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はじめに
この記事では、犬にパンを与えても良いのかという疑問に焦点を当て、詳しく解説しています。
また、体に悪影響を及ぼす可能性のあるパンに含まれる成分の注意点についても、詳しくまとめています。
パンを与えたところ、犬の体に思わぬ異変を感じた場合の対処法などについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
犬にパンを与える際の注意点
犬にパンを与える際には、与えてよいものと与えてはいけないものに気をつけるなど、いくつかの注意点があります。
- パンの内容物を確認する
- 与える量に気をつける
- パンの種類によって注意が必要なものもある
朝食はパン派またはパンを主食にしている場合、飼い主さんがパンを口にすることは日常茶飯事でしょう。
食卓で美味しそうにパンを食べていると、香ばしい匂いに釣られた犬が尻尾を振って近寄ってくるのは、誰にも止められません。
食欲を刺激された犬は歯止めがきかなくなり、以下のような催促をしてくることが考えられます。
- 飼い主の傍や食卓の近くを、いつまでもウロウロしつづける
- 味見したいがために、飼い主の手元に顔を寄せてくる
- 食べたいという意思表示の一環で、コテンと小首をかしげて見せる
このように必死になる様子を見てしまうと、かわいい愛犬のおねだりを、むげに拒否してしまうことはできません。
このような場合、おやつとしてちょっとくらいなら食べても大丈夫かなと判断し、少量とはいえ犬に分け与えてしまうこともあるかもしれません。
しかしパンには、多くの食塩や添加物が含まれています。
そのため、犬の健康や生命が危険にさらされてしまう可能性もあります。
- パンの中毒症状と対処法
- パンの中毒症状の種類
- 応急処置法
- 獣医師への相談の必要性
犬にパンを与える場合は、内容物などに注意しながら、与えるようにしましょう。
次の項目で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
パンの内容物を確認する
犬にパンを与えるときは、外装に記載されている成分表示を確認して、内容物に問題がないか注意してください。
例えば食パンやフランスパンなど、シンプルな材料で作られたパンであれば、犬に与えても問題ありません。
パンには、「小麦粉、糖分、塩分、油脂、イースト菌」などの成分が含まれています。
次の項目で、それぞれの成分における中毒症状について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
小麦粉
パンの主成分である「小麦粉」は、含有成分のグルテンが消化に悪く、アレルギーの出やすい食材であることが知られています。
犬によっては、小麦・ライ麦・大麦・オート麦などに交差反応を示すことがあります。
すでに小麦アレルギーが発覚している場合は、パンを与えることは絶対に避けてください。
アレルギーがあるかわからない場合には、事前に獣医師に相談することが望ましいです。
糖分、塩分、油脂
パンに含まれている「糖分、塩分、油脂」を過剰に犬に与えてしまうと、心臓や肝臓に悪影響を及ぼします。
血糖値が上がりやすくなり、糖尿病や代謝異常など健康上の問題を引き起こす可能性もあるでしょう。
腎臓に大きな負担がかかれば、急性腎不全を発症してしまいかねません。
腎臓機能が低下して慢性腎不全を起こしてしまうと、元の状態まで完全に回復することは難しく、死亡率も高くなります。
犬にパンを与えるときは、必ず内容物を確認し、たとえシンプルな材料で作られたパンだったとしても、ある程度のリスクを理解した上で与えるようにしましょう。
イースト菌
犬がイースト菌(酵母菌)を摂取した場合、以下のような中毒症状を引き起こすことがあります。
- よだれ
- 不快感
- 摂食障害
- 胃の膨張感
- 下痢
- 腸内のガス充満
- 皮膚の発疹
- 皮膚刺激
- 全身の感染症
イースト菌に感染すると刺激性の強いかゆみを引き起こし、以下のような症状が見られることもあります。
- 何度も体を舐める
- 皮膚を噛む
- 皮膚を引っ掻く
- 床や壁または家具などで体をこする
- 耳をかゆがる
- しきりに頭や耳を振る
与える量に気をつける
犬にパンなどのおやつを与えるときは、1日に必要な総食事量におけるカロリーの10%程度が望ましいとされています。
以下、1日に与えるパンの量について、犬の体重別で算出しました。
パンを与える際の目安にしてください。
大きさの基準 | 体重 | 1日に必要なカロリー | 与えるパンの量 |
超大型犬 | 体重65kg | 約2,500kcal | 約25g程度 |
体重64kg | |||
体重63kg | |||
体重62kg | 約2,400kcal | 約24g程度 | |
体重61kg | |||
体重60kg | |||
体重59kg | 約2,300kcal | 約23g程度 | |
体重58kg | |||
体重57kg | |||
体重56kg | |||
体重55kg | 約2,200kcal | 約22g程度 | |
体重54kg | |||
体重53kg | |||
体重52kg | 約2,100kcal | 約21g程度 | |
体重51kg | |||
体重50kg | |||
体重49kg | 約2,000kcal | 約20g程度 | |
体重48kg | |||
体重47kg | |||
体重46kg | 約1,900kcal | 約19g程度 | |
体重45kg | |||
体重44kg | |||
体重43kg | 約1,800kcal | 約18g程度 | |
体重42kg | |||
体重41kg | |||
大型犬 | 体重40kg | 約1,700kcal | 約17g程度 |
体重39kg | |||
体重38kg | |||
体重37kg | 約1,600kcal | 約16g程度 | |
体重36kg | |||
体重35kg | |||
体重34kg | 約1,500kcal | 約15g程度 | |
体重33kg | |||
体重32kg | |||
体重31kg | 約1,400kcal | 約14g程度 | |
体重30kg | |||
体重29kg | |||
体重28kg | 約1,300kcal | 約13g程度 | |
体重27kg | |||
体重26kg | |||
体重25kg | 約1,200kcal | 約12g程度 | |
体重24kg | |||
体重23kg | |||
体重22kg | 約1,100kcal | 約11g程度 | |
体重21kg | |||
中型犬 | 体重20kg | 約1,000kcal | 約10g程度 |
体重19kg | |||
体重18kg | 約900kcal | 約9g程度 | |
体重17kg | |||
体重16kg | |||
体重15kg | 約800kcal | 約8g程度 | |
体重14kg | |||
体重13kg | 約700kcal | 約7g程度 | |
体重12kg | |||
体重11kg | |||
小型犬 | 体重10kg | 約600kcal | 約6g程度 |
体重9kg | |||
体重8kg | 約500kcal | 約5g程度 | |
体重7kg | |||
体重6kg | 約400kcal | 約4g程度 | |
体重5kg | |||
超小型犬 | 体重4kg | 約300kcal | 約3g程度 |
体重3kg | 約200kcal | 約2g程度 | |
体重2kg | |||
体重1kg | 約100kcal | 約1g程度 | |
子犬の場合 | 子犬は、消化器官の機能が十分に発達していません。 炭水化物の摂り過ぎにより、消化不良から肥満を引き起こす原因にもなります。 さまざまな病気を引き起こす可能性もありえるため、子犬にパンを与えないようにしましょう。 |
パンは炭水化物が豊富なため、たくさん食べると体調を崩す場合があります。
規定の量をオーバーしないよう適量を守り、犬の体重や年齢および健康状態に合わせて、与えるパンの量を調整しましょう。
日ごろから犬の体重管理にも気をつけて、太り過ぎないよう気を配り、健康を損ねないように注意してください。
パンの種類によって注意が必要なものもある
パンの種類によっては、犬に与えてはいけない内容物もあるため、注意が必要なパンもあることを理解しておきましょう。
以下、犬の健康や生命に危険を及ぼすパンの具体例を紹介します。
ぜひ参考にしてください。
カレーパン
香辛料の刺激が強く、胃や腸の粘膜にダメージを与えやすく、下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こすと脱水を起こしてしまいます。
またカレーパンには、タマネギが含まれています。
タマネギに含まれている有機チオ硫酸化合物は、犬にとって有害な成分であり、中毒症状を起こすため与えてはいけません。
以下はタマネギなどのネギ属植物を摂取した際の中毒症状一覧です。
初期症状
- 下痢
- 嘔吐
- 腹痛
- 食欲不振
- 元気消失
- 消化器系の不調
中毒症状(ハインツ小体性貧血)
- 口の中の粘膜が白っぽくなる
中毒症状(血色素尿)
- 茶褐色の尿が出る
- 濃いオレンジ色の尿が出る
重症化したときの症状
- 黄疸
- 重度の貧血
- 呼吸困難
- 意識混濁
- 最悪の場合は死に至る
サンドイッチや惣菜パン
サンドイッチや惣菜パンには、タマネギやニンニクなどが含まれています。
タマネギやニンニクはヒガンバナ科ネギ属の野菜です。
カレーパンと同様、犬にとって有害な成分が含まれているため、与えてはいけません。
菓子パン
菓子パンには砂糖が加わっています。
それだけでなくクリームやバターなどが含まれており、糖分や脂質を過剰に摂取すると、犬の健康に悪影響を及ぼすため、与えてはいけません。
チョコレートパン
チョコレートパンには、犬にとって有害なカフェインやテオブロミンなどの化学物質が含まれているため、健康を害する可能性があります。
チョコレートを犬が摂取すると、嘔吐や下痢、興奮や痙攣、不整脈などの中毒症状を引き起こすことがあるため、犬に与えてはいけません。
ブドウパンやレーズンパン
ブドウやレーズンにはカリウムが多く含まれています。
犬がブドウやレーズンを摂取した場合、食後数時間で腹痛が生じ、下痢や嘔吐を繰り返してしまうでしょう。
カリウムは腎臓に悪影響を及ぼすことが知られており、急性腎不全を発症してしまう場合もあります。
症状が悪化すると高カリウム血症や尿毒症を引き起こし、最悪の場合は死に至る危険性もあるため、絶対にブドウやレーズンを含むパンを与えてはいけません。
ナッツ入りのパン
ピーナッツ、カシューナッツ、アーモンドなどのナッツ類は、犬にとって消化が悪いとされています。
ナッツ類を食べると、嘔吐、下痢、痙攣、発熱、四肢の麻痺、消火器の閉塞など、体に悪影響を及ぼす症状を引き起こすことがあります。
ナッツ類はカロリーも高いので、高血圧、糖尿病、腎臓病、呼吸器疾患など健康を害する可能性も高いため、犬に与えてはいけません。
牛乳パン
牛乳には、乳糖の成分であるラクトースが豊富に含まれています。
犬は、乳糖を分解する「ラクターゼ」という消化酵素が少ないため、乳糖不耐症による下痢・嘔吐・腹痛などの症状を引き起こす可能性があります。
与えすぎには注意してください。
牛乳を与えるときは、犬用のミルクを練りこんだ手作りパンにするとよいでしょう。
パンの中毒症状と対処法
パンが引き起こす中毒症状には、以下のような種類があります。
- 小麦による中毒症状
- 麦角中毒症状
- タマネギによる中毒症状
- チョコレートによる中毒症状
- レーズンによる中毒症状
- ナッツ類による中毒症状
- 牛乳による中毒症状
- 小麦による中毒症状
中毒症状の正しい対処法は、飼い主の判断で安易な対応をせず、早めに動物病院へ行くことが基本です。
- 症状が軽い場合は、すみやかに獣医師に相談してください
- 症状が重い場合は、ただちに獣医師に相談してください
次の項目で、2種類の具体的な症状と対処法について紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
小麦による中毒症状と対処法
小麦などのグルテンを含む食品を犬が食べた場合、脳に炎症が起こり、腸に小さな穴を開けることがあるとされています。
小麦を摂取したことにより免疫反応性疾患などを引き起こし、発症する中毒には以下のような症状が見られます。
- 下痢
- 嘔吐
- 腹痛
- 吐き気
- 食欲不振
- 体重減少
- 痙攣
- ふらつき
- 貧血
- 意識混濁
これらの症状が出た場合には、すみやかに獣医師に相談することが必要です。
カビの生えたパンを食べた場合の症状と対処法
カビの生えたパンを食べた場合、中毒症状には下痢、嘔吐、腹痛などが挙げられます。
早くて食後3時間から4時間後、または翌日に症状が出ることもあります。
対処法は以下のとおりです。
- 水分をしっかりと補給し、安静にして、容態が悪化しないか様子を見ましょう
- 腹痛がひどく、下痢や嘔吐が続く場合には、すみやかに動物病院に行きましょう
- 発熱を伴い、意識障害や呼吸困難などが起きた場合には、ただちに動物病院に行きましょう
カビの毒素は、微量ならば病気になる可能性は低いですが、肝臓や腎臓に蓄積され、長期的には健康問題の原因になることがあります。
症状が出た場合には軽く見ることなく、早めに獣医師の診察を受けてください。
パンの中毒症状の種類
パンの香ばしい匂いに引き寄せられて、犬が食べたそうにしていたとしても、むやみにパンを与えないようにしましょう。
パンに含まれている成分によって、軽症なものから重症なものまで、さまざまな中毒症状を引き起こすことがあるため危険です。
中毒症状には、以下のような種類があります。
小麦による中毒症状
小麦を含むパンを食べた場合、以下のような中毒症状が現れます。
- 下痢
- 嘔吐
- 腹痛
- 腸炎
- 目の腫れ
- 皮膚の痒み
- 肉球を噛む
麦角中毒症状
ライ麦、小麦、大麦、エンバクなど多くの穀物に寄生する麦角菌(ばっかくきん)によって引き起こされる中毒です。
- 血管収縮による血流減少
- 発熱
- 悪寒
- 壊疽
- 神経性痙攣発作
タマネギによる中毒症状
タマネギを含むパンを食べた場合に起こる中毒です。
- 下痢
- 嘔吐
- 腹痛
- 食欲不振
- 元気消失
- 血色素尿
- 貧血
- 黄疸
- 呼吸困難
- 意識消失
- 最悪の場合は死に至る
チョコレートによる中毒症状
チョコレートには、犬の健康を害するカフェインやテオブロミンなどの化学物質が含まれているため、以下のような中毒症状が現れます。
- 多飲
- 嘔吐
- 下痢
- 胃の拡張
- 過剰な興奮
- 頻脈
- 過呼吸
- 運動失調
- 不整脈
- 痙攣
- 昏睡状態
レーズンによる中毒症状
ブドウパンやレーズンパンにはカリウムが多く含まれているため、以下のような中毒症状が現れます。
- 背中を丸めて硬直している
- 元気消失
- 下痢
- 嘔吐
- 脱水
- 尿量が減る
- 尿が出ない
- 腎不全
- 尿毒症
- 痙攣
- 意識低下
- 傾眠
- 昏睡
ナッツ類による中毒症状
ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類を含むパンを食べた場合、以下のような中毒症状が現れます。
- 元気消失
- 下痢
- 嘔吐
- 発熱
- 脱力
- 震える
- 歩き方がおかしい
- 立ち上がれない
- 筋肉に力が入らない
牛乳による中毒症状
牛乳にはラクトースという乳糖成分が含まれています。
犬は乳糖を分解する消化酵素が少ないため、以下のような中毒症状が現れます。
- 下痢
- 嘔吐
- 発疹
- 脱毛
応急処置法
犬にパンを与えたことで、体調に異変が起きた場合、飼い主の判断のみで行える応急処置はありません。
犬が中毒症状を起こした場合には、すみやかに獣医師に相談することが必要です。
中毒を起こさないよう予防できる対処法としては、以下のようなものがあります。
- できればパンを与えないことが一番です
- 獣医師に相談して、犬に与えることができるパンの種類を理解しましょう
- 食パンやフランスパンなどシンプルな材料で作られたパンを与えましょう
- 内容物に注意し、アレルギーや中毒症状を起こす可能性のあるパンは避けましょう
- 可能であれば市販のパンよりも手作りのパンを作ってあげましょう
獣医師への相談の必要性
犬がパンを食べて体調を崩してしまった場合には、獣医師へ相談する必要性があります。
飼い主の判断で症状を軽く見て、ずっと様子見をしていてはいけません。
なぜならば、パンに含まれる食材によっては、犬にとって危険なものがあるからです。
犬がパンを食べたときに見られる症状には、下痢、嘔吐、ふらつき、痙攣、意識混濁などの中毒症状があります。
動物病院で検査や治療が必要です。
中毒症状が悪化すると、黄疸、呼吸困難、意識消失などの重篤な症状が起こり、最悪の場合は死に至る可能性もあります。
犬にパンを与えるときは、外装に記載された成分表示を確認し、内容物に有害なものがないか注意してください。
中毒症状を引き起こしたときは、すみやかに獣医師に相談することが望ましいでしょう。
犬に適したパンの種類とは
犬に適したパンは、シンプルな材料で作られたパンです。
例えば以下のようなものが挙げられます。
- 食パン
- フランスパン
これらのパンには、犬にとって有害な成分が含まれていないため、犬に与えても問題ありません。
ただし、犬に与えるパンの量にも注意が必要です。
犬の体重や年齢、健康状態などに配慮して、適切な量を与えるようにしましょう。
犬に適さないパンの例
犬に適さないパンは、健康を害するような成分が含まれているパンです。
例えば以下のようなものが挙げられます。
- 惣菜パン
- 菓子パン
パンには、小麦粉アレルギーやイースト菌アレルギーなどのアレルギー症状を引き起こす可能性があります。
また、糖分、塩分、油脂は、心臓や肝臓に悪影響を及ぼすため、適量を守り過剰に与えないようにしましょう。
タマネギ、チョコレート、レーズン、ナッツ類など、症状が重篤化する危険性のある材料にも注意が必要です。
犬に与えても安全なパンの選び方
以下は、犬に与えても安全なパンの選び方です。
- 食パンやフランスパンなどシンプルなパンを与える
- 飼い主の手作りパンを与える
- 犬用に作られたパンを与える
- 惣菜パンや菓子パンは避ける
- 糖分や塩分、アレルギーなどに注意する
- 犬の体重に対して適切な量を与える
犬にパンを与える際には、ひとまず獣医師に相談してみることが望ましいでしょう。
パンを与える際の注意点のまとめ
犬にパンを与える際の注意点を簡潔にまとめました。以下の3点に注意してください。
- 犬に与えても安全なパンの種類を選びましょう(シンプルな材料で作られた食パンやフランスパンなど)
- 惣菜パンや菓子パンは犬に与えてはいけません(犬が食べてはいけない危険な成分が含まれているため)
- 犬に与えるパンは量にも注意しましょう(犬の体重や年齢、体調に合わせた適切な量を与えてください)
パンの適切な与え方
犬へのパンの適切な与え方は、1日に必要な総食事量におけるカロリーの10%程度が理想的だとされています。
犬の体重や年齢、健康状態によっても適切な量は異なるため、飼い主の判断で適当な量を与えないようにしましょう。
犬に与える前に、パンを食べても問題ないか、量はどのぐらいがよいのか、獣医師に相談することが望ましいでしょう。
犬の体調に配慮したパンの選び方
犬の体調に配慮したパンの選び方は、犬に与えても安全かどうかを一番の基準にしてください。
- 犬に与えるなら、シンプルな材料で作られた食パンやフランスパンなどが適しています
- 惣菜パンや菓子パンは、中毒症状を引き起こす可能性があるため与えてはいけません
- 犬がアレルギーを持っている場合は、そのアレルギンとなる成分を避けましょう
- 犬の体重や年齢に合わせて、健康状態にも配慮した適切な量を調整しましょう
- 事前に獣医師に相談して、犬に与えても安全なパンについて理解しておくことが望ましいです
パン以外の食べ物についても注意が必要
犬に与えるときは、パン以外の食べ物についても注意が必要です。
中毒やアレルギー症状などを引き起こす可能性があるため、ヒトが食べる食品類を安易な考えで与えてはいけません。
犬がアレルギーを持っていた場合、深刻なアレルギー症状を引き起こし、最悪の場合には死に至る可能性があります。
動物病院で診察を受けて、事前にアレルギー検査をしておきましょう。
また、犬に与えてもよい食べ物について、事前に相談しておくことが望ましいでしょう。
犬に与えてはいけない食べ物の例
犬に与えてはいけない食べ物には、以下のようなものがあります。
- タマネギ
- 長ネギ
- ニラ
- ニンニク
- ラッキョウ
- チョコレート
- ココア
- ブドウ
- レーズン
- ナッツ類
- アボカド
- グレープフルーツ
- エビ
- カニ
- イカ
- 貝類
- 鶏の骨
- 生卵
- 牛乳
- ヨーグルト
- アルコール
- キシリトール
獣医師に相談すべき場合の判断基準
獣医師に相談すべき場合の判断基準は、口にした食べ物によって、犬が中毒症状を引き起こす危険性があるかどうかです。
有害成分を含む食品を摂取した場合、犬の食べた量が、体重や年齢などに対して健康を害する可能性が生じるかどうかも基準の1つになります。
犬に下痢や嘔吐などの中毒症状が見られ、体調不良を起こしている場合は、すみやかに獣医師に相談することが必要です。
獣医師は、犬の健康状態や症状を詳しく診察し、必要に応じて適切な治療や飼い主への説明を行います。
パンを与えることのメリットとデメリット
パンを与えることのメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット
- しつけやトレーニングをするときに「ご褒美」として使用できます
- 薬を与える必要があるときに「錠剤を包むための隠し味」として使用できます
- 犬専用のパンなら「低塩分」かつ「栄養価の高い」ものがあり健康によいでしょう
- 犬専用のパンには「犬主要アレルゲン不使用」のものがあり比較的安心です
- パンは嗜好性が高いため、食欲が低下している犬に試してみるのも良いでしょう
デメリット
- 有害な成分が含まれるため、アレルギーや中毒症状を引き起こす可能性があります
- 油脂分の多いパンを与えすぎるとカロリー過多になります
- 過剰な炭水化物の摂取は、肥満や糖尿病など健康を害する可能性があります
- 過剰な塩分の摂り過ぎで、心臓や腎臓に大きな負担がかかる可能性があります
- 硬いパンや大量のパンを与えると、腸管に詰まらせてしまう可能性があります
パンの栄養価と犬への影響
パンは主に炭水化物で構成されているため、犬にとって必要な栄養素を補える食品とは言いがたいでしょう。
犬がアレルギーを持っていた場合には、深刻な中毒症状を引き起こす可能性もあります。
下痢や嘔吐などの初期症状を引き起こし、呼吸困難や意識混濁などの重篤な症状となる引き金を引き、最悪の場合は死に至るでしょう。
たとえアレルギー体質ではない犬であっても、パンを食べ過ぎると消化不良や下痢を起こす可能性もあります。
糖分や油脂などが含まれる高カロリーなパンを与えすぎると、肥満や膵炎を引き起こすこともあるため注意が必要です。
過剰な炭水化物や塩分などの摂取は、内臓に大きな負担がかかり、健康問題の原因となる可能性があります。
市販で購入できる犬用のパンには、アレルゲン不使用かつ低塩分や栄養価などに考慮したものもあるためお勧めです。
パンを与える際のバランスの取り方
犬にパンを与える際のバランスの取り方については、以下のとおりです。
- カロリーオーバーにならないよう、決められた量を守る必要があります
- 1日に必要な総食事量におけるカロリーの10%程度が適量です
- 犬の主食として、パンのみを与え続けることは絶対に避けてください
- パンの主成分は炭水化物であるため、栄養機能食品としては不十分です
- 必要な栄養素は、肉類、野菜、果物などから摂取することが望ましいでしょう
基本的には、犬用のドライフードおよび犬用のウェットフードを主食として与えてください。パンは、おやつやご褒美として、適切な量を与えるようにしましょう。
まとめ
この記事では、犬にパンを与えることは大丈夫なのかという疑問について、さまざまな観点から解説しています。
犬の体に悪影響を及ぼす内容物への注意点、体調に異常が見られる場合の対処法などについても詳しくまとめました。
犬に与えるときは、シンプルな材料で作られたパンを選び、犬の体重や年齢、健康状態などに合わせてパンの量を加減しましょう。
中毒症状を起こした場合は、症状が軽いうちに動物病院へ急行し、すみやかに獣医師の診察を受けてください。
犬の生命と健康を第一に考えた、楽しい食生活を送りましょう。