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【獣医師監修】犬はケールを食べても大丈夫?ケールに含まれる栄養素や与える際の注意点を解説

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はじめに

ケールは健康に良いイメージがある野菜ですが、犬にケールを与えても大丈夫か気になる方は多いと思います。

ケールは犬に与えても大丈夫ですが、与え方や量に注意が必要です。

今回は、犬へのケールの与え方について紹介します。ケールに含まれる栄養素や与える際の注意点を解説しますので、犬にケールを与えるか検討する際にぜひ参考にしてください。

犬はケールを食べても大丈夫?

犬はケールを食べられますがおすすめはできません。推奨しない理由を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

食べることはできるが生はおすすめしない

犬はケールを食べることができますが、生のままでは与えない方が良いでしょう。

ケールにはビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に含まれており、適量を与える分には健康に良い影響を与える可能性もあります。

しかし、犬は野菜を生で消化するのが難しく、ケールをそのまま食べると消化不良を起こすリスクが高まるのです。

特に、ケールに含まれる食物繊維は犬の消化器系に負担をかける恐れがあり、消化不良や下痢、場合によっては嘔吐を引き起こす場合があります。

生のケールには、体内での栄養の吸収を妨げる成分も含まれているため、加熱してから与える方が栄養価も高いです。

また、ケールにはゴイトロゲンと呼ばれる成分が含まれています。ゴイトロゲンは、甲状腺の働きを抑制する性質があり、甲状腺疾患を持つ犬には特に注意が必要です。

加熱すると、ゴイトロゲンの作用が軽減されるため、茹でる、蒸すなどして調理することが推奨されます。

苦みが強いため犬が好んで食べることはほとんどない

ケールは栄養価が高い反面、独特の苦みが強いため、多くの犬が好んで食べることはほとんどないです。

犬の味覚は人間とは異なり、苦みや酸味に対して敏感に反応します。そのため、ケールの苦味を嫌い、与えても食べない犬が多いのです。

また、ケールには香りも独特な青臭さがあるため、匂いに敏感な犬が嫌がる傾向もあります。

犬にとって、苦味は警戒すべき味のひとつです。犬の先祖であるオオカミは、苦いものや酸味のあるものを有害な可能性があると感じるために、自然と避ける傾向がありました。

現代の犬もその性質を引き継いでおり、ケールの苦みは本能に基づいて食べない方がいいものとして認識される可能性があるのです。

苦みを少しでも和らげるために、与える際はケールを加熱調理しましょう。茹でたり蒸したりすると苦みがやわらぎ、犬がより食べやすくなる場合があります。

さらに、細かく刻んで他の食材と混ぜるなどして、苦味を感じにくくすることが可能です。

ケールに含まれる主な栄養素

次に、ケールに含まれる主な栄養素を紹介します。

  • βカロテン
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • カルシウム
  • 食物繊維

それぞれ詳しく紹介するので、犬に与えたい栄養素や効果があるかチェックしましょう。

βカロテン

まず、ケールに含まれる主な栄養素はβカロテンです。βカロテンは犬の体内でビタミンAに変換され、健康な皮膚や被毛、視力の維持、免疫機能の強化に役立ちます。

ビタミンAは特に目や皮膚に対する効果があり、加齢に伴って視力が低下しがちな犬にとっても大切です。

βカロテンは強力な抗酸化物質としても知られており、犬の細胞を酸化ストレスから守り、老化や病気の進行を遅らせる役割を果たします。

酸化ストレスとは、紫外線や汚染物質、ストレスなどによって細胞がダメージを受ける現象で、進行すると免疫力が低下しやすいです。

βカロテンは加熱に強く、ケールを加熱調理しても多く残るため、犬に与える際には調理すると消化吸収が良くなります。

特に、ケールのような緑黄色野菜に豊富に含まれるβカロテンは、加熱すると吸収効率が向上するため、犬に無理なく栄養を摂取させることが可能です。

ただし、βカロテンを過剰摂取すると健康に悪影響を及ぼす可能性もあるため、少量を心がけましょう。

ビタミンC

次に、ケールに含まれる主な栄養素はビタミンCです。犬は通常、体内でビタミンCを合成できるため必須栄養素ではないですが、健康をサポートする補助的な役割を果たします。

ビタミンCは強力な抗酸化物質としても働き、免疫力を高める効果があり、病気の予防や回復を助けることが可能です。

犬はストレスを感じる環境や、病気の際にはビタミンCの消費量が増加するため、体内の供給が追いつかない場合もあります。

その際に、ビタミンCが豊富な食材を摂取すると健康維持に役立てられるのです。

また、ビタミンCは関節や皮膚、被毛の健康にも影響を与え、コラーゲンの生成を助けるため、特に関節の負担がかかりやすい大型犬やシニア犬にとって重要になります。

加熱したケールであれば、ビタミンCの摂取が容易で消化もしやすいです。ただし、過剰なビタミンCは尿路に負担をかける場合があるため、量には気をつけましょう。

ビタミンE

3つ目に、ケールに含まれる主な栄養素はビタミンEです。ビタミンEは細胞の酸化を防ぎ、免疫システムを強化することで、病気に対する抵抗力を高める働きを持っています。

特にビタミンEは、皮膚や被毛の健康に良い影響を与え、毛並みを整える効果があるため、美しい被毛を維持したい犬にとって理想的な栄養素です。

また、ビタミンEは血液の循環を良くする役割もあるため、心血管系の健康維持にも貢献します。ビタミンEは脂溶性ビタミンのため、脂肪と一緒に摂取すると吸収率が高いです。

犬の体内でビタミンEが不足すると、皮膚のかゆみや乾燥、筋肉の弱りなどが見られる場合がありますが、適量を補給すると症状の予防にも役立ちます。

ただし、ビタミンEも過剰摂取には注意が必要です。適切な量を守りながら、犬の健康をサポートできるようにすると良いでしょう。

カルシウム

4つ目に、ケールに含まれる主な栄養素はカルシウムです。カルシウムは、犬の骨や歯の健康を支えるのに役立ちます。

カルシウムは骨密度を維持する、成長期の犬や高齢犬にとって重要な栄養素で、骨折のリスクを軽減するのに効果的です。

また、カルシウムは筋肉や神経の正常な働きを保つためにも必要なミネラルであり、心臓や筋肉の収縮にも関与しています。

そのため、ケールから摂取できるカルシウムは、犬の全身の健康維持にとって重要です。

通常、犬の食事にはバランスの取れた栄養が含まれているため、カルシウムが不足するケースは少ないですが、少量のケールを加えるとさらに補強できます。

カルシウムを過剰に摂取すると逆に健康に悪影響を及ぼすため、ケールはあくまで補助的な役割として少量与えることが大切です。

調理するとカルシウムの吸収が良くなるだけでなく、消化もしやすくなりますので、犬が無理なく栄養を摂取できる形で与えましょう。

食物繊維

最後に、ケールに含まれる主な栄養素は食物繊維です。食物繊維は犬の消化器官の健康を支える役割を果たします。

食物繊維は便の通りを良くし、腸内環境を整えるのに役立つため、便秘がちの犬や消化の問題を抱える犬にとって助けになる栄養素です。

食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と溶けない不溶性食物繊維がありますが、ケールには両方が含まれており、腸内の有害物質を排出するデトックス効果も期待できます。

ただし、犬は食物繊維を多量に摂取すると消化不良を引き起こす可能性があるため、与え過ぎには注意が必要です。

食物繊維が過剰になると下痢やガス溜まりの原因にもなり、腸内のバランスが崩れる場合があります。

そのため、ケールを与える際は少量ずつ様子を見ながら調整し、消化に負担がかからないようにすることが大切です。

また、ケールを加熱すると繊維が柔らかくなり、消化しやすくなるため、犬にとって負担の少ない形で食物繊維を摂取できるよう工夫しましょう。

与えて良い量はどれくらい?

犬にケールを与える際、適量を守ることが大切です。

ケールには多くの栄養素が含まれていますが、その一方で食物繊維やビタミン、ミネラルの過剰摂取は犬の健康に悪影響を与える可能性があるため、少量を与えましょう。

一般的には、10g〜20gを目安にするのが良いです。ただし、あくまで補助的な役割として与えるものであり、ケール自体が主食になるわけではありません。

また、ケールを与える頻度にも注意が必要です。日常的に与えるよりは、週に1〜2回程度に留めましょう。

犬の食事は基本的に肉を中心とした高たんぱくなものが適しており、ケールはあくまで栄養の補完的な役割で考えてください。

頻繁に与えすぎると腸内環境が乱れたり、消化不良を起こしたりするリスクがあるため、適度な量に抑えることが大切です。

ケールを犬に与える際の注意点

次に、ケールを犬に与える際の注意点を紹介します。

  • なるべく加熱してから与える
  • 甲状腺疾患のある犬には与えない
  • 消化不良を起こすことがある
  • アレルギー反応に気をつける

それぞれ詳しく紹介するので、与える際は必ず実践してください。

なるべく加熱してから与える

まず、犬にケールを与える際はなるべく加熱してから与えることが大切です。加熱する効果を詳しく紹介するので、実践して犬の健康を守りましょう。

消化しやすくなる

犬にケールを与える際に加熱すると、消化がしやすくなります。生のケールには、繊維が豊富に含まれているため、犬の消化器官では分解が難しい場合が多いです。

加熱すると繊維が柔らかくなり、犬の胃や腸に負担をかけずに栄養を吸収できるようになります。

犬の消化システムは、肉類に比べて植物繊維の消化が得意ではないため、加熱処理は非常に重要です。

また、犬の体内で食べ物がどのように消化・吸収されるかを考慮し、細かく刻むかペースト状にするなどの工夫も消化を助ける効果が期待できます。

生のケールは消化に時間がかかるうえ、消化しないまま腸に到達しやすいです。そして、下痢や軟便などの消化不良を引き起こす原因になる場合もあります。

加熱したケールであれば、消化吸収がスムーズになるため、犬の体にも優しく、安全に栄養を取り込むことが可能です。

例えば、蒸しケールや茹でたケールは柔らかく消化しやすいので、犬の負担を減らしたい場合に適しています。

苦みが減って食べやすくなる

次に、犬にケールを与える際に加熱すると、ケールの持つ独特の苦味が和らぎ、犬がより食べやすくなります。

ケールの苦味は、犬にとっては好ましくない味であり、苦味を感じると拒否することが多いです。

しかし、加熱するとケールに含まれる苦味成分が軽減され、香りもやわらかくなるため、犬が食べやすくなります。

特に茹でたり蒸したりする方法は、苦味を抑えるのに効果的で、犬にとっても食べやすい状態です。

犬は一般的に苦味の強い食材に対して警戒心を持つ場合が多くあります。加熱をすると香りが引き立ち、風味も柔らかくなり、犬が親しみやすくなるのです。

調理方法としては、オイルや調味料を一切使用せず、シンプルに加熱しましょう。犬にとっては余計な添加物がないほうが安全で、味わいも素朴な方が好まれます。

ケールを犬に与える際には、必ず加熱してから与えて苦味を抑え、食べやすくする工夫をしましょう。

甲状腺疾患のある犬には与えない

次に、犬にケールを与える際は甲状腺疾患のある犬には与えないことが大切です。ケールに含まれるゴイトロゲンが悪影響を及ぼすので、詳しくみていきましょう。

甲状腺ホルモンの分泌を妨げるゴイトロゲンが含まれている

ケールにはゴイトロゲンと呼ばれる成分が含まれており、甲状腺ホルモンの分泌を妨げる可能性があります。

ゴイトロゲンは、特に甲状腺の機能に影響を与えやすい成分で、過剰に摂取すると甲状腺腫などのリスクが高まるのです。

そのため、甲状腺疾患を抱える犬にはケールの摂取は避けた方が良いでしょう。

甲状腺機能に問題がある犬がゴイトロゲンを含む食材を摂取すると、さらにホルモンの分泌が不安定になる可能性があります。

甲状腺の健康は、犬の代謝やエネルギーの維持、さらには毛並みや皮膚の健康にも直結しているため、注意が必要です。

もし甲状腺の疾患が心配される場合は、ケールに限らず他のゴイトロゲンを含む食材についても確認しておきましょう。

加熱処理を行うとゴイトロゲンの一部が減少するとはいえ、完全に除去するのは難しいため、甲状腺疾患のある犬にはケールを与えない方が安全です。

消化不良を起こすことがある

3つ目に、犬にケールを与える際は消化不良に注意しましょう。犬の身体構造が影響しているのでリスクを理解した上で与えるか検討してください。

犬は野菜の消化が得意ではない

犬は野菜の消化が得意ではなく、特にケールのような繊維質が多い野菜は、消化に負担がかかる恐れがあります。

犬の消化器官は、肉や動物性たんぱく質を効率よく分解するよう進化しており、野菜や植物性の繊維質を分解する酵素が少ないため、消化しづらい傾向にあるのです。

そのため、生のケールや加熱が不十分なケールを与えると、消化不良を起こしやすく、便が柔らかくなる、下痢をするなどの症状が現れる場合があります。

ケールを犬に与える際は、細かく刻んで加熱して消化しやすい状態にし、犬の負担を軽減する工夫が重要です。

また、他の食材と混ぜると、繊維が過剰に偏らないようにする効果も期待できます。

犬の腸内での負担を最小限に抑え、栄養がしっかり吸収されるようにするためにも、消化が難しい野菜類は、少量ずつ様子を見ながら与えましょう。

アレルギー反応に気をつける

最後に、犬にケールを与える際はアレルギー反応に気をつけましょう。与え方や症状も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

初めて与えるときはごく少量にする

初めてケールを犬に与える際は、ごく少量から始めることが大切です。新しい食材を突然与えると、犬の体が驚きアレルギー反応や消化不良を引き起こすリスクが高まります。

特にケールは、犬にとっては普段摂取しない野菜であり、過敏に反応することも少なくありません。

最初は少量から与え、数日間体調に変化がないか様子を観察することが大切です。

少量ずつ試すと、アレルギーや体調不良のサインを早期に発見しやすくなり、犬が新しい食材に徐々に慣れるための時間も確保できます。

また、ケールを与える頻度も調整し、毎日ではなく週に1〜2回程度の頻度で与えると安心です。犬の体に合うかどうかを確かめながら、適応させていくと健康維持に繋がります。

アレルギー症状や体調変化が見られた場合には、すぐに摂取を中止し、かかりつけの獣医に相談すると良いでしょう。

アレルギーが起きた時の症状は?

犬がケールに対してアレルギー反応を起こした場合、いくつかの症状が現れることがあります。

一般的なアレルギー反応としては、かゆみや皮膚の発赤、発疹、下痢、嘔吐、耳のかゆみや炎症などです。

症状が現れた場合はアレルギーの可能性があるため、ケールの摂取を中止し、速やかに動物病院で診察を受けましょう。

特に嘔吐や激しい下痢などの消化器症状は、水分不足に繋がる恐れがあるため注意が必要です。

また、呼吸が荒くなる、口の周りが腫れるといった重篤なアレルギー反応が発生することもまれにあります。

これらの症状はアナフィラキシーショックの兆候であり、命に関わる緊急事態になる場合があるため、すぐに動物病院に連れていくことが必要です。

アレルギー症状を未然に防ぐためにも、ケールを初めて与える際は少量にとどめ、体調や皮膚の変化をよく観察しましょう。

犬に青汁を与えてもいい?

犬に青汁を与えるのは推奨できません。青汁の成分が犬の健康に悪影響を及ぼす危険があるので詳しくみていきましょう。

青汁は人間用に調整されている

青汁は人間向けに栄養成分が調整された飲料であり、犬にとっては必ずしも適した食品ではありません。

一般的な青汁にはケールや大麦若葉といったさまざまな緑葉野菜が含まれており、人間の栄養バランスを補うことを目的としています。

特にビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、人間にとっては健康維持や免疫力向上に役立つとされていますが、犬の体には必ずしも同じ効果が期待できるわけではありません。

犬と人間では体の大きさや消化器官の仕組みが異なるため、人間にとって適切な成分でも犬には負担となる可能性があるのです。

また、青汁には添加物や調整成分が加えられている場合が多く、人間の味覚に合わせているため、犬にとっては刺激が強すぎる場合もあります。

そのため、青汁を犬に与える場合は、犬用に開発されたものがあるかを確認することが重要です。

人間用の青汁は、人間のために調整された成分や添加物が含まれているため、安易に犬に与えるのは避けましょう。

犬には与えない方がよい

青汁は犬には与えない方が無難です。青汁に含まれる一部の成分は犬にとって消化が難しく、かえって健康リスクとなる可能性があります。

例えば、ケールやほうれん草などの濃い緑色の野菜にはシュウ酸という成分が含まれている場合が多く、犬の腎臓に負担をかける恐れがあります。

また、青汁に含まれる食物繊維が犬の消化器官に刺激を与え、下痢や便秘などの消化不良を引き起こしやすいです。

犬に必要な栄養は、バランスのとれたドッグフードから摂取するのを推奨します。

青汁は特に人間用に作られているため、犬にとって害となる成分が含まれている可能性が高いです。リスクを避けるためにも、青汁を犬に与えることは避けましょう。

まとめ

今回は、犬へのケールの与え方を紹介しました。ケールはβカロテンやビタミンC、ビタミンE、食物繊維など栄養素が豊富に含まれています。

そのため、犬にケールを与えても大丈夫ですが、生のままだと危険なので加熱処理をすることが大切です。

また、甲状腺疾患のある犬には与えないようにし、消化不良やアレルギー反応に気をつけてください。

人間用の青汁は犬の体に悪影響なので与えず、通常のケールを活用して犬の健康をサポートしましょう。

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