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はじめに
愛犬が咳をしていたら、病気なのではと心配になる方は多いと思います。
犬の咳は生理現象や誤飲誤食の場合もありますが、病気のサインの可能性もあるので注意が必要です。
今回は、犬の咳の原因や疑われる病気について紹介します。
対処法や動物病院受診の目安を解説するので、犬のサインに気づいてすぐに対処できるようになりましょう。
犬の咳の原因とは？
まず、犬の咳の原因を紹介します。生理現象や誤飲・誤食が可能性として考えられるので、愛犬が咳をしている場合は原因を判断できるようになりましょう。
生理現象
まず、犬の咳の原因は特に病気とは関係のない生理現象です。例えば、犬が走り回ったり興奮したりした後、喉や気管が乾燥して軽く咳をする場合があります。
生理現象による咳は一時的なもので、しばらくすると自然に治まることがほとんどです。
また、ホコリや毛が喉に入った場合など、喉を刺激する異物を排除しようとする防御反応としても咳をする場合があります。
生理現象の咳は短時間で終わり、頻繁に繰り返されるケースはありません。
さらに、季節の変わり目や寒暖差が大きい環境で、冷たい空気を吸い込んで一時的な咳も見られる場合があります。
特に短頭種は、気管や鼻腔が狭いため、少しの刺激でも咳が出やすいです。ただし、生理現象の咳でも頻度が増えたり長時間続いたりする場合は、他の原因の可能性があります。
一見軽い症状でも、病気の初期サインである場合もあるため、愛犬の様子を注意深く観察しましょう。異常を感じたら、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
誤飲や誤食
次に、犬の咳の原因は誤飲や誤食です。犬は好奇心旺盛で、何でも口に入れてしまう傾向があります。
そのため、誤飲や誤食が原因で咳が出るケースも少なくありません。例えば、小さなオモチャの部品や食べられない物が喉や気管に詰まると、異物を排除しようとして咳が出ます。
誤飲や誤食が原因の咳は突然始まり、激しくなるケースが多いのが特徴です。また、食事中に食べ物の一部が誤って気管に入る誤嚥も、咳の原因となります。
特に、食事中にむせるような咳をしている場合は誤嚥の可能性が高いため注意が必要です。
さらに、毒性のある物質を誤飲した場合も、咳を伴う症状が出る場合があります。
例えば、洗剤や農薬、チョコレートなどの毒性物質を口にした場合、咳のほかに嘔吐や下痢、ふらつきなどの症状が見られるのです。
誤飲や誤食を防ぐためには、犬の届く範囲に危険な物を置かないようにしまよう。また、食事中は静かな環境でゆっくり食べられるよう配慮し、誤嚥のリスクを減らしてください。
犬の咳が原因で考えられる病気とは
次に、犬の咳が原因で考えられる病気を紹介します。
- ケンネルコフ
- 気管虚脱
- 心臓病
- 誤嚥（ごえん）
- 肺炎
- 気管支炎
- 犬糸状虫症（フィラリア症）
さまざまな病気の可能性があるので、特徴や症状を詳しくみていきましょう。
ケンネルコフ
まず、犬の咳で考えられる病気はケンネルコフです。ケンネルコフは、犬の咳の原因としてよく知られている感染症で、ウイルスや細菌が原因で発症します。
特に、多くの犬が集まる環境で感染する場合が多いため、名前に「犬小屋」「犬舎」を意味するケンネルが付いているのです。
ケンネルコフの症状は、乾いた咳で「ガーガー」や「ホッホッ」という音を伴う場合があります。
まるで喉に何かが詰まったかのような激しい咳をし、嘔吐するような動作も見られる場合が多いです。
軽症の場合は自然治癒するケースもありますが、免疫力が低下している子犬や高齢犬では、重症化して気管支炎や肺炎に進行するリスクがあります。
特に食欲低下や元気がない、呼吸が苦しそうなどの症状が併発した場合は、早急に動物病院で診察を受けることが重要です。
ケンネルコフは飛沫感染や接触感染によって広がるため、感染が疑われる犬は他の犬との接触を避けましょう。
予防にはワクチン接種が有効で、多くの犬が集まる場所に頻繁に行く犬には定期的な予防接種がおすすめです。
気管虚脱
次に、犬の咳が原因で考えられる病気は気管虚脱です。気管虚脱は気管が部分的につぶれて空気の流れが妨げられる状態を指します。
気管虚脱は主にチワワやポメラニアンなどの小型犬で発生する場合が多く、先天的な気管の弱さや老化、肥満、首輪での圧迫などが原因として挙げられます。
気管虚脱の典型的な症状は乾いた咳です。特に運動後や興奮時、暑い環境にいる時に悪化する傾向があります。
また、重症化すると呼吸困難や酸素不足によるチアノーゼが見られやすいです。治療には、症状の進行度によって異なるアプローチが取られます。
軽症の場合は、咳を抑える薬や炎症を緩和する薬を用いることが一般的です。一方で、重症例では外科手術が必要になる場合もあります。
気管虚脱を予防するためには、首輪の代わりにハーネスを使用し、気管に負担をかけないようにすることが効果的です。
また、肥満を防ぎ、犬の体重を適切に管理することも重要な対策です。症状が出た場合は早期に診断を受け、病気の進行を遅らせましょう。
心臓病
3つ目に、犬の咳で考えられる病気は心臓病です。特に高齢の犬や特定の犬種は、心臓病のリスクが高いとされています。
心臓病による咳は、心臓が正常に機能せず、肺に血液や体液が滞ることが原因です。これは肺水腫と呼ばれ、肺の中に溜まった液体が気管や気道を刺激して咳を引き起こします。
心臓病の咳は、夜間や休息中に悪化しやすく、「ヒューヒュー」や「ゼーゼー」といった音が聞こえる場合も多いです。
その他の症状として、疲れやすさ、運動を嫌がる、呼吸が苦しそうに見えるといったものが挙げられます。
治療に使用するのは、心臓の負担を軽減する薬や利尿剤などです。症状が重い場合は酸素吸入などの集中治療が必要になる場合もあります。
予防や早期発見のためには、定期的な健康診断が重要です。また、適切な体重管理やバランスの取れた食事を与えて、心臓病のリスクを減らしましょう。
誤嚥（ごえん）
4つ目に、犬の咳で考えられる病気は誤嚥（ごえん）です。誤嚥は、食べ物や飲み物、場合によっては唾液が気管に入り込むことで生じます。
特に高齢犬や食べ物を急いで飲み込む犬に多く見られやすいです。誤嚥による咳は、突然激しく始まり、むせるような音を伴います。
食事中や直後に咳をする場合は、誤嚥を疑いましょう。誤嚥が繰り返されると、気管や肺に細菌が侵入して誤嚥性肺炎を引き起こす恐れがあります。
誤嚥性肺炎になると、咳だけでなく発熱や元気の喪失、食欲不振などの症状が現れるリスクもあります。誤嚥性肺炎は早期治療が重要で、命に関わることもあるため注意が必要です。
誤嚥を防ぐためには、食事を与える際にゆっくりと食べさせましょう。食べ物を細かく刻んだり、柔らかく調理したりすると、飲み込みやすい状態を作ることができます。
また、食事の時間には落ち着いた環境を整え、興奮を避けることも大切です。
肺炎
5つ目に、犬の咳で考えられる病気は肺炎です。肺炎は肺に細菌やウイルス、真菌などが感染して炎症を引き起こします。
肺炎にかかると、犬は深い咳を伴う呼吸困難を示す場合が多いです。肺炎による咳は湿った感じがするケースが多く、粘液や膿の混じった痰が絡む場合もあります。
重症化した際の症状は、発熱、元気の喪失、体重減少、食欲不振などです。
肺炎は他の病気と併発する場合があり、特に免疫力が低下している犬や気管支炎や誤嚥などの既往歴がある犬が発症しやすくなっています。
治療には抗生物質や抗炎症薬の投与が一般的ですが、症状が重い場合は入院治療が必要です。
肺炎の予防としては、愛犬の免疫力維持が最善策なので、健康的な食事や適度な運動、ストレスの軽減、そして定期的な健康診断が欠かせません。
肺炎は早期発見が重要な病気であるため、咳が長引く場合やその他の異常が見られる場合はすぐに獣医師に相談しましょう。
気管支炎
6つ目に、犬の咳で考えられる病気は気管支炎です。気管支炎は、気管支の内壁が炎症を起こす病気で、咳の原因として多く見られます。
原因はさまざまで、ウイルスや細菌の感染、アレルギー反応、喫煙環境などです。特に慢性的な気管支炎は高齢犬や特定の犬種に多く見られます。
気管支炎による咳は乾いた咳で、運動や興奮によって悪化することが一般的です。長期間放置すると、気管支の炎症が慢性化し、肺や気管にも影響を及ぼす可能性があります。
また、咳だけでなく、息切れや呼吸の速さが増加しやすいです。治療には、抗生物質や気管支拡張薬、咳止め薬などが使用されます。
重症の場合は酸素療法が必要になる場合も多いです。予防のためには、アレルギーの原因物質を避けて空気を清潔に保ち、刺激物を犬の生活環境から排除しましょう。
犬糸状虫症（フィラリア症）
最後に、犬の咳で考えられる病気は犬糸状虫症（フィラリア症）です。犬糸状虫症は、蚊を媒介とする寄生虫による病気で、進行すると命に関わります。
フィラリアが犬の心臓や肺に寄生することで、血流や呼吸に問題を引き起こすのです。
咳は典型的な症状の一つで、初期段階では軽いものですが、寄生虫が増えると重篤な咳や呼吸困難、疲労感、体重減少などが現れるようになります。
予防には、定期的なフィラリア予防薬の投与が不可欠です。犬糸状虫症は蚊を介して簡単に感染が広がるため、予防薬を毎月投与することが推奨されています。
また、予防薬を与える前には感染の有無を確認するための検査が必要です。症状が進行した場合は治療が難しくなるため、予防が最も重要な対策となります。
犬の咳の対処法・応急処置とは
次に、犬の咳の対処法と応急処置について紹介します。咳は病気の症状が現れている可能性があるので、適切な対処を取れるようになりましょう。
咳の様子を観察し、症状を記録
犬の咳が気になる場合、まず咳の様子を観察し、詳細を記録しましょう。咳は一過性のものから重大な病気のサインまで、さまざまな原因が考えられます。
正確な記録を取ると、獣医師が適切な診断を下すための重要な手掛かりになるのです。咳の観察ポイントとしては、咳の音、頻度、強さ、長さなどを記録してください。
例えば、乾いた咳か湿った咳か、連続的に出るのか、時々出るのか、咳き込む際に苦しそうかどうかを確認します。
さらに、咳をしている間に呼吸が乱れる、顔色が変わる、あるいは吐き気を伴う場合には、詳細に記録することが重要です。
記録には紙やスマートフォンのメモを活用し、発症日時や状況も書き留めておくと役立ちます。
また、可能であれば咳の様子を動画で撮影しておくと、獣医師が咳のタイプの正確な判断が可能です。
いつから、どんな時に咳き込むのか、どんな咳が出るのか
次に、犬の咳の原因を特定するためには、咳が始まった時期やタイミング、そして咳の種類を把握しましょう。
咳がいつから始まったのかを明確にすると、急性の問題か慢性的な問題か判断できる場合があります。また、咳が出るタイミングも記録してください。
例えば、食事中や食後に咳が出る場合は誤嚥の可能性があり、運動後に咳が悪化する場合は心臓病や気管虚脱が疑われます。
また、夜間に咳がひどくなる場合は、肺水腫や気管支炎の可能性が高いです。さらに、気温や湿度の変化、周囲の刺激物によって咳が誘発される場合もあります。
さらに、咳の種類についても詳しく観察してください。
乾いた咳、湿った咳、高い音のする咳、または「ガーガー」や「ゼーゼー」といった音を伴う咳など、咳の特徴を把握することが非常に重要です。
咳以外の症状がないか確認
最後に、犬が咳をする場合、咳以外の症状がないか確認しましょう。犬の咳が単独で現れる場合もありますが、多くの場合、他の症状を伴う場合があります。
咳以外の症状を確認すると、咳の原因を特定しやすくなり、適切な対処法を見つける手助けになるのです。
まず、呼吸状態を注意深く観察しましょう。呼吸が浅く速い場合や、胸部が大きく動いている場合は、肺や気道に問題がある可能性があります。
また、咳とともに鼻水やくしゃみが見られる場合は、感染症やアレルギーが原因の可能性が高いです。
加えて、犬の舌や歯茎の色も重要なサインであり、舌が青紫色の場合、酸素不足を示しています。
そして、食欲や元気の有無も観察しましょう。元気がなく、食事を拒否する場合は、全身性の病気が原因の可能性があります。
さらに、発熱や嘔吐、下痢などの症状がある場合は、感染症や他の内臓疾患を示唆している場合が多いです。
病院に連れていくべき症状とは
次に、犬の咳で病院に連れていくべき症状を紹介します。それぞれ詳しく紹介するので、少しでも症状が現れた場合は、すぐ病院に連れていきましょう。
咳が続く、苦しそうにしている
まず、犬が咳を繰り返し、さらに苦しそうにしている場合は、すぐに病院に連れて行きましょう。
通常、犬の咳は短時間で終わる場合が多いですが、数日以上続いたり、咳が頻繁に起こったりする場合は注意が必要です。
特に、咳が乾いた音が鳴る場合はケンネルコフ、湿った音の場合は肺炎や気管支炎が疑われます。また、咳の最中や直後に吐きそうになる場合、気管虚脱や誤嚥の可能性があります。
症状を放置すると、犬の体力が急激に消耗し、命に関わる状態に発展しやすいです。咳が苦しそうな場合には、犬が呼吸困難に陥るリスクもあるため、緊急性が高いと考えられます。
咳き込むたびに犬の表情が険しくなり、体を丸めるような仕草が見られる場合、気管や肺の問題が原因である可能性が高いです。
症状が見られたら、家庭での応急処置はせず、速やかに動物病院を受診しましょう。
呼吸が早い
次に、犬の呼吸が普段よりも早い場合も、早急に病院に連れて行きましょう。
通常、安静時の犬の呼吸回数は1分間に20回前後ですが、これを超えて速い場合や、胸や腹部の動きが大きく見える場合は、肺や心臓、呼吸器系に問題がある可能性があります。
特に、呼吸に過剰なエネルギーを要している様子が見られる場合には注意が必要です。呼吸が早くなる原因は、肺炎や気管支炎、肺水腫、心臓病、熱中症などが考えられます。
また、呼吸が速いだけでなく、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音を伴う場合は、気道が狭くなっている可能性があり、緊急対応が必要です。
このような状態は酸素不足を引き起こし、命に関わる場合もあります。速い呼吸が見られた際は、安静にさせ、無理に動かさずにすぐに動物病院を訪れましょう。
食欲・元気がない
3つ目に、犬が咳をしながら食欲を失い、元気がなくなっている場合は、全身的な問題が進行している可能性があるので病院に連れていきましょう。
通常、健康な犬は多少の体調不良でも食欲を示しますが、咳が原因で食事を拒否する場合、体内で炎症や感染症が進行している可能性が高いです。
食欲不振に加えて、普段活発な犬が動きたがらない、散歩を嫌がる、寝てばかりいるといった行動が見られる場合は注意してください。
これらの症状は、肺炎や気管支炎、フィラリア症などの呼吸器疾患、または心臓病が背景にある場合があります。
また、咳がひどくなると睡眠不足が続き、さらに体力が低下する悪循環に陥るケースも少なくありません。
放置すると症状が進行し、治療が難しくなるため、早期に動物病院で診察を受けることが重要です。
チアノーゼ
4つ目に、チアノーゼの症状がみられた場合も病院に連れていきましょう。チアノーゼは犬の舌や歯茎、粘膜が青紫色になる状態を指し、酸素不足が原因で起こります。
チアノーゼの症状は非常に緊急性が高く、直ちに病院へ連れて行くべきです。
チアノーゼが見られる場合、肺や心臓の疾患が進行している可能性が高く、特に肺炎や肺水腫、心不全、あるいは気管虚脱が原因と考えられます。
また、アレルギー反応や気道への異物混入による急性の呼吸障害も発生しやすいです。チアノーゼは酸素供給が極端に不足している状態であり、犬が息苦しさを感じています。
チアノーゼの状態が続くと、全身の臓器が酸欠に陥り、命に関わる危険性が高いです。
発見した際には、すぐに犬を安静にさせ、無理な移動や刺激を避けつつ、できるだけ早く動物病院で治療を受けるようにしてください。
獣医師に状況を伝える際には、チアノーゼが見られたタイミングやその直前の犬の様子を詳細に説明することが重要です。
失神
最後に、犬が咳をしながら失神する場合、非常に危険な状態である可能性が高いため、即座に動物病院で診察を受けましょう。
失神は一時的に脳への酸素や血液の供給が途絶えると起こり、咳による気道の圧迫や心臓の問題が原因となる場合が多いです。
特に、僧帽弁閉鎖不全症や肺高血圧症といった心臓病では、咳の発作が失神につながるケースがあります。
犬は突然力を失って倒れたり横たわったりした後、一時的に意識を取り戻す場合もありますが、根本的な原因が解消されなければ再発する可能性が高いです。
失神を無視すると病状が進行し、命に関わる状態に陥る可能性があります。
失神が見られた場合は、犬を無理に起こしたり刺激を与えたりせず、安静に保ったまま速やかに病院に向かいましょう。
診察時には失神が起きた回数、発生状況、犬の普段の様子を正確に伝えると、診断と治療がスムーズに進みます。
まとめ
今回は、犬の咳の原因について紹介しました。犬の咳は、生理現象や誤飲・誤食などが原因として考えられます。
他にも、犬の咳は症状によっては病気の可能性があり、考えられる病気はケンネルコフ、気管虚脱、心臓病、誤嚥、肺炎、気管支炎、犬糸状虫症などです。
犬が咳をした場合は、咳の様子を観察していつから始まったのかを記録し、咳以外の症状がないかチェックしましょう。
また、苦しそうな咳が続く、呼吸が早い、食欲や元気がない、チアノーゼ、失神などの症状がみられる場合はすぐに動物病院に連れて行ってください。
