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はじめに
犬も人間と同じようにうつ病になるのか気になる方は多いと思います。
犬はストレスや不安からうつ病を引き起こす恐れがあるので、飼い主は日頃から犬の様子をチェックし、愛犬がストレスを抱えていればすぐに対処することが大切です。
今回は、犬のうつ病について紹介します。
よくある心の病気や対処法を詳しく解説するので、愛犬の心の病を抱えているか判断できるようになりましょう。
犬もうつ病になるの?
実は、犬も人間と同様にうつ病になる可能性があります。
犬のうつ病は、飼い主との別れや家庭内の環境変化、孤独な時間の増加などで引き起こされる場合が多いです。
犬は感受性が豊かで飼い主との絆が強いため、飼い主が不在の時間が長くなったり、家族構成の変化などが起きたりすると、強い不安や孤独感を感じやすくなります。
こうしたストレスが蓄積すると、犬も元気を失って活動的でなくなり、食欲不振や体重減少などが見られる場合があるのです。
また、犬がうつ病に陥る原因は身体的な要因も関係しています。高齢犬では、痛みや病気による慢性的な不快感が精神面に悪影響を与え、うつ状態になるケースも少なくありません。
また、特定の犬種もストレスに敏感であり、特に社交的で人懐っこい犬種ほど孤独を感じやすく、うつ病に陥りやすい傾向があるとされています。
犬によくある心の病気
次に、犬によくある心の病気を紹介します。
- 分離不安症
- 常同障害
- 円形脱毛症
それぞれ詳しく紹介するので、原因や症状の違いについて理解しましょう。
分離不安症
まず、分離不安症は、犬が飼い主と離れると強い不安やストレスを感じる精神的な症状です。
犬は人との関係性を大切にする動物のため、長時間一人で留守番をする際や急な環境の変化が大きなストレスとなり、分離不安症が引き起こされる場合があります。
また、社会性が育まれる子犬期に、他者と関わる経験が少なかったり、過去に飼い主と急に別れたりした経験がある犬も発症リスクが高いです。
分離不安症の犬は、飼い主の姿が見えなくなるとパニック状態に陥り、何とかして不安を解消しようとします。
しかし、環境に大きな変化がない場合でも、発症してしまうケースも多いです。
特に一人暮らしで飼育される犬や、日常的に留守番をさせられる時間が長い場合、犬に過度な孤独感が生じ、心の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
分離不安症の症状
分離不安症の症状は、飼い主がいなくなった途端に激しい鳴き声をあげる、ドアや窓を引っ掻いたり噛んだりして破壊行動を取る、家の中を落ち着きなく歩き回るなどが典型的です。
また、過剰なグルーミングや体の一部を執拗に噛む、または食欲不振や嘔吐といった身体的な症状も現れる場合があります。
分離不安症の症状は、不安が極度に高まったときに生じやすく、犬が飼い主との絆を強く感じるほど不安感が増幅されやすいです。
加えて、トイレの失敗や粗相をしてしまうケースもあり、不安が高まると一時的に自制心が失われることが原因と考えられます。
犬によっては、常に飼い主の足元について回り、飼い主の姿が見えなくなるとすぐに不安状態に陥る場合も多いです。
常同障害
次に、常同障害は犬が同じ行動を繰り返して精神的な安定を得ようとする強迫行動の一種です。
常同障害に陥ると、犬は特定の動作を無意識に繰り返し、強迫的な行動を取って安心感を得ようとします。
そのため、心の中で強い葛藤や不安があると、身体的な症状に変わりやすいのです。
常同障害を引き起こす要因は、飼い主の生活リズムの変化や日常的なストレス、散歩や運動が不足している場合など、日常の生活環境と密接に関連しています。
また、特定の環境に長時間置かれた場合や、孤立した空間で過ごす時間が多い犬は、無意識に自分を慰める手段として常同行動を繰り返しやすいです。
特に活発で社交的な犬ほど、ストレスを受けやすいため、発症リスクが高くなると考えられます。
常同障害の症状
常同障害の症状としてよく見られる行動は、同じ場所をしつこく舐め続ける、特定の部位を噛み続ける、尻尾を追いかける、延々と歩き回るなどです。
これらの行動は、一度始めるとなかなかやめられない強迫的なものであり、犬自身も無意識のうちに行っています。
そして、不安感が高まると頻度が増し、健康に悪影響を及ぼす場合も多いです。たとえば、過度な舐め行動によって皮膚がただれ、毛が抜けてしまうケースも少なくありません。
特に尻尾を追う行動は、エネルギーが発散されていない状態で起こりやすく、留守番が多かったり運動不足の犬に見られたりするケースが多いです。
常同障害による行動は、犬の心身に負担をかけ、怪我や感染症の原因にもなりかねません。
円形脱毛症
最後に、犬の円形脱毛症は特定の部位の毛が円形に脱落する疾患です。ストレスやホルモンバランスの乱れ、免疫系の異常などが関係していると考えられています。
犬も人間と同じように心の健康が毛並みに影響するため、環境の変化や強い不安がストレスの原因となり、円形脱毛症が引き起こされるのです。
また、生活リズムの変化や新しい環境への適応が上手くいかない場合も、円形脱毛症の発症要因となる場合があります。
円形脱毛症の原因は、アレルギーや感染症などの場合もありますが、若齢や高齢の犬は免疫系が不安定であり、精神的なストレスが体の反応として現れやすいです。
また、免疫系の異常で自分の毛包が攻撃されてしまい、毛が抜ける自己免疫疾患の一種が発症する場合もあります。
円形脱毛症の症状
犬の円形脱毛症の主な症状は、体の一部分の毛が円形に抜けてしまうことです。最初は小さな円形の脱毛部分が見られ、次第にその範囲が広がっていく場合があります。
脱毛部分は毛がない状態となり、皮膚がむき出しになりやすいですが、炎症やかゆみが見られない場合が多いのが特徴です。
犬によっては、脱毛部分が数か所にわたっていて、皮膚が光沢を帯びている場合もあります。
円形脱毛症の進行とともに、犬は次第に毛を舐める、噛むなどの行動をとる場合がありますが、ストレスを感じてさらに脱毛が進行する恐れがあるため注意が必要です。
また、症状が悪化すると、脱毛部分に赤みや皮膚の荒れが見られる場合もあります。
心の病気はどんな時になりやすい?
次に、心の病気はどんな時になりやすいか紹介します。
- 環境の変化があったとき
- 長時間の留守番が続いたとき
- 犬の健康状態が悪いとき
- 犬が高齢になってきたとき
それぞれ詳しく紹介するので、愛犬に当てはまる条件はないかチェックしてください。
環境の変化があったとき
まず、犬が心の病気になりやすいのは犬は環境の変化があったときです。
たとえば、引っ越しや家族構成の変化、新しいペットが加わるといった生活環境の変化が、犬にとっては心理的な負担になる場合が多くあります。
犬は自分の縄張りや習慣を大切にするため、住み慣れた場所からの移動や新しいルールができると、落ち着かず不安定な行動を示すのです。
環境の変化により、食欲不振や無気力、しっぽを下げているなどのサインが見られる場合、ストレスや不安が原因である可能性が考えられます。
急な変化に直面すると、犬は不安や緊張を抱える場合があり、蓄積されると分離不安症や常同障害といった心の病気を引き起こすリスクが高いです。
長時間の留守番が続いたとき
次に、犬が心の病気になりやすいのは長時間の留守番が続いたときです。犬は群れで生活する本能を持ち、飼い主と一緒に過ごして安心感を得ています。
そのため、長時間の留守番が続くと強い孤独感を感じ、ストレスや不安が蓄積しやすいのです。
特に、留守番が多い犬や日常的にひとりで過ごす時間が長い犬は、分離不安症や常同障害などの心の病気にかかりやすくなっています。
長時間の留守番が続くと、犬は飼い主の不在による不安を軽減するため、無駄吠えや物を壊す、過剰な舐め行動などが見られる場合が多いです。
また、食欲が低下したり、便秘や下痢などの消化器症状が現れたりする場合もあります。
犬の健康状態が悪いとき
3つ目に、犬が心の病気になりやすいのは犬の健康状態が悪いときです。
体調不良や慢性的な痛みを抱えていると行動に制限がかかり、活動的な日常生活が送れなくなるため、ストレスや不安が増幅しやすくなります。
特に持病を持っている犬や痛みのある犬は、長期的にストレスを抱える場合が多く、心の病気にかかるリスクも高いです。
犬の健康状態が悪化している場合、食欲不振や元気のなさ、無関心といったサインが現れる場合があり、普段と異なる行動が見られます。
心の病気が疑われる場合、まずは健康チェックを行い、体調が原因となっている可能性を排除することが大切です。
犬が高齢になってきたとき
最後に、犬が心の病気になりやすいのは犬が高齢になってきたときです。犬が高齢になると、身体の機能が低下しやすくなり、さまざまな身体的な変化が訪れます。
関節が痛みやすくなったり、視力や聴力の衰えが生じたりすると、日常生活に制限がかかりやすいです。
こうした体の変化が原因で、犬は以前のように活動的に過ごせなくなり、孤独感や不安が多くなります。
また、認知症を患う高齢犬の場合、不安感や混乱が強くなり、心の病気が悪化するリスクも高いです。
高齢の犬は、疲れやすさや関節痛、持病などからストレスを抱えやすく、身体の不調が心にも影響を与える場合があります。
犬がうつ病かもしれない?対処法は?
次に、犬にうつ病が疑われる時の対処法を紹介します。
- 犬のストレスを減らす
- 犬と一緒に過ごす時間を増やす
- 獣医師に相談する
それぞれ詳しく紹介するので、疑われる場合はすぐに対処できるようになりましょう。
犬のストレスを減らす
まず、犬にうつ病が疑われる場合は犬のストレスを軽減しましょう。
たとえば、環境の変化や長時間の留守番が原因であれば、少しずつ新しい環境に慣れさせる工夫や、ひとりでいる時間を減らすための対策が必要です。
また、過度に活発な生活が犬に負担を与えている場合は、落ち着いた生活を心がけることでストレスが軽減される場合もあります。
さらに、犬にとってリラックスできるスペースを用意してあげることも効果的です。
自分の匂いや愛用のおもちゃがある安心できる場所を作り、心を落ち着けられるようにして犬が自分だけの安心した空間を持てるようにしてあげてください。
犬に合ったストレス軽減の方法を見つけるには、日々の行動をよく観察し、犬がリラックスできる環境を整えていきましょう。
犬と一緒に過ごす時間を増やす
次に、犬にうつ病が疑われる場合は犬と一緒に過ごす時間を増やしましょう。犬にとって、飼い主とのふれあいやコミュニケーションは、心の安定にとても重要な要素です。
特に、犬が不安やストレスを感じている場合には、飼い主と過ごす時間を増やすと安心感が生まれ、孤独や不安を和らげられます。
犬との時間を大切にするために、毎日の散歩だけでなく、触れ合いや遊びの時間も積極的に取り入れると良いでしょう。
また、ふだんのスキンシップは、犬に「自分は大切にされている」と感じさせ、愛情を実感させるための効果的な手段です。
スキンシップにより、犬は飼い主に対して信頼感を強く持つようになり、不安やストレスが軽減されやすくなります。
獣医師に相談する
最後に、犬にうつ病が疑われる場合は、獣医師に相談しましょう。
特に、長期間にわたって元気がない、食欲がない、無気力な様子が続く場合は、早めに獣医師の診察を受けることが重要です。
うつ病や心の病気の兆候は、体調不良によるものと見分けがつきにくいため、獣医師による正確な診断が役立ちます。
さらに、専門的なアドバイスや治療法を提案してもらうと、犬が抱える問題を根本から解決するサポートを得られる可能性が高いです。
獣医師の診断を受けた際には、薬物療法や行動療法など、犬の症状に合った治療法が提示されます。
また、獣医師と相談しながら、飼い主としてできるケアや環境の改善について指導を受けると、犬の不安やストレスを軽減するための効果的な方法を実践することが可能です。
犬の心の病気の治療法は?
犬の心の病気に対する治療法は、症状の種類や程度に応じて異なりますが、主に薬物療法・行動療法・環境改善の3つが基本とされています。
まず、薬物療法は、不安やストレスが強く症状が深刻な場合に用いられる場合が多いです。
抗不安薬や抗うつ薬などが処方され、犬が落ち着きを取り戻しやすくして、心の安定をサポートします。
行動療法は、犬のストレスや不安を軽減するために用いられる療法です。
専門のトレーナーや獣医師の指導により、犬の問題行動を修正し、リラックスできる状況を増やすための訓練やリハビリが行われます。
さらに、環境改善も重要な治療法の一環です。例えば、犬が安心して過ごせるスペースを用意したり、刺激の少ない生活環境を整えたりすると、心の健康を支える基盤となります。
犬を心の病気にしないためにできること
次に、犬を心の病気にしないためにできることを紹介します。
- 人や他の犬に触れる機会を増やす
- 日頃からコミュニケーションを大切にする
- 運動をしっかりさせる
- 犬に快適な環境を整える
- 犬の不調をふだんからチェックしておく
それぞれ詳しく紹介するので、日頃から愛犬のことを思いやって実践してください。
人や他の犬に触れる機会を増やす
まず、犬を心の病気にしないためには、人や他の犬に触れる機会を増やすことが重要です。犬は社会的な動物であり、他者とのふれあいを通じて心の健康を維持できます。
人や他の犬に触れる機会を増やすと、犬は様々な刺激を受け、ストレスを軽減できるのです。
具体的には、ドッグランや公園、ペットイベントなどに連れて行くのをおすすめします。
これらの場では、他の犬と遊んだりさまざまな人と触れ合ったりして、犬の社会性を育むことが可能です。
特に、他の犬との交流は犬にとって非常に重要になります。遊びを通じてお互いのコミュニケーション能力が向上し、ストレス発散にもなるのです。
日頃からコミュニケーションを大切にする
次に、犬を心の病気にしないためには、日頃からコミュニケーションを大切にしましょう。
日頃からコミュニケーションを大切にすると、犬との信頼関係を深めることができます。
コミュニケーションは言葉だけでなく、ボディランゲージやトーン、視線などさまざまです。
犬は言葉を理解する能力が限られていますが、飼い主の声や行動から多くの情報を受け取ります。例えば、明るいトーンで話しかけると、犬は安心感を覚えてくれるのです。
また、愛情を込めて撫でたり抱きしめたりすると犬は心地よさを感じ、自分が大切にされていると実感します。
さらに、犬との遊びを通じてコミュニケーションを深めることも重要です。おもちゃを使った遊びや散歩の際のエクササイズは、飼い主との絆を深められます。
運動をしっかりさせる
3つ目に、犬を心の病気にしないためには運動をしっかりさせることが不可欠です。運動は肉体的な健康を促進するだけでなく、精神的な健康にも大きな影響を与えます。
犬は運動を通じてエネルギーを発散し、ストレスを軽減することが可能です。特に、毎日の散歩や遊びは、犬にとって非常に重要な活動になります。
適度な運動を行うと犬の心拍数が上がり、エンドルフィンやセロトニンといった幸福ホルモンが分泌されるのです。
そして、犬はリラックスして幸福感を感じられます。散歩の際には、ただ歩くだけでなく他の犬や人とふれあうと、さらなる刺激を与えられてより効果的です。
また、運動は犬の体重管理にも寄与します。肥満は健康問題を引き起こす原因となり、心の病気にもつながる可能性もあるのです。
犬に快適な環境を整える
4つ目に、犬を心の病気にしないためには、犬にとって快適な環境を整えることが大切です。居心地の良い環境は、犬がリラックスしてストレスを感じにくい要素となります。
まずは、犬が落ち着けるスペースを用意することから始めましょう。
静かで安全な場所を確保し、自分の匂いやお気に入りのブランケット、クッションなどを置くと、犬は安心して過ごせる場所ができます。
特に、犬は音や匂いに敏感です。周囲の騒音や刺激が多いと、犬は不安を感じる場合があります。
また、温度管理も欠かせません。犬は暑さや寒さに敏感なため、季節に応じた快適な温度を維持するためにエアコンや暖房を活用し、犬が快適に過ごせるよう配慮しましょう。
犬の体調をふだんからチェックしておく
最後に、犬を心の病気にしないためには、犬の体調をふだんからチェックしておきましょう。
犬は自分の不調を言葉で表現できないため、飼い主が細やかに観察し、異変を早期に発見することが求められます。
具体的には、犬の行動や食欲、排泄物の状態などを日常的に確認することが大切です。
例えば、普段と比べて食欲が落ちている、元気がない、散歩を嫌がるなどの変化が見られた場合は、体調に何らかの問題があるかもしれません。
また、皮膚の状態や毛並み、目や鼻の様子も注意深く観察するポイントです。体調が悪いと、犬の精神状態にも影響を及ぼす場合があります。
健康な体は健康な心を支えるため、日頃から注意を払うことが必要です。
まとめ
今回は、犬のうつ病について紹介しました。犬によくある心の病気は分離不安症や常同障害、円形脱毛病などがあります。
犬の心の病気は、環境の変化や長時間の留守番、健康状態の悪化によって発症しやすいです。
そのため、発症を防ぐために日頃から人や他の犬に触れる機会を増やし、コミュニケーションを大切にしましょう。
また、運動できたり快適に過ごせたりする環境を整え、体調を普段からチェックして、犬の心の健康をサポートしてください。