ペットスタートマガジンでは「ペットとの暮らしを始めるすべての人に」をコンセプトに、ペットにまつわる様々なお役立ち情報を、これからペットとの暮らしをスタートする方へ向けて提供しています。ペットにまつわる全ての情報をペットスタートマガジンで御覧頂けるように日々コンテンツを発信していきます。
はじめに
犬の鳴き声にはいろいろありますが、何の意味もなく吠えているのではなく、自分の感情や何かを訴えるための大切なコミュニケーション方法です。
そのなかの1つとして愛犬が唸っているのを見たことはありませんか。犬の唸り声もほかの鳴き声同様にいろいろな意図があって唸っています。
犬が唸るのは威嚇だけではないため、無理やり叱ってやめさせようとしても愛犬のストレスになってしまいます。
今回は、犬が唸る理由や、唸ったときの対処法について解説いたします。
犬が唸るのはなぜ?7つの理由
犬が唸るのには、いろいろな理由があります。唸り声というのはどうしても威嚇行動と取られがちですが、それだけではありません。
犬が唸る理由として、代表的なものを7つご紹介します。
自分の身を守るため
犬は自己防衛の必要性を感じると、本能的に唸ることがあります。自分の身に危険が迫っているかもしれないと考えたときなどに、警告を発する意味で唸ることがあります。
ほかにも、なにか不快に感じたときも唸って周りにアピールする行動をとります。
不快の原因は身体的なものや、気持ちが不快な場合もありますが、飼い主さんへのアピールのために唸っているときは、飼い主さんを見て唸ることが多いので、その際は、愛犬自身や周りに何か異変はないか確認してあげましょう。
不安や恐怖心を抱いているとき
犬は警戒心が大変強く、自分の経験したことのないことや、知らない場所や人に対して警戒していることを示すために唸ることがあります。
また、恐怖心を抱いている場合でも、威嚇の意味で同様に唸ってみせることがあります。部屋の中でも掃除機の音や大きな音でドアを閉める音などにも反応する子もいます。
ほかにも、外から聞こえてくる大きな音や、雷の音などに強い警戒心で唸っている犬も多くみられます。
よその犬の鳴き声に普段から反応する子の場合、外で吠えている犬の声だけでなく、テレビなどで流れている犬の声にも反応することがあります。
不快なことをされたとき
犬は不快なことをされたときに、その状況から逃れるために唸ることがあります。「今されていることが不快なのでやめてほしい」と周りへアピールの意味も込めて唸ることで不快なことをやめてもらおうとしているのです。
日常のなかではシャンプーやブラッシング、爪切りなどのときに唸る子も多いのではないでしょうか。
飼い主さんに対してはある程度我慢してくれることがありますが、唸ってもやめてもらえないときに、吠えたり噛もうとしたりしてくるのは不快なことをされてストレスを感じているときなので、無理に続けないほうがよいでしょう。
嬉しくて興奮しているとき
犬が唸るのは嫌なことが起きているときだけではありません。うれしくて興奮しているときにも唸るような声をあげることがあります。
この場合には、歯をむき出しにするような威嚇行動もありませんし、表情もどこかうれしそうな穏やかな顔つきをしています。
お散歩やおやつのときに唸るのはうれしくて唸っているので、興奮を抑える必要はありますが、くれぐれも叱らないであげてください。
自分の領域や飼い主などに危険を感じたとき
犬はもともと群れで生活をしていたため、強い縄張り意識をもっています。そのためいつも遊んでいるおもちゃを無理に取ろうとしたり、自分のスペースにほかの犬や人が立ち入ろうとしたりすると唸って威嚇することがあります。
また、家族以外の人間が家を訪ねてきたときにも、自分の家や飼い主に危険が迫っていると感じて、唸ることで警告を発しています。
何かを要求しているとき
散歩に行きたい、ご飯が食べたいなど、自分の要求を通したいときにも唸ることで飼い主さんに伝えようとします。
これに毎回応えてしまうと、どのような状況でもお構いなしに要求してくるようになります。「唸れば何でも聞いてくれる」と理解してわがままになってしまうことがあるので、要求するために唸っているときは、状況に応じてあえて応えないことも大切です。
自分の地位を守ろうとしているとき
犬は群れの中で生きてきた動物のため、本能的に縦社会の考え方を持ち、自分の立場や優位性を守ろうとします。
これは家族との関係性でもみられます。例えば、家のなかでリーダーと認識している人の言うことは聞いても、自分より下と思っている人に対しては唸ることで自分の方が上だということを示すことがあります。
新しく迎え入れた犬などに対しても、自分の方が上であることを伝えるために唸ることで威嚇しながらアピールする場合があります。
犬が唸るときの対処法は?
犬がうれしくて唸るのは良いのですが、威嚇や警戒心で唸ることをそのまま放置すると、さらにエスカレートしてしまうことがありおすすめしません。
もし、愛犬が唸ることがあった場合に、効果的な対処法について解説いたします。
唸る原因を探す
愛犬が唸るときの対処法を考えるにあたって、まずはその原因を突き止める必要があります。
すべての犬が、今回ご紹介した7つの理由すべてで必ず唸るわけではありません。愛犬をよく観察していれば、どのようなときに唸っているのか、特徴が見えてくると思います。
唸ることがすべて悪いわけではありませんが、必要以上に威嚇や警告をするようになると、周りの人や犬に対してトラブルを起こす原因にもなりかねません。
トラブル回避のためにも、まずは愛犬が唸ってしまう原因を探し出すことから始めていきましょう。
唸るタイミングや状況を観察する
まずはいつ愛犬が唸るのかよく観察してください。犬が唸るのは不安や不快感でストレスになっているときが多いので、どのタイミングや状況で唸ることが多いのか確認すると、おこなうべき対処法がみえてきます。
なぜ、愛犬が唸るのか原因が判明すれば、それに合わせて要因となるものを除去したり、環境を改善したりすることで威嚇行動などが収まることが見込めます。
まずは愛犬の行動や習慣や性格などを把握して、なぜ唸るのかこちらが理解してあげることが大切です。
犬のストレスや不安を軽減する方法を考える
唸ることで、あらゆるところに弊害が生じることになります。例えば家族や他の人に対しても威嚇行動を見せる場合や、動物病院やトリミングサロンなどでも診察やトリミングが進められなくなってしまうことが考えられます。
愛犬が唸るたびに飼い主さんが要求に応えてあげると、「唸れば嫌なことが回避できる」と成功体験を積み重ねることで、ことあるごとに唸るようになることがあります。
唸る行為を改善することが、愛犬のストレスや不安を解消してあげることにつながるので、大切な愛犬のためにもそのまま放置するべきではありません。
対処法として、愛犬が嫌がることをするときには、きちんとできたらご褒美をあげて「嫌なことだけど我慢したら良いことがある」と覚えさせるとよいでしょう。
最初は短い時間で試しながら徐々に長くしていくと、病院やトリミングの時間も抵抗することが少なくなります。
できれば、子犬のうちから慣れさせておくと、成犬になったときに唸って威嚇行為をしなくなります。
人に対して唸る場合
人に対して唸る場合には、飼い主さんやその家族に対して唸る場合と、訪問者や散歩中に声をかけてきた人などに吠える場合があります。
飼い主さんや家族に対して唸る場合は、信頼関係を構築できていないか、犬が嫌がることや習性などを理解していないため、愛犬に嫌な思いをさせてしまい警戒心や恐怖心から唸って警告している可能性があります。
例えば、子犬の頃にしつけをする際に、強い口調で叱られたり、叩かれたりした記憶がトラウマになって家族に対してもなかなか警戒心を解くことができないといったことが考えられます。
ほかにも、小さい子供が突然近づいてきたり、大きな音を立てたりすると驚いて唸ることもあります。
少し臆病な性格や、神経質な一面を持っている子にこの傾向は多くみられます。
訪問者や散歩中に唸る場合は、家族以外の人間に対する警戒心の強さや、本能的に持っている縄張り意識からくることが多いです。
性格的なものもありますが、子犬の頃から人間と触れ合う機会が少なかったことにより社会性をあまり身に付けていない可能性があります。
対策として、子犬の頃から社会性を身に付けるためのトレーニングをおこないます。飼い主さん以外のいろいろな人に会わせて、触れてもらうことで「人間は怖くない」ということを覚えさせます。
また、犬は縦社会の動物なので、飼い主さんと犬の上下関係をはっきりさせて、飼い主さんの「マテ」などの指示をきちんと聞けるようにトレーニングしておくとトラブルを回避できます。
無理に触れず落ち着くまで待つ
愛犬に近づいたときに唸るような声を出しているときは、軽い興奮状態と、緊張感で気が立っていることが多いので、少し落ち着くまでは無理に触れずに待ちましょう。
落ち着きを取り戻したら、人に近づけようとせずに警戒心を抱いている人から少し距離を置いてあげてください。
犬の社会性は、いきなり身につくものではないので、少しずつ飼い主さん以外の人に会わせて慣れさせていきましょう。威嚇するような素振りを見せたらやめてあげることを繰り返して、愛犬の恐怖心を取り除いてあげることで改善されることがあります。
優しく話しかける
愛犬が唸っているときに、飼い主さんはできるだけ叱らないであげてください。叱ることによってさらに恐怖心が芽生えてしまい、嫌な感情でより人に対して警戒するようになります。
誰かに唸って叱られるというよりも、誰かが来ると自分が叱られるというように理解してしまうとさらに人を遠ざけるようになってしまいます。
そのため、もし愛犬が人に対して唸ってしまっていたら、飼い主さんは優しく話しかけて安心させてください。誰かが来ても飼い主さんがそばにいて安心させてくれることを理解すれば、少しずつ人を怖がらなくなることも期待できます。
他の犬に対して唸る場合
人に対して唸ることはないのに、散歩中などによその犬を見かけた途端に、足を止めて唸ることがあります。
ほとんどのケースは社会性が足りないためで、子犬の頃から犬と遊んでいないことで自分以外の犬に対して強い警戒心をみせるためです。
なかには、家にいても外で犬の鳴き声がしただけで唸る子もいるほどです。
これは警戒心と自分の縄張り意識により唸っているので、あまりひどく唸るようならば、声をかけてあげるか鳴き声から遠ざけてあげましょう。
対策としては社会性を身に付けることが大切です。そのためには子犬の頃からほかのペットと触れ合う習慣をつけておくと成長したときも、威嚇するほど警戒することは少なくなります。
多頭飼いのご家庭では、自然とほかのペットと触れ合う機会がありますが、1匹で飼っている場合には散歩の時間にすれ違う犬と少しコミュニケーションを取るとよいかもしれません。
ただし、相手の犬の警戒心が強い場合もあるので、向こうの犬が唸るような場合にはトラブル回避のためにやめておきましょう。
犬同士が近づきすぎないようにする
散歩中にほかの犬とすれ違うようなときに、威嚇するような素振りをみせたら、近づきすぎないようにしてください。
コースを変えてみたり、抱き上げて通過したりすることが望ましいです。唸っている愛犬を無理やり近くまで連れていって、強引にスキンシップを取らせようとしても、喧嘩になってしまうことがあるのでトラブルになりかねません。
何度か繰り返しているうちに慣れてくることもありますが、唸るようならば、できるだけ近づきすぎないようにしましょう。
遊んでいるときに唸る場合
遊んでいるときに唸るのは、ロープ遊びやじゃれ合いのなかでよくみられますが、一時的にテンションが上がっているためで、それほど気にする必要はありません。
ただし、いつでも飼い主さんの声には、しっかりと反応できるようにしておいたほうがよいでしょう。というのも、興奮しすぎて大きな声で吠えたり、ほかの犬と喧嘩になったりしてしまいそうなときにすぐに遊びを中断するためです。
また、遊び中の唸りのなかでも、おもちゃをくわえて離さないときは、自分のものを守る意識で言うことを聞かなくなっているので、これは放置せずにしっかりと離すようトレーニングをしておくとよいでしょう。
犬が興奮しすぎないように遊び方を工夫する
遊びで過度に興奮してしまう子の場合は、興奮したらいったん中断させて、落ち着いたらまた再開するような工夫が必要です。
愛犬のテンションが上がってくることは問題ありませんが、エスカレートする性格の子は飼い主さんの適度な介入があった方がよいことがあります。
おもちゃをくわえて離さないような場合でも、言うことを聞いてきちんと離したらおやつをあげるなど「言うことを聞いて離したら良いことがある」と覚えさせることできちんと離すようになります。
リラックスして遊べるようにする
おもちゃを離さないのは、取られてしまうと警戒しているためで、愛犬が「離しても取られることはない」と感じていればそれほど執着しません。また、複数のおもちゃを用意しておくことで、1つの遊びに夢中になっているときでも気を逸らすことができるのでこの方法も有効です。
家の中で犬がリラックスできる空間を作るコツ
犬が唸るのは、緊張や興奮している状態のときに多くみられます。大切なことは愛犬が過ごす空間に不安になるような要素がないリラックスできる空間があることです。
犬だけの専用スペースを作る
縄張り意識の強い犬には、誰も入れない専用スペースが必要です。ハウスを用意しておいて、安全な場所を確保してあげるとよいでしょう。
来客時などに興奮した際も、犬がストレスを感じる状況でも安全な場所に退避すれば誰も立ち入ることができないため、安心させて気を静めるのに有効です。
ハウスに入れば、誰も入ってこれない安全な場所だと認識させるためにも、ハウスに入れたらおやつをあげるなどして、日頃からトレーニングしておくことをおすすめします。
静かな場所に犬用ベッドを置く
犬がリラックスして休める場所を提供するために、犬用ベッドを置きましょう。場所は大きな物音のしない静かなところが望ましく、あまり人目につかない場所だと犬が安心して休めます。
誰もいない場所に隔離するのではなく、飼い主さんの声が届き、顔が見えるようなリビングの隅の方などがおすすめです。
明るさも大切で、長時間明るすぎる部屋もストレスを感じやすくなるので、夜間もずっと明るい場所などは避けたほうがよいでしょう。
同様に、音にも敏感な犬は、大きな音や、外からの騒音がするようなところでは安心できずにリラックスできないため、適切な音量を保てるよう注意してください。
また、犬は狭い場所の方が安心する子が多いので、ベッドの大きさは愛犬のサイズに適したもので、素材も愛犬が好きな素材のものを選んであげてください。
過ごしやすい温度を保つ
犬がリラックスして過ごす部屋は、寒すぎても暑すぎてもストレスを感じやすくなるので、どちらでもない適切な温度に保っておくとよいでしょう。
特に夏は部屋の温度に加え、湿度もとても高くなるため、命の危険にさらされてしまうことがあるため空調の効いた部屋で過ごせるようにしてください。
安全で自由に動ける空間を確保する
部屋のなかでも自由に動けるスペースが必要です。あまり広くなくても大丈夫ですが、安全でなければなりません。犬にとって危険なものは届かないところに保管して、床にあまり物を置かないようにしてください。
また、走り回っているときに電気コードなどに引っかかってケガなどしないよう動線に配置しないよう注意が必要です。
まとめ
犬が唸る理由と対処法について解説いたしました。普段おとなしい子でも本能的に危険を察知するときなどに唸ることがあり、危険を回避するために攻撃的になることがあります。
本能的な反応で叱られるのは犬もかわいそうです。叱られることでより一層ストレスを溜めることがないよう、できるだけ早い段階で社会性を身に付け、不安を取り除いてあげることができれば唸ることが少なくなるでしょう。
愛犬が安心して毎日を過ごせるよう、当記事を参考に取り組んでみてください。