【獣医師監修】猫のしつけ方はどうすれば良い?やっていいこと悪いこともご紹介

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はじめに

猫のしつけ1

「猫を飼いたいけれど、しつけができないから飼えない」とあきらめていませんか。

たしかに猫はマイペースな動物なので、犬のように「おすわり」や「待て」のようなことは得意ではありません。

しかし、猫も、人間と共同生活をしていくうえで必要なトイレなどのしつけは、きちんと覚えることができます。

今回は、猫にどのようにしつけをおこなえばよいのか、しつけをする際にやっていいことや、悪いことなど、猫も飼い主もストレスを感じずに、気持ちよく共同生活が送れるためのしつけについてくわしく解説いたします。

猫のしつけは可能?

結論からいえば、猫のしつけは可能でありとても大切なことです。

なにもルールのない中で猫と共生していくことは人間にとっても、猫にとっても辛いものです。

そのためにも、必要なしつけはおこなわなければなりません。

ただし、本来猫は単独で生活してきた動物なので、犬のように、飼い主に認められてほめられることに喜びを感じるようなタイプではありません。

そのため、大好きな飼い主にほめてほしくて積極的にしつけに参加して、いろいろなことを覚えていこうという姿勢は猫にはあまりありません。

猫のしつけは、犬とは少し違い、人間が猫と共存してお互いがストレスなく暮らしていくために、必要なことを人間が覚えさせる意味合いがあります。

犬の場合はしつけをトレーニングとして楽しむ傾向にありますが、猫はトレーニングを好みません。

そのため、場合によっては、犬よりも難しく感じることがあるかもしれません。

猫を飼った際に、しつけは可能ですが、あくまで猫や人間が快適に暮らすためのルールを覚えさせる感覚で取り組んでください。

では次に、猫のしつけをするにあたって、やってはいけないことをみていきましょう。

猫のしつけでやってはいけないこと

新しい家族を迎えたら、子猫のうちからしつけに取り組み始めましょう。

成猫になると、反抗する力も強くなり、飼い主がけがをしてしまうおそれもありますし、猫独自の社会性を身につけてしまうと、教えなおすのはとても難しくなります。

そのため、子猫のうちに正しい方法で時間をかけてしつけをしていきましょう。

ここでは、猫をしつける際に、やってはいけないことに焦点をあてて解説していきます。

体罰を与えない

体罰はしつけに限らず、絶対にしてはいけません。

飼い主のいうことを聞かず、問題行動を起こしてしまったからといって、叩いたり、押さえつけたりするような体罰は猫にとってまったく意味がありません。

むしろ、大切な猫を怯えさせてしまい、近くに寄り付かなくなってしまいます。

人間の力で猫に何かしらの体罰を加えれば、ケガをすることもあります。

一度恐怖心がめばえてしまうと、飼い主を怖い存在だと認識してしまい、しつけだけでなく、一緒に暮らしていくなかでも信頼関係がなくなってしまいます。

絶対に猫に対する体罰はやめましょう。

大きな声を出さない

猫が粗相をしたり、いたずらをしたりしても、大きな声を出しながら𠮟ってはいけません。

猫は自分のしていることが悪いことだとは思っていないため、突然飼い主が大きな声で怒鳴りつけても、なぜ怒鳴られているのか理解できません。

ずっと大きな声を出して怒り続けていることで、体罰と同じように、ただ恐怖心を感じ、自分にとって飼い主は危険人物だと認識してしまうだけなのです。

もし、猫に対してしつけのなかで注意をするとしたら、いつもより低い声で若干声のトーンを上げて、わかりやすい言葉「ダメ」「イケナイ」など短い言葉で叱るようにしましょう。

注意点として、叱るのはいたずらなどをした直後に限定してください。

猫は、しばらくするとなぜ叱られているのか認識できなくなります。

そのため、叱るタイミングを逃してしまったら、そのときは叱るのをあきらめましょう。

どのようなときでも大声で威嚇するような叱り方は厳禁です。

子猫だからと許してしまう

子猫は、見た目のかわいさで、つい甘やかしてしまいたくなります。

しかし、かわいいからといって、問題行動をしているにも関わらず、許してしまうと後々苦労することになります。

猫のしつけがしやすいのはまさにこの時期で、何も知らず、力も強くないこのタイミングがしつけを始める絶好のチャンスなのです。

子猫の頃に許され続けて大人になれば、家庭で暮らすための基本的なしつけを覚えていない状態のままということになります。

もし、大人になって飼い主に叱られても、猫からすると「子猫のときは平気だったのになんで叱られるんだろう」となってしまいます。

どれほどかわいくて心苦しくても、子猫だから何でも許してしまうことは、猫にとってマイナスでしかありません。

猫のしつけ方のポイント

つぎに実際にしつけをしていくなかで、押さえておきたいポイントについてご紹介します。

悪い行動はすぐにやめさせる

猫がなにか悪い行動をしたときは、すぐにその場でやめさせるようにしてください。

長期の記憶が得意ではない猫は、時間がたつと何がいけないのか認識できなくなるためです。

いけない行動を見つけたらすぐに「ダメ」のような短い言葉を発すれば、猫の気をそらせやめさせることができます。

すぐに注意することを繰り返すことで、してはいけないことを理解するようになってきます。

その際に叩いたり、怒鳴ったりするのは、猫に恐怖心を抱かせるだけなので絶対にやめてください。

排泄物のニオイを残す

猫のしつけ2

猫と暮らしていくなかで、トイレのしつけは欠かせません。

床のニオイを嗅ぎ始めたり、その場でぐるぐると回転したりするようなら、トイレのサインの可能性が高いです。

トイレのサインが始まったら、見逃さずに、猫砂の上に移動させることです。

このタイミングで、猫砂の上に移動してトイレをさせてください。

猫のトイレのしつけのポイントはここからです。

排泄物をすべて片づけてしまわずに、少しニオイをトイレに残しておきましょう。

次にトイレをさせるときに、ニオイのする猫砂の上で用を足すことで、徐々にトイレの場所を覚えるようになります。

猫は元々、砂の上でトイレをする習慣があるので、一度場所を認識してしまえば、比較的簡単にトイレを覚えてくれます。

注意点として、猫は清潔なトイレを好むため、ニオイを残す場合にもごく少量にして、トイレを清潔に保ってください。

清潔にしていないと、猫はトイレをしたくても我慢してしまうことがあります。

噛まれても無視する

猫と触れ合っているときに突然噛んでくることがあったら、早めにしつけをしてください。

何かを要求するときに噛むことが多いですが、成猫になると、鋭い歯でけがをすることもあります。

また、「甘噛みであれば大丈夫」と侮ってはいけません。

猫に嚙まれた傷から感染する「パスツレラ症」などの感染症にかかるおそれがあります。

発熱や倦怠感などの症状におそわれ、基礎疾患のある方ですと重症化するケースも報告されています。

そのため、子猫のうちに噛み癖をつけないようしっかりとしつけをする必要があります。

効果的な方法として、遊んでいるときに嚙まれたら、無視をしてすぐに遊びをやめてしまいます。

そのまま別の部屋に移動してしまっても良いです。

猫にしてみたら「楽しく遊んでいたのに、噛んでしまったことで突然楽しいことが終わってしまった」となるので、嚙まれたら無視を繰り返し、噛むと遊んでもらえなくなることを覚えさせていきましょう。

一人遊びを覚えさせる

猫のしつけ3

猫の噛み癖や、いたずらをやめさせるのに、1人遊びを覚えさせる方法もあります。

1人遊びを知らない猫は、どうしても飼い主に噛んだり引っかいたりと要求をしてくるようになります。

この要求に毎回応えていると、おねだりをすれば応えてくれるといったように主従関係まで逆転してしまうことにもなりかねません。

1人の時間を楽しめるようになれば、もともとマイペースな性格が多い猫ですので、毎回要求に答える必要もなくなり、自然と要求噛みや引っかき癖も改善されてきます。

1人遊びを覚えてもらうためには退屈をさせないことが大切ですので、おもちゃを与えるなど、飼い主との遊び以外に夢中になれることをつくってあげましょう。

爪とぎの場所を覚えさせる

猫は本能的に、爪のケアなどのために爪とぎをします。

しかし、部屋のどこでも爪とぎをされてしまったら困ってしまいます。

そのためにも、猫に爪とぎをしてよい場所と、いけない場所を教えてあげる必要があります。

爪とぎをさせたい場所に、爪とぎグッズを置き、違う場所で爪とぎをしようとしたら、その場所へ連れていく、これを繰り返して爪とぎの場所を覚えさせていきましょう。

違う場所で爪とぎを始めても、くれぐれも大きな声で叱ったり、体罰を与えるのはやめてください。

猫にストレスを与える方法ではなく、正しい場所に導いてあげたうえで、きちんと爪とぎができたら褒めてあげてください。

そうすることで、「猫も爪とぎをしてよい場所」を認識できます。

猫のしつけを楽にする環境づくり

猫のしつけをするにあたって、しつけ方ばかりに目が行きがちですが、そもそも問題行動を起こさせないための環境づくりもとても大切です。

しつけと環境づくり、この2つを合わせておこなうことによって、猫との暮らしがとても楽になります。

日頃から猫の動きをチェックしておいて、考えられるリスクを回避するための準備をあらかじめしておきましょう。

代表的な環境づくりをご紹介します。

危険なものは猫が触れられない場所に置く

人間にとって何でもないものでも、猫にとって興味本位で触れることで危険なものや部屋を汚してしまうものはたくさんあります。

例えば部屋のコンセントやケーブルなどは、何も知らない猫が噛んでしまって断線してしまったり、場合によっては、火災の原因になってしまうこともあります。

できるだけ、猫が立ち入れないような場所に隠すか、カバーなどを装着して対策をしておきましょう。

猫の行動範囲に食べ物を置かないよう、棚や引き出しなどにしまっておくことも、つい忘れがちですが徹底してください。

大切なことは猫の行き来できる部屋に、危険なものは置かずに、立ち入ってほしくない部屋のドアは必ず閉めて、猫を入れないことです。

家具の転倒防止器具を付ける

猫は、家具などの高いところに移動することがあります。

そこから飛び降りるときなどに、家具やテレビなどが倒れてしまうことがあります。

これらを防止するために、猫のいる部屋の倒れそうなものには、転倒防止器具をあらかじめつけておくことで、転倒を防ぐことができます。

噛まれたときの対応

猫は感情表現の1つとして噛むという行動に出ることがしばしばあります。

理由はさまざまで、子猫の際に多い理由は、歯が生える過程で口の中がかゆくなり、噛むことによってかゆさを紛らわせているケースがあります。

このような場合、歯が生えそろってしまえば、自然と収まることもありますが、それでも噛み癖がついてしまうことを考えると何とかしておかなければなりません。

効果的な方法として、しっかりと噛めるおもちゃを与えてあげてください。

歯がかゆくなったらおもちゃを噛むことで、子猫のストレスや気持ち悪さを軽減してあげることができるので、このケースの噛み癖は解決することがほとんどです。

猫の噛み癖で本当に問題なのは、物事を要求してきたりする意思表示の際に、毎回噛んできて、それでも要求が通らなくなると、より攻撃的に強く噛んでくるケースです。

猫が大きくなるにつれて、当然ですが嚙む力も強くなってきます。

けがをする恐れもあるので、効果的な方法でやめさせましょう。

また、噛まれた傷から発症する恐れのある感染症対策についても、知っておかなければなりません。

万が一猫に噛まれた際の、効果的な対策について解説します。

大声を出さずに部屋を移動する

猫に噛まれた際に、大声を出して延々と猫を怒鳴りつけても、猫はよく理解ができません。

かまれてすぐに低く少し大きめの声で「イタイ」「イケナイ」など伝えることには一定の効果がありますが、いつまでも怒られていても猫はすぐに忘れてしまいます。

むしろ、目の前の飼い主が、自分に対して強い口調でずっと何かを言っている姿を見て、猫が自衛のために飼い主を攻撃対象として見てしまいます。

そうなると、さらに噛みついたり引っかいたりするような問題行動に出ることも珍しくありません。

猫にとって、怒鳴られて叱られることよりも、飼い主と遊んだり、甘えたりしている時間が、噛んでしまうことによって突然終了してしまうことの方が堪えます。

そのため、何かを要求されて噛みついてきたり、じゃれあいのなかで噛んできたりするようなときには、あえて何も言わず、猫との触れ合いを中止して、部屋を移動し、扉を閉めてしばらく放置してしまいましょう。

猫にしてみたら「噛むことで楽しいことが終わってしまった」となるため、噛むことがいけないこと、飼い主を怒らせることだと少しずつ認識し始めます。

もちろん、一度くらいでは効果は出ないことの方が多いですが、子猫のうちより根気強く続けていれば噛み癖は収まってきます。

すぐに洗い流す

次に、感染症予防のための対応をご紹介します。

猫に噛まれたらまずは流水でしっかりと傷口を洗ってください。

洗い流して、出血がないようでしたら、石鹸を使ってなでるように洗ってください。

再度きれいに流水で洗い流したあとは、しばらくの間は傷口を観察しておいてください。

代表的な感染症である「パスツレラ症」などは噛まれてから数時間経過して、赤く腫れあがり、発熱などの症状が出る場合があります。

もし、嚙まれた傷が深く出血が見られる場合には、しっかりとした消毒を行い、潜伏期間を経て感染症を発症する可能性も考えられるため、医療機関を受診してください。

とにかく、猫に噛まれたら、傷の深さに関わらず、まずは流水でていねいに洗い流してください。

何もせず放置しておくことは危険なので、絶対にやめてください。

まとめ

猫のしつけについて解説しました。

猫というとしつけのイメージはあまりないかもしれませんが、猫と人間の共生のために必要なことはしっかりと覚えさせましょう。

ポイントとしては、猫は長い期間ものを覚えていることが苦手なので、なにか粗相をしたら、すぐにやめさせることが大切です。

また、あらかじめ猫が粗相をしてしまいそうなポイントを整理する環境づくりも同時におこないましょう。

さらに、強く怒るようなことはせずに、無視をする、その場から立ち去る、そっと正しい場所に導いてあげるようなかたちで、少しずつ覚えさせてあげてください。

犬のようなしつけとは少し異なりますが、猫の習性を活かしながら、人間と幸せに共生できるためのしつけを行うことは、子猫の頃から取り組めばそれほど難しいものではありません。

大切な猫も飼い主も快適に暮らせるよう、当記事を参考に、しつけと環境づくりに取り組んでいただけたら幸いです。

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