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はじめに
愛犬の痙攣を目の当たりにすると、飼い主の心臓が止まりそうになるほどの衝撃を受けることでしょう。
発作の原因は多岐にわたり、多くの場合に深刻な健康上の問題を示すことがあります。
痙攣は決して軽視すべき症状ではなく、適切な診断と治療が必要です。
しかし、冷静さを保って適切に対応することが、愛犬の健康と命を守る鍵となります。
本記事では、犬の痙攣の背後に潜む可能性のある病気や状態を詳しく解説し、緊急時の対応策を紹介します。
また、即座に獣医の診察が必要となる警告サインについても触れていきます。
愛犬との絆を深めながら突然の事態に備え、その健康を守るための知識を身につけましょう。
犬の痙攣:理解と対応
痙攣とは、犬の体が不随意に収縮・弛緩を繰り返す症状のことです。
発作が起きると、犬は自身の行動を制御できず、通常とは異なる状態を呈することがあります。
症状としては、意識障害を伴うことがあり、筋肉の震えや体の硬直などが継続して現れることが一般的です。
また、呼吸の乱れや、唾液の吐き出しなども見られます。
愛犬にとって、発作は身体や精神への負担も大きく、非常に不安な体験となります。
飼い主として、この状況を適切に理解し、冷静に対応することが重要です。
発作のメカニズム
この症状は、脳神経の細胞が何らかの要因で異常に興奮し、制御不能な電気信号を発生することで引き起こされます。
これにより、全身または特定部位の筋肉が不随意に収縮し、体の硬直や不規則な動きとして現れます。
また、脳細胞の異常以外にも、筋肉疲労、代謝異常、機能不全なども引き金となることがあり、原因は多様です。
重要な注意点として、発作が2分以上持続する場合、または5分以内に複数回発生する場合は、特に注意が必要です。
脳へのダメージリスクが高まるため、非常事態として取り扱い、即座に獣医師に連絡しましょう。
てんかんとの関連性
てんかんは犬にも発症し得る慢性的な脳疾患です。
定義としては、発作を引き起こす持続性素因を特徴とする脳の障害とされています。
つまり、慢性の脳疾患であり、以下の条件で診断されます。
- 24時間以上の間隔をあけて2回以上の非誘発性の発作(誘因が明らかでないもの)が繰り返される場合
- 1回の発作でも再発リスクが高い場合
ただし、てんかん性の発作は痙攣の一形態ですが、すべての発作に起因するわけではありません。
発作の原因は多岐にわたるため、正確な診断と適切な治療には、獣医師による詳細な検査が不可欠です。
MRI検査、血液検査、脳脊髄液検査などが必要となる場合もあります。
また、発作の様子を動画に記録しておくことで、診断の際に役立つ重要な情報となります。
犬の痙攣:原因と対処法
犬の痙攣には、さまざまな原因が考えられます。
主な原因には、脳の障害(脳内出血、脳腫瘍、脳の炎症や損傷など)、心疾患、代謝異常、低血糖、中毒などが挙げられます。
また、老犬では加齢による脳機能低下が、若い犬では先天性疾患や感染症が原因となることがあります。
正確な診断には、獣医師による専門的な検査が不可欠です。
てんかん
犬の発作の原因には、特発性てんかんが多く見られます。
特発性とは、検査を実施しても特定の原因が見当たらない場合につけられる名称です。
神経学的検査、血液検査、MRI検査などで異常(脳の損傷や疾患など)が見当たらない場合に、原因不明として分類されます。
現時点において、発症のメカニズムについては、まだ完全には解明されていません。
しかし、脳内の神経伝達物質のバランス異常などが関係していると考えられています。
遺伝的要因が疑われている特定の犬種においては、1歳から5歳までに発症することが多く、多くは2〜3歳までに見られることがあるようです。
ただし、この発症時期は一般的な傾向であり、個々の犬種や個体差などによっては例外もあります。
なかには、生後6ヶ月や6歳でも見られることもあるでしょう。
一方、構造的てんかん(症候性てんかん)は、何らかの原因により脳に器質的な異常が生じ、それが引き金となって発症します。
主な原因には、脳腫瘍、脳炎、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、頭部打撲、頭部外傷、水頭症、先天的な脳奇形などが挙げられます。
脳への障害が大きい場合は、難治性になることもあるでしょう。
獣医師とよく相談しながら、早期発見と適切な治療に取り組むことが大切です。
注意点として、発作間隔が2ヶ月未満など、何度も反復する場合には、抗てんかん薬による治療が必要になります。
5分以上続く「重積発作」や1日に2回以上起こる「群発発作」は、命に関わる可能性があります。
発作が長引く場合や短時間に複数回発生する場合は、速やかに獣医師の診察を受けてください。
また、発作中の犬を無理に押さえつけたり、口の中に物を入れたりすることは極めて危険です。
これらの行為は避け、まずは安全な環境を確保し、周囲の危険物を取り除くことを優先しましょう。
代謝異常
内臓の機能不全による代謝異常も痙攣の原因となります。
例えば、肝不全や腎不全などの病気による機能低下が要因として考えられます。
電解質バランスの異常が疑われる場合は血液検査が必要となり、輸液療法などの治療が行われます。
定期的な健康診断で、早期発見・早期治療を心がけることが重要です。
低血糖
低血糖症は、血液中のブドウ糖濃度が異常に低下する状態であり、代謝疾患の一種です。
特に、小型犬や子犬は低血糖のリスクが高いとされるため、特に注意しましょう。
低血糖が疑われる場合、意識がある場合は少量のブドウ糖を含む食品を与えることも有効です。
ただし、意識がない場合には無理に与えず、直ちに動物病院へ搬送してください。
中毒
中毒は犬にとって命に関わる緊急事態です。
例えば、チョコレート、タマネギ、ぶどう、殺虫剤などの摂取は、中毒症状を引き起こし、その一環として痙攣が発生することがあります。
症状が疑われる場合には、以下の対応を速やかに行いましょう。
- 摂取した物質の特定
- 可能であれば摂取時間や摂取量も記録
- 獣医師への相談(必ず動物病院に連絡し指示を仰ぐ)
- 自己判断で吐かせることは絶対に避ける(危険な行為のため)
- 食べたもののパッケージや残り物があれば持参する
迅速な対応と適切な処置が犬の命を救う鍵となります。
一刻も早く動物病院を受診しましょう。
感染症
犬の感染症による痙攣発作には次のようなものが挙げられます。
ジステンパーウイルスは脳に異常を引き起こし、痙攣発作を引き起こす可能性がある代表的な感染症です。
このウイルスが脳に侵入すると、ジステンパー脳炎や脳脊髄炎を引き起こし、痙攣などの神経症状が現れます。
症状には発熱、肺炎、腸炎、そして神経症状として痙攣、震え、後ろ足の麻痺が挙げられます。
神経症状が出現すると、致死率が高くなり、回復しても神経症状が後遺症として残ることが多いでしょう。
さらに、急性期を過ぎた後や、一見回復したように見える犬でも、数週間から数ヶ月後に突然神経症状が現れることがあります。
ジステンパーウイルス感染症は非常に深刻な病気であり、適切なワクチン接種による予防が最も重要です。
また、狂犬病ウイルスも神経系に影響を及ぼし、進行すると脳炎を引き起こします。
症状には興奮、錯乱、唾液の過剰分泌、そして「恐水病」と呼ばれる水を飲む際の喉頭筋や咽頭筋の痛みを伴う痙攣が含まれます。
狂犬病は一旦発症すると、通常3〜10日で死亡し、治療は支持療法のみとなります。
予防には狂犬病ワクチンの接種が重要です。
ワクチン未接種の子犬は感染リスクが高いため、適切なワクチン接種スケジュールを守ることが重要です。
感染の疑いがある場合は、速やかに獣医師の診察を受けてください。
予防接種のスケジュールや頻度については、個々の犬の状況に応じて獣医師に相談することが重要です。
水頭症
犬の水頭症は、主に先天的な原因で発生しますが、後天的な要因でも起こることがあります。
先天性水頭症は、チワワ、ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、トイ・プードル、パグ、フレンチ・ブルドッグなど、特定の小型犬種で発生しやすいです。
後天的な水頭症の原因として、髄膜脳炎などの脳の炎症、脳腫瘍、脳脊髄液の過剰産生などが挙げられます。
水頭症の症状には、歩行困難、起立不能、意識障害、学習能力の低下、外部刺激への混乱、首の傾き、頭が後ろを向く、てんかん発作、視覚障害などがあります。
治療法には、内科的治療と外科的治療があります。
内科的治療では、ステロイド剤や利尿剤を使用して脳脊髄液の産生を抑え、排出を促します。
外科的治療では、脳室と腹腔内をチューブでつなぐ手術を行うことがあります。
治療方法としては、軽症の場合には薬物療法を用いて脳圧を下げることが一般的です。
水頭症の予防は難しいため、日常的な観察と早期発見、早期治療が重要です。
脳の炎症や腫瘍
痙攣(全身または部分的な筋肉の不随意な収縮)は、脳の炎症や腫瘍によっても引き起こされることがあります。
その症状は多岐にわたり、痙攣発作や意識障害だけでなく、歩行異常、視覚・聴覚の変化、性格の変化なども現れる可能性があります。
診断には、まず血液検査やX線検査を行い、その後必要に応じてMRI検査などの高度な画像診断が実施されます。
治療法は症例によって大きく異なるため、獣医師の診断と判断が不可欠です。
脳の炎症が原因の場合は、免疫系の異常や感染が関与しており、治療にはステロイド剤や免疫抑制剤などが用いられます。
脳腫瘍は中高齢の犬に多く見られ、治療法として手術、放射線療法、抗がん剤治療、または緩和療法が選択される場合があります。
ただし、治療の効果や予後は症例によって異なります。
また、治療中および治療後は、愛犬が快適に過ごすための環境整備が重要です。
安全対策として家具配置を見直したり、高タンパクで栄養バランスの取れた食事を提供したりすることが推奨されます。
日頃から愛犬の様子をよく観察し、神経系の異変を感じたときは早急に獣医師に相談しましょう。
早期発見・早期治療が、愛犬の健康を守る鍵となります。
腎不全・肝不全
腎不全および肝不全は、機能低下に伴い有害物質を正常に除去できず、体内に蓄積した毒素が全身を循環します。
これにより脳に重大な影響を及ぼすことがあり、痙攣などの神経症状を引き起こす可能性があるでしょう。
腎不全の主な症状は以下の通りです。
- 多飲多尿
- 体重減少
- 嘔吐
- 食欲不振
- 貧血
慢性腎臓病の進行により尿毒症を発症すると、元気消失、食欲不振、嘔吐などの全身症状、痙攣や意識障害などの神経症状が現れます。
これらの症状は、体内に蓄積した老廃物や毒素、水分が適切に排出されないことによって引き起こされます。
定期的な健康診断と血液検査を行うことが推奨されます。
肝不全の主な症状は以下の通りです。
- 元気喪失
- 食欲不振
- 嘔吐
- 下痢
- 多飲多尿
- 黄疸(皮膚や粘膜が黄色くなる)
肝性脳症を発症すると、頭を壁に押し当てる、運動失調、旋回運動、沈鬱、痙攣、昏睡などの症状が現れます。
この病気は肝臓の機能が低下し、有害な物質が血液を通じて脳に影響を与えることによって発症します。
これは重篤な状態であり、早期発見と適切な治療につなげることが重要です。
腎不全の治療としては、次のような療法が一般的です。
- 食事療法:低タンパク質、低リン食
- 薬物療法:リン吸着剤、ACE阻害薬
- 輸液療法:脱水改善と予防
- 貧血の管理:エリスロポエチン製剤の投与(赤血球産生を促進する糖タンパク質ホルモン)
一方、肝不全の治療としては、次のような療法が行われます。
- 食事療法:肝臓に負担をかけない食事(急性期は絶食も考慮)
- 薬物療法:抗生物質(感染症が原因の場合)、肝機能改善薬、利尿薬
- 輸液療法:水分と電解質の補給
- ビタミンK投与:出血傾向がある場合
- アンモニア吸着薬:肝性脳症の管理
治療法の際は、獣医師の指示のもとで、個々の犬の状態や治療の進行に応じて、適切に適用する必要があります。
適切な治療には、急性と慢性の区別や原因の特定が求められるため、獣医師との綿密な相談が求められます。
また、痙攣を起こしたときは安全な環境を確保し、発作の時間と症状を記録することが重要です。
痙攣を起こしやすい犬種は?
犬のなかにも、てんかん発作を起こしやすい犬種がいます。
特発性てんかんは、多くの犬種で発症リスクがあります。
発症リスクが高いとされる犬種は次の通りです。
- イタリアン・グレーハウンド
他の犬種に比べて発症しやすいとされる犬種は次の通りです。
- シベリアン・ハスキー
- ペキニーズ
- ボストン・テリア
- アメリカン・コッカー・スパニエル
一部の情報源で言及されている犬種は以下の通りです。
- ゴールデン・レトリーバー
- ラブラドール・レトリーバー
- シェットランド・シープドッグ
- ビーグル
- ダックスフンド(全種:スタンダード、ミニチュア、カニンヘン)
- プードル(全種:スタンダード、ミディアム、ミニチュア、トイ)
- ボーダー・コリー
- ジャーマン・シェパード
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- バーニーズ・マウンテンドッグ
- セント・バーナード
これらの犬種は、遺伝的な要因が強く疑われており、神経系の発作を発症するリスクが高いとされています。
ただし、特発性のてんかんは原因が明確ではなく、さまざまな要因に起因して引き起こされます。
つまり、特定犬種だけに発症するわけではなく、どの犬種にも発症する可能性があります。
そのため、自分の飼っている犬種の特徴を理解しておくことが大切です。
てんかんの発症リスクが高い犬種については、予防や早期発見に細心の注意を払うことが愛犬の健康につながります。
日常的に個々の状態を注意深く観察し、異常を感じた際には速やかに獣医師に相談することが大切です。
原因
犬のてんかんの原因は、大きく分けて2つに分類されます。
- 特発性てんかん
- 構造的てんかん(症候性てんかん)
これらの分類は一般的な傾向を示していますが、個々の犬の状況によって異なる可能性があります。
正確な診断と適切な治療のために、獣医師による専門的な評価が重要です。
特発性てんかん
犬の発作の主な原因として、特発性てんかんが挙げられます。
特発性てんかんは、さまざまな検査を行っても具体的な原因が特定できない場合に診断されます。
神経学的検査、血液検査、MRI検査などで異常(脳の損傷や疾患など)が検出されない場合、原因不明として分類されます。
現在、その発症メカニズムは完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質の不均衡が関与していると推測されています。
遺伝的要因が示唆される特定の犬種では、多くの場合1歳から5歳の間に発症し、特に2〜3歳までに見られることが多いようです。
ただし、これは一般的な傾向であり、犬種や個体差により例外も存在します。
なかには、生後6ヶ月や6歳での発症例も報告されています。
構造的てんかん(症候性てんかん)
一方、構造的てんかん(症候性てんかん)は、脳に器質的な異常が生じることで引き起こされます。
主な原因としては、脳腫瘍、脳炎、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、頭部外傷、水頭症、先天性脳奇形などが含まれます。
脳への障害が重度の場合、治療が困難になる可能性があります。
早期発見と適切な治療のため、獣医師との綿密な連携が不可欠です。
注意点
発作の頻度が2ヶ月に1回以上など、頻繁に繰り返される場合は、抗てんかん薬による治療が推奨されます。
5分以上持続する「重積発作」や24時間以内に2回以上発生する「群発発作」は、生命を脅かす可能性があるため、緊急性が高いです。
発作が長引く場合や短時間に複数回発生する場合は、直ちに獣医師の診察を受けることが推奨されます。
また、発作中に、犬の体を強制的に抑制したり、口腔内に物を挿入したりすることは極めて危険です。
これらの行為は避け、代わりに周囲の危険物を取り除き、安全な環境を確保することに集中してください。
症状
全般的な発作は次の通りです。
- 全身の痙攣
- 意識消失
- 強直発作:全身をピーンと突っ張らせる
- 間代発作:全身をガクガクさせる
- 強直間代発作:強直と間代が混ざったり、強直から間代に移ったりする
部分的な焦点性の発作は次の通りです。
- 運動発作:体の一部だけが突っ張る
- 行動発作:無意味に思える行動を続ける
- 自律神経発作:腹痛や下痢のような症状
その他の症状としては次のようなものが挙げられます。
- 不随意の尿失禁
- 唾液の過剰分泌
- 噛み付きや吠え声
- 体の硬直
- 四肢の痙攣
- 呼吸困難
- 心拍数の上昇
発作の持続時間は犬によって異なりますが、概ね1〜2分程度であることが多いでしょう。
ただし、5分以内に複数回繰り返す場合は、脳に与える損傷リスクが高まるため、速やかに獣医師に連絡を取ってください。
日頃から愛犬の健康状態をよく観察し、異常な兆候を早期に発見することが大切です。
治療法
治療法には主に以下の2つがあります。
- 薬物療法
- 食事療法
治療を検討する際は、獣医師と十分に相談しながら、最適な治療法を選択することが大切です。
薬物療法
この治療方法は、発作の予防と抑制を目的としています。
脳内における神経伝達物質の作用調整、神経細胞の興奮抑制などにより、発作をコントロールできます。
抗てんかん薬治療には、フェノバルビタール、臭化カリウム、ゾニサミドが使用されることが多いです。
フェノバルビタールは、単剤治療を原則とし、発作の約70%に対して効果が認められています。
臭化カリウムは、ゾニサミドと併用することで約70〜90%のてんかん発作に効果があります。
投薬の継続期間中は、定期的に血液検査を行い、血中濃度を適切に維持管理することが求められます。
血中濃度モニタリングは、適切な投薬量の調整や副作用の予防に重要です。
投薬量は、犬の体重に応じて慎重に調整する必要があります。
ただし、長期服用に伴う副作用(嘔吐、下痢、無気力、多飲多尿、過食、運動失調、昏迷など)にも注意が必要です。
獣医師の指示に従って、正しい用法容量を守りましょう。
食事療法
この治療方法は、特に難治性の症例において有効な選択肢となることがあります。
犬のてんかんは慢性的な神経疾患であり、発作を引き起こす原因は多岐にわたります。
一般的には抗てんかん薬が主な治療法とされていますが、一部の犬では薬物による療法が効果を示さないケースもあります。
このような場合、成分などを調整あるいは制限した食事管理が、補助的な治療として考慮されることがあります。
近年、特に注目されているのがケトン食療法です。
この方法は、高脂肪・低炭水化物の食事を与えることで、体内でケトン体を生成し、これが発作の抑制に寄与するといわれています。
具体的には、中鎖脂肪酸(MCT)を豊富に含む食事が用いられます。
研究によると、この方法を用いることで、犬のてんかん発作の頻度を減少させる可能性があることが示されています。
このような治療法を実施する際は、必ず獣医師の指導を受けることが重要です。
医療用ドッグフードやケトン食療法は、市販のフードよりも高価であることが多く、経済的な負担も考慮する必要があります。
また、長期的な栄養管理が求められるため、飼い主と獣医師間におけるスムーズな連携が不可欠です。
こういったアプローチは、特定の症例において有望な選択肢となり得ますが、その効果や安全性についてはまだ研究が進行中です。
そのため、専門家との相談を重ねながら適切なアプローチを行うことが重要です。
犬の痙攣:適切な対処法と注意点
前もって対処法と注意点を心得ておくことで、愛犬の健康と安全をより効果的に守ることができます。
発作時には、慌てず適切に行動し、犬の安全確保と症状の悪化防止に努めましょう。
落ち着いた対応が愛犬の命を守る鍵となります。
常に冷静さを保ち、愛犬の状態を注意深く観察することが大切です。
不用意な接触を避ける
発作中は、むやみに愛犬に触れないよう注意が必要です。
突然の接近は犬にストレスを与え、予期せぬ咬傷事故を招く可能性があります。
安全な環境の確保
発作が起きているとき、犬は自分の身体を制御することが難しい状態にあります。
周囲の家具や物品を片付け、危険のない状態で横たわることができるスペースを確保しましょう。
これにより、不慮の怪我を防ぐことができます。
屋外での対応
屋外で発作が起きた場合は、速やかに安全な場所へ移動させましょう。
犬の後ろ側(腰やお尻の辺り)をそっと支え、安静にできる場所へゆっくりと誘導してください。
犬に余分な負担がかかるため、急に動かすようなことは避け、強制的に移動させることもやめましょう。
処方薬の適切な使用
獣医師から処方された抗けいれん薬を所持している際は、指示に従って正しく使用してください。
発作が長時間にわたる場合や頻繁に再発を繰り返す場合には、薬の使用が重症化防止に役立つ可能性があります。
症状の記録
可能であれば、発作時の犬の様子を動画で記録しましょう。
これは獣医師への正確な症状報告に役立ち、発作の頻度や重症度の分析にも貢献します。
これらの対処法を心得ておくことで、犬の健康と安全を守ることができます。
ただし、愛犬のケアを最優先にしてください。
回復期のケア
発作後の回復期には、新鮮な水を与えて、ストレスを感じない快適な環境を提供することが重要です。
無理に食事を与えたり、激しい運動をさせたりすることは避けましょう。
犬が落ち着くまで、冷静さを保った状態で静かに様子を見守ってください。
獣医師への相談
初めて痙攣を起こしたとき、発作が頻繁に起こる際、あるいは長時間続く場合は、速やかに獣医師に相談してください。
原因には多様性があり、トリガーとなる根源を正しく見極めるためにも、適切な診断と治療が必要です。
病院に連れて行くべき症状は
次のような症状が見られた場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。
- 痙攣が3分以上続く
- 24時間以内に2回以上の発作が起こる(群発発作)
- 1回の発作が5分以上続くか、発作と発作の間に意識が戻らない(重積発作)
- 意識がない、呼吸が停止しているなど、生命の危険がある
これらの症状は、重篤な状態を示している可能性が高いため、迅速な判断が必要です。
獣医師の指示に従って適切な処置を行うことで、愛犬の命を救うことができます。
愛犬が発作を起こした際の対処法としては、以下の点に注意してください。
まず、気持ちを落ち着けて冷静に状況を把握し、素早く対応することが重要です。
屋外にいる場合などを除き、安全な場所に移動させようと動かすことはやめましょう。
また、抱き上げたり、無理に抑えつけたりなど、咄嗟の行動にも気を付けてください。
触れようとして手を伸ばすと、場合によっては犬に噛まれることがあるため、怪我をする可能性があります。
また、愛犬自身にも、不安や恐怖といった悪影響を与える可能性があるでしょう。
基本的には、周囲の危険な物を取り除き、クッションや毛布などを周りに置いて、犬の安全を確保することが推奨されます。
また、痙攣が起きている最中は、絶対に水や薬を飲ませないでください。
気道閉塞のリスクがあるため、非常に危険です。
なお、忘れないうちに、痙攣の時間や回数、その他の症状などをメモ帳に記録しておきましょう。
可能であれば動画を撮影しておくことで、獣医師の診断に役立つ可能性があります。
痙攣が収まったら、しばらくの間は穏やかに声をかけながら、静かに様子を見守りましょう。
再発の可能性があるため、十分注意が必要です。
また、発症後はそのままにしておかず、なるべく早めに獣医師の診察を受けることをお勧めします。
一般的に、3分以上続く痙攣は危険とされており、早急に獣医の診察を受ける必要があります。
このように、適切な対応と獣医師への早期相談が、愛犬の命を守るための重要なポイントです。
1回あたりの発作が3分以上続く場合の対応
獣医学的には、5分以上続く発作を重篤な症状として扱う傾向があります。
しかし、3分以上継続する場合も、非常に危険な状態である可能性があります。
そのため、速やかに動物病院に連絡して、正しい対応などの指示を仰ぐことが重要です。
長時間にわたり持続すると、脳への酸素供給が不足することになり、脳細胞に損傷を与える恐れがあります。
このような状態は、生命の危険にさらされるリスクが上がるため、迅速な対応が求められます。
治療の際には、獣医師の指示に従って、抗けいれん薬の投与や輸液療法などの処置を受けましょう。
場合によっては、緊急入院が必要となることもあります。
痙攣が収まった後も、再発のリスクがあるため十分な観察が必要です。
安静にさせて、新鮮な水を用意し、体温管理のために適切な環境を整えましょう。
異常な様子が見られた場合は、すぐに獣医師に相談してください。
群発発作と重積発作の対応
犬のてんかんにおいて、以下の2つの危険な症状が知られています。
- 群発発作:24時間以内に2回以上の独立したてんかん発作が生じる現象
- 重積発作:単一の発作が5分以上持続するか、複数の発作が連続し、その間に意識の回復が見られない症候
双方ともに危険であり、犬の脳に重大なダメージを与える可能性があるため、速やかな治療が不可欠です。
これらの症状が見られた場合には、直ちに獣医師に連絡して、その指示に従ってください。
また、発作後も再発のリスクが高いため、愛犬の状態を慎重に観察することが重要です。
群発発作
群発発作は、てんかんや脳疾患、中毒などが原因の可能性があります。
次のような治療と対応が必要です。
- 獣医師による原因の特定と適切な治療法の選択
- 抗てんかん薬による長期的な治療
- 輸液療法や食事療法の考慮
- 血液検査や薬物の血中濃度測定による経過観察
1日に複数回の発作が起こる場合は、すぐに獣医師の診察を受ける必要があります。
重積発作
重積発作は生命に関わる危険な状態で、群発発作と同様の原因に起因しています。
次のような緊急対応と治療が必要です。
- 抗けいれん薬の投与
- 輸液療法
- 人工呼吸を含む集中治療
- 必要に応じて麻酔下での治療
発作が5分以上続く、または発作と発作の間に意識が戻らない場合は、直ちに獣医師に連絡し、緊急治療を受けることが不可欠です。
まとめ
愛犬の健康を守るには、痙攣への理解と適切な対応が不可欠です。
本記事で解説した多様な原因と対処法は、飼い主の皆さまにとって貴重な知識となるでしょう。
日々の観察と定期検診に加え、ストレス軽減や適切な栄養管理も重要です。
また、犬種によって痙攣のリスクが異なることも覚えておきましょう。
愛犬との信頼関係を深めながら、その微妙な変化にも気づくことが、最良の予防策となります。
異変を感じたら、躊躇せず獣医師に相談することをお勧めします。
愛犬との幸せな時間を長く楽しむために、この記事が一助となれば幸いです。