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はじめに
犬にそうめんを与えても大丈夫です。そうめんの原料は、小麦粉、塩、水と少量の油によって構成されており、犬が食べてはいけない成分も入っていないため、アレルギーを持っている犬以外では、そうめんを与えることで中毒症状などを引き起こす心配はありません。
栄養素がふんだんに含まれているわけではありませんが、愛犬にとって、メリットのある成分も含まれているほか、水分も多いため、夏場の水分補給を兼ねたおやつに与えるのもよいでしょう。
今回は、愛犬がそうめんを食べることで得られるメリットや、与える量、注意点について解説いたします。
犬にそうめんを与えるメリットとは
そうめんを犬に与えるメリットはいくつかあります。
のど越しが良く、食べやすいため、食欲が落ちているときなどに与えるとよいでしょう。そうめんはやや高カロリーなので、体調を崩しているときなどのカロリー補給にも役立ちます。
人が食べるときより、やわらかく茹でれば消化もよく、歯や胃腸の弱くなった高齢犬にも安心して与えることができます。
その他にもそうめんに含まれている栄養素が、愛犬の健康にとってメリットになっているものもあるので、ご紹介していきます。
エネルギー源になる
そうめんの栄養素のなかで、多くを占めているのが炭水化物です。炭水化物を摂取することで、元気な体を維持するための重要なエネルギー源となります。
元気に遊ぶ犬は多くのカロリーを消費するため、体にエネルギーを取り込まなければなりません。
夏の暑さで食欲が落ちて、体にエネルギーが不足したときに、さっぱりとしたそうめんはとても優れたエネルギー源になってくれます。
また、そうめんには血液や筋肉を作るために必要なタンパク質も含んでいます。タンパク質はエネルギーだけでなく、体の機能を調節するホルモンや酵素の材料となって、免疫や代謝、神経機能の維持など体内の多くの部分に関わっています。
消化に良い
茹でたそうめんは、やわらかく消化によい食べ物なので、体調を崩している犬や、高齢犬などにも安心して与えることができます。
そうめんの原料である小麦には、食物繊維が含まれており、腸内細菌の働きをサポートし、腸内環境を整えてくれます。
腸内環境が悪化して、便秘や下痢を繰り返している愛犬にも、食物繊維を摂取することで症状の改善が見込めます。
また、食物繊維は消化促進以外にも、体内のコレステロールや胆汁酸などに付着して、体外へ排出する効果が期待できます。
脳の働きをサポートする
脳の働きをサポートするには、糖質の摂取が必要です。糖質が不足すると、集中力や思考能力などの低下を招いてしまいます。
そのため、脳の働きをサポートしてくれる糖質は、継続的に摂取しなければなりません。
そうめんに含まれる糖質は、原料の小麦粉のなかの「でんぷん」です。
そうめんを食べることで、でんぷんを摂取して体内でブドウ糖に分解されます。分解されたブドウ糖は体内に吸収され、血液中に取り込まれることで全身に運ばれていきます。
血液に取り込まれたブドウ糖の濃度を血糖値と呼んでいるので、聞きなじみのある方も多いでしょう。
脳のエネルギーとなり、働きをサポートする糖質がこのブドウ糖で、きちんと摂取することで、脳が安定して働く効果が期待できます。
体内の水分量や細胞外液の浸透圧を調整する
そうめんに含まれているナトリウムは、体内の水分量を常に一定に保つとともに、細胞外液の浸透圧を調整する働きをします。
細胞外液とは、体重の60%の割合を占めている水分のうちの細胞膜の外側にある体液のことで、間質液や血漿(けっしょう)、リンパ液などを指します。
これらの働きのほかに、ナトリウムはpHの調整や、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送に関与しています。
さらに、胃、腸、膵臓などの消化液の成分となるなど、ナトリウムは生命活動に多岐に渡り関わっています。
犬に与えて良いそうめんの量は
犬にそうめんを与えても、問題ありませんが、適量は守らなければなりません。そうめんには愛犬の健康をサポートする栄養素も含まれていますが、それだけでは完全な栄養補給にはなりません。
毎日の必要カロリーや栄養は、総合栄養食のドッグフードから摂る必要があるので、そうめんはあくまでおやつという位置づけと考えておかなければなりません。
愛犬がそうめんが好きで、たくさん欲しがっても、おなかが満たされてしまいドッグフードを食べなくなってしまっては、栄養が大きく偏ってしまいます。
目安としては、1日の最適な摂取カロリーの10%程度にとどめておきましょう。
そうめんは一般的に1束で約50gとなっているので、こちらを参考にしてください。
与える頻度も、毎日ではなく、週に1〜2回程度で十分です。
愛犬の大きさによって与える量が異なりますので、下記を参考にしてください。
小型犬の場合:約22g
小型犬は毎日の食事量も少ないため、おやつの量も少量でなければ、カロリー過多になってしまいます。
小型犬に与えるそうめんの目安は約22gで、半束くらいを目安にしてください。そうめんはあくまでおやつなので、これより少なくてもなんの問題もありませんが、適量を超えて与えることは避けてください。
中型犬の場合:約35g
中型犬は6kgの子もいれば10kg近い子もいるため、適量としては少なめの35g程度を目安としましょう。
大型犬の場合:約60g
大型犬の場合には、60g程度までは与えても問題ありませんが、わかりやすく1束(50g)でも構いません。
体が大きい分、あっという間に食べてしまい、「もっと欲しい」とおねだりをしてくると思いますが、適量を守って与えてください。
子犬の場合 :少量ずつ与える
子犬は、まだ内臓が成熟しておらず、慣れていない食べ物をまとめて食べてしまうと、消化不良を引き起こす可能性があります。
もし、おやつとしてそうめんを与えるならば、最初のうちはごく少量与えて、しばらく様子をみてください。
場合によっては、嘔吐や下痢になることもあるため、注意が必要です。
子犬にそうめんを与えるのは、毎日の食事を、お腹を壊すことなくきちんと食べられることを確認してからのほうがよいでしょう。
嘔吐や下痢をしてしまうと、せっかく食事で摂取した栄養が無駄になってしまい、体重が減少して体力が落ちてしまうことがあるので、注意して与えるようにしてください。
老犬の場合 :少量ずつ与える
老犬にそうめんを与える場合にも、子犬同様に注意が必要です。
老犬の場合は、消化器官の衰えや、物を飲み込む力が弱くなっているために、やわらかく茹でたそうめんでも、消化不良を起こしたり、のどに詰まらせてしまったりする可能性があります。
短くカットしたそうめんを茹でて、少量ずつ与えてください。
老犬になると、食欲が落ちてしまうことが多いので、そうめんを食べて、ドッグフードを食べる量が減ってしまったら、そうめんを与えるのを中止してください。
犬にそうめんを与える際の注意点は
そうめんは犬にとって、危険な成分もなく、おやつとして与えても特に問題はありません。しかし、食べ物との相性には個体差もあるので、注意しておきましょう。
そうめんを与える際の、注意点をまとめてあるので、参考にしてください。
初めて与えるときは少量から与える
子犬や老犬にそうめんを与える際には少量ずつ与えると前述しましたが、成犬に与えるときも最初は少量ずつ与えてください。
食欲旺盛な成犬なら、やわらかいそうめんを見たら一気に食べてしまうかもしれませんが、慣れない形状のために喉や器官に詰まらせてしまうことも考えられます。
また、成犬のなかにも、胃腸があまり強くない子の場合、食べ慣れていないものを食べると嘔吐や下痢になってしまうことがあるので、いきなりまとまった量を与えるのはおすすめしません。
なかにはそうめん自体があまり好みではない子もいるので、様子をみながら徐々に量を増やしてあげればよいでしょう。
小麦アレルギーに注意
そうめんの主な原料は小麦です。もし愛犬が小麦アレルギーならば、そうめんを与えてはいけません。
小麦アレルギーは人間でもよく見られますが、犬のなかにも小麦アレルギーは存在します。
人間と暮らすことで、いろいろな食べ物を口にすることが多いとはいえ、犬はもともと肉食です。いまでも体質は肉だけを口にしていた頃と変わっておらず、肉に合うような体のつくりをしています。
そのため、小麦をはじめとする穀物を口にすると、遺伝子的に合わない個体もおり、アレルギーを発症してしまうことがあります。
そのなかでもそうめんの原料である小麦は、アレルギーを引き起こしやすいといわれています。
小麦アレルギーの犬がそうめんを食べると、少量でもアレルギー反応が出ることがあるので、初めてそうめんを与えるときには、少量から与えてください。
アレルギーを持っている犬が、一度に大量にそうめんを食べてしまうと、場合によってはアナフィラキシーショックを起こしてしまう可能性があります。
小麦アレルギーのおもな症状は、かゆみや湿疹、嘔吐や下痢などですが、アナフィラキシーショックを起こすと蕁麻疹、血圧低下、ショック状態、意識障害など重篤な症状を引き起こすことがあり、対応が遅れてしまうと死に至ってしまうほど危険な状態です。
アレルギーの注意点として、摂取後すぐに症状が出るとは限らず、しばらく経って突然発症することもあります。場合によっては1ヵ月後に発症することもあるので、そうめんを食べたあとは、しばらく経過を観察してください。
もしそうめんを食べたあと、体調が悪く、下痢や嘔吐、皮膚が痒そうな仕草などを見せたら、病院を受診して、そうめんを食べたことを医師に伝えてください。
その際に、いつ、どれくらいの量を食べたのか、きちんと説明できるように最初に与えたときのことは記録に残しておいてください。
短く切って与える
犬は人間と違いそうめんをすするように食べることができないため、与える際は短く切ってあげてください。
長いままのそうめんを一気に食べてしまうと、喉に詰まらせてしまって危険です。嘔吐などの原因にもなってしまうので、茹でたそうめんをキッチンバサミなどで短く切って食べさせるとよいでしょう。
やわらかく茹でたそうめんは、硬いものを食べるときと違い、ついそのまま与えてしまいそうになりますが、うまく食べられないことで愛犬のストレスにもなってしまいます。
食べ慣れていないものを与えるときは、最大限の注意を払ってあげてください。
長さのほかにも、茹でたまま与えると熱いことがあるので、流水で洗って熱を取ってから食べさせてあげましょう。
乾麺は与えない
人間が乾麺を食べないのと同様に、愛犬にも乾麺で与えるのは避けてください。食べにくく詰まらせてしまう危険性があることはもちろんですが、乾麺に含まれている塩分が健康に悪影響を及ぼしてしまいます。
そうめんには塩分が多く含まれており、茹でることで塩分を洗い流し、茹であがってからさらに流水で洗い流すと、9割の塩分を減らすことができます。
乾麺のままそうめんを食べてしまうと、塩分の過剰摂取になるので、与えないでください。
そうめんの保管時にも、愛犬の届くところにそうめんを置いてしまい、乾麺を食べてしまうことがないよう注意しましょう。
そうめんを茹でる際には、人間が食べるときよりも少し長めに茹でて、やわらかくして与えると、より消化しやすく胃腸の負担軽減になります。
カロリーに気を付ける
そうめんはさっぱりとした味わいで、食欲のないときでも食べやすい特徴がありますが、実はそれなりに高カロリーな食べ物です。
乾麺の状態で100gあたりおよそ342cal、茹でた状態でも100gあたり127calのカロリーがあります。
そうめんには多くの炭水化物が含まれているため、食べ過ぎると、カロリー過多で、肥満の原因になってしまいます。
そのうえで毎日のドッグフードを食べていると、明らかにカロリーオーバーです。体や健康を維持するためには、総合栄養食のドッグフードをきちんと摂取して、おやつとしてそうめんを少量食べるのが望ましいです。
味付けは禁止
そうめんに味付けはしないで与えてください。人間が食べるときのようにめんつゆなどは絶対に使用しないでください。めんつゆにつけてしまうと、せっかく洗い流した塩分を大量に摂取することになります。
塩分の過剰摂取は、人間と同様に、血圧が上昇し、心臓や腎臓に大きな負担がかかってしまい健康を害する恐れがあります。
味のついていないそうめんに食いつきが悪いようでも、普段の食事でしっかりと栄養を補給していれば問題ないので、無理に与える必要はありません。
また、ネギなどの薬味も与えてはいけません。ネギは愛犬が食べてはいけない野菜の1つで、食べてしまうと中毒になるおそれがあります。
ネギ類は犬が少量でも食べてしまうと中毒症状が出ることがあり、嘔吐や下痢を引き起こし、重症化すると血尿や黄疸などの症状が出て、命の危険にさらされることがあります。
ネギ類は加熱処理したものでも与えてはいけません。
そうめんはめんつゆも薬味も何も使用せず、茹でたものをそのまま与えてください。
腎臓病の犬には与えない
腎臓に問題を抱えている犬は、そうめんを食べないようにしてください。理由はそうめんに含まれている塩分を、体外に正常に排出することができないおそれがあり、高カリウム血症になってしまうことがあるためです。
高カリウム血症のままさらに塩分を摂取して症状が進行すると、不整脈や心臓病になってしまうことがあるので注意が必要です。
茹でてから、流水であらうことで、多くの塩分を洗い流すことはできますが、それでも体の小さい犬にとっては、人間が感じている以上に塩分を摂取しているため、腎臓病の犬にはそうめんを与えてはいけません。
腎臓病とまでいかなくても、数値に異常が出ており、塩分に制限が出ている場合には、そうめんを与える前に、獣医師に相談して判断しましょう。
そうめん以外に犬も食べられる乾麺とは
そうめん以外にもさまざまな麺類がありますが、ご紹介する乾麺は、いずれも茹でて与えることができるものです。
そうめんがない場合でも、これらの麺でしたら犬に与えても大丈夫なので、参考にしてください。
うどん
うどんには犬にとって危険な成分が含まれていないため、愛犬に与えても問題ありません。
そうめん同様に、健康をサポートする成分も含まれているので、適量を与えていれば、愛犬の体に悪影響を及ぼすこともなくおやつとして与えることに問題はありません。
注意点として、小麦アレルギーの犬には与えるのは控えること、うどんは太いので、食べやすくするために、短く切って与えることなどがあります。
冷麦
そうめんと冷麦の違いは、太さや製法などがありますが、基本的にはそうめんと同じように犬に与えても問題はありません。
風味に若干の違いがありますが、そうめんと味に大きな違いはありません。
注意点は、そうめんよりも太いので、茹で時間が変わります。特に犬に与えるためには人間が食べるときよりもさらに茹で時間を長くして、やわらかい状態で与えてください。
そば
そばは、そうめんと原材料が異なり、そば粉を使用していますが、犬にとって有害な成分ではないため与えても問題ありません。
そばには良質なタンパク質が豊富に含まれており、そのなかでも、体内では合成できずに食事から摂取する必要のある必須アミノ酸のロイシンとリジンが多く含まれています。
また、そうめんなどに比べ、そばは低カロリーで「低炭水化物高タンパク質」な特徴があります。
ほかに、抗酸化作用のあるルチンや、糖の代謝に必要なビタミンB1、皮膚や被毛、粘膜の再生に関わり、健康を維持するビタミンB2、腸内環境を整えダイエットにも効果のある食物繊維など、愛犬の健康に役立つさまざまな働きが期待できます。
注意点はアレルギーです。人間でもそばアレルギーを持った人がいますが、犬も同様です。そばアレルギーの犬が、そばを大量に食べてしまい重度の症状が出ると、アナフィラキシーショックを引き起こすことがあります。
そばを食べたあとに、呼吸が苦しそうな状態や蕁麻疹などが出るようなことがあれば、そばアレルギーを発症した可能性があるので、ただちに動物病院へ連れていきましょう。
ほかにそばのつなぎに小麦を使用していることがあり、小麦アレルギーが出る可能性もあります。小麦アレルギーは嘔吐や下痢、かゆみが発生します。
愛犬がアレルギー体質の場合には、そばを与えるのを控えるか、獣医師に相談してから与えるようにしてください。
愛犬がアレルギーを持っているのかわからない場合には、初めてそばを与えるときにはごく少量与えてみて、経過を観察して問題ないようでしたら次回から、適量与えるように調整してください。
まとめ
犬はそうめんを食べても大丈夫です。ただし、あくまでおやつという位置づけで、主食では与えないでください。
暑い夏などに、食欲が落ちている愛犬の栄養サポートの役割は十分に果たしてくれるので、アレルギーなどがなければ、おやつメニューのなかに取り入れてもよいでしょう。
注意点として、塩分をしっかり洗い流し、短くカットして、初めてのときは少量与えて様子をみるということは実践してください。
愛犬にとっても、たまにのど越しのよいおやつを食べることで、気分転換にもなると思うので、飼い主さんがそうめんを食べる際にでも、おすそ分けしてあげてください。