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【獣医師監修】犬のあくびは眠いだけじゃない?自分や相手を落ち着かせるあくびや病気のサインを紹介

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はじめに

犬を飼っているとあくびをする姿を見かける場合があると思います。犬はただ眠いからあくびをしているだけではありません。

犬のあくびにはさまざまな意味が隠れているため、飼い主は犬のあくびの意味を理解して適切に対応することが必要です。

今回は、犬のあくびについて紹介します。眠いだけでない、自分や相手を落ち着かせるあくびや病気のサインも紹介するので、犬のあくびの違いを理解できるようになりましょう。

犬のあくびにはいろいろな意味がある

犬のあくびには、単なる眠気や疲労だけでなく、さまざまな意味が含まれています。

あくびは、犬が自分の状態や周囲の状況に対する反応を表す行動の一つであり、コミュニケーション手段としても重要です。

例えば、リラックスしているときのあくびは、単純に体がリラックスしている証拠ですが、ストレスや緊張、不安を感じているときにもあくびをする場合があります。

ストレスの場合、犬は自分を落ち着かせるためにあくびをしている場合が多いです。

また、犬同士や人とのコミュニケーションとしてもあくびを使う場合があります。

たとえば、他の犬や人が緊張していたり興奮していたりする場面で、犬があくびをして相手に「落ち着いて」と伝える場合があるのです。

これは「カーミングシグナル」と呼ばれ、犬が平和的に状況を収めたいという意図を持っています。

自然に出るあくび

犬のあくびにはさまざまな意味がありますが、自然に出るあくびは生理的な反応として重要です。

自然に出るあくびは、人間と同じく、犬が眠気を感じているときや疲労がたまったとき、リラックスした状態にあるときに自然に発生します。

自然に出るあくびの場合、特に深い意味はなく、単純に体が休息を必要としているのを示すサインです。

また、自然に出るあくびは犬の呼吸や酸素供給の調整にも関係しています。

運動後や興奮状態が続いた後にあくびをするケースがよく見られますが、一時的に酸素不足になった体に新鮮な空気を取り込み、体のバランスを整えているのです。

運動や活動の後に見られるあくびは、体がリラックスし始めているサインでもあります。

自分や相手を落ち着かせるためのあくび

次に、犬のあくびには自分や相手を落ち着かせるためのあくびも存在します。カーミングシグナルと呼ばれるものなので詳しく見ていきましょう。

カーミングシグナルとは?

カーミングシグナルとは、犬が自分自身や相手を落ち着かせ、緊張を和らげるために行うサインです。

犬は、ストレスを感じたり不安な状況に置かれたりしたときに、周囲の犬や人間に対して「危害を加えるつもりはない」というメッセージを伝えるために、特定の行動を示します。

カーミングシグナルの中でもあくびは非常に一般的で、特に見られやすいです。犬はカーミングシグナルで、自分自身を落ち着かせようとします。

緊張や不安を感じたとき、体が自然と緊張してしまいますが、あくびをすると緊張をほぐし、リラックスできるのです。また、あくびは他者に対するメッセージでもあります。

犬は他の犬や人が興奮や緊張していると感じたときに、あくびをして「リラックスしよう」「危険じゃないよ」といった意味を相手に伝えようとするのです。

カーミングシグナルが出やすい場面

カーミングシグナルが出やすい場面はいくつかあります。

  • 緊張や不安を感じているとき
  • 不満があるとき
  • 反省しているとき
  • 相手が興奮しているとき
  • 知らない犬に威嚇されたとき

反応が見られた場合は、どれに当てはまるかチェックしましょう。

緊張や不安を感じているとき

まず、カーミングシグナルが出やすい場面は犬が緊張や不安を感じているときです。

たとえば動物病院の待合室で他の犬や人に囲まれているときや、慣れない場所に連れて行かれたときに顕著に見られます。

また、家の中でも、大きな音がしたり知らない人が訪問したりすると、犬が不安を感じてあくびをしやすいです。

カーミングシグナルは、犬が自分のストレスを解消し、緊張を和らげようとする自然な行動です。

犬は状況に対処するために、あくびを通じて自分自身をリラックスさせようとしています。飼い主が犬のあくびに気づいたときは、背景にある犬の感情や状態に配慮しましょう。

犬が緊張していると感じた場合、無理に接触させたりストレスの原因をさらに強めたりしてはいけません。

環境を少し落ち着けたり、リラックスできるような方法を考えてあげたりして、犬の安心感を取り戻しましょう。

不満があるとき

次に、カーミングシグナルが出やすいのは犬が不満を感じているときです。犬は欲求が満たされないときや期待通りに進まないと感じたときに、サインを示します。

たとえば、散歩に行きたいのに飼い主が準備をしていないときや、遊びたいのに遊んでもらえないときに、犬はあくびをするのです。

不満があるときのあくびは、攻撃的な行動を取る代わりに、平和的な手段で自分の気持ちを表現しようとしています。

不満があるときのあくびは、犬が自分の欲求を押し殺しながらも冷静であろうとしているサインです。

飼い主は犬の行動を注意深く観察し、何が犬を不満にさせているのか理解しましょう。犬があくびをして不満が募る前に対処できる場合もあるので、飼い主の観察が大切です。

反省しているとき

3つ目に、カーミングシグナルが出やすい場面は犬が反省しているときです。

反省しているときは、犬がカーミングシグナルを通じて自分の反省の気持ちや「これ以上怒らないでほしい」というメッセージを表現しています。

たとえば、家の中で物を壊してしまったり、散歩中に飼い主の指示を無視したりした場合などに、飼い主が強く叱ると、犬は緊張や恐怖心からあくびをする場合があるのです。

反省しているときのあくびは、犬が自身を落ち着けようとする行動であり、同時に飼い主に対して「敵意はない」「もう問題は解決したい」という意思を伝えているとも言えます。

犬は直接的に謝罪の言葉を伝えられませんが、自分なりに反省の気持ちを表しているのです。

このような場面では、飼い主としても感情的に叱るのではなく、犬が理解しやすい方法で冷静に指示を出し、トラブルが起こらないように環境を整えてあげましょう。

相手が興奮しているとき

4つ目に、カーミングシグナルが出やすい場面は相手が興奮しているときです。

相手が興奮しているときの行動は「落ち着いてほしい」というメッセージであり、飼い主が感情的になっている場合や他の犬が過度に興奮している場合によく見られます。

たとえば、飼い主が大声を出したり急に怒鳴ったりしたときに、犬があくびをするケースが見られやすいです。

犬は飼い主の緊張や怒りを察知し、場の空気を和らげようと試みています。また、ドッグパークなどで他の犬が激しく遊んでいる場面でも、犬があくびをしている場合が多いです。

このような行動が見られたときには、飼い主も犬がリラックスできるように周囲の状況を整えたり、自分の態度を少し落ち着けたりして、犬にとっての安心感を与えましょう。

知らない犬に威嚇されたとき

最後に、カーミングシグナルが出やすい場面は知らない犬に威嚇されたときです。犬は「攻撃するつもりはない」「争いたくない」という意思を相手に伝えています。

特に、初対面の犬同士で対峙する際に、一方が威嚇的な態度を取ると、もう一方があくびをする場合が多いです。

威嚇されたときのあくびは、相手に対して「冷静になろう」「敵ではない」というメッセージを送っており、攻撃的な態度を和らげようとしています。

これは犬同士の自然なコミュニケーションであり、対立を避けるための平和的な手段です。

威嚇からのあくびの状況に遭遇した場合、飼い主は無理に犬同士を接触させるのではなく、距離を保ちながら犬が自分のペースで状況に対処できるようにしましょう。

また、飼い主がリードを強く引っ張ったり焦って行動したりすると、犬の緊張がさらに高まるため、冷静な対応が求められます。

犬がカーミングシグナルを出した時の対処法

犬がカーミングシグナルを出したときには、カーミングシグナルに敏感に反応し、適切に対処することが重要です。

まず、カーミングシグナルは、犬がストレスや不安を感じているサインであり、飼い主や周囲に対して「自分を落ち着かせたい」という意思を示しています。

そのため、犬がストレスを感じている原因を理解し、その場の状況を改善することが必要です。

カーミングシグナルが頻繁に見られる場合、原因となる状況を避けるか、少しずつ慣れさせるためのトレーニングを行うことも必要になります。

例えば、知らない人や大きな音に対してストレスを感じている場合は、無理にその状況に置くのではなく、少しずつ慣らしていくと、犬の過度なストレスを防ぐことが可能です。

また、犬が飼い主にカーミングシグナルを出している場合、犬にとって不快な行動をやめましょう。

人につられて出るあくび

次に、犬のあくびは人につられて出るあくびもあります。飼い主のあくびはうつりやすいか詳しくチェックしているので、犬のあくびを理解する上で参考にしてください。

飼い主のあくびはうつりやすい?

人のあくびに影響されてあくびをする現象は、あくびの伝染として知られています。

あくびの伝染は犬にも見られ、飼い主のあくびがうつりやすいということが研究でも示されているのです。

家族の一員として暮らす犬は、飼い主の感情や行動を敏感に読み取る能力を持っており、結果として、飼い主のあくびが犬に伝わる場合があります。

あくびの伝染は、犬が飼い主との強い絆を持っている場合に特に顕著です。

あくびの伝染は、飼い主との関係性が強いほど見られる傾向があります。

犬が飼い主のあくびに反応してあくびをするのは、単なる模倣だけではなく、感情的なつながりを深める一つのサインとも言えるでしょう。

病気かも?注意が必要な犬のあくび

次に、病気が疑われる注意が必要な犬のあくびを紹介します。違いを詳しく紹介するので、当てはまる場合はすぐに病院に連れて行ってください。

病気が疑われるあくびはどこが違う?

犬のあくびは、リラックスやコミュニケーションの一環として見られますが、あくびは病気の兆候である可能性があります。

健康な犬が行うあくびと病気が疑われるあくびにはいくつかの違いがあり、飼い主は注意が必要です。

まず、病気が原因であくびをしている場合、犬が異常に頻繁にあくびを繰り返す場合があります。

通常のあくびは一度や二度で終わりますが、病気の兆候としてのあくびは、短い間に何度も連続して見られるのです。

また、病気が疑われるあくびには、他の症状が伴う場合がよくあります。

例えば、あくびと同時にぐったりしている、食欲不振、体の震え、吐き気、よだれの過剰分泌、呼吸の乱れなど普段の行動とは異なる症状が見られた場合には注意が必要です。

特に、あくびが長時間続いたり、犬が苦しそうにしていたりする場合は、獣医師に相談することが重要です。

貧血が原因のあくび

まず、貧血が原因のあくびを紹介します。症状について詳しく紹介するので、貧血かどうか判断できるようになりましょう。

貧血の主な症状

犬の貧血の主な症状としては、疲れやすさや倦怠感です。普段元気に走り回っている犬が、急に動きたがらず少しの運動で息切れをする場合は、貧血が原因の可能性があります。

また、歯茎や舌の色が通常のピンク色から白っぽく変わっている場合も、貧血のサインです。

歯茎や舌の色の変化は血液中の赤血球が減少しているため、酸素が十分に供給されていない状態を示しています。

さらに、貧血が進行すると、犬はめまいやふらつきを感じる場合があり、歩くのが不安定になりやすいです。

呼吸が浅く速くなったり、心拍数が異常に上がったりするのも貧血の典型的な症状としてみられます。

犬が貧血の症状を示している場合は、早急に獣医の診察を受けることが必要です。

貧血は様々な原因で引き起こされるため、血液検査や骨髄検査などが行われ、貧血の原因を特定し、治療が行われます。

てんかんが原因のあくび

次に、てんかんが原因のあくびを紹介します。症状について詳しく紹介するので、てんかんか判断できるようになりましょう。

てんかんの主な症状

犬のてんかんの主な症状は、突然のけいれんや意識の喪失です。

軽度の発作では、犬が一瞬ぼんやりとした状態になる部分発作が見られる場合があり、犬があくびを繰り返す場合があります。

また、犬が突如として体の一部を震わせたり、異常な行動を示したりする場合も、てんかんの兆候かもしれません。

重度の発作では、全身のけいれんが起こり、犬が倒れて手足を突っ張るように動かす全身発作が発生します。

全身発作の場合、発作中に犬が意識を失い、口から泡を吹く場合もあるので注意が必要です。

発作後、犬は混乱したり疲れ果てた様子を見せたりし、しばらく落ち着かない状態が続きます。

てんかんは一度発症すると再発する可能性が高いため、発作の兆候が見られた場合は、迅速に獣医師の診断を受けることが重要です。可能であれば、発作が起きた日や発作の持続時間を記録しておいたり、発作の様子を録画しておくと診断に役立ちます。

口腔内の不調が原因のあくび

3つ目に、口腔内の不調が原因のあくびを紹介します。症状について詳しく紹介するので、口腔内の不調があるか判断できるようになりましょう。

口腔内の不調の症状

犬の口腔内の不調は食欲の低下が典型的な症状です。

犬が食事中に硬いものを避ける、片側の歯でのみ食べ物を噛む、あるいは食べ物を口からこぼすような行動が見られた場合、歯や歯茎の不調が考えられます。

また、口臭が強くなるのも口腔内のトラブルのサインです。歯垢や歯石が蓄積し、口腔内で細菌が繁殖すると、口臭が発生します。

さらに、よだれの量が増えたり、口の中を頻繁に気にする行動が見られたりする場合も注意が必要です。

口腔内の症状が続く場合、歯周病や口腔内の炎症が進行している可能性があります。口腔内の健康を保つためには、定期的な歯磨きや口腔内チェックが重要です。

早期の治療が必要な場合もあるため、口腔内の問題が疑われる際には速やかに獣医に相談しましょう。

低血糖が原因のあくび

最後に、低血糖が原因のあくびを紹介します。症状について詳しく紹介するので、低血糖か判断できるようになりましょう。

低血糖の主な症状

犬が低血糖になった場合、最も一般的な症状は、元気の喪失や無気力になることです。

犬がいつもと違ってだるそうにしていたり、動きが鈍かったりする場合、低血糖の可能性があります。

また、興奮したり、逆に不安を感じたりするケースもあり、落ち着かない様子を見せやすいです。

さらに、低血糖の犬は頻繁にあくびをする場合があり、脳がエネルギー不足を補おうとしています。

食欲がなくなるのも低血糖の症状の一つであり、通常の食事を拒否する場合が多いです。

重度の低血糖に進行すると、ふらつきや痙攣、意識を失う恐れもあり、緊急の医療処置が必要になります。

犬の低血糖は迅速に治療することが重要であり、早期の発見と適切な対処が飼い主の大切な役割です。

定期的な健康チェックや食事管理を行い、異常を早期に察知して、愛犬の健康を守りましょう。

ストレスによる体調不良が原因のことも

犬も人間と同様にストレスを感じ体調に悪影響を及ぼす場合があります。特に、環境の変化や飼い主の気持ちの変化、新しいペットなどがストレスの要因になりやすいです。

ストレスがかかると、犬は自分の気持ちを表現する手段としてあくびが多くなる場合があります。

ストレスからのあくびは、単に眠気を表すだけでなく、ストレスを軽減しようとする行動の一部とも言えるのです。

ストレスによる体調不良は、行動の変化として現れます。普段は活発な犬が急に元気を失ったり、食欲が落ちたりする場合、ストレスが関与しているかもしれません。

また、ストレスを感じている犬は、過剰なグルーミングや過剰なあくび、落ち着きのなさといったカーミングシグナルを示す場合がよくあります。

犬がストレスを感じている場合は、安全で安心できる場所を提供したり遊びや散歩の時間を増やしたりして環境を整えましょう。

ふだんと様子が違うと感じたら早めに病院へ

犬の健康状態は、日々の行動や食事、体調によって変化します。普段と様子が違うと感じた場合、早めに獣医師の診察を受けることが重要です。

特に、あくびの頻度が異常に増えたり、その他の体調の変化が見られたりする場合、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。

体調不良は、早期に発見し対処すると、治療の選択肢を増やすことにつながります。例えば、犬が突然食欲を失ったり、元気がなくなったりする場合は、体調不良が考えられます。

症状が続く場合、ストレスや病気の兆候として注意が必要です。また、犬の行動パターンが急に変わる場合も、健康に何らかの問題が生じていることを示しているかもしれません。

興奮しやすくなったり、逆に引っ込み思案になったりする場合も、獣医師に相談することが望ましいです。

まとめ

今回は、犬のあくびについて紹介しました。犬は自然にあくびをする場合もありますが、自分や相手を落ち着かせるためにあくびをする場合もあります。

また、人につられて出るあくびは問題ないですが、病気の可能性があるあくびには注意が必要です。頻繁なあくびや他の症状が出ている場合は、病気を疑う必要があります。

普段と様子が違うと感じた場合は、すぐに動物病院に連れていき、犬の健康をサポートしましょう。

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