ペットスタートマガジンでは「ペットとの暮らしを始めるすべての人に」をコンセプトに、ペットにまつわる様々なお役立ち情報を、これからペットとの暮らしをスタートする方へ向けて提供しています。ペットにまつわる全ての情報をペットスタートマガジンで御覧頂けるように日々コンテンツを発信していきます。
はじめに
人間と同じで犬にも塩分は必要であり、体の健康を維持する様々な役割を果たしています。
塩分が不足すると体に悪影響が出るので注意が必要ですが、一方で塩分過多も病気のリスクを高めるので危険です。
今回は、犬に必要な塩分量について紹介します。
犬種ごとの一日に必要な塩分の量や塩分不足・過剰摂取で起こる症状を解説しますので、適量の塩分を与えて犬の健康をサポートしましょう。
犬に塩分は必要?
犬にとって塩分(ナトリウム)は必要不可欠な栄養素です。塩分は水分や電解質のバランスを保つために欠かせません。
例えば、ナトリウムは体内の水分を適切な場所に保つ働きがあり、細胞や血液の中で水分バランスを維持します。
また、神経や筋肉の正常な機能にも寄与し、犬が健康であるために必要な物質です。ただし、塩分は必要以上に摂取すると健康に悪影響を及ぼします。
犬が自然に摂取する市販のドッグフードには、犬が一日に必要とする塩分料が計算されて含まれている場合がほとんどです。
そのため、通常の健康な犬であれば、ドッグフードからの塩分で十分に補えます。
過剰に与えすぎると高血圧や腎臓、心臓に負担がかかるリスクがあるため、追加で塩分を与える必要はありません。
一方、塩分不足が続くと倦怠感や食欲不振、筋肉のけいれんなどの症状が出る場合があります。
そのため、健康的な食生活の中で、犬の大きさや年齢に合わせた適切な塩分量を摂取させることが重要です。
ナトリウムの重要な役割
次に、ナトリウムの重要な役割を紹介します。
- 体内の水分バランスを維持する
- 神経の情報伝達を助ける
- 筋肉を収縮させる
- 電解質のバランスを調整する
それぞれ詳しく紹介するので、ナトリウムが犬の健康にどのようないい影響を与えているかチェックしましょう。
体内の水分バランスを維持する
まず、ナトリウムの重要な役割は体内の水分バランスの維持です。ナトリウムは、体内の水分を適切な場所に保持する働きがあり、細胞内外の水分の分布を調整します。
ナトリウムと水分は強く結びついており、ナトリウムがある場所に水分が集まる傾向があるのです。
例えば、血液中のナトリウム濃度が変化すると、細胞内外の水分移動が起こり、体全体の水分バランスが影響を受けます。
ナトリウムが不足すると、水分が十分に保持されず、脱水状態になるリスクが高いです。
また、ナトリウムが過剰になると、逆に体内に水分が溜まりやすくなり、むくみや高血圧を引き起こす場合があります。
そのため、犬に適切な量のナトリウムを供給することが大切であり、バランスが崩れないよう管理が必要です。
健康な犬であれば、ナトリウムは市販のドッグフードなどで適切に摂取できますが、手作り食の場合には不足しがちなので注意しましょう。
神経の情報伝達を助ける
次に、ナトリウムの重要な役割は神経の情報伝達のサポートです。神経細胞は電気信号を通じて情報を伝達しますが、その過程でナトリウムイオンが鍵となります。
具体的には、ナトリウムイオンによって外部の刺激が神経を介して脳に伝わり、脳がその情報に応じて反応を決定し、再び神経を通して筋肉や他の組織に指示を送るのです。
ナトリウムが不足すると情報伝達が正常に行われなくなり、神経の反応速度が低下したり筋肉が思うように動かなかったりする場合があります。
ナトリウムは、犬が外部の刺激に素早く反応し、日常の行動をスムーズに行うために非常に重要です。
筋肉を収縮させる
3つ目に、ナトリウムの重要な役割は筋肉の収縮です。筋肉が収縮する際には、ナトリウムやカリウム、カルシウムといったイオンが関与しています。
筋肉細胞にナトリウムイオンが流入すると電位差が生まれ、筋細胞の収縮を引き起こすのです。
このとき、ナトリウムは細胞膜を通過しやすい性質を持ち、筋肉の反応を素早く引き起こすことができます。
ナトリウムイオンが細胞内に入ると、収縮が始まり、その後カリウムイオンが流出して筋肉が元の状態に戻るので、ナトリウムの移動は筋肉の正常な機能に欠かせません。
ナトリウムが不足するとスムーズに進まず、筋肉がけいれんを起こしたり、力が入らなくなったりする場合があります。
逆に過剰にナトリウムを摂取すると、筋肉に過度な刺激が加わり、収縮しやすくなる可能性があるため、適量のナトリウム摂取が重要です。
電解質のバランスを調整する
最後に、ナトリウムの重要な役割は電解質のバランス調整です。ナトリウムは、カリウムやカルシウムなどと体内の電解質バランスを調整し、体内環境の安定に寄与しています。
電解質は体液に溶けた状態で存在し、細胞の活動や神経の伝達、筋肉の動きなどの生理的機能にとって重要です。
ナトリウムとカリウムのバランスが特に重要で、二つの成分が相互に働くと、細胞の正常な機能が保たれます。
例えば、ナトリウムが細胞の外側に、カリウムが内側に多く存在すると、細胞膜に電位差が生まれ、電解質の動きがスムーズに行われるのです。
この状態が保たれると、血圧や血液のpHが安定し、代謝も正常に行われます。
もし電解質バランスが崩れると、血圧の異常や神経伝達の問題、筋肉のけいれんなど、様々な健康問題が引き起こされるので注意が必要です。
犬が一日に必要な塩分の量
次に、犬が一日に必要な塩分の量を紹介します。小型犬・中型犬・大型犬にわけて紹介するので、愛犬に当てはまる量はどれかチェックしてください。
小型犬の場合
まず、小型犬は体重が軽く代謝のスピードも異なるため、必要な塩分の量も大型犬や中型犬とは異なります。
一般的に、小型犬の塩分必要量は体重1kgあたり約0.1g程度です。例えば、体重5kgの小型犬であれば0.5g程度が目安となりますが、個体差があるため厳密な管理が必要になります。
小型犬は体の負担に対する許容範囲が少ないため、塩分の過剰摂取による影響を受けやすいです。特に塩分過多は腎臓や心臓に影響を及ぼしやすく、高血圧のリスクもあります。
小型犬にはバランスのとれたドッグフードを与えるのが一般的で、塩分も既に計算されている製品を選ぶのが安心です。
手作り食やおやつを与える場合には、なるべく低塩分の食材を使用することが推奨されます。また、人間の食事を与えると塩分が過剰になる恐れがあるため避けましょう。
中型犬の場合
次に、中型犬の場合も体重や代謝の特性に応じた塩分摂取量が必要です。
一般的には体重1kgあたり約0.1g前後の塩分が適量であり、体重10kgの中型犬であれば1g程度が目安になります。
しかし、体重や生活環境、健康状態によって適量は異なるため、注意が必要です。
中型犬は小型犬に比べて耐性があるものの、過剰な塩分摂取が長期間続くと腎臓や心臓に負担がかかる恐れがあります。
運動量が多い中型犬は体内の電解質バランスが崩れやすいため、特に暑い季節には脱水症状を予防することも重要です。
バランスのとれたドッグフードを選べば塩分は必要量が計算されており、特別な場合を除き、追加で塩分を補給する必要はありません。
手作り食を取り入れる際は、塩分量を調整しつつ、人間用の調味料を避けるよう注意しましょう。
大型犬の場合
最後に、大型犬は体が大きいため、一日に必要な塩分量も多くなりますが、過剰な塩分摂取はやはり避けるべきです。
一般的な目安として、体重1kgあたり0.1g程度とされており、30kgの大型犬では約3gが推奨量とされています。
しかし、大型犬は腎臓や心臓に負担がかかりやすく、特に加齢による影響を受けやすいため、塩分量の管理には慎重さが必要です。
適切なドッグフードを与えることで、塩分バランスがしっかりと調整されており、通常は追加の塩分を与える必要はありません。
特に関節や骨に負担がかかりやすい大型犬の場合、健康維持のために全体的な栄養バランスが重要です。
暑い気候や激しい運動をする場合には、水分補給を心がけ、脱水症状を防ぐようにすると良いでしょう。
また、大型犬は慢性的な疾患を抱えやすいため、獣医師と相談の上で塩分量を調整することが推奨されます。
塩分不足になるとどうなる?
次に、犬が塩分不足になった時のケースについて紹介します。塩分不足で出る症状や起こる行動をそれぞれ紹介するので、愛犬が塩分不足か判断できるようになりましょう。
塩分不足で出る症状
塩分不足で出る症状は下記の3つがあげられます。
- 食欲不振
- 倦怠感
- 筋肉痛
塩分不足が体にどのように影響を及ぼして症状が出るのか、詳しくチェックしてください。
食欲不振
まず、犬の塩分不足で出る症状は食欲不振です。ナトリウムは体内の水分や電解質バランスに欠かせない成分で、欠乏すると体が正常に機能せず、食欲が低下する傾向があります。
食欲不振は単なる気まぐれではなく、体が正常な活動を行えないことでエネルギーの摂取を抑えようとする体の防衛反応です。
塩分不足が原因で食欲が落ちると、栄養が十分に取れないためさらに体力が低下し、健康状態が悪化する悪循環に陥る場合があります。
特に運動量が多く、エネルギーを多く消費する犬種や、暑さで汗をかきやすい夏の季節には、塩分が不足しやすい傾向があり注意が必要です。
食欲が落ちている場合には、フードに少量の塩分が含まれているか確認し、必要であれば適切な塩分を追加することで症状の改善を試みましょう。
ただし、自己判断で過剰な塩分を追加することは避け、獣医師に相談して適切な量を見極めてください。
倦怠感
次に、犬の塩分不足で出る症状は倦怠感です。
ナトリウムが体内で不足すると、エネルギー代謝が低下して筋肉や神経の機能が正常に働かなくなるため、犬は体が重く感じたり動きが鈍くなったりします。
倦怠感が続くと、散歩や遊びに対する意欲も低下し、日常生活にも支障が出やすいです。
倦怠感は犬の生活の質に直結する問題であり、元気がない様子が見られる場合には塩分不足を疑いましょう。
また、倦怠感により動かないことで筋肉が弱くなり、さらに体力が低下する悪循環を招く場合もあります。
特に暑い季節には汗とともにナトリウムが失われるため、倦怠感が出やすいです。
症状が見られる場合には、バランスの取れたフードやサプリメントなどで必要な塩分を補いましょう。
しかし、過剰摂取は逆に健康を損なう恐れがあるため、摂取量は獣医師と相談しながら決定するのが安全です。
筋肉痛
最後に、犬の塩分不足で出る症状は筋肉痛です。
ナトリウムは筋肉の収縮と弛緩を調整するために不可欠な電解質の一つであり、不足すると筋肉が正常に動かなくなり、痛みや硬直を引き起こす原因になります。
犬は言葉で痛みを訴えることができないため、筋肉痛が生じた場合は、歩行や運動の際に不自然な動きをしたり、動きを避けようとする様子が見られたりするのです。
特に、いつも元気で活発な犬が急に散歩や運動を嫌がる場合、塩分不足による筋肉痛の可能性が考えられます。
また、筋肉の働きが正常に行われないと、さらなる運動不足や体力低下を招き、体全体の健康状態が悪化しやすいです。
筋肉痛を和らげるためには、適切な量の塩分を含んだバランスの良い食事を与えましょう。ただし、急激に塩分を増やすことは避け、徐々に必要量を満たしてください。
塩分不足で起こる行動
次に、塩分不足で起こる行動には下記があげられます。
- 人の手や足をなめる
- コンクリート・土・オシッコをなめる
- 足の裏を頻繁になめる
それぞれ詳しく紹介するので、愛犬の行動に当てはまるものがないかチェックしてください。
人の手や足をなめる
まず、犬が塩分不足になると人の手や足を頻繁になめる場合があります。
ナトリウムが不足すると、犬は本能的に塩分を求めるようになり、人の皮膚に付着した塩分を舐め取ろうとするのです。
特に汗をかいた後の手や足にはナトリウムが含まれており、塩分不足の犬にとっては魅力的なものと感じられる場合があります。
なめる行動は飼い主に対する愛情表現や甘えとも取られがちですが、塩分不足が原因の場合、普段以上に執拗に舐める行動がみられる場合が多いです。
塩分が適切に補給されれば、なめる行動が緩和できる可能性がありますが、自己判断で塩分を増やすことは避けましょう。
また、犬が頻繁に手足を舐める場合、脱水症状や電解質の不足が考えられるため、水分とともに塩分を補うことが大切です。
コンクリート・土・オシッコをなめる
次に、犬が塩分不足になるとコンクリートや土、さらには他の動物のオシッコをなめる場合があります。
これらの場所にはナトリウムが含まれている場合があり、塩分不足の犬にとっては魅力的に感じられるのです。
通常、犬が土やコンクリートをなめることはあまり見られませんが、ナトリウムが不足しているときには、塩分を求めて本能的に行うケースがあります。
オシッコに含まれる電解質にも惹かれるケースがあり、頻繁に見られる場合、電解質のバランスが崩れている可能性があるため注意が必要です。
塩分が適量に補給されている場合、なめる行動の自然減少が期待されますが、環境からの不衛生なものを摂取する行動にはリスクも伴うため、早急な対応が求められます。
足の裏を頻繁になめる
最後に、犬が塩分不足になると足の裏を頻繁になめる場合があります。
足の裏は犬にとって重要な感覚器官であり、なめて体のバランスや状態を確認している場合もありますが、塩分不足が関係している場合は執拗になめる傾向が見られるのです。
特に、暑い時期や運動量が多い犬にとっては塩分が不足しがちであり、体内のナトリウムを補おうとして足の裏をなめる行動に出る場合があります。
足の裏をなめる行動が続くと、足の皮膚に傷がついたり、感染症のリスクも高まるため、早めの対処が必要です。
適切な塩分が含まれた食事を与えると、行動緩和が期待できます。足の裏を頻繁になめる行動が見られたら、日々の食事内容を見直し、塩分不足がないか確認してみましょう。
塩分を過剰摂取した場合の影響
次に、犬が塩分を過剰摂取した場合の影響を紹介します。
- 内臓に負担がかかる
- 高血圧になる
- 心臓に疾患がある犬は特に注意
それぞれ詳しく紹介するので、必ず適量を守り、猫の栄養管理を徹底しましょう。
内臓に負担がかかる
まず、犬が塩分を過剰に摂取すると、体内の内臓に大きな負担がかかります。
特に、ナトリウムの代謝に関わる腎臓や肝臓に対して負担が増加しやすく、過剰な塩分が血液中に残っている状態では、腎臓が処理に追われて機能低下を引き起こす恐れがあります。
通常、犬はフードから必要な塩分を十分に摂取できるため、追加で塩分を与える必要はありません。
しかし、塩分の多い食べ物を与えてしまうと、腎臓が塩分を体外に排出するためにフル稼働しなければならず、内臓に負担が蓄積されて腎不全などのリスクが高まるのです。
また、肝臓も代謝機能の一端を担っており、過剰な塩分により解毒機能が低下し、他の有害物質の排出にも支障が出る可能性があります。
内臓への負担は、早期には症状が表れにくいため見過ごされがちですが、注意深く観察し、塩分過剰にならないようフードの成分や量に気を配りましょう。
高血圧になる
次に、犬が塩分を過剰に摂取すると、高血圧のリスクが高まります。高血圧は、体内の血管や臓器に過度な圧力をかけ、長期的に様々な健康問題を引き起こす原因となるのです。
塩分に含まれるナトリウムは、血管内の水分量を増やし、血圧を上昇させる作用があるため、過剰な塩分摂取によって血管が圧迫されてしまいます。
高血圧状態が続くと、血管や心臓に負担がかかり、血管が硬化する動脈硬化を引き起こす可能性が高いです。
そして、血流がスムーズに流れなくなり、体の各組織に十分な酸素や栄養が届きにくくなって、犬の生活の質を大きく損なう恐れがあります。
特に高齢犬や、既に血圧に問題を抱えている犬には致命的なリスクとなり得るため、塩分の摂取量をしっかり管理し、適切な食事を与えることが大切です。
心臓や腎臓に疾患がある犬は特に注意
心臓や腎臓に疾患がある犬は、塩分の摂取に特に注意が必要です。心臓病の犬にとって過剰な塩分は血液量の増加を招き、心臓にさらに負担をかけてしまいます。
体内のナトリウムが増加すると、血液中の水分量も増えるため、心臓がその血液を循環させるためにより強いポンプ力が必要となり、心臓に無理がかかる状態になります。
結果として、心不全や呼吸困難といった重篤な症状が引き起こされる可能性があるのです。
また、腎臓疾患を抱える犬の場合、塩分の過剰摂取は腎臓にさらに負担をかけ、腎機能の悪化を加速させる危険性があります。
腎臓は体内のナトリウムや水分バランスを調整する役割があるため、疾患を持つ犬が塩分を過剰摂取すると限界に達し、腎不全や尿毒症といった深刻な疾患につながりやすいです。
塩分量を適切にコントロールするためには?
塩分は犬の体に必要な栄養素でありながら、過剰摂取や不足はどちらも問題を引き起こす可能性があるため、バランスをとった食事が求められます。
塩分量を適切にコントロールするためには、市販のドッグフードを活用しましょう。
ドッグフードは、犬に必要な塩分や栄養素のバランスを考慮して作られており、塩分過多や不足を防ぐために最適な食事です。
特に手作りのご飯や人間の食べ物を与える場合は、塩分量の管理が難しくなるため、成分をしっかり確認し、塩分が含まれすぎないよう注意しましょう。
また、犬に与えるおやつやおつまみのような加工食品には塩分が多く含まれている場合が多いため、避けるか量を制限してください。
さらに、犬の大きさや年齢、活動量によって必要な塩分量が異なるため、犬の体格や健康状態に合わせた塩分量を把握し、それに見合ったフードを選ぶことが大切です。
まとめ
今回は、犬に必要な塩分量について紹介しました。塩分は体内の水分と電解質バランス維持や神経の情報伝達、筋肉の収縮などに重要であり、犬の健康維持に欠かせない成分です。
犬の塩分が不足すると食欲不振や倦怠感、筋肉痛などの症状が出る可能性があります。一方で、過剰摂取すると内臓に負担がかかり高血圧になるリスクを高めるので注意が必要です。
飼い主は、フードやおやつなどの食事で塩分量を管理して、犬の健康をサポートしましょう。