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はじめに
最近はあまり見かけることが少なくなった犬の外飼いですが、「かわいそう」という声があることも理由の1つではないでしょうか。
かつて、犬は番犬として飼われていることが多く、外で犬を飼われているご家庭もありました。
しかし、時代が進むにつれて生活環境の変化や、犬種が増えたことによって、外で飼われることに適応できない犬種がいたり、外飼い自体に抵抗のある飼い主さんが増えていたりするのも事実です。
近年は外飼いされている犬もかなり減少していますが、いろいろな理由で犬を外で飼わなければならない飼い主さんもいると思います。
そこで今回は、犬の外飼いについて解説いたします。外飼いのメリット・デメリットをはじめ、注意点などをご紹介することで、もし外飼いを検討されている方への参考になればと思います。
犬を外飼いするメリットとは
犬を外で飼うことによるメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。その前にまず外で飼うことに比較的向いている犬種についてご紹介します。
柴犬、秋田県、甲斐犬などの日本犬は遺伝的に野生に近く、独立心も強いので外で飼うことができます。
ほかに、シベリアンハスキーなどの寒い地域が原産の犬も比較的外飼いに対応できる犬種です。
ただし、外で放置するわけではなく、きちんとコミュニケーションを取ったうえで、外にも愛犬の居場所を確保してあげなければなりません。
外飼いの犬でも、室内犬と変わらず必要なしつけやトレーニングはおこなう必要があります。
家の中で飼う場合も、外で飼う場合でも飼い主さんと愛犬の関係性が変わるようなことは避けるべきです。
それを踏まえたうえで、犬を外で飼うメリットについて解説いたします。
部屋を清潔に保ちやすくなる
犬を室内で飼うことで、部屋を汚してしまうことがあるかもしれません。特に小さい赤ちゃんなどがいるご家庭では、部屋のなかをできるだけ清潔に保っておきたいものです。
また、大型犬で抜け毛の多い犬種ですと、毎日ブラッシングをしても抜け毛があとを絶たず、頻繁に掃除をしなければなりません。
いたずら好きの犬の場合には、部屋のなかを荒らしまわってしまう子もいるので、特に子育て中のご家庭や、家族全員が仕事で忙しい方などはお世話に手が回らないこともあります。
ほかに、犬を飼ってからご家族にアレルギーを持っていることがわかった場合にも、部屋にアレルゲンとなる被毛などが落ちていると、アレルギーが発症してしまうおそれがあります。
このような場合にも部屋を清潔に保ち、アレルギーを予防するためにも、外で飼うことも検討しなければなりません。
犬を外で飼うことで、忙しいご家庭でも部屋をきれいに保てるというメリットが挙げられます。
番犬として家を守ってくれる
犬は警戒心の強い動物です。自分のテリトリーに不審なものが近付いてくると、人間よりも早く異常を察知して、威嚇したり、吠えたりして飼い主さんに知らせてくれることもあります。
もちろん留守中にも、番犬として家を守ってくれるでしょう。
近年、特に都市部では集合住宅が増え、番犬は減ってきていますが、かつては、庭で犬を飼って、家の近くに人が来ると吠えて知らせることもそれほど珍しくありませんでした。
ただし、愛犬が番犬になることで、常に警戒しながら過ごすことになり、知らないうちに大きなストレスを抱えてしまうことがあります。
また、誰かれ構わず警戒するあまり1日中吠えてしまって、近隣トラブルになることもあります。
そのまま放置すると、とても神経質な犬に育ってしまう可能性があり、攻撃性が高くなってしまうことがあります。
あまりにも神経質になって、常に緊張状態が続いている場合には、愛犬のストレスを解放してあげるためにもご家族が積極的にコミュニケーションを取って愛犬を安心させる必要があります。
自由に過ごせてストレスが溜まりにくい
外飼いに向いているような犬種の場合、1日中家の中で過ごすことはのんびりできる反面、1匹で自由に過ごす時間が少なく、ストレスになってしまうことがあります。
部屋のなかでは走り回ることができないため、外で好きなときに走ったり遊んだりできることでストレスを溜めにくいメリットがあります。
常に外の空気を吸いながら、自然のなかで暮らしているように自分だけの時間を満喫できるので、独立心の強い犬にとっては外飼いのメリットになります。
外で自由に過ごしてリフレッシュも大切ですが、飼い主さんと過ごす時間も愛犬にとっては同じくらい大切な時間です。そのため、お庭などに愛犬が走り回れるスペースがあっても、散歩に連れ出して飼い主さんと触れ合う時間は必ず作ってあげてください。
犬を外飼いするデメリットとは
犬を外で飼おうと検討されている飼い主さんにとって、デメリットは大変気になる部分でしょう。
やはり、外で犬を飼うということにはリスクがともないます。また、外飼いに向いていない犬種も存在しています。現在ではほとんどの犬種が室内での飼育が推奨されていますが、そのなかでも特に向いていないのは、小型犬です。
小型犬は、室内で飼い主さんやその家族と過ごすことに適しており、1匹で外につながれて飼われることには適していません。
気候や環境の変化にもあまり強くなく、孤独に過ごすことでストレスを溜めやすいと考えられています。
小型犬の場合には、狭い室内でも家族のもとで過ごし、毎日の散歩で運動する程度で十分なので、外飼いはおすすめできません。
また、シングルコートの犬は日差しの強い夏や、寒い冬にも弱く、長時間外で過ごすと体調を崩してしまう可能性があります。
ほかに考えられるデメリットに関して、以下にまとめています。
ケガや病気、感染症のリスクも高まる
外飼いは、暑さ、寒さ、雨や雪など気候の変化によって居住環境が大きく変化します。室内ならば一定の室温で快適に過ごすことができますが、外飼いの場合には、夏は熱中症、冬は寒さによる低体温症や風邪などで体調を崩してしまいやすくなります。
特に近年の夏の暑さは大変危険な暑さで、犬にとって肉体的に大きな負担になってしまうでしょう。
また、衛生的な観点でも、外で過ごすのは室内に比べて不衛生になりやすく、寄生虫やウイルスによる感染症にもなりやすいため、こまめな健康管理が必要です。
外で遊んでケガをした場合や、病気で辛い状態のときも、見落としてしまい重症化につながってしまうリスクがあります。
外で犬を飼うのは、室内飼いと比べ、愛犬と過ごす時間が少ないので、体調の変化に気付きにくいというデメリットがあります。
シャンプーやブラッシングが大変
外で過ごしている犬は、地面に寝そべることもあるため、被毛が汚れやすくなり、室内で飼われている犬よりもこまめにお手入れをしてあげることが必要となります。
汚れを落とさない状態のまま放置してしまうと、汚れの蓄積によるにおいや、皮膚の代謝がうまくいかずに皮膚病になることがあります。
皮膚病になると、皮膚が赤くなり、かゆみやフケ、べたつきなどの症状が出て、掻いてしまうことで皮膚がただれてしまうこともあります。
とはいえ、頻繁にシャンプーをすると、皮膚を守る皮脂を洗い流してしまい、かえって逆効果になってしまいます。
もし、愛犬のにおいや汚れが気になってきたら、月に1〜2回のシャンプーをする以外は、濡れたタオルで体を拭いてあげるなどしてあげるとよいでしょう。
汚れを蓄積させないためには、ブラッシングも効果的です。被毛をきれいに保ちながら、皮膚に適度な刺激を与えるため、可能であれば毎日ブラッシングをしてあげましょう。
ブラッシングの頻度が少なすぎると、毛玉になってしまい、簡単にほぐせなくなってしまうので注意が必要です。
外飼いの場合、どうしても室内犬よりも汚れやすくなり、シャンプーやブラッシングも大変ですが、清潔な状態を保つために、しっかりとお手入れする必要があります。
脱走するリスクがある
外飼いする場合、基本的にはリードをしておく必要がありますが、万が一首輪が外れてしまうとそのまま脱走されるリスクがあります。
自由に動けることで、フェンスや門の隙間などから、敷地の外に出てしまうことが考えられます。
脱走してしまうと、探し出すのが困難になり、事故の危険性が高くなるので、フェンスを設置するなど入念な脱走対策が必要です。
心理的ストレスが溜まる
暑さや寒さなどの環境への対応や、自分の縄張りである場所を守る本能による警戒心などで、室内飼いの犬よりも心理的ストレスが大きくなることがあります。
また、独立心の強い犬種でも、家族と過ごす時間が少なくなるとストレスになり、問題行動を起こしてしまうこともあるので、毎日時間を作ってコミュニケーションを取るようにしてください。
人や他の犬を噛むトラブルのリスク
犬は縄張り意識が強い動物のため、番犬の役割を果たしてくれることがありますが、それによって強い警戒心で、外部からの刺激に対して、吠えたり、攻撃的な行動をとったりすることがあります。
放置してしまうと、よく吠えることでご近所との騒音トラブルにも発展してしまうため、注意しましょう。
また、番犬としての警戒心と縄張り意識から、来客や、よその犬に噛みついてしまうこともあるので、飼い主さんの声で落ち着くようトレーニングをしておくと、いざというときに安心です。
犬を室内飼いするメリットは?
かつては家の庭で犬を飼う外飼いが一般的でしたが、集合住宅の増加など生活環境の変化により室内で犬を飼うご家庭が主流となりました。
また、外飼いには不向きな小型犬を飼うご家庭が増えたことで、室内飼いはさらに増えていきました。
現在、主流となっている室内飼いのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
犬と飼い主の絆が深まる
かつては番犬として犬を飼うご家庭も多かったため、外飼いが主流でしたが、現在は犬も大切な家族の一員という意識が強く根付き、同じ空間で過ごすことで相互理解も深まり飼い主さんとの絆が強くなると考えられます。
愛犬と飼い主さんとのコミュニケーションも外飼いに比べ、多くとれるので信頼関係が強くなり、しつけなどのトレーニングもしやすくなります。
飼い主さんも、いつも近くに愛犬がいれば、自分も癒されることが増え、いつでも遊んであげることができるので、犬好きの方にとっては愛犬との毎日に精神的に満たされることでしょう。
犬のちょっとした変化にいち早く気づくことができる
毎日、愛犬と一緒に過ごすことで、体調の変化など少しの変化にもすぐに気づくことができます。
子犬の頃は、どこか異常があればすぐに対応する必要がありますし、できるだけ近くで見守る必要があります。
また、愛犬が高齢になると、足腰が弱り自分でうまく動けなくなって介護が必要になる場合もあり、時間をかけてお世話をしてあげなければなりません。
体が不自由になり、自らの力で動くことができなくなっても、室内ならば何かあった際にもすぐに対応できます。
気候の変化にも、室内であれば室温を一定に保ち快適に過ごすことができるため、留守番している間も安心です。
このように、愛犬との距離の近さや、信頼関係を深めることができるなど室内飼いのメリットは多くあります。
犬を外飼いするときの注意点
犬を外飼いするにあたって、注意しなければならない点があります。
まずは、愛犬とのコミュニケーション不足です。1日中家の中で過ごす室内飼いにくらべ、どうしても接する時間が短くなることで愛犬が孤独を感じて、強いストレスを引き起こしてしまうことがあります。
強いストレスは問題行動の原因にもなり、破壊行動や、ずっと吠え続けてしまい、ご近所とのトラブルになってしまうことも考えられます。
そのため、毎日散歩以外にも愛犬と過ごす時間を作り、孤独を感じさせず、ストレスを溜めこまないようにしなければなりません。
コミュニケーション不足は、愛犬の病気のサインも見逃しがちです。接する時間が短いと、愛犬の体に異変が生じても気付きにくく、発見が遅れてしまいます。
毎日、食いつきよく食事をしているか、水はきちんと飲んでいるか、どこか痛そうにしていないか、愛犬をよく観察して、実際に触れ合う時間を持つことで、寂しい思いをさせずに、病気などの早期発見にもつながります。
次に環境面で整えておきたいポイントは以下のとおりです。
快適な空間を作る
外で犬を飼う場合には、1年を通して快適に過ごせる室内に比べて、天気や季節の影響を受けやすいため、犬にとって必ずしも快適ではないことも多くなります。
少しでも、気持ちよく過ごしてもらえるよう、季節に応じて環境を整えてあげましょう。
<夏の場合>
夏の外飼いの注意点についてご紹介します。
直射日光を避ける
夏は日差しも強く、高温になってしまうため、愛犬が過ごしている場所は直射日光を避けるようにしなければなりません。
もともと犬は暑さにはあまり強くないことに加え、最近は朝から日没までかなりの高温になる日が多く、熱中症などになってしまい大変危険です。
犬小屋の場所をできるだけ日差しの直撃しない場所に設置するなど、暑さ対策が必要です。
日陰を作る
直射日光がどうしても当たってしまう場合でも、逃げ場所となる日陰は必要です。
強い日差しを遮断できる犬小屋は必須で、愛犬が自分の意思で調節できるようにしておかなければいけません。
常に日差しにさらされていると、熱中症だけでなく、日焼けによって皮膚炎を起こすことがあるため、犬小屋は日光から皮膚を守るためにも必ず準備してください。
小屋の床を高くして熱を逃がす
舗装されている場所や、砂が敷いてある場所などは、かなり高温になることがあるため、小屋が地面と接していると内部の温度がさらに上昇して、快適に過ごすことができません。
そのため、地面の熱を逃がすために、小屋を置く際に床から少し高さを作ってあげるとよいでしょう。
高さを作ってあげることが難しい場合には、日中直射日光が当たらない場所に犬小屋を移動してあげてください。
常に新鮮な飲み水を用意する
夏は水分の摂取量も増えることが多く、水を飲み干していることに気付かないままでいると脱水症状を引き起こしてしまうことがあります。
また、愛犬が常に新鮮な水を飲むことができるよう、こまめに水は交換して、水を入れている容器が空になることがないようにしてあげましょう。
風通しを良くする
夏は高温になるだけでなく湿度も高く過ごしにくいため、風通しが良い場所を用意してあげてください。日陰で風通しがよければ日光の当たる場所に比べて、かなり過ごしやすくなります。
<冬の場合>
次に冬の注意点をご紹介します。
入り口にビニール素材ののれんなどで冷気が入らないようにする
冬は犬小屋の中に冷たい空気が入らないようにするために、入口にビニール素材などでのれんのようなものを付けてあげるとよいでしょう。
ビニール素材が厚すぎると重くなってしまい、犬が自由に出入りしづらくなるので、できるだけ軽めのものを用意してください。
隙間風が入ってこないようにする
犬小屋に隙間風が入ってしまうと、寒さをしのぐために小屋に入っても、内部の温度が低くなってしまいます。
対策として、小屋に隙間があるようでしたら、上からビニールシートなどで覆ってあげるか、隙間を埋める補強をしたりすることで、隙間風の侵入を防ぐことができます。
毛布など保温性の高いものを敷く
冬の晴れた日などは、日中は日差しがあるので幾分暖かい場所もありますが、夜間は気温が下がり犬小屋のなかも非常に寒くなります。
そのため、小屋の床に毛布などを敷いてあげて、愛犬が自分で寒さの調整ができるようにしてあげてください。
毛布のサイズは、小屋の広さよりも大きいものを畳んで入れておいてあげると、愛犬が自分で毛布に潜ることもできるので大きめのものがおすすめです。
防虫対策
外飼いで心配なことは気温だけではありません。特に夏になると蚊が発生するのでフィラリアの駆除薬の服用以外にも、蚊の対策が必要です。
火をつけないペット用の蚊取り線香などを、犬小屋に掛けておくとある程度の虫よけ対策にはなります。
また、水をこまめに交換しないとボウフラが発生して、蚊の大量発生にもつながるので常にきれいで新鮮な水にこまめに交換してください。
トイレは室内に
可能であれば、トイレは室内でできるようにしておきましょう。お庭で自由に排泄させると愛犬の行動範囲を清潔に保つことが難しく不衛生な場所で生活しなければなりません。
小屋の周りに悪臭が漂うこともあり、毎回掃除しても消えないことがあります。
また、高齢になって介護が必要となったときには、どうしても室内で過ごさなければならないこともあります。
その際に、室内でトイレができたほうが、愛犬にも飼い主さんにも負担が少なくて済みます。
まとめ
近年は犬を室内で飼うご家庭が多くなっていますが、さまざまな事情で外飼いを検討している方もいると思います。
しかし、きちんとした環境作りをおこなわないと、愛犬にとって過ごしにくくストレスを溜めてしまうことになります。
また、外飼いにはある程度のスペースも必要なので、犬小屋を設置できるスペースと、自由に動ける広さは準備してあげてください。
大切な愛犬が外でも安心して快適に過ごせるよう、当記事を参考にしていただけると幸いです。