犬にきゅうりを与えても大丈夫なの?注意点や適切な量を解説

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はじめに

記録的な猛暑が続き、食欲も出ない…そんな日々を過ごしている人も多いのではないでしょうか。それはワンちゃんも同じで、暑さで愛犬がなんとなく元気がない、食欲がなさそう…と心配な方もいらっしゃるかもしれません。

私たち人間は、暑くなるとひんやり冷たい食べ物や、身体を冷やしてくれる夏野菜が恋しくなります。中でもトマトやレタスなどと並んで夏に旬を迎える野菜の代表格 きゅうりは、水分もたっぷり含まれていてこの季節にもってこいの食材です。夏に限らず食卓に馴染み深い食材であり、愛犬に与えたい、人間が食べていると愛犬が欲しがる、といったケースもあると思います。

一緒に暮らすワンちゃんにも、きゅうりをあげて大丈夫かと疑問に思う方も多いかと思います。今回は、きゅうりを犬に与えても大丈夫なのか、愛犬にきゅうりを与えるメリットや注意点についてご紹介します。

きゅうりを犬にあげるメリットとは?

はじめに、きゅうりを愛犬に与える際に知っておきたい栄養素や、きゅうりを愛犬に与える上でのメリットをご紹介します。

基本的に、きゅうりには犬にとって有害な成分は含まれておらず、犬が食べても大丈夫な食材です。では、きゅうりにはどんな栄養素が含まれているのでしょうか。

きゅうりの栄養分とは?

きゅうりは100gあたり14キロカロリーと低カロリーで、「Least calorific fruit(=最もカロリーの低い果実)」としてギネス世界記録にも登録されているほどです。そこから転じて「最も栄養がない野菜である」という話まで広まっていますが、実はこれは間違い。利尿作用のあるカリウムや、骨の健康維持に役立つビタミンK、皮膚や粘膜の健康を維持し抗酸化作用のあるβカロテン、そして食物繊維などが豊富に含まれている栄養豊富な野菜なんです。

また、きゅうりはその95%が水分でできており、水分補給にも適しています。たっぷりの水分で身体を冷やしてくれる作用は、暑い夏にもぴったりです。

犬に与えるとどんな効果があるのか?

きゅうりを犬に与えることで、どんな効果が期待できるでしょうか。

まずはなんといっても豊富に含まれている水分。きゅうりを食べることで水分を補給でき、愛犬の体温調節を助ける役割を果たします。

また、きゅうりに含まれるカリウムは細胞の浸透圧を一定に保つ働きを持ち、利尿作用があります。体内の余分な水分・塩分の排出を促し、愛犬のむくみを改善し、血圧を下げる効果が期待できます。筋肉の正常な働きをサポートする効果もあるため、愛犬の健康な体の維持に役立つでしょう。ただし、腎臓病や心臓病を患っている犬の場合はカリウムの摂取に慎重になる必要があります。詳しくは後述しますが、なにか病気を患っている場合は与えるにあたって注意が必要です。

次に、ビタミンKには血液の凝固作用があり、怪我などで出血した際に血を止めるのに役立つほか、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促す作用があり、愛犬の骨を丈夫にする手助けをしてくれます。特にシニア犬にとっては骨を強くして健康な体づくりをサポートしてくれるありがたい栄養素です。

また、βカロテンは犬の体内でビタミンAに変換されて作用し、皮膚や粘膜の健康を維持してくれます。愛犬の免疫を活性化してくれるだけでなく、皮膚や毛艶の状態をよくしてくれる働きが期待できる栄養素です。暗い場所での視力をサポートしてくれる働きもあります。

そして、食物繊維は愛犬の腸内環境を整え、便秘の解消に役立ちます。このように、きゅうりは人間にとってだけでなく、愛犬にとってもプラスに働く栄養素が豊富に含まれています。

犬にきゅうりをあげる際の注意点

次に、愛犬にきゅうりを与える際に確認すべきことや、注意しておくべきポイントをご紹介していきます。

与える前に確認すべきことは?

体に嬉しい栄養が含まれているといっても、犬によっては体質に合わない子もいます。アレルギーの症状が出てしまう可能性も考慮し、初めて与える際は少量から試してみて、様子を見ましょう。万が一体をかゆがったり、体調に異変が見られたりした場合は与えるのをやめ、すぐにかかりつけの動物病院に相談するようにしてください。きゅうりに限らず、かぼちゃやメロン、スイカなどウリ科の食物に対してすでにアレルギーを持っている愛犬は、きゅうりを食べても同じようにアレルギー反応が起きる可能性があるため、与えるのを控えましょう。

きゅうりは95%が水分と言われていますので、急にたくさん食べると下痢になってしまう可能性があります。そのため、少しずつあげるようにしましょう。

また、腎臓病や心疾患などを患っている場合は、カリウムの摂取を制限される場合もあります。特に慢性腎臓病を患っている犬の場合、カリウムを摂取し過ぎると高カリウム血症になる危険性もあるため、腎臓病を患っている犬の場合はきゅうりを与えないようにしましょう。その他、なにか治療中の病気がある際は、きゅうりを与えて良いかどうか、あらかじめ獣医師に相談するよう心がけてください。

与えるきゅうりにも注意が必要です。きゅうりに含まれるカリウムやβカロテンは乾燥によってその働きが失われます。乾燥していない新鮮なきゅうりを選ぶようにしましょう。

なお、与えようとしたきゅうりの苦味が強い場合、「ククルビタシン」という苦味成分が多く含まれており、人間が多量に摂取すると下痢や嘔吐などの食中毒を起こす場合があります。愛犬に与える際も苦味が強いきゅうりは避けるようにしましょう。

あげる時の切り方や与え方に注意が必要

きゅうりを与える際の切り方にも注意が必要です。きゅうりの表面には細かいトゲがあります。このとげに毒性などはなく食べても健康的には問題ありませんが、食べる際に口の中や喉が傷ついてしまう可能性もあります。表面のトゲを取り除くか、皮を剥いてから与えたほうが安心です。

また、喉に詰まらないよう細かいサイズに切って与えることも重要です。きゅうりの魅力といえばあのシャキシャキした食感。ついその食感が楽しめるよう大きいサイズのままやスティック状にして与えたくなりますが、人間と比べて噛む回数が不十分なまま飲み込んでしまう子もいるため、飲み込みやすいよう小さくカットしてから与えましょう。

大きめにカットしたきゅうりを勢いよく飲み込んでしまうと、のどに詰まらせてしまう場合もあります。最悪の場合、呼吸困難になってしまい動物病院に駆け込まなくてはならなくなることもあります。きゅうりをあげる場合には、大きさには注意が必要です。

シニア犬など、噛む力や飲み込む力が弱い犬に与える際は、細かく刻むか、ミキサーなどでペースト状にするなど、軽く茹でて柔らかくすることも効果的です。併せて試してみてください。

犬の体格ごとの適切なきゅうりの量と与え方

愛犬にきゅうりを与える際はその量にも注意が必要です。きゅうりに含まれる豊富な水分や食物繊維により、与えすぎると下痢をしてしまう可能性もあります。ここでは、愛犬の体格によって与えてもよいきゅうりの量について解説していきます。

小型犬の場合、どのくらいの量が適切?

きゅうりは物によってサイズや重さにばらつきがありますが、ここでは1本あたりのきゅうりの重さを100gとします。またきゅうりの水分量や、100gあたり1.1g含まれる食物繊維の量も踏まえて計算することが必要です。

まずチワワやトイプードル、ポメラニアン、パピヨンなど、体重4kg未満の超小型犬の場合、1日に与えて良いきゅうりの量は26gまで、約1/4本という計算になります。

次に芝犬やミニチュアダックスフンド、パグ、シーズー、スコティッシュテリアなど体重10kg以下の小型犬の場合、1日に与えて良いきゅうりの量は63gまで、約3/5本となります。ひとくちに「小型犬」といってもその体格はさまざま。愛犬の体格に合わせた量のきゅうりを与えるよう心がけてください。

中型犬、大型犬にはどう与えるべきか?

では中型犬、大型犬の場合はどうでしょうか。フレンチブルドッグやボーダーコリー、ビーグル、ミディアムプードルなど体重25kg未満の中型犬の場合、1日に与えて良いきゅうりの量は124gで、約1 + 1/4本となります。

そして、ゴールデン・レトリーバーやドーベルマン、ダルメシアン、シベリアンハスキーなどの体重25kg以上の大型犬の場合、1日に与えて良いきゅうりの量は125g〜となります。

これらはあくまで目安であり、実際の犬の体格や体質、運動量によって適切に調整する必要があります。様子を見ながら少しずつ与えるように心がけてください。

また、きゅうりの食べ過ぎにより普段与えているドッグフードを食べる量が減ってしまうと、栄養バランスに偏りが出てしまうおそれがあります。きゅうりを愛犬に与えて栄養や水分を補給させるというよりも、おやつとして少量与えるほうがより好ましいです。くれぐれも与えすぎず、適切な量を守りながら、愛犬の体調に合ったペースで与えるようにしましょう。

犬にきゅうりを与える際の注意点

続いて、愛犬にきゅうりを与える際に気をつけるべきポイントをご紹介いたします。

きゅうりの皮や種を与えても大丈夫?

きゅうりの皮や種は愛犬に与えてもよいのか、気になる方もいらっしゃるかもしれません。犬にきゅうりを与える場合、皮の部分は基本的に与えても構いません。ただし、先述の通りとげがある場合は取り除くか、皮を剥いてから与えたほうが安心でしょう。また、皮の部分には消化しにくい「不溶性食物繊維」が含まれます。少量のきゅうりを与える分には問題ありませんが、犬が一度にたくさん摂取すると下痢を起こす可能性もあります。与え過ぎにはくれぐれも注意してください。

次にきゅうりの種についてですが、種の部分も犬に与えても問題ありません。人間がきゅうりを食べる時と同様、たねを取り除かない状態でも与えることができます。

子犬やシニア犬にきゅうりを与えても大丈夫?

子犬にきゅうりを与える場合ですが、離乳後、徐々にドライフードを食べることができるようになったらあげても問題ありません。しかし、からだが大人へと成長していく時期ですのでドッグフードがメインであることは確かです。ドッグフードを中心に、どうしてもあげたいのであればほんのわずかにしましょう。ただし、子犬に初めてきゅうりを与える際は、少しずつ与えてアレルギーなどがないか、下痢を引き起こさないかなど様子を見る必要があります。また、喉に詰まらせないよう細かく食べやすいサイズに切って与えることが大切です。さらに、成長期の子犬はバランスの良い食事が必要不可欠となってきます。きゅうりを与えすぎて普段食べているドッグフードが食べられず、必要な栄養素が不足してしまうといった事態にならないよう注意しましょう。

シニア犬の場合ですが、水分補給のためにきゅうりを適量与えるのも良いでしょう。しかし、老犬の場合は腎臓の機能が低下し、カリウムを消化しきれない場合もあるため、与えすぎには注意が必要です。また、消化器官の働きが弱くなっているシニア犬の場合、きゅうりに含まれる豊富な水分や食物繊維の影響で下痢をしてしまう可能性があります。与えすぎに注意し、様子を見ながら食べさせるようにしてください。

加工品には注意が必要

次に、ぬか漬けなどの漬物や、キムチ、ピクルスといった加工品のきゅうりについて解説します。漬物や調味料で味つけされたきゅうりには、人間にとってちょうど良い量の塩分や調味料が含まれています。しかし犬にとっては塩分摂取量が過剰となってしまうことがあるため、加工や味つけがされたきゅうりを愛犬に与えることはやめましょう。たとえ味つけされたきゅうりを表面だけ水洗いしたとしても、中まで塩分がしみ込んでいます。これらの加工品を犬に与えるのは避けるようにしましょう。また、人間用のサラダに含まれるきゅうりを愛犬に与えたい場合も、ドレッシングや塩、マヨネーズなどで味つけされた状態では与えないようにしてください。きゅうりを愛犬に与える際は、加工や調理・味つけがされていない状態で与えるようにしましょう。

まとめ

犬にきゅうりを与えるメリットはあるが注意が必要

きゅうりには犬の健康を害するような成分は含まれておらず、愛犬に与えても問題ありません。また、きゅうりに含まれる栄養や愛犬にとっての嬉しいメリット、注意点について解説してきましたが、いかがでしたか?カリウムによる利尿作用や適量のカルシウムとビタミンKが組み合わさることで骨を丈夫にする作用、βカロテンの抗酸化作用に、便秘解消に役立つ食物繊維、きゅうりは水分が豊富なだけでなく、たくさんの栄養が含まれています。いつものドッグフードとは違う形で栄養や水分を補給できるきゅうり、愛犬にとっても楽しみなおやつとなるかもしれません。

しかしワンちゃんの体質によっては注意が必要なことも解説してきました。初めて与える際はくれぐれも気をつけて、愛犬の様子や体調をよく観察しながら少量から与えるよう心がけてください。

体格ごとに適切な量と与え方を守ろう

ワンちゃんの体格、体重によってもきゅうりを与える際の適切な量が異なることもご紹介してきました。愛犬にきゅうりを与える際は、その子の体格に合わせた適正量を守って与えるようにしてください。ただし、子犬やシニア犬はこれに限らず、その子のペースや体調に合わせてきゅうりを与えるようにしましょう。

また、きゅうりを与える際は愛犬が食べやすい大きさに切ることが必要なこともご紹介しました。喉に詰まらせないように工夫しながら与えてみてください。

夏の食欲のない時にも、そのシャキッとみずみずしい食感で私たちを楽しませてくれるきゅうり。それだけでなく、栄養豊富で水分補給もできるとあり、愛犬の食生活にもぜひ取り入れたいと思える食材ですね。

きゅうりを愛犬に与える際には、その適正量や安全な与え方に気をつけながら、愛犬の食事に取り入れるようにしましょう。

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