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はじめに
犬が誤ってスルメを食べてしまった時に大丈夫か気になる方は多いと思います。犬にスルメは基本的に与えてはいけません。
犬がスルメを食べると消化不良や病気のリスクが高まるので、与えないような環境づくりと食べてしまった場合の対処が重要です。
今回は、犬にスルメを与えてはいけない理由を紹介します。誤って食べてしまった時の対処法も解説するので、日頃から犬に与えないように徹底しましょう。
犬にスルメを与えてはいけない理由とは?
まず、犬にスルメを与えてはいけない理由を紹介します。
- 塩分の過剰摂取
- リンが多く含まれている
- 消化不良による下痢・嘔吐
- 胃腸内で膨らみ、最悪腸閉塞になることも
それぞれ詳しく紹介するので、リスクを理解して犬には与えないようにしましょう。
塩分の過剰摂取
まず、犬にスルメを与えてはいけないのは塩分の過剰摂取になるからです。スルメは独特の風味と噛みごたえで人間にとって魅力的なおつまみですが、犬には向いていません。
特にスルメに含まれる高い塩分量が、犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
犬は人間ほど塩分を体外に排出する能力が高くなく、少量の塩分でも体に負担がかかりやすいです。
過剰な塩分を摂取すると、喉の渇きを訴え、大量の水を飲むようになります。それに伴い、頻尿や嘔吐、下痢といった症状が現れやすいです。
さらに深刻な場合、塩中毒に発展し、震えやけいれん、さらには命の危険を伴う腎不全を引き起こすリスクもあります。
また、小型犬や高齢犬、腎臓に既往症がある犬では、塩分の摂取が特に致命的になるのです。
スルメを与え続けると慢性的な高血圧や心臓疾患のリスクが高まり、犬の寿命を大きく縮める原因になると考えられます。
リンが多く含まれている
次に、犬にスルメを与えてはいけないのはリンが多く含まれているからです。リンは過剰に摂取すると逆に健康に害を及ぼす可能性があります。
犬の体内では、リンとカルシウムのバランスが非常に重要です。
適切な比率が保たれていれば骨や歯の健康を維持できますが、リンが多すぎるとカルシウムとのバランスが崩れ、骨折しやすくなったり、骨の発達が妨げられたりします。
特に注意が必要なのは、腎臓に疾患を持つ犬やシニア犬です。リンは腎臓で代謝されますが、腎機能が低下している場合、リンを効率的に処理できなくなります。
その結果、血液中のリン濃度が上昇し、腎臓病の進行を早めてしまうのです。
スルメを頻繁に与えて慢性的にリンを摂取し続けると、腎臓だけでなく心血管系にも悪影響を与える可能性があります。
また、スルメにはリンだけでなく塩分やその他の添加物も含まれるため、総合的に見て犬には不適切な食品です。
消化不良による下痢・嘔吐
3つ目に、犬にスルメを与えてはいけないのは消化不良による下痢・嘔吐のリスクがあるからです。
スルメは硬くて噛みごたえがあり、犬にとって魅力的な食品に見えるかもしれません。しかし、スルメを食べると犬の胃腸に負担をかけ、消化不良を引き起こす恐れがあります。
犬の消化器官は人間に比べて単純な構造を持っており、特に硬い食品や繊維質の多い食品を消化するのが苦手です。
スルメはその特性上、胃の中でうまく分解されず、腸に進む過程で詰まりや膨張を引き起こす恐れがあります。
消化不良によって犬は下痢や嘔吐といった症状を示す場合が多く、続くと脱水症状を引き起こす可能性が高いです。
さらに、スルメには高濃度のタンパク質が含まれており、一部の犬では刺激となって腸内環境を乱し、悪玉菌の増殖を招く場合があります。
その結果、慢性的な胃腸のトラブルに発展するケースも考えられるのです。
胃腸内で膨らみ、最悪腸閉塞になることも
最後に、犬にスルメを与えてはいけないのは胃腸内で膨らみ最悪腸閉塞になる恐れがあるからです。
スルメは乾燥しており、水分を吸収することで大きく膨らむ特性があります。この特性が犬の胃腸に深刻な問題を引き起こす可能性があります。
犬がスルメを食べると、胃腸内で水分を吸収し、膨張して消化管が詰まりやすいです。
特に、スルメの大きな塊をそのまま飲み込んだ場合や噛み砕かずに食べた場合、胃腸内で急激に膨らみ、腸閉塞を引き起こすリスクが高まります。
腸閉塞が起こると、犬は強い不快感を感じ、症状が進行すると命に関わるので非常に危険です。
腸閉塞の症状
腸閉塞は、消化管内に異物や硬い食べ物が詰まることで発生する深刻な病気です。
特にスルメのように水分を吸収して膨張する食品は、犬の胃や腸で詰まりやすく、症状を悪化させるリスクがあります。
腸閉塞になると下記の症状がみられる場合が多いです。
- 急に元気がなくなる
- 嘔吐やえづきを繰り返す
- 排便をしたい素振りをするが出ない
- 腹痛に身体を小刻みに震わす
それぞれ詳しく紹介するので、症状がみられたらすぐに動物病院に連れて行きましょう。
急に元気がなくなる
まず、腸閉塞の初期症状の一つが急な元気の喪失です。普段は活発に動き回ったり遊んだりする犬が、突然元気をなくし、じっとして動かなくなる場合があります。
急な元気の喪失は、腸閉塞による不快感や痛みが原因です。詰まった部分が腸内のガスや消化物の流れを遮断すると、胃腸が膨らみ、犬に強いストレスを与えます。
また、痛みによって食欲も低下し、普段なら喜んで食べるおやつやフードに興味を示さなくなる場合が多いです。
急な元気の喪失は、単なる疲労や気分のムラとは異なり、何らかの体調不良を示唆しています。
飼い主は普段の犬の活発さを基準にして、急に元気がなくなるといった兆候を見逃さないことが大切です。
特に、スルメや他の硬い食べ物を摂取した後に症状が現れた場合は、腸閉塞の可能性を疑い、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
嘔吐やえづきを繰り返す
次に、嘔吐やえづきを繰り返すのも腸閉塞の代表的な症状の一つです。
スルメのような硬くて消化しにくい食品を摂取すると、胃や腸の通過が妨げられ、体は異物を排除しようとします。
その結果、犬は何度も嘔吐やえづきを繰り返すようになるのです。
初期の段階では食べたものをそのまま吐き出すケースが多いですが、腸閉塞が進行すると胃液や泡状の液体しか出てこなくなります。
嘔吐が頻繁に続くと、犬は脱水症状を起こす可能性が高いです。特に小型犬や子犬では、脱水が速やかに進行し、命に関わる状況に陥る可能性があります。
また、嘔吐と同時に食欲不振や元気の低下が見られる場合は、消化器系に深刻な問題が起きているサインです。
スルメを摂取した後に症状が確認された場合、すぐに動物病院で診察を受け、適切な治療を受けましょう。
排便をしたい素振りをするが出ない
3つ目に、腸閉塞の症状は排便をしたい素振りをするが出ない状態です。腸閉塞になると消化管内での詰まりが原因で、通常の排泄が妨げられます。
犬は排便姿勢を何度も取るものの、何も出ないか、少量の液体だけが出る場合が多いです。排便できない状態は犬にとって非常に不快で、ストレスの原因にもなります。
特に注意すべきは、長時間続いたり、嘔吐や元気の喪失などの他の症状と併発する場合です。腸閉塞が疑われる状況では、飼い主が無理に排泄を促そうとしてはいけません。
詰まった部分にさらなる負担をかけ、症状を悪化させる可能性が高いです。排便できない状況が見られたら、速やかに動物病院で診察を受けましょう。
腹痛に身体を小刻みに震わす
最後に、腸閉塞の症状は激しい腹痛で身体を小刻みに震わす状態です。
痛みに耐えきれず、身体を小刻みに震わせる、伏せたまま動かない、触られるのを嫌がるといった行動を示す場合があります。
これらの行動は、明確な痛みのサインであり、放置すれば症状が悪化し、生命に危険が及ぶ可能性が高いです。
腹痛は詰まった腸が膨張し、消化管の内圧が上昇しているために発生します。腹痛が続くと、腸壁の血流が途絶えて組織が壊死する危険もあるのです。
犬の行動や表情から痛みを感じていると判断できた場合、速やかに動物病院で適切な診察と治療を受けましょう。
飼い主が異変を早期に察知し、迅速に対応して犬の命を救ってください。
犬がスルメを誤って食べてしまった時の対処法!
次に、犬がスルメを誤って食べてしまった時の対処法を紹介します。
- 小さいサイズでほんの少量を食べたぐらいでは問題ない
- 無理に吐かせようとしない
- 少量であれば少し様子を見る
- 異変があればすぐに動物病院へ
それぞれ対処法のポイントを詳しく紹介するので、焦らずに冷静に対処できるようになりましょう。
小さいサイズでほんの少量を食べたぐらいでは問題ない
まず、犬がスルメを誤って少量だけ食べた場合、大きな健康被害が出る可能性は低いとされています。
スルメは消化の悪さや塩分の高さが問題になる食材ですが、少量であれば犬の体に対する負担も軽度で済む可能性があるのです。
ただし、犬の体重や体調、食べたスルメの量や状態にも左右されるため、注意しましょう。
例えば、5kg程度の小型犬がスルメを数グラム食べた場合、大きなリスクになる可能性は低いと考えられますが、飼い主は油断せず犬の様子を観察する必要があります。
特に、スルメが小さくカットされていたり細かく刻まれていたりした場合、消化管を通過しやすくなるためリスクは低いです。
しかし、大きな塊をそのまま飲み込んだ場合は、胃腸内で膨らむ危険性があるため注意しましょう。
さらに、スルメに味付けがされている場合は、塩分の過剰摂取につながる可能性があるので量が少なくても獣医師に相談するのが重要です。
スルメを食べた量や時間、犬の体重や体調をメモしておくと、病院での診断や対応がスムーズになります。
ほんの少量であっても、普段与えない食材を食べた場合は慎重に対応して、犬の健康を守りましょう。
無理に吐かせようとしない
次に、犬がスルメを食べてしまった際、無理に吐かせるのはやめましょう。スルメのような乾燥食品は、水分を吸収して膨らむ特性があり、胃腸内で膨張して詰まりやすいです。
そのため、吐かせる行為がさらに状況を悪化させる恐れがあります。また、犬の食道や胃を傷つけるリスクも高く、場合によっては食道炎や胃壁の損傷を引き起こすのです。
特に、塩分や味付けが濃いスルメを食べた場合、吐き戻しの際に喉や胃壁に強い刺激を与える可能性があります。
そうなると、犬にとって大きな苦痛を伴い、場合によってはさらに深刻な健康問題を引き起こす可能性が高いです。
そのため、スルメを食べた後に異変を感じた場合でも、家庭で吐かせる処置をするのではなく、すぐに動物病院に相談しましょう。
また、一般的に犬の誤食時に使用される過酸化水素などの吐剤も、スルメの誤食には適していません。
誤った処置による健康被害を防ぐため、獣医師の指示に従うことが重要です。飼い主が冷静に対処し、速やかに専門家に相談すると犬の命を守ることができます。
少量であれば少し様子をみる
3つ目に、犬がスルメを少量だけ食べた場合、すぐに症状が出ない場合もあるのでまずは犬の様子を慎重に観察しましょう。
具体的には、嘔吐や下痢、元気の喪失、食欲不振などの異変がないか確認します。
症状が見られない場合、体内で問題が起きていない可能性が高いですが、油断せず引き続き監視を続けることが大切です。
スルメの誤食後、特に飲み込んだスルメが胃腸内で膨らむことで腸閉塞を引き起こすリスクに注意する必要があります。
発生すると、食べ物や消化液が腸を通過できなくなり、数時間から数日後に嘔吐や腹部の張りといった症状が現れやすいです。
そのため、食べた直後だけでなく、数日間は異常がないか観察しましょう。観察中に気になる症状が現れた場合、速やかに動物病院に相談してください。
病院に行く際は、スルメを食べた量や時間、犬の体重、体調をメモしておくと診断がスムーズになります。
少量で症状が出ない場合でも、次回からは同じ事故を防ぐためにスルメを犬の手の届かない場所に保管するなどの対策の徹底が重要です。
異変があればすぐに動物病院へ
最後に、犬がスルメを誤って食べた場合、異変があればすぐに動物病院へ連れて行きましょう。病院に連れて行く際のポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
下記内容をメモし、病院に正確に伝えよう
まず、犬がスルメを誤食して異変を感じた場合、病院に向かう前に、状況を正確に伝えられるよう必要な情報をまとめておきましょう。
情報が揃っていると、獣医師が犬の状態を正確に把握し、最適な対応をする助けになります。
緊急時に正確な情報を共有すると、処置がスムーズに進み、犬の負担を軽減することが可能です。緊急事態であっても、冷静に対応することを心がけましょう。
犬種、年齢、体重
動物病院で診察を受ける際、犬種、年齢、体重の情報は治療方針を決定するうえで基本となる重要なデータです。
これらの情報は、薬の量や治療方法を決める際に参考にされます。
例えば、小型犬と大型犬ではスルメの影響も異なり、小型犬のほうが少量の塩分や食物繊維でも重大な問題を引き起こす可能性があるのです。
また、年齢によっても体の耐性や臓器の健康状態が異なるため、若い犬とシニア犬では対応方法が変わる場合があります。
さらに、体重はスルメの摂取量が体重に対してどれだけの負担を与えるかを判断する指標です。
診察時にこれらの情報をスムーズに伝えられるように準備しておきましょう。普段から犬の健康情報をノートやスマホに記録しておくと、緊急時にも迅速に対応できます。
食べた時間と食べた量
次に、スルメを食べた時間と量を正確に把握して伝えることも、治療の適切性を高めるために非常に重要です。
摂取時間が分かると、スルメが胃腸内でどの段階にあるのかを推測でき、対処法が変わる場合があります。
例えば、摂取直後であれば胃洗浄などの処置が可能なこともありますが、時間が経過している場合は腸内で膨らむリスクを考慮した対応が必要です。
摂取量についても、スルメのサイズや形状、状態がわかると胃腸への影響を予測しやすくなります。
少量であれば経過観察が可能な場合もありますが、多量の場合は迅速な処置が求められるケースが多いです。
誤飲したスルメの包装や残りを持参すると、獣医師がより具体的に状況を把握しやすくなります。
犬の状態と症状
最後に、犬がスルメを食べた後の状態や症状を詳しく観察して記録しておくことが診察を進めるうえで非常に役立ちます。
たとえば、元気がない、食欲不振、嘔吐、下痢、腹部の張り、えづきなど、普段とは異なる行動や体調の変化を正確に伝えることが必要です。
これらの症状は、腸閉塞や塩分過剰摂取といった具体的な問題の手がかりになります。
また、症状がいつから現れたのか、その頻度や程度も重要な情報です。嘔吐や下痢が頻繁に起きている場合や、症状が悪化している場合は緊急性が高まります。
さらに、犬が苦しそうに体を丸めている、震えている、鳴いているなど、痛みを示す仕草がある場合も注意が必要です。
これらの観察結果を正確に伝えると、診断と治療が迅速に行えるようになります。
犬がスルメしか食べなくなってしまったら
最後に、犬がスルメしか食べなくなってしまった場合の対処法について紹介します。徐々に改善していく必要があるので、ぜひ参考にしてください。
あらかじめ水で戻し、少量を刻んでドッグフードにトッピング
まず、犬がスルメしか食べなくなった場合、食事バランスを整えるために工夫が必要です。
スルメはそのままでは固く、胃腸に負担をかける可能性があるため、まず水で十分に戻して柔らかくします。
この際、スルメに含まれる塩分を取り除く目的で、流水に浸ける時間を長めにするのが大切です。塩分が多く残ると、犬の健康に悪影響を与える可能性があるため注意してください。
戻したスルメを細かく刻み、少量をドッグフードに混ぜる形で与えると、スルメの風味を楽しませつつ、栄養バランスを補うことができます。
ただし、トッピングする量は極力少なくし、スルメが主食にならないよう配慮が必要です。
また、犬の反応や体調の変化に細心の注意を払い、下痢や嘔吐などの症状が見られた場合は即座に中止してください。
ドッグフードにトッピングする方法を活用して、徐々にドッグフードを中心とした健康的な食事に戻していきましょう。
少しずつスルメを減らして犬用のおやつにシフトチェンジ
次に、犬がスルメばかり食べる場合は、スルメの量を少しずつ減らしながら他の食材に慣れさせる工夫が必要です。
急激にスルメを取り上げると犬が食事を拒否してしまう可能性があるため、段階的なアプローチを取りましょう。
まず、スルメを刻んで他のおやつやドッグフードに混ぜる方法を試します。少量から始めて、徐々にスルメの割合を減らし、犬用のおやつや食材の割合を増やしていきましょう。
犬用おやつは、低塩分で消化に良いものを選ぶのがポイントです。
ジャーキーやサツマイモチップス、専用のトリーツなど、犬の好みに合わせた選択を行うとスムーズに移行しやすくなります。
また、犬が食事を楽しめるよう、ポジティブな体験を関連付ける工夫も重要です。例えば、新しいおやつを与える際に褒めたり、一緒に遊んだりして楽しい時間を演出しましょう。
工夫を重ねると犬がスルメ以外の食べ物にも興味を持ち、健康的な食事スタイルへの移行が期待できます。
まとめ
今回は、犬にスルメを与えてはいけない理由を紹介しました。スルメは塩分やリンが多く含まれており、消化不良や腸閉塞を引き起こすので与えてはいけません。
犬が腸閉塞になると、元気の喪失や嘔吐、腹痛などの症状が現れます。犬が誤ってスルメを食べてしまった場合、無理に吐かせようとせず少量であれば様子をみましょう。
また、食べた後の様子などを観察し、異変があればすぐに病院へ連れていくことが大切です。犬がスルメしか食べない場合も徐々にスルメを減らして健康的な食事に戻しましょう。