下痢)が止まらない
- 血や粘液の混入が増える
- 嘔吐や食欲不振、元気消失などの症状が悪化する
- 体温が上昇する
- 下腹部の痛みが強くなる
ただし、これらの基準はあくまでも目安であり、最終的には動物病院で検査を受けて、原因を特定することが大切です。
下痢の症状を解説
猫の下痢に関する情報として、「具体的な症状」と「悪化した場合に気を付けるべき兆候」について、簡潔に分かりやすく解説しています。
- 猫の下痢の具体的な症状とは?
- 下痢が悪化した場合に気を付けるべき兆候
次の項目で、それぞれ見ていきましょう。
猫の下痢の具体的な症状とは?
猫の下痢の具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 便の回数が増える
- 便の量が増加する
- 便の形状の変化(水様便、粘液便、血便など)
- 便の臭いの変化(酸っぱい臭い、腐敗臭など)
- 嘔吐
- 食欲不振
- 元気消失
- 体温上昇
- 下腹部の痛み
下痢が悪化した場合に気を付けるべき兆候
下痢が悪化した場合に気を付けるべき兆候としては、以下のようなものが挙げられます。
- 下痢の症状が数日以上続く
- 下痢の回数や量がさらに増える
- 便の色や臭いがさらに悪化する
- 水様便(水下痢)が止まらない
- 血や粘液の混入が増える
- 嘔吐や食欲不振、元気消失などの症状が悪化する
- 体温が上昇する
- 下腹部の痛みが強くなる
注意点
下痢の症状が見られたら、下痢の回数や量、色、臭い、血や粘液の混入の有無などを確認しましょう。
また猫の様子を観察し、嘔吐や食欲不振、元気消失などの症状が見られる場合は、早めに獣医師に相談してください。
下痢の症状が軽度であれば、食事の管理やストレスの軽減などに配慮することで改善する場合があります。
下痢の症状が重度であれば、病気が原因である可能性が高いので、すみやかに動物病院を受診して検査を受けてください。
下痢が悪化したと思われる兆候が見られる場合には、ただちに動物病院を受診して、適切な治療を受けることが大切です。
下痢が悪化してしまうと、脱水症状や栄養失調などの症状を引き起こす危険性があり、最悪の場合は命に関わることもあるでしょう。
早期に病気を発見し、早期に治療を開始することで、病気の進行を抑制して症状の重症化を防ぐことができます。
下痢の症状が見られたら、できるだけ早く動物病院を受診して原因を特定し、適切な治療を受けることが大切です。
猫の下痢の予防と対処法
猫の下痢に関する情報として、「予防」と「対処法」について、簡潔に分かりやすく解説しています。
- 猫の下痢を予防するためにできること
- 猫が下痢になった場合の対処法
次の項目で、それぞれ見ていきましょう。
猫の下痢を予防するためにできること
猫の下痢を予防するためには、以下のことに気を付けるとよいでしょう。
食事の管理 |
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環境の整備 |
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健康診断 |
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ワクチン |
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猫が下痢になった場合の対処法
猫が下痢になったときは、まずは下痢の症状が軽度なのか重度なのかを判断することが大切です。
軽度の場合
下痢の症状が軽度で、病気以外の原因が考えられる場合には、以下の対処法を行うとよいでしょう。
下痢の症状があるときは、消化の良いフードを与えてください。
フードの量を減らし、与える回数を増やすことで、腸に負担をかけないようにしましょう。
下痢になると水分や栄養が失われて、脱水症状を引き起こすことがあります。
1日あたり猫の体重1kgあたり50ml〜100mlを目安に、こまめに水やぬるま湯を与えてください。
水分補給を促すことで、脱水症状を予防しましょう。
下痢を起こしたときは、けっして人間の食べ物を与えないようにしてください。
下痢の予防対策としても、普段から人間の食べ物は与えないようにしましょう。
もし、おやつとして小魚の煮干や鰹節の薄削りなどを与えている場合は、下痢の症状が出たときは一時的に中止してください。
下痢が続くときは動物病院を受診し、小魚の煮干や鰹節の薄削りを与えていることを伝えて、獣医師の診断を仰ぎましょう。
また下痢の原因の1つとして、ストレスが引き金となっている可能性があります。
ストレスの要因を取り除くことで、下痢の症状を改善できるケースもあるので、ストレスを軽減することができるようサポートしてあげましょう。
ゆっくり落ち着いて過ごせるように配慮し、静かな空間で安心して療養できるよう快適な生活環境を整えてください。
重度の場合
下痢の症状が重度で、病気による可能性が高い場合には、ただちに動物病院を受診して検査を受けることが大切です。
重度の症状が出ているとき、動物病院に連れて行くことを前提として、家の中で飼い主さんがしてあげられることは、以下のとおりです。
まずは猫が安心して静かに過ごせる場所を用意して、ゆっくり療養できるような環境を整えてあげましょう。
食べ物を口にすることができるようであれば、腸に負担をかけないよう、消化の良いフードを与えてください。
ただし重度の症状が出ているときは腸が炎症を起こしている可能性があり、食事を摂ることで腸への負担が大きくなってしまう危険があります。
嘔吐や食欲不振が併発しているときには、無理に食べさせようとせず、絶食することで腸を休ませてあげることも大切です。
下痢になると脱水症状を引き起こすことがあるため、こまめな水分補給が必要になります。
具体的には、1日あたり猫の体重1kgあたり50ml〜100mlを目安に、水やぬるま湯を与えてください。
飼い主さんがこれらのことに注意しながら、猫の様子をよく観察し、適切な対処をするようにしましょう。
下痢の症状が重度である場合は、脱水症状や栄養失調などのリスクが高まります。
脱水症状などがあるときは病気の可能性が高いため、ただちに動物病院で診察を受けることが大切です。
早期発見・早期治療を行うことで病気の進行を抑制することができ、症状の重症化を防ぐこともできるでしょう。
猫の下痢が重度の症状に該当すると判断できる場合には、たとえ夜間であっても救急の動物病院へ連絡をとってください。
救急の動物病院では夜間でも診療を行っているため、安心して受診することができます。
ただし救急の動物病院は、通常の動物病院よりも料金が高額になる場合があることを承知しておいてください。
予約が必要な場合もあるため、必ず事前に電話連絡し、確認をとってから出向くようにしましょう。
獣医師に相談するべき症状とは?
猫が下痢になったとき、慌てず落ち着いて対処できるように、獣医師に相談すべき症状を知っておきましょう。
また動物病院でスムーズに症状などの説明ができるように、下痢の原因を診断するために必要な情報についても解説しています。
- 猫の下痢で獣医師に相談すべき症状とは?
- 獣医師が下痢の原因を診断するために必要な情報
次の項目で、それぞれ見ていきましょう。
猫の下痢で獣医師に相談すべき症状とは?
猫が下痢になったとき、その症状が重度である場合は獣医師に相談するべきです。
以下のような症状があるときは、病気が原因の可能性も考えられるため、すみやかに動物病院で受診してください。
- 下痢の症状が数日以上続く
- 下痢の回数や量がさらに増える
- 便の色や臭いがさらに悪化する
- 水様便(水下痢)が止まらない
- 血や粘液の混入が増える
- 嘔吐や食欲不振、元気消失などの症状が悪化する
- 体温が上昇する
- 下腹部の痛みが強くなる
上記の症状に加えて、以下のような症状が見られる場合も、獣医師に相談したほうがよいでしょう。
- 猫が普段と異なる行動をする
- 元気がなくなる
- 暗い場所に隠れる
- 食事の量や回数が減る
- 排尿や排便の回数が減る
- 排尿や排便に異常がある
獣医師が下痢の原因を診断するために必要な情報
下痢の原因を診断するためには、以下のような情報が獣医師にとって必要です。
下痢の症状 |
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猫の食事 |
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猫の体調 |
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猫の生活環境 |
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動物病院に連れて行くときには、これらの情報をメモなどにまとめておき、下痢の症状や生活環境などをわかりやすく伝えましょう。
猫の普段の様子や下痢が始まったきっかけなどを伝えることで、獣医師が原因を特定しやすくなり、適切な治療を受けることができます。
猫の下痢に気を付けるべきポイント
猫が下痢にならないようにするためにも、気を付けておくべきポイントとして、「注意事項」と「飼い主の心がけ」について紹介しています。
- 猫の下痢に関する注意事項とは?
- 猫の健康を守るための飼い主の心がけ
次の項目で、それぞれ見ていきましょう。
猫の下痢に関する注意事項とは?
猫の下痢に関する注意事項としては、以下のようなことに配慮することを推奨します。
基本的に、人間の食べ物を与えないでください。
人間の食べ物を与えると、猫の体に必要な栄養素のバランスが崩れ、下痢を引き起こす可能性があります。
人間用として調理した鶏肉や魚肉などは与えないよう注意して、猫用のドライフードやウェットフードを与えるようにしましょう。
また小魚の煮干や鰹節の薄削りなども避けて、猫用チュールなどのおやつを与えるようにしたほうがよいでしょう。
主食のドライフードや猫用おやつなどを与えるときは、猫が食べ過ぎてしまわないよう適切な量を守ることを心がけてください。
食事を与えすぎてしまうと胃腸に負担がかかり、消化不良で下痢を引き起こす可能性があります。
猫の体重や年齢に合わせて、適切な量を守って与えるようにしましょう。
また新しいフードに切り替えるときは、慎重に切り替えるようにしてください。
生涯ずっと同じフードを続けるのではなく、猫の年齢や健康状態などに合わせて、今までとは違うフードに切り替えることが必要です。
しかし、間を置かずに古いフードから新しいフードへ切り替えたいと考えてることもあるでしょうが、その考えはおすすめできません。
食べ慣れていないフードへ急に切り替えようとすると、猫の腸に大きな負担がかかり、下痢を引き起こす可能性があります。
猫の食事を新しいフードに切り替えるときには、徐々に切り替えるようにしてください。
一般的には、約1〜2週間程度かけて徐々に切り替えることが推奨されています。
できるだけ早く切り替えたい場合には、以下の具体的な比率を参考にした上で、猫の様子を見ながら約1週間程度で切り替えてください。
- 1~2日目:以前のフード75%+新しいフード25%
- 3~4日目:以前のフード50%+新しいフード50%
- 5~6日目:以前のフード25%+新しいフード75%
- 7日目~:最終的に新しいフード100%にする
時間に余裕があるようであれば、以下の具体的な比率を参考にした上で、猫の様子を見ながら約2週間程度で切り替えてください。
- 1~5日目:以前のフード75%+新しいフード25%
- 6~9日目:以前のフード50%+新しいフード50%
- 10~13日目:以前のフード25%+新しいフード75%
- 14日目~:最終的に新しいフード100%にする
このように徐々に切り替えることで、猫の胃の調子を整え、新しいフードに慣れさせることができます。
切り替えの期間中は、猫の体調や様子を注意深く観察し、必要に応じてペースを落とすなど調整して、猫に負担をかけないようにしましょう。
また生活環境にも気を配り、ストレスを溜めさせないようにすることも大切です。
過度のストレスを感じてしまうことで、下痢の原因となる可能性があります。
猫が安心して快適に過ごせる環境を整えて、普段からストレスを溜めこんでしまわないよう配慮することを心がけてください。
猫の健康を守るための飼い主の心がけ
猫の健康を守るためには、飼い主さんが以下のことについて真剣に向き合い、大切なことは何かを理解し、最善策を取るように心がけることが大切です。
健康診断
定期的に健康診断を受けることで、病気の早期発見・早期治療につながります。
ワクチン
定期的にワクチンを接種することで、感染症を予防することができます。
適切な食事
猫が欲しがるからといって、人間の食べ物を与えてはいけません。
人間の食べ物を与えると、猫の体に必要な栄養素のバランスが崩れ、下痢を引き起こす可能性があります。
ドライフードなどの猫用として売られている食事であれば、猫の体に必要な栄養素をバランスよく摂取できるように配慮されています。
猫用のフードや猫用のおやつを与えるようにしてください。
清潔な環境
清潔な環境を保つことで、感染症の予防につながります。
ストレスの発散
十分な遊びや運動をさせることで、運動不足が解消されるだけでなく、ストレスの発散にもなります。
これらのことに気を付けて、猫の健康を守っていきましょう。
まずは早めに獣医師に相談を
重度の下痢になると、脱水症状や栄養失調などのリスクが高まります。
早めに動物病院を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
- 猫の下痢が続く場合の対処法
- 獣医師の診断を受ける必要があるケース
次の項目で、それぞれ見ていきましょう。
猫の下痢が続く場合の対処法
猫の下痢が続く場合、飼い主さんができる最善の対処法は、以下の2つです。
病院を受診する
下痢が数日以上に渡って続いている場合には、病気が原因で引き起こされている可能性があります。
動物病院では、血液検査や便検査などによって原因を調べて、症状に合った適切な治療をしてくれます。
早期に病気を発見し、早期に治療を開始することで、病気の進行を抑制して症状の重症化を防ぐことが可能です。
下痢が長引いているときは、できるだけ早く動物病院を受診して原因を特定し、適切な治療を受けるようにしてください。
食事制限と水分補給
この対処法は、本来ならば明らかに軽度な症状である場合における対処法です。
やむをえない事情などにより、動物病院での診察が数時間後もしくは翌日になってしまう場合などに、一時的なサポートとして行う方法という認識で捉えてください。
まずは猫が安心して過ごせるよう静かな場所を提供し、落ち着いて療養できるような環境を整えてあげましょう。
食べ物を口にすることができるようであれば、消化の良いフードを与えてください。
ただし腸が炎症を起こしている可能性があるため、食事を摂ることで、さらに腸への負担が大きくなる危険性があります。
嘔吐や食欲不振など重度の症状が見られるときは、あえて絶食することで腸を休ませてあげることも大切です。
下痢になると水分が失われてしまうことにより、脱水症状を引き起こすことがあるため、こまめな水分補給が取れるよう介助してあげてください。
脱水症状に陥ると、場合によっては命に危険が及ぶ可能性があります。
下痢の症状がさらに悪化することも考えられます。
水分補給は、下痢の治療において重要なポイントの1つであると言っても過言ではないでしょう。
具体的には、1日あたり猫の体重1kgあたり50ml〜100mlを目安に、水やぬるま湯を口に含ませてあげるようにしてください。
下痢が長引いているということは、重度な症状であると判断されます。
この方法はサポートに過ぎず、下痢の症状が緩和したり病気が治癒したりすることはありませんので、必ず動物病院で診察を受けてください。
獣医師の診断を受ける必要があるケース
獣医師の診断を受けるべきかを判断するのは難しいことですが、以下のポイントに着目して、動物病院を受診するかどうかを見極める目安にしてください。
まずは病気の症状を確認しましょう。
下痢の症状が軽度であったとしても、病気の前兆である可能性がないとは言い切れませんので、早めに獣医師の診断を受けることをおすすめします。
また子猫や高齢猫の場合は、症状が重症化しやすいことから注意が必要なため、軽い症状であっても、下痢になったときは獣医師の診断を仰いだほうがよいでしょう。
成猫が下痢をしているとき、以下のような症状がある場合は病気の可能性があるため、ただちに動物病院を受診してください。
- 下痢の症状が数日以上続く
- 下痢の回数や量がさらに増える
- 便の色や臭いがさらに悪化する
- 水様便(水下痢)が止まらない
- 血や粘液の混入が増える
- 嘔吐や食欲不振、元気消失などの症状が悪化する
- 体温が上昇する
- 下腹部の痛みが強くなる
これらの症状は重度であると判断されるケースが多く、病気が原因で引き起こされている可能性が高いです。
獣医師の診断を仰ぎ、病気の早期発見・早期治療を受けさせることができれば、病気の進行を抑制し、症状の重症化を防ぐことができるでしょう。
動物病院を受診する前に、自宅で飼い主さんができる対処法としては、「食事の制限」と「水分補給」のサポートがあります。
まずは食事の制限をしましょう。
食べ物を口にすることができるようであれば、消化の良いフードを与えて、腸に負担をかけないように配慮してください。
重度の症状が出ているときは、腸が炎症を起こしている可能性があるため、無理に食べさせないようにしましょう。
食事を摂ることで、逆に腸への負担が大きくなる可能性があります。
嘔吐や食欲不振などの症状があるときは、あえて絶食することで腸を休ませてあげたほうがよいでしょう。
また水分補給を十分に行うことも大切です。
下痢になると水分や栄養が失われて、脱水症状を引き起こすことがあります。
1日あたり猫の体重1kgあたり50ml〜100mlを目安に、こまめに水やぬるま湯を与えてください。
これらの対処法をしても下痢の症状が改善しない場合は、病気が原因である可能性があるため、すみやかに動物病院を受診しましょう。
早期に病気を発見し、早期に治療を開始することで、病気の進行を抑制して症状の重症化を防ぐことができます。
下痢の症状が見られたら、できるだけ早く獣医師の診察を受けて原因を特定し、適切な治療を受けることが大切です。
動物病院では、以下のような検査や処置が行われます。
問診 | 飼い主さんから、下痢の症状や猫の普段の様子などを詳しく聞き取りします。 |
身体検査 | 獣医師によって、猫の全身状態がチェックされます。具体的には、体重測定、体温計測、呼吸の診断、脈拍の診断、腹部の触診などの検査が行われます。 |
血液検査 | 炎症、感染症、栄養状態などを調べます。 |
便検査 | 細菌、寄生虫、炎症の有無などを調べます。 |
レントゲン検査 | 腸の形状や異常を調べるための検査です。 |
超音波検査 | 腸の動きや形状の異常、腫瘍などの有無を調べるための検査です。 |
検査の結果によって下痢の原因が特定されれば、それに応じた治療が行われます。
治療としては、以下のようなものが挙げられます。
食事療法 | 原因の特定後に、消化の良いフードに関することなどについて、獣医師からアドバイスされることもあります。例えば、下痢と嘔吐を管理する際の食事療法や特別医療食などへの切り替えを提案されたときは、獣医師の指示に従ってください。 |
薬物療法 | 炎症や感染症を抑える薬、下痢を止める薬、嘔吐を止める薬など、症状に合わせた投薬の処置です。 |
手術療法 | 腫瘍や異物などの原因を取り除く手術が行われることもあります。 |
動物病院を受診した後も気を抜かず、猫の様子を気に止めるようにしてください。
下痢の症状が重度であった場合には、受診して帰宅した後であっても、脱水や栄養失調などの症状が見られるときがあります。
猫の健康状態に異常がないか、よく観察しましょう。
以下のような症状が見られるときは、動物病院に連絡を入れて指示を仰ぎ、必要に応じて受診してください。
脱水症状 |
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栄養失調の症状 |
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また下痢の原因が特定され治療が終わってからも、再発防止のために以下のことに気を付けましょう。
- 基本的に、人間の食べ物を与えない
- 食べ過ぎにならないよう、適切な量を守る
- 新しいフードに切り替えるときは、徐々に切り替える
- ストレスを溜めさせない
まとめ
この記事では、猫の下痢の原因、下痢の症状、予防と対処法について、予備知識となる情報をまとめました。
獣医師に相談するべき症状、気を付けるべきポイント、猫の下痢が続く場合の対処法など、さまざまな観点から具体的に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
下痢の症状が数日以上続いているとき、便に血や粘液が混じっているとき、嘔吐や食欲不振などの症状があるときは、病気が原因の可能性が考えられるでしょう。
重度の症状が見られるときは、病気の早期発見・早期治療のためにも、すみやかに獣医師に相談することをおすすめします。