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はじめに
犬を飼っているとマウンティング行動がみられる場合があると思います。
マウンティング行動は問題ない場合もありますが、放置すると他の犬や人にケガさせるリスクもあるので、状況に応じてしっかりとやめさせることが大切です。
今回は、犬のマウンティングについて紹介します。
マウンティングをする理由や止めさせる方法を解説するので、犬の生態を理解してしっかりとしつけましょう。
犬のマウンティングとは?
まず、犬のマウンティングの特徴について紹介します。犬が腰を振る行動が当てはまるので、愛犬がマウンティングをしているか判断できるようになりましょう。
何かにしがみついて腰を振る行為
犬のマウンティングとは、犬が人や物、他の犬などに前足でしがみつき、腰を振るような動作をする行為です。
マウンティングは、性別や年齢に関係なく見られ、特に去勢や避妊手術を受けていない犬に多く見られる傾向がありますが、手術済みの犬でもマウンティングを行う場合があります。
マウンティングの背景にはさまざまな理由が考えられており、必ずしも性本能だけに基づくものではありません。
一般的に、犬がマウンティングをする理由は、性衝動だけでなく、社会的な順位を示したり、遊びに誘ったりする意図が含まれている場合もあります。
また、興奮やストレスを発散するために行うケースもあり、単なる動作の一環として習慣化している場合も多いです。
飼い主にとっては、犬のマウンティング行動が社会的な問題を引き起こすことがあるため、どのように扱うべきかを理解しましょう。
犬がマウンティングをする理由
次に、犬がマウンティングをする理由を紹介します。
- 性本能によるもの
- 自分の優位性を示したい
- 遊びに誘っている
- 興奮している
- 転位行動
それぞれ詳しく紹介するので、愛犬がマウンティングする理由を理解しましょう。
性本能によるもの
まず、犬がマウンティングをする理由は性本能によるものです。特に未去勢や未避妊の犬が発情期に入ると、異性の犬や人に対して見られる場合が多くなります。
マウンティングは生殖行動の一環として起こりますが、性本能に基づいて行われる行為は、特に生後6か月以降の性成熟に達した犬でみられやすいです。
ただし、性本能によるマウンティングがすべての犬に起こるわけではなく、個体差があります。
成犬になる前に去勢・避妊手術を行うと、性本能に基づくマウンティングの軽減が期待できますが、完全に消えるわけではありません。
手術を受けた犬でも、マウンティング行為が見られる場合があり、性本能以外の理由によるものである場合が多いです。
必ずしも性本能によるマウンティングが問題行動になるわけではありませんが、過度に執拗な場合は、飼い主として適切なタイミングで止めましょう。
自分の優位性を示したい
次に、犬がマウンティングをする理由は自分の優位性を示したいからです。犬のマウンティングは、性本能だけでなく自分の優位性を示したいという意図で行われることもあります。
犬はもともと群れで生活する動物であり、群れの中での順位づけや力関係を気にする傾向が強いです。
そのため、特に複数の犬がいる環境や見知らぬ犬との初対面の場では、自分の優位性を示すためにマウンティングをする場合があります。
犬同士の関係性や支配・服従関係を確認する行動の一環と捉えられ、犬が自身の存在感やリーダーシップをアピールするために行われるのです。
ただし、優位性を示すためのマウンティングは、犬が相手に無理強いをする形で行うため、相手の犬が不快に感じたり、時には争いに発展したりするリスクもあります。
しつこく続けたり、相手が嫌がっている様子が見られる場合には、飼い主が止めさせましょう。
遊びに誘っている
3つ目に、犬がマウンティングをする理由は遊びに誘っているからです。
犬はマウンティングを通して遊ぼうと伝え、相手の犬とのコミュニケーション手段として用いるケースが多く、特に仲の良い犬同士や同居犬で見られます。
遊びに誘うマウンティングは、遊びを通してエネルギーを発散したいときや興奮が高まっているときに発生しやすいです。
社会性を持つ犬同士の自然なコミュニケーション手段の一部であり、必ずしも制止する必要はありません。
また、犬同士がリラックスした状態であれば、遊びの一環としてのマウンティングは問題行動とはされず、むしろコミュニケーションの健全さを表している場合が多いです。
ただし、遊びがエスカレートしてお互いに不快感が生じる場合や一方が嫌がっている場合には、飼い主がタイミングを見計らって行動を制止しましょう。
興奮している
4つ目に、犬がマウンティングをする理由は興奮しているからです。
遊びや運動などによって生じるケースが多く、犬が心拍数の上昇や体温の高まりといった生理的変化を伴っている際に見られます。
たとえば、飼い主が帰宅した際や新しい場所へ出かけた際など、特別なイベントや刺激に対して犬が反応すると、マウンティングを行うのです。
興奮状態のマウンティングは自己表現として現れる場合が多く、ストレスや興奮が爆発的に解放されます。
特に若い犬やエネルギーが有り余っている活発な犬に見られやすいです。飼い主は、犬がリラックスしやすい環境づくりや興奮を適度に和らげるための休息を挟みましょう。
具体的には、適度な運動や遊びを通して犬が落ち着きを取り戻せるように工夫したり、指示を出して犬の興奮をコントロールしたりする方法が効果的です。
転位行動
最後に、犬がマウンティングをする理由は転位行動です。転位行動とは犬がストレスや不安、葛藤などを感じた際に、他の行動に置き換える形で見られる行動を指します。
たとえば、見慣れない場所や新しい犬との出会い、苦手な音や人に囲まれた状況など、犬にとってストレスを感じやすい環境でマウンティングを行うのです。
転位行動のマウンティングは犬自身の緊張や不安を和らげるための自己調整行動として機能しており、単なる性的な意味とは異なります。
また、ストレスや不安を感じた犬が自己安定を図るために無意識に行っているため、一時的である場合が多いです。
飼い主が環境を整え、ストレスの原因を取り除くと、犬は落ち着きを取り戻せます。
リラックスできるスペースを提供したり、興奮する前にゆっくりとした散歩を通して気分を和らげたりしましょう。
犬のマウンティングはやめさせた方がいい?
次に、犬のマウンティングはやめさせた方が良いのか紹介します。マウンティングする相手や程度によっても異なるので、詳しくみていきましょう。
犬同士のマウンティング
まず、犬同士のマウンティングは同居犬が少し行うのであれば問題ありません。ただ、しつこすぎる場合は止める必要があるので、判断する際に参考にしてください。
同居犬同士で少しするくらいなら問題ない
同居犬同士でのマウンティングは、自然なコミュニケーション手段であり、少しであれば問題にならない場合が多いです。
同居犬同士のマウンティングは、お互いの関係性を確認したり、序列を意識したりするための行動の一環として見られます。
マウンティングを通じて、犬同士の社会的な順位が明確になり、関係性が安定するための手段として利用されるのです。
特に、年齢差がある犬や成長過程にある若い犬がいる場合、マウンティングは成長や学習の一環で行われます。
日常生活の中で犬同士がリラックスしているときや遊びの延長で軽いマウンティングを行っている場合には、強制的に止める必要はありません。
ただし、どちらか一方が嫌がっている場合や、執拗にマウンティングが繰り返される場合は、飼い主が様子を見ながら介入しましょう。
執拗にする場合や一方的にする場合は止めさせる
次に、同居犬同士のマウンティングが執拗に繰り返される場合や、一方的なマウンティングが頻繁に見られる場合は、飼い主が適切なタイミングで止めさせることが必要です。
特に、片方の犬が嫌がっている場合やマウンティングが犬同士の関係に悪影響を与えている場合には、放置することは避けた方がよいでしょう。
マウンティングが続くと、一方の犬がストレスを感じたり恐怖心を抱く原因になったりして、犬の間で摩擦やケンカの引き金になる恐れもあります。
また、上下関係が不安定になると、犬同士の関係が悪化する可能性もあるため、適度な介入が大切です。
飼い主は、まず声をかけたり気を逸らすためのおもちゃを与えたりしましょう。また、両方の犬が落ち着くために別々の場所でリラックスできる時間を設けるのも良い方法です。
外で他の犬にマウンティングしようとする時は止める
飼い犬が外で他の犬にマウンティングをしようとする場合は、飼い主がすぐに止めるようにしましょう。
特に、初対面の犬や他の飼い主がいる場面では、マウンティングはトラブルを招く行動とされ、相手の犬が不快に感じる原因にもなります。
マウンティングは、相手の犬やその飼い主に対して緊張感や不安感を与える場合があり、場合によっては争いや事故に発展するのです。
また、公共の場ではマナーとしても望ましくないため、飼い主がしっかりと制止することが求められます。
外でマウンティングが始まった場合、リードを短く持ち、引き寄せることで物理的に止めるのが一般的な方法です。
他にも、犬が他の犬に興味を示す際には、あらかじめ「お座り」や「待て」の指示を出し、飼い主の指示に従わせ、マウンティング行動を回避しましょう。
人に対してのマウンティング
次に、人に対してのマウンティングはやめさせる方が良いです。対応しないと起こるリスクについてぜひチェックしてください。
放置するとかみつきや吠えなどに発展する可能性
犬が飼い主や他の人に対してのマウンティングを放置すると、かみつきや吠えなどの攻撃的な行動に発展する可能性があるため、早めに対応することが重要です。
犬にとって、マウンティングは優位性を主張する行動の一種でもあり、特に自信が過剰に高まっている場合や飼い主との関係がうまく築けていない場合に見られます。
放置してしまうと、犬が自分の行動に制限がないと認識し、他の行動面でも自己中心的になりやすいです。
そして、飼い主の指示に従わなくなり、さらには攻撃的な行動が増す可能性も高まります。
人に対してマウンティングを行う犬には、従順さや信頼関係を育むためのしつけをしましょう。
たとえば、「お座り」や「伏せ」の指示を使って冷静に制止し、犬が落ち着くまで待つことが効果的です。
跳びかかってケガの原因になることも
犬が人に対してマウンティング行為を行うと、相手に跳びかかってケガをさせてしまうリスクがあるため、放置せずに適切に対処することが必要です。
特に体の大きな犬や力の強い犬が勢いよくマウンティングを行った場合、バランスを崩して転倒することも考えられます。
小さな子どもや高齢者が対象になった場合、思わぬケガに繋がる可能性があるため、十分注意しましょう。
また、跳びかかると犬自身が家具や壁にぶつかり、怪我をするリスクもあるため、飼い主がしっかりと制止することが大切です。
飼い主は、犬がマウンティングを行おうとした時点で、速やかに冷静に対応しましょう。
犬が人に対して跳びかかる兆候が見られたら、「待て」や「お座り」などの指示を出して落ち着かせてください。
さらに、指示に従ったら褒めてあげると、犬は自分の行動が適切であったと理解し、飼い主の指示に従う習慣がつきます。
犬のマウンティングをやめさせる方法は?
次に、犬のマウンティングをやめさせる方法を紹介します。対象が人か犬かによって対処法が変わるので、ぜひ参考にしてください。
他の犬へのマウンティング
他の犬へのマウンティングは下記の方法でやめさせられます。
- 散歩中ならリードを短く持って止める
- 声をかけて呼び戻す
- その場を離れる
それぞれコツを詳しく紹介するので、ぜひ実践してみてください。
散歩中ならリードを短く持って止める
まず、犬が散歩中に他の犬にマウンティングを行おうとした場合、リードを短く持って物理的に制止しましょう。
犬が相手に飛びかかる前に飼い主の制御が入るため、マウンティング行為を未然に防ぐことができます。リードを短く持つ際、犬を強く引っ張る必要はありません。
リードに適度な緊張感を与えると、犬は自然と動きが制限され、無理に近づくことを防げます。
また、犬の名前を呼ぶなどして飼い主に注意を向けると、相手の犬に対する興味が薄れ、飼い主の指示に従いやすいです。
散歩中に他の犬に出会うことは犬にとって社会化の大切な機会になります。
しかし、過剰なマウンティングは相手の犬に不快感を与え、ケンカに発展するリスクもあるため、適切な距離を保ちましょう。
声をかけて呼び戻す
次に、他の犬に対してマウンティングを行おうとした場合、犬の名前を呼び、飼い主のもとへ呼び戻しましょう。
重要なのは、飼い主が落ち着いた声で優しく呼びかけることです。
焦ったり強い口調で呼びかけたりすると、犬が飼い主の緊張を察してさらに興奮してしまう場合があるため、穏やかで冷静な声で呼びかけてください
犬が飼い主の元に戻ってきたら、すぐに褒めたりおやつを与えたりしてポジティブな強化を行うと、犬が指示に従うメリットを学べます。
声をかけて呼び戻す行為は、普段のトレーニングで習慣化させておくことがポイントです。
飼い主の声かけに応じて戻ってくる習慣ができていれば、他の犬と出会った際に過剰な興奮が見られても、呼び戻しがスムーズにできるでしょう。
また、呼び戻しができると飼い主と犬の信頼関係が深まり、犬も安心して指示に従うようになります。
その場を離れる
最後に、他の犬に対してマウンティングを行おうとする場合、その場を離れましょう。
犬は興奮していると、冷静な判断ができずに相手の犬に対して過剰に接近したり、行動を止められなくなったりします。
そのため、リードを使ってその場から離れさせ、犬に距離を取らせて興奮を鎮めさせることが有効です。
犬は一度落ち着きを取り戻した状態で相手に再接近できるため、社会的な交流を損なうことなく適切な接触の仕方を学ばせることができます。
他の犬との距離を保つことは、特に興奮しやすい犬や未熟な犬にとって重要です。
たとえば、ドッグランで他の犬にマウンティングをしようとする場合も、一時的にその場を離れて少し離れた場所で犬を落ち着かせてから再度場に戻ると、興奮度が低くなります。
人へのマウンティング
人へのマウンティングは下記の方法でやめさせられます。
- 反応せずにそっと離れる
- お座りや伏せをさせて落ち着かせる
それぞれ詳しく紹介するので、人を傷つけないためにも必ず実践してください。
反応せずにそっと離れる
まず、犬が人に対してマウンティングを行った場合、飼い主が過剰に反応するのではなく、静かにその場から離れましょう。
犬は飼い主や人の注目を引きたい場合、行動に対して過剰に反応するとマウンティングが強化される恐れがあります。
犬にとってマウンティング行為が無視されるのはつまらないため、繰り返す意欲が薄れやすいです。
無視をする際には、犬に何も言わずにさりげなく離れましょう。また、犬が落ち着いたときに別の指示を与えて褒めると、犬は飼い主の関心を引くための正しい方法を学べます。
無視をしてから指示を出し、犬が正しい行動を取った際にはすぐに褒めてあげると、犬の中で適切な行動が強化され、次第にマウンティングを減らしていくことが可能です。
お座りや伏せをさせて落ち着かせる
次に、犬がマウンティング行動を人に行う場合、「お座り」や「伏せ」といった基本的な指示を与えて犬を落ち着かせましょう。
これらの指示は、犬の集中を飼い主に向け、興奮状態を抑える助けになります。
犬が指示に従って「お座り」や「伏せ」をすると、マウンティングの行動から切り替えられて、結果的にリラックスした状態を取り戻すことが可能です。
指示に従った際には、褒めたりおやつを与えたりして、犬に落ち着いた行動のメリットを認識させましょう。
犬にとって、興奮してマウンティングを行うよりも「お座り」や「伏せ」をしているほうが良いことがあると理解できるようになります。
日常的に指示に従う訓練をしておくと、犬は適切な行動を取れるようになり、飼い主とのコミュニケーションも円滑になりやすいです。
飼い主がしてはいけないNG行動は?
犬を飼う上で、飼い主の行動は犬のしつけや生活の質に大きく影響を与えます。特に、無意識に行ってしまいがちなNG行動が、犬の問題行動やストレスにつながる場合も多いです。
例えば、犬が吠えたり噛んだりした際に過剰な反応はやめましょう。飼い主が驚いて大声で叱ると、犬はその反応に注目を引けたと感じ、同じ行動を繰り返す恐れがあります。
また、しつけの際に一貫性を欠くこともNG行動です。例えば、「お座り」や「待て」といった指示を守らせたい場合、家族全員が同じルールで対応する必要があります。
一人が許可した行動を他の人が禁止すると、犬は混乱し、指示を守る意欲が低下してしまいます。
飼い主や家族がルールを統一し、一貫性を持ってしつけを行って、犬は安心して行動を学べる環境を整えましょう。
さらに、犬を長時間放置したり、過度なスキンシップを強要したりするのもNGです。犬は社会的な動物であり、飼い主と適度な距離感を保ちながらの生活を心がけましょう。
まとめ
今回は、犬のマウンティングについて紹介しました。マウンティングは何かにしがみついて腰を振る行為であり、他の犬や人に対してみられます。
犬がマウンティングするのは性本能や自分の優位性の誇示、遊びの誘いや興奮、転位行動が原因です。
同居犬同士が少し行う程度であれば問題ないですが、しつこかったり他の人や犬を傷つける恐れがある場合はすぐにやめさせましょう。
具体的にはリードを活用する、声をかける、その場を離れる、指示を出すなどの行動が効果的です。
日頃から訓練して、犬を社会化させつつも危険なマウンティングは止めるようにしましょう。