健康

【獣医師監修】犬の歯石が原因で歯周病に!歯石取りの目安や歯石の取り方など解説

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はじめに

愛犬の息から漂う異臭が気になる場合、その原因として、歯石と歯周病の可能性を考える必要があります。

統計によると、3歳以上の犬では多くが歯周病を発症しており、その割合は約80%といわれています。

適切に対処しないと、口腔内の問題が全身に波及し、深刻な健康被害をもたらす恐れがあります。

本記事では、歯石の生成メカニズムから効果的な予防策まで、愛犬の健康を守るために必要な知識を紹介します。

また、歯石が引き起こす全身への影響や、家庭で実践できる日々のケア方法など、重要なポイントを分かりやすく解説しています。

愛犬の笑顔あふれる生活を守るために、ぜひ最後までお読みください。

歯石取りとは?

犬の歯石が原因で歯周病に

歯石取りとは、スケーラーと呼ばれる道具を使う施術のことで、動物病院で行われる専門的な治療です。

専用器具には以下の2種類があります。

  • 手用スケーラー
  • 超音波スケーラー

歯石とは、歯の表面に沈着した歯垢(デンタルプラーク)が、時間とともに硬化した沈着物のことです。

放置すると歯石が溜まりやすくなり、その結果、歯周病や口臭などを引き起こす恐れがあります。

歯の健康を維持するためには、定期的に歯石を取り除くためのデンタルケアが必要です。

また、飼い主による家庭での日常的なブラッシング(歯磨き)を行うことで、歯石予防につながります。

歯石取りの定義

歯石取りとは、歯石や歯垢を除去する医療処置のことを指し、スケーリングとも呼ばれます。

歯石は徐々に蓄積されていき、やがて歯の健康を害するようになります。

歯の表面に固着した歯石の除去は、必ず動物病院を受診した上で、獣医師による専門的な治療を受けましょう。

自宅で行えるケア方法としては、以下のツールを使用して、定期的にクリーニングを行うことが挙げられます。

  • 犬用歯ブラシ:毎日が理想的(継続が難しい場合は3日に1回の頻度で行う)
  • デンタルワイプ:歯ブラシが使いにくい場合の代替品として
  • デンタルガム:週に2日から3回程度、おやつとして与える

ただし、これらは歯垢の除去と予防が主な目的です。

これらの自宅ケアに加えて、定期的に獣医師による専門的な処置を受けることをお勧めします。

また、犬の年齢や健康状態に応じて、適切なケア方法を獣医師に相談することも重要です。

歯石の原因

歯石は、食べ物の残留物や細菌によって形成される歯垢が硬化したものです。

これは唾液中のカルシウムやリン酸と結びつくことで起こります。

普段から口腔内をチェックし、定期的に歯磨きと専門的なケアを行うことが重要です。

具体的には、歯垢が蓄積しないよう定期的に歯を磨くなど、早めの対策を心がけましょう。

主な原因としては、次の4つが挙げられます。

  • 食事
  • 衛生状態
  • 加齢
  • 遺伝的要因

飼い主による適切なケアと獣医師による定期診察が不可欠です。

食事

犬に与える餌(ドッグフード)の成分や形状によっては、歯の表面に付着しやすくなることがあります。

特にウェットフードは、ドライフードよりも歯石が溜まりやすい傾向にあります。

また、炭水化物や糖分の多い加工食品を与え続けると、細菌の繁殖を促すことになり、歯石の形成につながります。

衛生状態

食べたものの残渣やタンパク質の残留などが口腔内に残っていると、細菌の繁殖を招きやすくなります。

口腔内を清潔に保つためには、定期的な歯磨きと専門的なケアが必要です。

加齢

犬の年齢が高くなるにつれて、唾液の成分変化などから歯石が蓄積しやすくなります。

特に高齢犬では、歯石の蓄積が進行しやすいことが指摘されています。

遺伝的要因

犬の遺伝的要因によっても、歯石が付着しやすくなることがあります。

歯の形状やエナメル質の強さなどの個体差により、歯石の付着度合いが異なります。

歯石取りの目安は

犬における歯石除去の必要性や頻度は、犬の個体差や飼育環境によって異なるため、適切なケアが重要です。

特に、犬の年齢や健康状態に応じて、定期的なチェックが求められます。

具体的には、口臭が強くなることや、歯茎に赤みや腫れが見られる場合は注意が必要です。

これらは歯周病が進行している可能性を示唆しています。

また、歯石が目立つほど蓄積している場合や、歯茎から出血する場合も同様です。

一般的には、獣医師による定期的な診断を受けて状態を確認し、その結果に基づいて必要なタイミングで歯石除去を行うことが推奨されます。

定期健診時には獣医師に相談し、自分の犬に合ったケア方法を見極めることが大切です。

さらに、過度な歯石の蓄積を防ぐためには、日常的な予防ケアも心がけましょう。

これには、専用のデンタルケア製品やおもちゃを使用することも含まれます。

1歳前後のデンタルケア

犬は生後1歳前後から歯石が付着し始めるため、この時期から定期的な歯石除去を行うことをお勧めします。

子犬の時期に形成される歯石は比較的軽度であるため、飼い主による歯磨きで十分に対応可能です。

具体的には、犬用の柔らかい歯ブラシを使用し、優しく円を描くように磨くことが推奨されます。

2歳から5歳のデンタルケア

成犬期に入ると、歯石の蓄積が進行する傾向にあります。

年に1回程度の頻度で、必要に応じて、専門店でデンタルケアを受けることが推奨されています。

ただし、通常では歯石除去は診療行為とされており、獣医師以外が処置を行うことは法律で禁止されています。

獣医師免許を持たないトリマーによる施術では、専門的な知識や技術が必要な歯石除去は行われません。

ペットサロンでは、犬用の歯ブラシやデンタルジェルを使用した丁寧なブラッシングを実施します。

本格的な医療処置を必要とする場合は、動物病院で専門的な治療を受けることをお勧めします。

6歳以降のデンタルケア

年齢が高くなるにつれて歯石の蓄積が進行し、歯周病のリスクが高くなります。

特に高齢犬の場合は、獣医師による定期検診と専門的なケアが非常に重要です。

年に1回から2回程度の頻度で動物病院を受診し、必要に応じて獣医師による歯石除去を受けることをお勧めします。

さらに、飼い主による日常的な歯磨きも併せて行う必要があります。

犬の歯石が原因で歯周病になる!

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多くの飼い主が悩む歯石問題は、実は歯周病の原因ともなります。

歯石は唾液中のミネラル成分が固まったもので、放っておくと歯周病を引き起こします。

歯石が歯と歯茎の間に蓄積すると、炎症を引き起こし、初めの段階では歯肉炎になります。

この状態を放置すると、やがて歯周炎に移行し、溝が深くなるため注意が必要です。

この溝は細菌が繁殖しやすく、さらなる炎症を引き起こす原因となります。

このように、歯石は歯周病の発症と進行に密接に関与しています。

したがって、定期的な歯石除去と良好な口腔ケアが必須です。

歯周病とは?

歯周病とは、犬を支える組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨)に炎症が起こる病気です。

初期段階では歯肉炎と呼ばれ、腫れや出血などの症状が現れます。

この状態が放置されると、やがて歯周炎へ移行し、溝が深くなることで歯石の沈着や細菌の蓄積が進みます。

最終的には犬に深刻な健康問題を引き起こす可能性があるため、早期の検査と治療が重要です。

歯肉炎と歯周炎の総称

歯周病は、口腔内の歯を支える組織に生じる慢性的な炎症性疾患の呼称であり、軽度の歯肉の炎症から重度の歯周組織破壊まで、多様な病態を包括する医学的な用語です。

具体的には、最初の段階である「歯肉炎」から、より深刻な「歯周炎」へと進行する可能性のある口腔疾患群を指します。

歯肉炎

歯肉炎は初期段階であり、歯茎の腫れや出血などの症状が見られます。

この段階では、日常的な歯磨きや獣医師による定期的な健康チェックが重要です。

歯周炎

歯周炎は深刻な段階であり、炎症が深部まで広がります。

以下の点に注意が必要です。

  • 放置すると歯を支える骨や組織に損傷を与える
  • 症状が進行することで治療方法が難しくなることがある

予防と早期発見が重要です。

口内に異常が見られる場合は、必ず早急に獣医師に相談してください。

歯周病の症状は

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歯周病は、口内に細菌が蓄積し、歯茎や歯を支える組織に炎症が起こる病気です。

犬の歯周病の主な症状は以下の通りです。

  • 歯茎が発赤し、腫れる
  • 歯茎から出血する
  • 口臭が強くなる
  • 食欲が低下する
  • 歯が動揺する
  • 歯肉が退縮する
  • 歯を喪失する

放置すると症状が悪化し、痛みや感染症など深刻な合併症を引き起こすことがあります。

定期的に動物病院で検診を受けることで、口内トラブルを早期に発見し、治療することが重要です。

口臭

犬の健康状態を示す重要な指標の1つに口臭があります。

特に、歯周病はその大きな原因となるため、注意が必要です。

健康な犬の息には特有の匂いはありませんが、歯周病が進行することで、口臭が発生することがあります。

口臭の主な要因としては、以下の2つが挙げられます。

  • 歯周病によって増殖した細菌
  • それらが産生する悪臭性の化合物

悪臭の度合いは、歯周病の進行状況を反映します。

特に腐敗臭が強い場合は、歯周病がかなり進行している可能性があります。

早期発見と適切な治療が非常に重要です。

定期的に獣医師によるチェックアップを受けることで、早期に問題を発見し、適切な対策を講じることができます。

歯茎の異常

歯周病が進行するにつれて、歯茎に異常が現れるようになり、初期段階では炎症によって赤く腫れ、出血することがあります。

さらに進行すると、歯と歯茎の隙間が深くなり、最終的には歯茎が下がって歯が露出し、動揺することがあります。

犬は自ら痛みを訴えることができないため、飼い主は注意深く観察し、異常を早期に発見することが重要です。

早期発見・早期治療が犬の健康を守る鍵となります。

歯茎の異常に気づいたら、早めに動物病院を受診してください。

顔面の腫れと痛み

歯周病が悪化すると、顔面の腫れや痛みが現れることがあります。

これは、歯周病が進行することで生じる深刻な感染症による合併症です。

歯と歯茎の隙間に溜まった細菌が、顔面の皮下組織や骨に感染を広げることで腫れや痛みが生じます。

特に上顎の犬歯周辺に現れやすいです。

腫れや痛みが見られた場合は、直ちに獣医師に相談する必要があります。

適切な抗菌薬治療を受けないと、感染症が全身に広がる可能性があります。

膿が溜まっている可能性もあるため、放置すれば症状が悪化してしまう恐れがあります。

犬の顔に異常が見られる場合や、顔を触られることを嫌がる場合は、直ちに獣医師の診察を受けることが重要です。

全身への影響

歯周病は、犬の全身の健康に深刻な影響を及ぼします。

放置したままにしておくと、重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。

細菌感染が広がると、心臓、肝臓、腎臓に悪影響を与える可能性があるでしょう。

その他にも、慢性的な炎症が免疫力を低下させ、栄養状態の悪化や体重減少などの多様な全身症状が現れることもあります。

また、細菌が血流に入り込むことで、敗血症や菌血症などの致死的な感染症につながることも懸念されます。

このため、日常的なケアや定期的な獣医師の検診が不可欠です。

犬の歯石の取り方

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定期的な歯石除去は、愛犬の口腔衛生を保ち、歯周病や口腔内の問題を予防するための重要な対策です。

歯石を取り除くには、獣医師による専門的な治療が必要です。

動物病院で実施される処置では、まず愛犬の口腔内を十分に観察し、歯石の状態を確認します。

必要に応じて、全身麻酔下での治療もしくは局所麻酔下での処置が行われます。

施術にはスケーラーと呼ばれる専用器具が使われ、歯石除去後には歯の洗浄やポリッシング処置が行われます。

全身麻酔の必要性

歯石除去には、多くの場合において全身麻酔が必要になります。

これは、歯石除去を安全かつ効果的に行うために欠かせない措置です。

歯石除去は痛みを伴う処置であり、犬が動いてしまうと口内を傷つけてしまうリスクがあります。

全身麻酔を行うことで、処置中の愛犬の安全が確保され、歯石除去中の痛みやストレスを最小限に抑えることができるのです。

また、獣医師も正確かつ徹底的な作業を行うことができ、歯茎の奥や歯の裏側まで細かく処置を行うことが可能になります。

一般的に、全身麻酔は安全性が高く、適切な管理下で行われれば大きな問題はありません。

ただし、高齢の場合や基礎疾患を持つ場合は、事前にしっかりとした検査と管理が必要になります。

愛犬の健康と安全を最優先に考え、獣医師の診断と指示に従いましょう。

局所麻酔と抗生剤

全身麻酔が難しい場合や症状が軽度な場合、一部の動物病院では局所麻酔が検討されることもあります。

局所麻酔は痛みの緩和に有効な手段で、処置を受ける部位の神経を麻痺させることで、痛みを感じにくくすることができます。

全身麻酔と比べると身体への負担が小さいため、高齢犬や基礎疾患を持つ犬に適している場合があるでしょう。

しかし局所麻酔では、犬が動きを抑えきれないことがあるため、あくまでも例外的な対応です。

また、処置後の細菌感染の発症リスクを低減するために、必要に応じて抗生剤を処方することがあります。

抗生剤の種類や投与期間など、愛犬の状態に合わせて適切に使用することが重要です。

愛犬の安全を第一に考えて、獣医師の指示のもとで正しく使用してください。

検査の重要性

安全な治療を行うためには、適切な手順が不可欠です。

歯石除去を行う前には、必ず愛犬の全身状態を正確に把握するための検査が必要となります。

主な検査項目には以下のものが挙げられます。

  • 血液検査
  • レントゲン検査やCT画像検査
  • 歯周部の溝の深さ測定
  • 口腔内の詳細診察

血液検査では、肝機能、腎機能、感染症の有無などを確認し、全身麻酔に対する耐性や処置の安全性を評価します。

レントゲン検査やCT画像検査では、歯の状態や歯周組織の状況を詳しく観察することで、歯石の程度や歯周病の進行具合を把握し、適切な治療計画を立案します。

歯周部の溝の深さを測定する処置は、歯周病の程度を確認するために重要な検査です。

口腔内を詳細に診察することで、歯石や歯周病だけでなく、その他の口内トラブルの有無も確認します。

獣医師は、検査の結果を総合的に判断し、安全性と治療効果を考慮しながら最適な治療方法を決定します。

これらの適切な検査を経ることで、安全かつ的確な歯石除去が可能となるのです。

グレードに応じて治療内容を決定

愛犬の歯石除去の治療内容は、各種検査の結果を踏まえ、獣医師の診断に基づいて決定されます。

歯石の蓄積が重度である場合や、歯周病が進行している場合は、より踏み込んだ総合的な治療が必要です。

治療の選択肢としては、以下のようなものがあります。

  • 歯石除去のみ
  • 歯石除去と歯石予防のためのポリッシング処置
  • 歯周病治療を含む総合的な口腔ケア

治療内容を決定する際には、愛犬の全身状態や年齢なども考慮されます。

高齢の愛犬や基礎疾患を持つ場合は、全身麻酔のリスクが高くなるため、局所麻酔による治療が選択される可能性もあります。

懸念事項がある場合は、獣医師とよく相談し、愛犬にとっての最善な治療方法を選択することが重要です。

愛犬の健康状態を最優先に考え、安全性と治療効果のバランスを取りながら、最適な治療計画を立てましょう。

歯石除去の手順

歯石除去は、口腔内環境を大幅に改善し、口臭改善や歯周病予防などにつながる重要な治療です。

歯石除去は専門的な技術が必要なため、必ず獣医師に相談してください。

適切な判断のもとで実施される丁寧な治療により、健康的な歯と口腔内を取り戻すことができるでしょう。

施術後は、家庭での日常的なデンタルケア(歯磨き、デンタルトリーツ、デンタルボーンなど)を継続し、再発予防に努めましょう。

日頃から定期的に、獣医師によるチェックやクリーニングを受けることも重要です。

通常、施術の手順は以下のようになります。

診察

まず、口腔内を詳細に観察し、歯石の程度や歯周病の状況を診断します。

麻酔

施術を実施する際には、身体的負担を最小限に抑えるため、全身麻酔による鎮静が不可欠です。

局所麻酔は補助として使用されることがありますが、単独で行われることはほとんどありません。

ただし、獣医師の判断により、例外的に局所麻酔のみで処置を行う場合もあります。

歯石除去

スケーラーと呼ばれる専用道具で丹念に歯石を除去します。

主に2種類があり、犬の状態や治療部位などの状況に応じて使い分けられます。

  • 手用タイプ:繊細な作業や特定部位の処置に使用される手動式
  • 超音波タイプ:高周波振動で広範囲を効率的に処置する電動式

これらを適切に使用することで、効果的に歯石を除去し、犬の歯の健康を維持することができます。

洗浄・追加処置

歯石除去と同時に、歯周ポケット(歯周病による歯茎下部の空間)の洗浄も行います。

重度の場合には、抜歯や歯肉切除などの追加処置が必要になることもあります。

ポリッシング

歯の表面を研磨して滑らかに仕上げることで、新たな歯石の付着を防ぎます。

抗生剤の投与(必要時)

細菌感染予防として、抗生剤が投与される場合があります。

ポリッシング処置とは

ポリッシング(歯面研磨)は、歯石除去後の仕上げとして行われる重要な処置です。

具体的な手順は以下の通りです。

  • 一次研磨:専用のブラシに粗い粒子の研磨剤を付けて磨く
  • 二次研磨:細かい粒子の研磨剤とラバーカップを使用して、歯の表面を滑らかにする

この処置により、歯の表面に付着した歯垢や着色汚れを除去することができ、歯の健康維持と清潔な口腔環境の保持に大きく寄与します。

この処置によるメリットは以下の通りです。

  • 口内を健康的な状態に保ちやすくなる
  • 歯垢や細かな歯石を除去できる
  • 着色汚れをしっかり除去できる
  • 汚れが再び付着しにくくなる
  • 見た目が良くなり、審美性が向上する
  • 研磨剤によって歯の表面が整えられ、歯質が強化される

獣医師による専門的なポリッシング処置は、健康な歯を取り戻すための重要なステップです。

処置後は、清潔な口腔内を維持するためのホームケア(定期的な歯磨きの実施)に努めましょう。

自宅での歯石取りの危険性

愛犬の健康維持にはデンタルケアが非常に重要です。

しかし、自宅で歯石を取り除くことは危険なため推奨できません。

その理由は以下の通りです。

安全性の問題

歯石は非常に固く付着しており、無理に取ろうとすると歯や歯肉を損傷する恐れがあります。

特に奥歯は取り除きにくく、怪我のリスクが高くなります。

法的制約

犬の歯石除去は診療行為であり、獣医師以外が行うことは法律で禁止されています。

専門的知識と技術の必要性

適切な器具や手法など、専門的な知識と技術が不可欠です。

不適切な処置は、重篤な感染症を引き起こす可能性があります。

適切なデンタルケアの実践

家庭でのケアは予防としてのブラッシングを中心に行い、専門的な処置は動物病院で行うことが重要です。

愛犬の健康を守るためには、獣医師との相談と連携が不可欠です。

犬の歯石予防の為に家庭でできるケア

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家庭でできる簡単な予防法は、飼い主による歯磨きが効果的です。

定期的な歯石除去は必要不可欠ですが、予防することで健康的な歯を保つことができます。

定期的な歯磨き

愛犬の歯の健康を維持するには、飼い主による日常的なケアが欠かせません。

具体的には、犬用の歯ブラシやペースト、指サック型のデンタルツールなどを使用して、優しく丁寧に磨きましょう。

毎日の歯磨きが理想ですが、最低でも週に2〜3回の頻度で行うことを推奨します。

ただし、愛犬によってはストレスを感じたり拒否反応を示したりすることもあるので、無理のない範囲で始めることが大切です。

歯磨きの始め方

まず愛犬に、歯ブラシや指サックに慣れてもらうことから始めてください。

おやつなどを使って報酬を与えながら、ゆっくりと時間をかけることが重要です。

信頼関係を築きながら、徐々に歯磨きの時間を増やしていきましょう。

正しい歯磨き方法

歯ブラシは犬用の柔らかいものを使い、優しく円を描くような動きで歯の表面を磨きましょう。

上下の歯茎にも注意を払い、奥の歯までしっかりと磨いてください。

リラックスした雰囲気を心がけ、褒めたり報酬を与えたりして愛犬が楽しめるよう工夫しましょう。

継続の大切さ

歯の健康を保つには、日頃からの手入れが欠かせません。

無理のない範囲で続けることが重要です。

定期的な歯科検診と合わせて、愛犬の歯の健康をしっかりとサポートしましょう。

定期的にデンタルクリーニングを受ける

飼い主による日々の手入れだけではなく、定期的なデンタルクリーニングも必要不可欠です。

獣医師による専門的なケアを受けることで、愛犬の歯の健康を長期的に維持できます。

クリーニングの必要性

肉眼では発見しにくい歯石や歯周病などの問題を早期発見し、適切な処置を受けることが大切です。

犬は歯石が付着しやすく、放置すると歯周病など重大な病気につながるリスクがあります。

定期的なクリーニングで、歯石の除去や歯肉の洗浄、歯の健康状態のチェックなどを行うことで、口腔内の環境を良好に保つことができます。

クリーニングの方法

全身麻酔下で行われるため、愛犬は痛みを感じることなくクリーニングを受けられます。

主に2種類の専用道具を用いて歯石除去を行うのが一般的です。

  • 手用スケーラー
  • 超音波スケーラー

手用タイプは、獣医師が直接操作するため、細かい部分や繊細な箇所の歯石除去に適しています。

一方、超音波タイプは高周波振動(毎秒約25,000〜32,000回)を利用し、効率的に歯石を粉砕・除去することが可能です。

これらの器具は、犬の口腔状態や歯石の付着具合、治療部位などの状況に応じて適切に使い分けられます。

その後、研磨器具で歯の表面をきれいに磨き上げ、最後に歯石の付着を防ぐための薬剤を塗布します。

処置後は獣医師による検査と、適切な歯の手入れ方法のアドバイスもあわせて受けることができます。

クリーニングの頻度

愛犬の年齢、歯の状態、フードの種類、運動量などによって、最適な頻度は異なります。

一般的には、年に1〜2回のクリーニングが推奨されていますが、個々の犬の状況に応じて調整が必要です。

例えば、高齢犬や歯周病のリスクが高い犬では、より頻繁なクリーニングが必要になる場合があります。

獣医師と相談しながら、愛犬の口腔状態を定期的にチェックし、適切なクリーニングの時期や頻度を見極めることが大切です。

プロによる専門的なクリーニングと、飼い主による日々の手入れを組み合わせることで、歯の健康を長期的に維持することができます。

市販製品の限界

愛犬の歯の健康を守るため、飼い主による日常的なケアは非常に重要です。

しかし、市販の歯磨き用品には一定の限界があることを認識しておく必要があります。

市販品の特徴と課題

市販の歯ブラシ、歯磨きペースト、デンタルおやつなどは手軽に利用できますが、愛犬の個体差に対応しきれない場合があります。

例えば、ブラシの硬さや形状、ペーストの成分や味付けなどは、愛犬によって好みが異なります。

そのため、愛犬が嫌がったり、効果が十分でなかったりする可能性があるでしょう。

専門家の役割

このような限界を補うため、専門家によるアドバイスや定期的なプロのクリーニングが重要です。

獣医師は愛犬の年齢、体調、生活環境を考慮し、最適な歯のケア方法を提案してくれます。

また、歯石の除去や歯周病の予防など、家庭では難しい処置も行えます。

総合的なアプローチ

定期的な専門家の診察と家庭でのケアを組み合わせることで、愛犬の口腔衛生を最適に保つことができます。

市販製品を適切に選択・使用しながら、専門家の助言に従うことで、より効果的な歯のケアが可能になります。

まとめ

本記事で紹介した歯石ケアは、単なる口腔衛生だけでなく、愛犬の生涯の質を左右する重要な習慣です。

毎日のブラッシングから定期的な獣医師のチェックまで、愛犬の健康を守る一連の取り組みは、飼い主である私たちとの絆を深める素晴らしい機会でもあるのです。

ここで紹介しているプロフェッショナルな施術のタイミング、そして自宅でできるケアテクニックまで、愛犬のデンタル面での健康管理にぜひお役立てください。

このコンテンツを通じて、愛犬との新たな触れ合いの時間を見出し、より豊かなペットライフを築くきっかけにしていただければ幸いです。

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