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- はじめに
- 命の危険もある！犬が絶対食べちゃいけない食べ物
- ネギ類（長ネギ、玉ねぎ、ニラなど）やニンニク・らっきょう
- 香辛料（コショウ、わさび、唐辛子など）
- チョコレート
- ぶどう（干しぶどう）
- 乳製品
- 加工食品、チーズ
- 生の甲殻類、イカ、貝類
- 鶏の骨
- 生卵白
- 生魚
- キシリトール
- カフェイン
- 食べ物以外でも犬にとって危険なものは身近にもある
- 犬が中毒になっているときの症状
- 犬が中毒になっているときの対処法
- まとめ
はじめに
犬は雑食のため、ドッグフード以外にもさまざまな食材を食べることができます。野菜や果物など飼い主さんがおやつとして与えることもあるでしょう。
しかし、注意したいのは、我々人間が普段口にしているもののなかには、犬にとって危険な食べ物があるということです。
飼い主さんが食べていて、愛犬にもおすそ分けをして、体調が急変してしまうことになったら大変です。
また、食べてはいけない食材に関して、飼い主さんがどれだけ注意していても、目を離したすきに食べてしまうこともあります。
今回は、犬が食べてはいけないものをご紹介し、食べてしまうと起きる可能性のある症状や、中毒になってしまった際の対処法についてくわしく解説いたします。
命の危険もある！犬が絶対食べちゃいけない食べ物
以下にご紹介する食べ物は、犬が食べてはいけない物のなかでも、場合によっては重度の中毒症状を起こす可能性のあるものです。
これらの食べ物は、どのご家庭でも目にする身近なものが多いため、ほんのちょっとの不注意で愛犬が食べてしまうことも考えられます。
中毒になってしまう量には個体差があり、たくさん食べてもなにも変わらない犬もいれば、一口で重度の中毒症状が出てしまうこともあります。
そのため、これからご紹介する食べ物は、愛犬に一切食べさせることのないよう細心の注意を払って調理や保管をしてください。
ネギ類（長ネギ、玉ねぎ、ニラなど）やニンニク・らっきょう
長ネギや玉ねぎを初めとするネギ類を食べると、ネギ類に含まれる「有機チオ硫酸化合物」が赤血球を破壊して、貧血症状を引き起こします。
赤血球が破壊されることにより、赤血球中のヘモグロビンが破壊されてしまい、ハインツ小体という物質が形成され、全身へ酸素を行き渡らせなくしてしまいます。
これを「ハインツ小体性溶血性貧血」といい、黄疸や尿の色の変化、呼吸困難などの症状を引き起こし、最悪の場合、死に至るケースもあります。
有機チオ硫酸化合物は、加熱調理しても消えることはないため、ネギ類を使用して調理されたものを食べてしまっても中毒になる可能性があります。
また、日本犬は、他の犬に比べ中毒を起こしやすいこともわかっています。
香辛料（コショウ、わさび、唐辛子など）
コショウやわさび、唐辛子などの香辛料は刺激が強いため、犬に与えてはいけません。
中毒症状を起こす物ではありませんが、犬はもともと刺激物が苦手で、食べてしまうことで粘膜を傷つけてしまい消化器官へ大きなダメージを与えてしまいます。
おもな症状は、口腔内の痛み、胃のけいれんや麻痺、嘔吐や下痢といったものがあります。
中毒物質ではないため、少量ならば経過を観察してもかまいませんが、症状がひどい場合や、大量に食べてしまったときには動物病院を受診した方がよいでしょう。
チョコレート
チョコレートの原料であるカカオに含まれる、テオブロミンという成分が中毒症状を引き起こします。
人間はテオブロミンを肝臓で無害な物質に分解できますが、犬は分解能力が弱く、体内に長く留まることで中毒になります。
少量でも、嘔吐や下痢、心拍数の増加による落ち着きのなさがみられ、大量に摂取したケースでは、尿失禁やけいれん、不整脈などの症状が出て、最悪の場合には死に至ります。
また、カカオ濃度が高いほど、深刻な中毒症状を起こすといわれているため注意が必要です。
テオブロミンの毒性は長く続き、摂取した直後に異常がなくても、時間が経ってから症状が出ることがあるため、チョコレートを食べてしまったら、無症状でも病院へ連れていきましょう。
ぶどう（干しぶどう）
犬がぶどうを食べると、嘔吐や下痢などの中毒症状が出ることがあります。このような症状が食べてから数時間後に発症し、動かなくなるなど、明らかに様子がおかしくなってしまいます。
そのまま放置してしまうと、口腔内の潰瘍や尿が出なくなるなどの症状へと進行して、急性腎不全へと移行し、最悪の場合には命を落としてしまうことがあります。
生のぶどうだけでなく、レーズンも同様に中毒になることがあり、レーズンを使用したパンなども食べることができません。
また、ぶどうによる中毒の原因がどのような成分によるものなのか、詳しく解明されていないため、少量でも食べてしまわないよう、注意が必要です。
乳製品
人間用の牛乳も、犬に与えないようにしましょう。
人間用の牛乳は、栄養価が高いのですが、乳糖（ラクトース）と呼ばれる酵素が多く含まれています。
犬はこの乳糖をうまく分解できずに消化不良を起こし、下痢や嘔吐をしやすくなってしまいます。
愛犬に牛乳を飲ませたいときには、乳糖を含まないよう調整された犬用の牛乳を与えてください。
加工食品、チーズ
ソーセージやベーコンなどの加工食品や、チーズなどは与えてはいけません。
人間が口にする加工食品には、塩分や食品添加物が含まれており、食べてしまうと塩分の過剰摂取など健康を害するおそれがあります。
チーズにも塩分が多く含まれているものがあり、脂肪分と合わせて摂り過ぎてしまうと塩分過多や肥満の原因となってしまいます。
生の甲殻類、イカ、貝類
生の甲殻類やイカには、チアミナーゼという酵素が含まれており、ビタミンB1を分解させてしまう作用があります。
その結果、ビタミンB1欠乏症になると脚気の症状が出て、歩行不能になってしまうことがあります。
チアミナーゼは熱に弱いので、しっかりと加熱したカニの身などは少量であれば問題ありませんが、イカは加熱しても消化に悪い食べ物なので、与えないでください。
貝類も、消化に悪いことや、内臓には犬に悪影響を及ぼす成分が含まれているため与えないでください。
鶏の骨
鶏の骨は、成分に問題はありませんが、細い骨を飲み込んでしまった際に、詰まってしまうおそれがあります。さらに骨を噛み砕いた場合も、破片がとがっているため、消化管や内臓を傷つけてしまうことがあります。
生卵白
卵自体はタンパク質も豊富で、犬に与えても問題はありませんが、生の卵白には注意が必要です。
生の卵白に含まれている「アビジン」という酵素は、皮膚や被毛を保護するために必要な「ビオチン」の吸収を妨げて皮膚炎や脱毛の原因になることがあります。
アビジンは熱に弱いため、加熱すれば問題なく食べることができるので、生食を避け加熱してから与えてください。
生魚
生魚に含まれるチアミナーゼは、多量に摂取するとビタミンB1を破壊してビタミンB1欠乏症になるおそれがあります。
ビタミンB1欠乏症になると、倦怠感や、食欲不振になり悪化すると心不全の症状が現れます。
チアミナーゼは加熱することで死滅するため、魚を与える際には十分加熱して与えるようにしましょう。
キシリトール
キシリトールを含んだ食品を食べてしまうと、インシュリンの量が極端に増加してしまい、低血糖や急性肝不全を引き起こします。
初期症状では、下痢や嘔吐から始まり、徐々にぐったりと元気がなくなり、けいれんや意識障害など重篤な状態になってしまうことがあり、大変危険です。
少量でも、重度の症状が出ることがあるため、愛犬が口にしてしまわないよう届かない場所で保管するようにしてください。
カフェイン
カフェインが犬の体内に入ると、下痢や嘔吐、震えや呼吸困難になり、不整脈や低カリウム血症を引き起こすことがあります。
カフェインはコーヒーだけでなく、お茶などにも含まれていますが、それ以外にも人間の薬剤を誤飲することでカフェイン中毒になることもあるため、厳密に管理するようにしましょう。
場合によっては少量でも重篤な症状が出ることがあるので、注意が必要です。
食べ物以外でも犬にとって危険なものは身近にもある
人間の食べ物以外でも、愛犬が食べてしまう恐れのあるものは身近に存在しています。特に植物は、家の中に飾られていたり、庭や、散歩コースに生えていたりするため、飼い主さんが少し目を離したすきに食べてしまうことがあるかもしれません。
犬が食べてはいけない代表的な植物をご紹介します。
スイセン
スイセンには、リコリン、タゼチンなどの毒性成分が含まれているため、食べてはいけません。
特に、球根部分に中毒成分が多く含まれており、食べてしまうとよだれや嘔吐、下痢、血圧低下を起こし、重度になると昏睡、麻痺、心不全などによって、死に至るケースもあります。
チューリップ
チューリップも犬には危険な植物で、注意が必要です。
チューリップに含まれている、ツリピンという成分が中毒症状を引き起こす原因で、これは花から葉、球根まですべてに含まれています。
特に球根は多くのツリピンを含んでおり食べてしまうと、嘔吐や下痢、呼吸困難や腎不全など重篤な症状になってしまうことがあります。
スズラン
スズランに含まれるコンバラトキシンという成分は、青酸カリの15倍の強さを持つといわれるほどの猛毒で、少量の摂取でも危険といわれています。
犬が食べてしまうと、嘔吐やめまい、血圧低下や心臓麻痺を起こし死に至ることがあります。
アサガオ
アサガオは種に注意が必要です。
アサガオの種に含まれているファルビチンという成分が、中毒になる成分で、食べてしまうと激しい嘔吐や下痢、血便や胃腸障害などの症状があらわれます。
アロエ
人間にとって、大きな健康効果が期待できるアロエも、犬にとっては危険な植物の1つです。
アロエに含まれるサポニン、バルバロイン、アントラキノンという成分が、犬にとって有毒で、食べてしまうと嘔吐や下痢が続き、脱水症状になって、腎臓にも悪影響を及ぼすことがあります。
場合によっては、命の危険にさらされてしまうこともあるので、アロエ入りのヨーグルトなども与えてはいけません。
ユリ
ユリはすべての部位に毒性があり、少量の摂取でも大変危険です。
また、ユリに含まれるどの成分が、中毒症状を引き起こすのかわかっておらず、花瓶の水に溶けだした成分で中毒になってしまった事例もあります。
おもな症状は、嘔吐や下痢、食欲不振、けいれんがあり、進行すると腎不全になってしまいます。
腎不全を放置すると尿毒症になり、腎臓に障害を残したり、命を落としたりしてしまうことがあります。
ポインセチア
ポインセチアは葉や茎の汁液に、ホルボールエステルという成分が含まれており、食べてしまった場合には嘔吐や下痢などの症状がみられます。
また、汁液に触れることでかゆみや腫れなど皮膚炎を起こすことがあります。
ポトス
ポトスにはすべての部位にシュウ酸カルシウムが含まれており、汁液に触れると、かぶれなどの皮膚炎を起こし、目に入ると結膜炎を、口に入ると口内炎などを起こし、ひどい場合には呼吸困難になることがあります。
ツツジ
ツツジに含まれるグラヤノトキシンという成分は、口にしてしまうと嘔吐や下痢、けいれんや血圧低下、呼吸困難などを起こし、大量に摂取してしまった場合には数日のうちに死亡してしまった例もあります。
犬が中毒になっているときの症状
犬が中毒症状を起こした場合の代表的な症状について解説いたします。
嘔吐
犬が中毒を起こしてしまう食べ物を摂取すると、胃腸に異常をきたし、嘔吐を繰り返すことがあります。
中毒の初期症状でよくみられますが、原因となる食べ物をすべて吐かせるために、ご自身で無理に吐かせることは危険です。愛犬の負担を考えても、まずは動物病院を受診して適切な催吐処理をしてもらうようにしてください。
下痢
中毒症状で胃腸の状態が悪く、下痢になってしまった場合には、病院を受診して適切な治療をおこなうことが重要です。
通常の下痢であれば絶食して、脱水症状にならないよう少量の水を与えておくことが必要ですが、中毒の場合には一刻を争うほど緊急性の高いものもあるので、まずは病院を受診してください。
元気消失
嘔吐や下痢、倦怠感などにより体力が奪われ元気を消失してぐったりとしてしまうことがあります。
このような状態になると、すでに症状が進行して、体内にさまざまな悪影響が出ていることがあります。
場合によっては急変することもあるので、常に様子を観察しておく必要があります。
けいれん
食べ物による中毒症状で体を硬直させて、震えるような状態をみせることがあり、さらにひどくなると、よだれや失禁などが発生することもあります。
また、中毒の進行によって、腎不全を発症し、けいれんを起こすことがあり、すみやかな治療が必要になります。
貧血
貧血によるおもな症状として、足元のふらつき以外にも、食欲の低下、呼吸が速くなるなどのほかに、歯茎などの粘膜が明らかに白くなるなどの変化がみられます。
中毒による貧血としてよく知られているのが、ネギ中毒により赤血球を破壊してしまい、ヘモグロビンの量が減少することで発症する「ハインツ小体性溶血性貧血」で、ふらつきなどの通常の貧血症状に加え、黄疸や意識障害など重篤な症状を発生させるケースがあります。
血便
玉ねぎや長ねぎを食べてしまった際に、中毒症状を引き起こし体内で出血して血便が出ることがあります。
そこからさらに症状が悪化し、血便や下痢を繰り返すことも考えられるため、そのまま放置するのは望ましくありません。
血便が出た場合、獣医師に診断をしてもらうために可能であれば、少量のサンプルをビニールなどで採取して、検査をしてもらうと正確な診断につながります。
犬が中毒になっているときの対処法
もし、愛犬が食べてはいけないものを食べて、中毒になっている可能性がある場合に、飼い主さんがすべき対処法について解説いたします。
無理に吐かせない
愛犬が中毒になる食べ物を食べてしまった際に、すでに飲み込んでしまったものを無理に吐かせようとするのは大変危険なのでやめましょう。
食塩を飲ませて吐かせる方法があるといわれていますが、嘔吐するほどの食塩を飲ませることは腎臓に負担がかかり、中毒以外の病気を発生するおそれがあります。
また、オキシドールを使用した催吐処置もありますが、これは医療行為であり、医師の適切な管理のもとにおこなう必要があり、自己流でおこなってはいけません。
食べ物がまだ口内に残っている場合は、取り除いたほうがよいですが、飲み込んでしまった場合には病院で催吐処置をしてもらってください。
いつ・何を・どれくらいの量を食べたのか把握する
病院を受診する際に、大切なことはくわしい情報です。
原因を突き止めて治療をすみやかにおこなうために、いつ、何を、どれくらい食べたのかは重要な情報です。
情報はできるだけ詳しく記録した方がよいので、食べてしまってから病院を受診するまでの状況を時系列で説明できるようにしておくとよいでしょう。
必要に応じて、中毒症状の状態を動画に残しておくのも治療の参考になるかもしれません。
愛犬が中毒症状を起こしたのを目の当たりにすれば、飼い主さんはパニックになってしまうことは仕方ありませんが、適切な治療をおこなうためにも状況をしっかりと記録しておきましょう。
嘔吐物などは少量だけサンプルとして採取してもよいのですが、もし取れない場合でも、画像に残すなどしておくと、医師も状況を判断しやすくおすすめです。
動物病院に相談する
中毒は飼い主さんがご自身で解決できないことがほとんどです。また、症状を悪化させてしまうため放置することもいけません。
中毒の初期症状がみられたら、かかりつけの動物病院で相談してください。
また、夜間で動物病院が開いていない場合でも、緊急性が高い場合には救急診療をおこなっている病院へ連絡して、獣医師の判断を仰いでください。
その際には、可能な限り詳しい情報を記録して、簡潔に説明できるようにしておきましょう。
すべての中毒症状が、食べてしまってすぐに発症するものではありません。食べてから数時間経って、体に吸収されたあとに発症することが多くあります。
もし危険な食材を食べてしまったあとに、体調に変化がないときも時間の経過とともに発症することがあるので、できるだけ早い段階で病院へ連れていくことができれば、重症化を防ぐことができるかもしれません。
まとめ
人間が普段、当たり前のように口にしているものでも、犬にとっては大変危険な物が身近なところに多くあることがおわかりいただけたかと思います。
これらのものを飼い主さんが意図的に与えなくても、愛犬の届くところに置いてあれば、知らないうちに食べてしまうことは十分に考えられます。
今回ご紹介した食材や植物は、身近にあり、つい見落としてしまいがちながら、強い中毒症状を起こし、重症化や最悪のケースでは命を落としてしまう可能性があるものばかりです。
私たちのできることとして、危険な食べ物や植物を愛犬の行動範囲に置かない、お庭や散歩中に植物を食べる仕草をみせたら、すぐに引き離すなど簡単な対策で、中毒の危険を大幅に減らすことができるでしょう。
大切な愛犬に苦しい思いをさせないためにも、当記事を参考に危険なものから愛犬を守ってあげてください。
