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- はじめに
- 犬に卵を与えるメリット
- 犬に卵を与えて良い量は
- 超小型犬(体重4kg未満):~約17g(約0.3個分)
- 小型犬(体重10kg以下):~約41g(約0.8個分)
- 中型犬(体重25kg未満):~約80g(約1.6個分)
- 大型犬(体重25kg以上):約80g(約1.6個分)〜約110g(約2個分)
- 犬に卵を与える時に注意すること
- 最初は少量から
- 生卵でも、でたり焼いたりした卵でも大丈夫
- 調理するときは、油や塩などの調味料を使わない
- ゆで卵の場合は細かく刻んで与える
- アレルギーに注意
- 生卵を与える場合は、卵黄だけを与えるように
- 殻も食べられるが細菌に注意
- 卵の加工食品は与えない
- カロリーオーバーにならないように注意
- まとめ
はじめに
卵が健康的な食べ物であることは周知の事実です。さまざまな料理のバリエーションもあり、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素が豊富に含まれているため、毎日卵を食べている方も多いのではないでしょうか。
完全栄養食といわれるほど健康にメリットのある卵を、大切な愛犬にも食べさせてあげたいと思ったことがあるけれど、犬に与えてよいのかわからないという方も多いでしょう。
ご安心ください。卵は犬に与えても大丈夫です。
卵は人間同様に、犬にとって必要な栄養素が多く含まれているため、食べる量や、いくつかの点に注意すれば問題なく食べることができます。
そこで今回は、卵に含まれる栄養素が犬に与えるメリットや、注意点について詳しく解説いたします。
犬に卵を与えるメリット
卵は、完全栄養食と呼ばれるほど、健康な体を維持するために必要とされる栄養素を多く含んでいることから、犬にとってもメリットの大きい食べ物です。
卵に含まれるタンパク質や脂質、ビタミンなどが毎日のエネルギー補給や健康な体づくりに大きく貢献してくれます。
これだけ豊富な栄養素を含んでいる卵ですが、食べ過ぎには注意が必要です。そもそも総合栄養食と表記されているドッグフードを毎日食べている犬の場合、食事から十分な栄養を摂取できているため、卵を大量に食べてしまうとカロリーオーバーとなってしまいます。
せっかく健康に良いとされる卵を食べていても、食べ過ぎで太ってしまってはかえって体調を崩してしまいます。
卵を与えるのはあくまで食事のトッピングやおやつとして少量与えるのが望ましいです。特に食欲不振でドッグフードをあまり食べなくなったときなどに、不足する栄養補給として卵を与えるとよいでしょう。
次に卵に含まれる栄養素が体に与えるメリットについて、ご紹介します。
皮膚や筋肉を作り、エネルギー源になる
卵に含まれているタンパク質は、皮膚や筋肉などを作り、エネルギー源にもなることから愛犬の体づくりや健康維持には欠かせない栄養素です。
さらに卵黄に多く含まれている脂質は、体内では作ることのできない必須脂肪酸の供給源となるほか、ビタミンの吸収を助ける役割があります。
脂質を摂取することで、皮膚や被毛などの健康促進や、筋肉、血液などの成分となるなど、体づくりに大きな役割を果たしています。
ただし、過剰摂取は肝臓や腎臓に負担をかけすぎてしまうだけでなく、肥満や糖尿病の原因となってしまうため、注意が必要です。
アミノ酸スコアが100の食材
タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されています。タンパク質を摂取すると、体内で消化酵素の働きによってアミノ酸に分解されます。
体内で吸収されたアミノ酸はタンパク質に再合成されて、体の中でさまざまな役割を果たしています。
20種類のアミノ酸のうち、9種類は体内で合成できないもので、これを必須アミノ酸といいます。
9種類の必須アミノ酸のバランスを示した指標がアミノ酸バランスで、100を上限とした数値で表されます。9種類のうち、1つでも不足しているとアミノ酸スコアは下がってしまい、すべてのアミノ酸がバランスよく含まれているとアミノ酸スコアは100になります。
卵はアミノ酸スコアが100の食材であり、いかにバランスよくタンパク質が摂取できるのかおわかりいただけると思います。
内臓保護や体温調整を行う
脂質と聞くと、体に悪影響を及ぼすものと考えられがちですが、それは過剰に摂取した場合で、実は三大栄養素といわれるほど健康な体作りに重要な役割を果たしています。
タンパク質や炭水化物と同様に、エネルギーを産生する栄養素ですが、タンパク質や炭水化物のエネルギー量は1gあたり4キロカロリーなのに対して、脂質は1gあたり9キロカロリーとなっており、ほかの2つに比べても効率のよいエネルギー源となっています。
脂肪が体内で果たす役割はさまざまですが、脂質を適量摂ることで、体温を維持し臓器を守ってくれます。
体脂肪や、内臓脂肪が体に適度に付いていることで、内臓や筋肉を寒さから守る役割を果たします。
また、内臓を衝撃から守るためにクッションの役割もしています。
しかし、人間同様に、犬も脂質を摂り過ぎると肥満になり、病気の原因になってしまいます。
摂り過ぎはよくありませんが、適量の脂質は欠かせない栄養素なのです。
皮膚や粘膜、目、骨の健康を維持する
卵に含まれているビタミンAは、目の健康に大きく関わっている栄養素で、不足すると目の粘膜や角膜が傷つき、視力が落ちたり、夜間に物が見えにくくなったりするリスクがあります。
ただし、この効果は人間の場合に効果が認められているもので、犬にも同様の効果が期待できるかは定かではありません。
ビタミンAは皮膚や粘膜にも関係しており、不足すると乾燥して硬くなり、肌荒れのほか防御機能の低下により感染症にかかりやすくなります。
卵を食べることでビタミンAを摂取することができるので、これらの問題に対する予防効果が期待できます。
脂質代謝や皮膚や角膜の保護
卵に含まれているビタミンB2は、体内のエネルギー産生に使われる脂質の代謝に関わり、皮膚や角膜を正常に保つ働きがあります。
発育のビタミンとも呼ばれ、皮膚や角膜を保護し、髪や爪などの細胞の再生に役立ちます。
肥満気味の犬などが体重管理のためにダイエットをすると、栄養素が不足してしまうことがありますが、脂質をうまく代謝させるためにもビタミンB2が不足してしまわないよう注意しましょう。
犬に卵を与えて良い量は
犬に与えても良い卵の量について解説いたします。
卵は犬の健康維持に役立つ栄養素が豊富に含まれていますが、あくまで主食は「総合栄養食」のドッグフードです。
総合栄養食を毎日適量食べていれば、必要な栄養素が不足することはありません。
卵を与える際には、あくまでおやつや補助食として1日の必要カロリーの10〜20%程度に抑えておきましょう。
以下に紹介する摂取量は体重から算出した数字なので、愛犬の年齢や運動量、体調などを考慮して与えるようにしてください。
超小型犬(体重4kg未満):~約17g(約0.3個分)
体重が4kg未満の超小型犬には、半分の量でも少し多すぎるので、目安として約0.3個分にとどめてください。
超小型犬は口も小さいため、一気に食べてしまわないよう、与える際には小さくカットして与えてください。
小型犬(体重10kg以下):~約41g(約0.8個分)
小型犬でも卵1個ですと食べ過ぎになるので、半分から0.8個を目安にしてください。
小型犬の場合、5kgの小型犬と10kgの小型犬では体の大きさも、食べる量も異なるため、あくまで0.8個までとして、体の大きさによって調整してください。
中型犬(体重25kg未満):~約80g(約1.6個分)
10kg以上25kg未満の中型犬では、1.6個分までは与えてもかまいませんが、10kgと25kgでは大きさがかなり異なるため、体の小さい中型犬には1.6個よりも少ない量で与えなければなりません。
また、一度にすべて与えずに、複数回に分けておやつとして与えても問題ないので、ドッグフードを減らしてまで、食事として卵を与える必要はありません。
大型犬(体重25kg以上):約80g(約1.6個分)〜約110g(約2個分)
大型犬になると、1.6個〜2個分くらいまで与えても大丈夫です。
この場合にも間食として、複数回に分けて食事の合間に与えるのがおすすめです。
大型犬はドッグフードの摂取量も多く、高齢になると運動量が落ちて太りやすくなるため、「小さい卵ならもう少し食べさせても大丈夫だろう」とたくさん食べさせるのは避けてください。
犬に卵を与える時に注意すること
卵は、栄養価も高く犬にとってもすぐれた食べ物といえるでしょう。しかし、今まで食べたことのない食材を口にするため、万が一のことを考えて飼い主さんは注意する必要があります。
おやつなどで、愛犬の健康を考えて卵を与えても、体調を崩してしまっては意味がありません。
そこで、愛犬に卵を与える際の注意点についてまとめてみました。
最初は少量から
初めて卵を与える際には、少量から与えるようにしましょう。犬のなかには食べ慣れていないものを食べるとお腹を壊したり、食べたものを吐いたりしてしまう子もいます。
これまでにも新しいものを食べたときに、体調を崩してしまうことがあった場合には、飼い主さんがコントロールしてあげなければなりません。
犬は、目の前に置かれたものを夢中で食べてしまうことが多く、自分の体に合わないものでも一気に食べてしまいます。
もし、愛犬に初めて卵を与えるときには、初めの数回は少量ずつ与えて、問題ないようでしたら徐々に量を増やしてあげるとよいでしょう。
生卵でも、でたり焼いたりした卵でも大丈夫
卵はさまざまな調理方法で食べることができますが、犬に与えるときも同様で、どのような調理法で与えても問題ありません。
愛犬の好みに合わせてゆで卵や、焼いて与えてもよいでしょう。
ただし、人間が食べる場合と異なり、出来立ての熱々の状態では与えないでください。
犬は目の前に出されたらすぐに食べようとしますが、あまり熱いものはうまく食べることができません。
仮に食べることができても、丸飲みしてしまうことが多くやけどの原因にもなってしまいます。
せっかく調理したので、つい出来立てをあげたくなりますが、少し冷まして与えるようにしてください。
また、栄養面でも、卵に含まれているタンパク質は加熱により壊れてしまうので、タンパク質の摂取が目的の場合にはゆで卵がおすすめです。
調理するときは、油や塩などの調味料を使わない
卵はゆでても焼いても問題ないと前述しましたが、調理をする際の注意点として、私たちが普段食べるときのように油を使用して焼いたり、調味料を使用して味付けをしたりするのは避けてください。
人間が食べる際に調理に使う油や調味料は、犬には必要がないだけでなく、過剰に摂取すると犬の健康を損なうおそれがあります。
油を使用してしまうと、肥満の原因にもなってしまうので使用しないでください。
また、調味料で味を付けると犬には刺激が強く、健康面でも塩分過多になって腎臓などにも負担をかけてしまいます。
ドッグフードなどには人間の食べ物のような濃い味付けがされておらず、しっかりと味のついた卵を食べてしまうと、ドッグフードの味では物足らなくなり、毎日の食事を食べなくなってしまうこともあります。
ゆで卵の場合は細かく刻んで与える
犬は、食べ物をよく噛んで味わうというよりも、あまり噛まずに飲み込んでしまうことが多いため、大きな食べ物をそのまま与えてはいけません。
ゆで卵は、犬にとっておすすめの調理法ですが、丸ごと与えるのはやめましょう。
やわらかく食べやすいですが、そのまま飲み込んでしまうこともあり、喉に詰まらせてしまうと大変危険です。
また、出来立てのゆで卵を丸飲みすると食道などをやけどしてしまうおそれもあるので、愛犬にゆで卵を与える際には細かく刻んだものを与えてください。
特に、小型犬の場合には、体の大きさによって、より小さくして与えましょう。
アレルギーに注意
アレルギーは体内の免疫機能が、タンパク質に過剰反応することで引き起こされます。
タンパク質が多く含まれている卵は、アレルギーを引き起こす可能性のある食材です。そのため、最初に与えるときは少量にとどめ、問題がないかしばらく観察して、次回より徐々に量を増やしてあげてください。
過去に鶏肉にアレルギー反応を示したことがある場合には、卵によるアレルギーを起こす可能性が高いため、食べさせない方がよいでしょう。
アレルギー反応を起こすとかゆみや皮膚が赤くなるなどの症状が出ることがあり、まれに重症化するとアナフィラキシーショックを引き起こしてしまうことがあるので、アレルギー体質の犬には与えてはいけません。
生卵を与える場合は、卵黄だけを与えるように
生卵を食べることはできますが、与え方に注意が必要です。
生卵の白身は、皮膚や被毛の状態を健康に保つのに必要な「ビオチン」を破壊してしまう「アビジン」が含まれています。
アビジンは熱に弱いので、加熱すれば失われるため、加熱調理がおすすめですが、どうしても生卵を与えるのであれば、白身を取り除いて、卵黄だけを与えるようにしてください。
殻も食べられるが細菌に注意
人間は卵の殻を食べることはありませんが、殻にはカルシウムが含まれており、犬が食べてしまっても問題はありません。
ただし、食べる際には口内や食道を傷つけてしまうおそれがあり、危険なのであまりおすすめできません。カルシウムの摂取を目的として殻を与える場合には、細かく砕いて食べさせてあげてください。
もう1つ注意点として、生の卵の殻はサルモネラ菌に汚染されていることがあるので、加熱して与えてください。
日本で販売されている卵は、生食することも考慮されて管理されているため、我々の手に届く前の段階で洗浄や殺菌がしっかりとおこなわれているので、あまり神経質になる必要はありませんが、念のために殻を与えるときは加熱して与えるようにしてください。
卵の加工食品は与えない
卵の加工品は、製造の過程で卵以外の成分を使用していることが多く、味付けがしっかりとしている分、塩分や糖分の摂り過ぎにより健康を害してしまうおそれがあります。
代表的な加工品として、マヨネーズやプリン、味付き卵、卵スープ、卵豆腐などがあります。
卵は犬にとって栄養価の高い食べ物ですが、あくまで卵単体で食べることを想定しており、卵を使用した加工品はこれに該当しません。
例外として、犬用のおやつとして加工されているものであれば問題なく食べさせることができます。
卵の加工品でも成分を確認して、問題なければ与えることはできますが、ほとんどの加工品には犬にとって有害になる可能性のあるものが含まれているため、与えないことをおすすめします。
カロリーオーバーにならないように注意
卵は健康的な食べ物で、犬に与えても問題ありませんが、脂質を多く含んでいるため食べ過ぎてしまうとカロリーオーバーになってしまいます。
毎日、総合栄養食のドッグフードを適量で食べていれば、十分なカロリーと栄養が補給できているので、それに加えてたくさん卵を食べてしまうと食べ過ぎによって肥満になり、かえって健康に悪影響を与えてしまいます。
前述しましたが、卵を与える際の適量は1日の必要摂取カロリーの10〜20%程度にとどめておくことが望ましく、比較的高カロリーである卵は、少量でもすぐに上限に達してしまいます。
愛犬に与える際に、一見少なすぎるように見えて追加で与えてしまいがちですが、必要以上にカロリーを摂取してしまうため継続すると肥満の原因となります。
卵の加工品は油の使用や、砂糖、塩に加えさまざまな成分が使用されているため、卵そのものよりもさらに高カロリーとなり、少量でもカロリーオーバーとなります。
健康への影響も考えると、人間用の卵の加工食品は食べないほうがよいでしょう。
また、タンパク質は体に必要な栄養素ではありますが、腎臓病の犬にとって負担が大きいため、卵を食べるのは避けたほうがよいでしょう。
タンパク質を摂取すると、体内で分解から排出までの過程で腎臓に負担がかかります。
腎臓が正常な場合には、タンパク質の代謝によって生成される老廃物が、尿として排出されますが、腎臓に疾患を抱えていると、排出がスムーズにおこなえなくなってしまいます。
排出できない老廃物が体内に溜まってしまうと、尿毒症となり腎不全に進行する可能性があるため、タンパク質の摂取を制限する必要があります。
現在、腎臓の治療中で、療法食などを食べている犬に卵を与える場合には、獣医師に相談して、判断を仰いでください。
まとめ
卵は、犬にとっても栄養が高く、与えても問題のない食べ物であることを解説いたしました。
健康な体づくりに欠かせないタンパク質や、ビタミンを多く含んでおり、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素を摂ることができる完全栄養食であるため、愛犬の健康サポートに最適です。
注意点として、卵は主食ではなく、あくまでおやつの位置づけとして、1日の摂取カロリーの10~20%にとどめておくこと、アレルギーの可能性があるため最初は少量ずつ与えること、生卵の場合は卵黄のみを与えることなどがあります。
また、腎臓に持病があり、現在治療を受けている場合には、卵を与える前に医師の判断を仰いでください。
人間にとって健康的な食べ物である卵は、犬にとっても健康的な食べ物なので、おやつとして与えたり、食事の際に細かくしてトッピングとして振りかけたりするなどして与えてみると愛犬も喜んで食べてくれるでしょう。
当記事の注意点などを参考に、卵を与えてみてはいかがでしょうか。