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【獣医師監修】犬が「舌を出す」のはなぜ?舌を出す理由や病気の心配がある症状について解説

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はじめに

犬を飼っていて、犬が舌を出すのを見たことがある方は多いと思います。犬は興奮して舌を出すイメージがありますが、舌の出し方やなめる部位によって意味はさまざまです。

今回は、犬が舌を出す理由を紹介します。

病気の心配がある症状やなめる部位によるサインについて解説するので、愛犬の健康状態に関する理解を深めましょう。

犬が舌を出す理由とは?

まず、犬が舌を出す理由を紹介します。

  • 体温調節
  • リラックスしている
  • 興奮している
  • 相手に対して敵意がない
  • ストレスを感じている
  • カーミングシグナル
  • 飼い主の側に入れる嬉しさ

それぞれ詳しく紹介するので、愛犬が舌を出すのがどれに当てはまるかチェックしましょう。

体温調節

まず、犬が舌を出す主な理由は体温調節です。人間は汗をかいて体温を下げますが、犬は汗腺が肉球など限られた部分にしかありません。

そのため、犬は「パンティング」と呼ばれる口を開けて舌を出しながら行う浅く速い呼吸によって体温を調整します。

パンティングによって舌の表面から唾液が蒸発し、その際に発生する気化熱で体温が下がる仕組みです。

特に暑い季節や運動後にパンティングが多くみられます。体温調節は犬にとって非常に重要な機能であり、正常な行動です。

ただし、暑さの中でパンティングが長時間続く場合や呼吸が荒くなる場合は、熱中症の危険性があります。

そうした場合は、涼しい場所へ移動させ、水分補給を促すなどの対策をとりましょう。

また、異常なパンティングが続く際には、心臓や呼吸器系の問題も考えられるため、動物病院での診察を検討してください。

普段の行動と比べてどの程度のパンティングが見られるかわかると、健康状態の把握にもつながります。

リラックスしている

次に、犬が舌を出す理由はリラックスしているからです。リラックスした犬は全身の筋肉が緩んで舌の筋肉も力が抜けるため、自然に舌が口の外に出る場合があります。

リラックスした姿は特に飼い主のそばや安心できる場所にいるとき、または静かで穏やかな環境で見られるケースが多いです。

犬がリラックスしているとき、犬の目は半分閉じられたり、表情が穏やかだったりする場合もあります。

例えば、日向ぼっこをしながら寝そべっているときや、飼い主に撫でられているときなどが典型的な状況です。

一方で、リラックスして舌を出している姿と、体調不良による舌出しを見分けられるようになりましょう。

リラックスの場合は他に特に異常が見られませんが、舌を出したまま動きが鈍くなる場合や呼吸が荒い場合は、病気の兆候である可能性があります。

その際は、すぐに状況を確認し、必要に応じて獣医師の診察を受けましょう。

興奮している

3つ目に、犬が舌を出す理由は興奮しているからです。犬が舌を出しながら速い呼吸をしている場合、興奮を示している可能性があります。

興奮の原因はさまざまで、新しい環境や人、他の犬との接触、遊び中などでよく見られる行動です。

犬は感情が高ぶると心拍数が上がって呼吸が速くなるため、舌を出して空気を取り込むようになります。

例えば、ボールを追いかけたり散歩中にリードを引っ張ったりする犬の多くは、舌を出している場合が多いです。

また、飼い主が帰宅した際やおもちゃを見せたときなど、嬉しさのあまり興奮して舌を出すケースもあります。

興奮状態が持続すること自体は通常問題ありませんが、あまりにも長く興奮が続くと体に負担がかかる恐れもあるので注意が必要です。

特に高齢の犬や心臓疾患を持つ犬では、興奮しすぎると健康に悪影響が出る可能性があります。

興奮を落ち着かせるためには、静かな環境に移したり穏やかに撫でたりして、犬がリラックスできるようにしましょう。

興奮とともに異常な行動が見られる場合には、健康上の問題も考慮して観察を続けてください。

相手に対して敵意がないことを伝えている

4つ目に、犬が舌を出す理由は相手に対して敵意がないことを伝えているからです。

犬同士の交流や人間との関係において、舌を出すのはリラックスしていて攻撃の意図がないことを示すためのサインとして機能します。

このような仕草は、特に新しい環境や未知の人・動物と対面したときにみられやすいです。たとえば、公園で他の犬に近づく際や見知らぬ人が自分に注意を向けたときにみられます。

犬が舌を出し、耳を後ろに引きながら体を低くしている場合、「私は友好的で、安全ですよ」という意思表示です。

敵意がないサインは、犬の社会性や性格によっても現れ方が異なります。飼い主は犬のシグナルを理解し、無理に接触を促したり過度な刺激を与えたりしないよう注意しましょう。

また、犬が舌を出しながらサインを送る場合、信頼関係を築く良い機会でもあります。

犬に優しく声をかけたり褒めて安心感を与えたりすると、犬はよりリラックスし、安心できる環境と感じることが可能です。

ストレスを感じている

5つ目に、犬が舌を出す理由はストレスです。犬は緊張したり不安を感じたりすると、ストレスのサインとして舌を出す場合があります。

たとえば、慣れない場所に行ったり大きな音や見知らぬ人に遭遇したりしたとき、舌を出して「パンティング」に似た行動を取るのです。

ストレスから舌を出す行動は、犬が精神的に落ち着こうとする自己防衛の一環でもあります。

犬がストレスを感じている場合、舌を出す行動に加えて、尻尾を下げる、耳を後ろに倒す、体を低くするなどのボディランゲージも見られやすいです。

飼い主は、ストレスのサインを見逃さずに対応して、犬のストレスを軽減しましょう。ストレスの原因を取り除くか、犬がリラックスできる環境を整えることが重要です。

また、頻繁にストレスサインが見られる場合は、何が犬にとって負担になっているのかを見極め、適切な対処を行いましょう。

ストレスが長期的に続くと、体調不良や行動問題に発展することもあるため注意が必要です。

カーミングシグナル

6つ目に、犬が舌を出す理由はカーミングシグナルです。犬が舌を出す行動は、カーミングシグナルと呼ばれる犬特有の平和的なコミュニケーションの一部である場合があります。

カーミングシグナルとは、犬が相手や状況に対して「私は敵意がない」「争いたくない」と伝えるための行動です。

例えば、他の犬や人間が近づいてきた際に見られる場合が多く、犬は相手を落ち着かせる意図で舌をペロッと出したり、顔を舐める仕草をしたりします。

カーミングシグナルからの舌を出す行動は、犬の社会性や性格によっても現れる頻度が異なりますが、どの犬にとっても重要なコミュニケーション手段です。

特に、緊張した状況や相手の行動に不安を感じた場合に見られる場合があります。

飼い主はサインを理解し、犬が安心できるようにサポートして、リラックスした状態を保ちましょう。

また、カーミングシグナルを通じて犬が示しているメッセージを尊重すると、犬との信頼関係がより深まります。

飼い主の側に入れる嬉しさ

最後に、舌を出す理由は飼い主の側に入れるのが嬉しいからです。犬は飼い主との絆が強い動物であり、一緒にいると安心感を覚えてくれます。

特に、散歩の途中や飼い主が遊んでくれるときなど、犬が楽しい時間を過ごしているときに舌を出している場合が多いです。

舌を出す行動は犬がリラックスしていると同時に、「嬉しい」という感情を示しています。また、飼い主の側にいる時に舌を出す行動は、犬が心から信頼していることの表れです。

飼い主としては、犬の行動をポジティブに受け止め、さらに喜ばせるために撫でたり声をかけたりしてあげるとよいでしょう。

一方で、過剰な舌出しが見られる場合には、嬉しさだけでなく他の理由が隠れている可能性もあるため、犬の全体的な行動や環境を観察してください。

犬が舌を【横】に出しているのはなぜ?

犬は舌を横に出している場合があります。

  • 体調不良
  • 歯並びが悪い

それぞれ詳しく紹介するので、愛犬にみられた場合はどちらに当てはまるか判断しましょう。

体調不良

まず、犬が舌を横に出しているのは体調不良を示しているからです。

通常、犬が舌を出す行動はリラックスや体温調節を目的としていますが、舌を横に出したまま戻らなかったり、他の異常行動を伴ったりする場合があります。

例えば、口の中に異物が詰まっていたり舌自体に炎症や傷があったりする場合、犬は違和感を感じて舌を横に出しやすいです。

また、神経や筋肉の異常により舌を正常に動かせなくなるケースもあります。

特に、舌を出したままよだれが多く出たり、飲食に困難を感じていたりするようであれば、すぐに獣医師の診察を受けましょう。

さらに、熱中症や低血糖などの急性の健康問題も、舌の動きや位置に影響を及ぼすことがあります。

犬が他にどのような症状を示しているかを観察し、異常を早期に発見することが重要です。

体調不良の兆候を見逃さないためには、普段の行動パターンを把握しておくことが役立ちます。

舌を横に出す行為が頻繁に見られる場合や、明らかな異常が伴う場合には、専門家の意見を仰ぎ、適切な治療を受けましょう。

歯並びが悪い

次に、犬が舌を横に出している理由は、歯並びが悪いからです。特に小型犬や短頭種は先天的に歯並びが悪いことが多く、舌が口の中に収まらず横に出る場合があります。

歯並びの問題は、舌の収納スペースに影響を及ぼし、舌が外に出た状態で固定されやすくなるのです。

小型犬や短頭種では、舌を横に出していることが見た目として特徴的ですが、生活に支障を来す場合もあります。

例えば、舌が乾燥してひび割れたり、食事や水分補給がしにくくなったりする場合があるため、飼い主は犬の口腔ケアに注意が必要です。

また、歯並びの悪さが原因で歯周病などのリスクも高まるため、定期的な歯科検診や歯磨きを心がけましょう。

舌を横に出している状態が日常的で特に問題がない場合もありますが、生活の質に影響が出ている場合には、獣医師に相談し適切な対処法を考えることが重要です。

歯並びの悪さが犬の健康や快適さにどのような影響を与えているかをしっかり把握しましょう。

病気の心配がある場合

犬が舌を出していると下記の病気が疑われます。

  • 熱中症
  • 僧帽弁閉鎖不全症
  • てんかん
  • 気管虚脱
  • 口腔内トラブル

それぞれ詳しく紹介するので、病気の可能性がある場合はすぐに動物病院に連れていきましょう。

熱中症

まず、犬が舌を出している場合に疑われる病気は熱中症です。犬は汗をかくことができないため、主に舌を使って体温を調節します。

しかし、暑さが過剰で体温調節が追いつかない場合、舌を大きく出して速いパンティングを行う場合がよく見られやすいです。

さらに、熱中症が進行すると、犬はぐったりして動けなくなって舌が乾燥し、暗い赤色や紫色に変色する場合もあります。

熱中症は迅速な対処が求められる緊急事態です。飼い主は犬をすぐに涼しい場所へ移し、水を少しずつ与え、濡れたタオルで体を冷やしてあげましょう。

その後、速やかに獣医師に連絡を取ることが必要です。特に高温多湿の環境では、犬を長時間屋外に置かない、十分な水分補給を心がけるなどの予防策を徹底しましょう。

僧帽弁閉鎖不全症

次に、犬が舌を出している場合に疑われる病気は僧帽弁閉鎖不全症です。僧帽弁閉鎖不全症は犬の心臓病の一つで、特に高齢の小型犬に多く見られます。

僧帽弁閉鎖不全症では、心臓の弁が正しく閉じないため血液が逆流し、心臓に負担がかかります。その結果、呼吸が浅く速くなり、舌を横に出す行動が見られるのです。

進行すると心不全に至る可能性があるため、早期発見が必要になります。

犬が頻繁に舌を横に出しながら呼吸している、疲れやすい、咳をする、散歩中に突然立ち止まるなどの症状がある場合、獣医師の診察を受けましょう。

診断には心エコー検査が用いられ、治療としては心臓の負担を軽減する薬の投与が一般的です。

僧帽弁閉鎖不全症は完全に治すことは難しいものの、適切な治療と管理で犬の生活の質を維持できます。

てんかん

3つ目に、犬が舌を出している場合に疑われる病気はてんかんです。てんかんは神経系の異常によって発作を引き起こす病気で、発作の間やその後に犬が舌を出す場合があります。

てんかん発作の際には、意識を失ったり筋肉が硬直または痙攣を起こしたりするため、舌が出やすいです。

また、発作後の回復段階では、犬が混乱したり疲労したりしながら舌を出したままになる場合もあります。てんかんの原因は遺伝的要因から脳の構造的な問題までさまざまです。

発作が見られた場合、慌てずに安全な場所で犬を見守り、持続時間や頻度を記録しておきましょう。

獣医師の診察を受ける際に、事前情報が診断に役立ちます。治療には抗てんかん薬が用いられ、適切な管理により発作の頻度や重症度を減らすことが可能です。

気管虚脱

4つ目に、犬が舌を出している場合に疑われる病気は気管虚脱です。気管虚脱は気管が柔らかくつぶれてしまう病気で、小型犬に多く見られます。

気管虚脱の状態では呼吸が困難になり、犬は舌を横に出しながら苦しそうにパンティングをする場合が多いです。

特に、散歩後や興奮時などに症状が悪化するケースがよくあります。気管虚脱は放置すると悪化し、犬の生活の質に大きな影響を与えるため、早期の診断と治療が重要です。

診断にはX線検査や内視鏡検査が用いられ、治療には気管を支える器具を設置する外科手術や、抗炎症薬の投与などが行われます。

また、肥満が症状を悪化させるため、適切な体重管理が必須です。散歩中に首輪ではなくハーネスを使用すると気管にかかる負担を軽減する効果があります。

口腔内トラブル

最後に、犬が舌を横に出している場合に疑われる病気は口腔内トラブルです。

例えば、歯周病や口内炎、破損した歯などが原因で痛みや不快感を感じ、舌を出したままにする場合があります。

また、口の中に異物が詰まっていたり、腫瘍ができたりしている場合も同様です。トラブルは、犬が食事を嫌がる、口臭が強い、よだれが多くなるなどの症状を伴います。

口腔内の健康を維持するためには、定期的な歯磨きや歯科検診が欠かせません。特に、舌を出す行動が頻繁で異常が見られる場合は、速やかに獣医師に相談しましょう。

口腔内トラブルを放置すると、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため、早期の対応が重要です。

犬がなめる部位でストレスや病気のサインが分かる?

犬はなめる部位でストレスや病気のサインがわかります。

  • 鼻やその周り
  • 自分の口の周り
  • 足、同じ場所
  • 陰部

それぞれ部位ごとに紹介するので、愛犬の健康状況を把握できるようになりましょう。

鼻やその周り:副鼻腔(びくう)炎や鼻炎などの炎症

まず、犬が頻繁に鼻やその周りをなめる場合、副鼻腔炎や鼻炎などの炎症が考えられます。

副鼻腔炎や鼻炎などの症状は、アレルギーや感染症、異物の吸入などが原因となる場合が多いです。

犬は鼻を使って多くの情報を収集するため、鼻の不快感や炎症があると異常を示す行動としてなめる場合があります。

鼻水やくしゃみ、鼻周辺の赤みや腫れなどが見られる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。

また、乾燥した環境が続くと犬の鼻がひび割れたり乾燥したりする場合も頻繁になめる行動が見られます。

副鼻腔炎や鼻炎を予防するためには、適切な室内環境の維持や散歩中に犬が地面を過剰に嗅ぎ回らないよう注意することが重要です。

自分の口の周り:口元に食べ物の残りかすがついている場合が多い

次に、犬が自分の口の周りをなめる場合は、口元に食べ物の残りかすや食べ物の匂いが残っているときに見られる自然な行動です。

しかし、頻繁に行われる場合、口内のトラブルが隠れている恐れがあります。

例えば、歯周病や口内炎、破損した歯が原因で痛みや違和感を感じている場合、犬は和らげるために舌でなめるのです。

また、口の中に異物が挟まっている場合も同様の行動をとる場合があります。口臭が強い、よだれが増えるといった症状が見られる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。

口の健康を保つためには、日常的な歯磨きや定期的な歯科チェックが重要です。

足、同じ場所:舐め壊しになりやすい部位。足の指や指の間がある

3つ目に、犬が特定の足や指の間を頻繁になめる場合、皮膚炎や感染症、アレルギーが原因となっている場合があります。

なめる行動を繰り返すと皮膚が炎症を起こし、「舐め壊し」と呼ばれる状態に進行する恐れがあるのです。

特に、足の指や指の間は湿気がたまりやすく、細菌や真菌が繁殖しやすくなっています。また、ストレスや退屈が原因でなめる場合も多いです。

犬が足をなめ続けるとさらに悪化するため、早めの対応が必要になります。散歩後には足を清潔に保つ習慣をつけ、必要に応じて保湿ケアや消毒を行いましょう。

陰部をなめる場合:膀胱炎のおそれ

最後に、犬が頻繁に陰部をなめる場合、膀胱炎の可能性を考えましょう。膀胱炎は、細菌感染や結石が原因となる場合が多く、頻尿や血尿、排尿時の痛みなどの症状を伴います。

犬が陰部をなめるのは、陰部不快感や痛みを軽減しようとする行動です。特に頻尿が目立つ場合は、膀胱炎の可能性が考えられます。

膀胱炎は適切な治療を受ければ治る場合が多いですが、放置すると腎臓へ影響を及ぼしやすいです。

予防策として、常に清潔な飲み水を用意し、排尿を我慢させないようにしましょう。症状が見られる場合は、尿検査や超音波検査を行うために、早めに動物病院を受診してください。

まとめ

今回は、犬が舌を出す理由を紹介しました。犬は、体温調節する時やリラックス時、興奮時、ストレス時、相手にサインを送る時などに舌を出します。

ただ、犬が舌を出す際は熱中症や僧帽弁閉鎖不全症、てんかん、気管虚脱、口腔内トラブルの可能性もあるので注意が必要です。

飼い主は定期的に犬の様子をチェックし、犬が舌を出す理由を判断しましょう。少しでも病気の可能性がある場合は、すぐに病院に連れて行ってあげてください。

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