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はじめに
犬が下痢の場合に、正露丸を与えるべきか考える方がいるかもしれません。しかし、正露丸は犬の体に悪影響を及ぼすので、与えるのは避けるべきです。
今回は、犬に正露丸を与えてはいけない理由を紹介します。
誤飲してしまった時の対処法や、犬が飲むと危険な他の薬、犬の下痢に効く薬も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
犬に正露丸を与えてはいけない理由は
まず、犬に正露丸を与えてはいけない理由を紹介します。
- 犬はフェノール類を代謝できない
- 胃腸を荒らし、さらに消化器に強いダメージを与えることに
それぞれ詳しく紹介するので、危険性を理解して絶対に犬に正露丸を与えないようにしましょう。
犬はフェノール類を代謝できない
まず、犬に正露丸を与えてはいけない理由は、犬はフェノール類を代謝できないからです。
正露丸は下痢止めとして一般的に使用される人間用の薬ですが、成分のひとつであるクレオソートはフェノール類を含んでいます。
フェノール類は、犬にとって非常に有害な物質です。犬の体はフェノール類を効率的に代謝できないため、体内に蓄積しやすく、中毒症状を引き起こす可能性があります。
特に肝臓や腎臓に負担をかけるため、臓器が弱い犬にとっては致命的な影響を及ぼす危険性があるのです。
フェノール類を摂取した犬は、嘔吐、下痢、倦怠感、発作などの症状を示す場合があります。症状が現れた場合、速やかに動物病院へ連れて行くことが必要です。
また、犬の体内で代謝されずに残ったフェノール類は、神経系に影響を及ぼし、最悪の場合は死亡につながる恐れもあります。
そのため、正露丸を含むフェノール類を含有する薬を犬に与えることは絶対に避けてください。
たとえ少量であっても、中毒症状を引き起こすリスクがあるため、犬が誤って飲まないように保管場所には十分注意することが重要です。
胃壁を荒らし、さらには消化器に強いダメージを与えることに
次に、犬に正露丸を与えてはいけない理由は、胃腸を荒らし、消化器にダメージを与えるからです。
正露丸の主成分であるクレオソートは、人間の消化器官においては下痢止めとして知られていますが、犬の胃腸に対しては全く異なる作用を及ぼします。
クレオソートは非常に刺激が強く、犬の胃壁を荒らしてしまう恐れがあるのです。その結果、胃炎や潰瘍を引き起こし、消化器全体に深刻なダメージを与える可能性があります。
犬の胃腸は人間よりも繊細であり、刺激性の高い成分に対して非常に敏感です。正露丸を摂取した犬は、胃の痛みを感じて食欲不振に陥る場合があります。
また、胃壁の損傷が進行すると、嘔吐や下血といった症状が現れやすいです。症状を放置するとさらに悪化し、腸閉塞や消化管穿孔など命に関わる状態になる恐れがあります。
さらに、クレオソートは腸内細菌にも悪影響を及ぼす可能性が高いです。
健康な腸内環境を維持するために重要な善玉菌を減少させ、下痢が悪化する場合もあり、結果的に正露丸が本来の目的とは逆効果を引き起こしてしまいます。
正露丸の他に犬が飲むと危険な人間の薬
次に、正露丸の他に犬が飲むと危険な人間の薬を紹介します。
- イブプロフェン
- アセトアミノフェン
- ビタミンD
- クレオソート
- 抗うつ剤
それぞれ詳しく紹介するので、正露丸以外も普段から与えないように注意しましょう。
イブプロフェン
まず、正露丸の他に危険な薬はイブプロフェンです。イブプロフェンは人間の鎮痛剤や解熱剤として広く使用されていますが、犬にとっては非常に危険性があります。
犬はイブプロフェンを代謝する能力が低いため、体内で薬が蓄積される恐れがあり、中毒症状を引き起こす原因になるのです。
少量のイブプロフェンでも、犬の体に深刻な影響を与える可能性があります。
イブプロフェンを摂取した犬は、急性腎不全を引き起こす場合があり、腎臓機能が低下すると、尿が出なくなったり、体内の毒素が排出されずに蓄積したりする場合が多いです。
また、消化器系にも大きな影響を与え、胃腸に潰瘍ができたり出血を引き起こしたりします。
イブプロフェンによる中毒症状は嘔吐、下痢、食欲不振、元気がなくなる、歩きにくい、呼吸が荒くなるなどです。
もし犬が誤ってイブプロフェンを摂取した場合は、すぐに獣医師に相談し、速やかに治療を受けさせましょう。
アセトアミノフェン
次に、正露丸の他に犬に与えてはいけない薬はアセトアミノフェンです。アセトアミノフェンは、風邪や頭痛のための鎮痛剤、解熱剤として人間に広く使われています。
犬の体内ではアセトアミノフェンを効率的に代謝できず、肝臓や腎臓に深刻な損傷を与えるのです。
少量のアセトアミノフェンでも犬にとっては致命的となり得るため注意しましょう。
アセトアミノフェンが体内に取り込まれると、まず肝臓に負担をかけ、肝不全を引き起こす場合があります。
さらに、赤血球の数が減少すると貧血を引き起こし、酸素を十分に供給できなくなるのです。
症状としては元気がなくなる、食欲が減退する、嘔吐や下痢が続く、呼吸が浅くなる、体がだるそうになるといったものが見られます。
また、アセトアミノフェンによる中毒は進行が早いため、すぐに獣医の診察を受けることが必要です。
特に、肝臓や腎臓に疾患がある犬はより重大な影響を及ぼす場合があるため、犬に誤って与えないようにしましょう。
ビタミンD
3つ目に、正露丸の他に犬に与えてはいけない薬はビタミンDです。ビタミンDは犬の健康に必要な栄養素の一つですが、過剰に摂取してはいけません。
ビタミンDの過剰摂取は犬の体内でカルシウムの異常な蓄積を引き起こし、最終的にはカルシウム中毒を引き起こします。
カルシウム中毒は腎臓に大きな負担をかけ、最悪の場合、腎不全を引き起こす可能性があるのです。
症状としては嘔吐、食欲不振、脱力感、過剰な飲水や尿の排泄が見られる場合があります。
特に、人間用のビタミンDサプリメントやビタミンDを多く含む食品は、犬にとっては過剰摂取を引き起こすリスクが高いため、与える際には注意が必要です。
犬がビタミンDを過剰に摂取すると、消化器系に問題が生じ、さらには腎臓や骨に深刻な影響を与える可能性があります。
もしビタミンDを誤って摂取してしまった場合は、早急に獣医師に相談し、適切な治療を受けましょう。
クレオソート
4つ目に、正露丸の他に犬に与えてはいけない薬はクレオソートです。クレオソートは、正露丸を含む薬の成分としても知られており、フェノール類を含んでいます。
クレオソートは、消毒剤や下痢止めとして使用されますが、犬にとっては非常に危険な成分です。
犬が誤ってクレオソートを摂取すると、消化器系に強い刺激を与え、胃炎や潰瘍を引き起こす場合があります。
また、クレオソートは体内に吸収されると血液中に取り込まれ、神経系や肝臓に悪影響を及ぼしやすいです。
犬はフェノール類を効率的に代謝できず、中毒症状を引き起こす場合があります。クレオソートを摂取した犬は、嘔吐や下痢、呼吸困難、昏睡状態に陥りやすいです。
さらに、クレオソートの毒性は犬の体重や種類によって異なるため、少量でも深刻な影響を与える可能性があります。
もしクレオソートを誤って摂取してしまった場合は、すぐに獣医師に相談し、速やかな治療を受けましょう。
抗うつ剤
最後に、正露丸の他に犬に与えてはいけない薬は抗うつ剤です。抗うつ剤は人間の精神的な疾患を治療するために使用されますが、犬には適していません。
抗うつ剤の成分は犬に対して強い神経系の影響を与える場合があり、摂取すると中枢神経系に重大な影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、抗うつ剤を摂取した犬は過度の興奮や不安、震え、筋肉のけいれん、さらには昏睡状態に陥る可能性があるのです。
抗うつ剤の症状は、薬の服用後数時間以内に現れることが多く、早期に対応しないと命に関わる事態に繋がる可能性があります。
もし犬が抗うつ剤を誤って摂取した場合、すぐに動物病院に連れて行き、適切な治療を受けましょう。
犬に正露丸を与えてしまった時の対処法
次に、犬に正露丸を与えてしまった時の対処法を紹介します。
- 無理に吐き出させない
- 1日絶食する
- 人間用の薬を与えない
- いつもと様子が違ったらすぐに動物病院へ
それぞれ詳しく紹介するので、今後もし食べてしまった時に備えてチェックしておきましょう。
無理に吐き出させない
まず、犬が誤って正露丸を飲み込んでしまった場合、無理に吐き出させるのはやめましょう。
正露丸に含まれるフェノール類などの化学成分は、胃や消化器官に強い刺激を与えるため、吐き戻しによってさらに悪化させる場合があります。
無理に吐かせると、犬が気道に異物を詰まらせたり、消化管を傷つけるリスクが高まるのです。
特に、薬が消化管内で既に吸収されてしまっている場合、吐き戻しが効果的でない場合もあります。
誤飲後すぐに吐き出させることが必要な場合もありますが、獣医師の指導のもとで行うべきです。
獣医師は犬の状態に応じて適切な方法を選択するため、自己判断での吐き出しは避けましょう。
1日絶食する
次に、犬が正露丸を誤って飲み込んだ場合、1日程度の絶食をさせましょう。
正露丸に含まれるフェノール類などの有害物質が消化管に与える影響を減らすため、絶食によって胃腸を休ませることができます。
食物が消化器官を通ると、薬が体内で吸収されてしまうリスクがあるため、まずは食事を与えずに、胃腸の負担を軽減することが重要です。
ただし、絶食期間は24時間を超えないようにしましょう。絶食中は犬が水分をしっかり摂取できるように気を付ける必要があります。
水分補給は犬の体の正常な機能をサポートし、有害物質の排出を促進することが可能です。
絶食が終わった後は消化に優しい食事を少量から与えるようにし、犬の体調を観察しながら通常の食事に戻していきましょう。
人間の薬を犬に与えない
3つ目に、犬が誤って人間の薬を飲んでしまった場合、人間の薬を犬に与えないようにしましょう。
人間用に設計された薬は、犬の体内で正しく代謝されることを想定していないため、犬にとって有害である可能性が非常に高いです。
例えば、正露丸に含まれているフェノール類は犬の体内ではうまく処理できず、中毒症状を引き起こす原因になります。
また、アセトアミノフェンやイブプロフェンなど、一般的に使用される人間の薬でも、犬にとっては致命的な影響を与える可能性が高いです。
犬の体重や年齢、健康状態によって薬の反応は大きく異なるため、獣医師の指導を受ける前に、決して人間の薬を投与しないようにしてください。
誤って飲んでしまった場合には、速やかに動物病院に連絡し、指示を仰ぐことが最も重要です。
いつもと様子が違ったらすぐに動物病院へ
最後に、犬が誤って正露丸を飲んでしまった場合、いつもと様子が違ったらすぐに動物病院に連れていきましょう。
具体的には元気がなくなったり、嘔吐や下痢を繰り返したり、食欲が全くない、呼吸が荒くなるなどの症状が現れたりした場合は、すぐに動物病院に連絡してください。
正露丸に含まれる成分が犬に悪影響を与えている可能性が高いため、早期の対処が必要です。
薬の影響がどれほど強いかは犬の体重や体調によって異なりますが、万が一のことを考え、症状が軽微に見えたとしても、獣医師に診てもらってください。
獣医師は、犬の状態を迅速に把握し、必要な処置を講じてくれるでしょう。適切なタイミングで治療を受けることが、犬の命を守ることにつながります。
特に消化器系の障害は早期発見が重要ですので、少しでも異変を感じたら躊躇せずに専門医に相談しましょう。
犬の下痢に効く薬とは
次に、犬の下痢に効く薬を紹介します。
- ディアバスター
- ビオフェルミン
- ロペラミド
- ベルベリン
それぞれの特徴を詳しく紹介するので、犬が下痢に悩んでいる場合は、ぜひ上記の薬を試してみましょう。
ディアバスター
まず、犬の下痢に効く薬はディアバスターです。ディアバスターは、犬の下痢の治療に使用される薬の一つで、特に消化器系の調整を行うために処方されます。
ディアバスターは腸内の炎症を抑える働きがあり、下痢を引き起こしている原因を軽減するのに効果的です。
また、犬の腸内で過剰に増えた有害な細菌や病原菌の抑制を助け、正常な腸内フローラを取り戻す手助けをします。
また、消化不良やストレスから来る下痢にも効果があり、腸内での水分の吸収を改善するため、下痢を軽減するのです。
ディアバスターの主成分は、腸の動きを調整する成分や腸内の粘膜保護成分を含んでいます。
それによって腸内が正常に働き、下痢の原因となる過剰な水分の排泄を抑えることができるのです。
しかし、下痢の原因によっては、他の治療法が必要となる場合もあるため、単独での使用は避け、必ず獣医師の診断を受けましょう。
ビオフェルミン
次に、犬の下痢に効く薬はビオフェルミンです。ビオフェルミンは、犬の下痢に効く薬として非常に広く使用されています。
ビオフェルミンは腸内の善玉菌を補充し、腸内フローラを整えることで、下痢の改善に効果的です。
ビオフェルミンに含まれる乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスは、腸内で善玉菌を増やし、悪玉菌を抑える働きがあります。
そのため、消化不良や感染症などが原因で下痢が発生した場合に、腸内環境を整え、正常な便の形成を促すのです。
ビオフェルミンは、犬の腸内で消化を助け、免疫機能をサポートする役割も果たします。
特に、ストレスや食事の変化、薬の副作用などで腸内環境が乱れやすい犬にとっては、ビオフェルミンの使用が効果的です。
ただ、下痢が続く場合や重症の場合は、獣医師の診察を受け、原因に応じた治療を受けましょう。
ロペラミド
3つ目に、犬の下痢に効く薬はロペラミドです。ロペラミドは、犬の下痢を緩和するために使用される薬で、特に下痢を引き起こしている腸の過剰な動きを抑制する作用があります。
ロペラミドは、腸の運動を抑制して、腸内の内容物がゆっくりと進むようにし、水分の吸収を促進することが可能です。
その結果、下痢の症状を軽減し、便の水分量を減らす効果が期待できます。
ロペラミドは、急性の下痢や慢性の下痢に対して使われる場合が多く、過度な腸の活動を落ち着かせるので、犬の体が休息しやすいです。
しかし、ロペラミドを使用する際は腸内の動きを抑えるため、便秘が引き起こされる可能性もあります。
また、下痢の原因が細菌やウイルスによるものの場合、ロペラミドを使用すると感染症の治療が遅れる可能性があるため、使用前に獣医師の診断を受けましょう。
ベルベリン
最後に、犬の下痢に効く薬はベルベリンです。ベルベリンは、天然成分を基にした薬で、犬の下痢に効果的な治療薬として使用される場合があります。
ベルベリンは、特に消化器系に対して強い抗菌作用を持ち、腸内で過剰に繁殖した病原菌や細菌を抑制するのに効果的です。
そのため、感染症が原因で起こる下痢に対して効果的であり、腸内の正常なバランスを取り戻す手助けをします。
また、ベルベリンは抗炎症作用を持つため、腸の炎症を軽減し、腸壁を守ることも可能です。
特に下痢が長期間続いている場合や、免疫力が低下している犬に対して効果が期待できます。ベルベリンは腸内の環境を改善して下痢の症状を軽減するのに効果的です。
ただ、他の薬を使用している犬や健康状態に異常がある犬に対しては、使用前にしっかりと相談しましょう。
犬が薬を誤飲しない為に気を付けることは
最後に、犬が薬を誤飲しないために気をつけることを紹介します。
- 犬が届かない場所に保管する
- 薬のしまい忘れに注意する
それぞれ詳しく紹介するので、普段から徹底して犬の薬の誤飲を防ぎましょう。
犬が届かない場所に保管する
まず、犬が薬を誤飲しないためには犬が届かない場所に保管しましょう。犬は非常に好奇心旺盛で、特に新しい匂いや味に対して強い興味を示す場合があります。
そのため、薬やサプリメントを犬の目の届くところに放置してしまうと、誤って飲み込んでしまうリスクが高くなるのです。
薬を保管する際は、犬が届かない高さの棚やキャビネットの中にしまいましょう。
また、薬の容器が開きやすい場合や、子ども用の薬のようにカラフルで魅力的に見える場合は、犬が引き寄せられる可能性が高くなります。
しっかりと蓋を閉め、密閉できる容器に入れておくとさらに安全です。
さらに、薬を保管する場所には犬がアクセスできない鍵付きの引き出しやキャビネットを使うこともおすすめします。
特に、家庭内で薬を使用する場所では、犬の視野から外れた安全な場所での保管を心がけましょう。
薬のしまい忘れに注意する
次に、犬が薬を誤飲するのを防ぐには、薬のしまい忘れに注意しましょう。
薬を使用した後、そのまま置きっぱなしにしてしまうと、犬がそれを見つけて興味を持ち、誤って食べてしまう可能性があります。
特に、人間が飲む薬やサプリメントは香りが強かったり、見た目が色鮮やかだったりする場合があり、犬にとっては魅力的に感じやすいです。
そのため、薬を使用した後にはすぐにしまう習慣をつけることが欠かせません。薬を使った後は、必ずその容器を元の保管場所に戻すようにしましょう。
また、薬を使用する際には、その都度使った量や種類をチェックすると、薬の管理ミスを防ぐことができます。
特に、家庭内で複数の人が薬を使っている場合、誰かが薬を使い終わった後に忘れてそのまま放置してしまう場合もあるため、薬を使い終わったらすぐに片付けましょう。
まとめ
今回は、犬にとって正露丸が危険な理由を紹介しました。正露丸はフェノール類を代謝できず、胃腸を傷つける恐れがあるので与えてはいけません。
犬に正露丸を与えてしまった場合は、無理に吐き出させないで、1日絶食させましょう。
また、人間の薬を与えないようにし、いつもと様子が違ったらすぐに動物病院に連れていくことが大切です。
日頃から、薬は犬の届かない場所に保管し、薬のしまい忘れに注意して、犬の誤飲を防ぎましょう。