犬はなぜ飼い主を噛む?理由やしつけ方法を徹底解説

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はじめに

噛み癖イメージ

この記事では、噛みついてくることがある犬に関して、「犬はなぜ飼い主を噛むのか?」と感じている飼い主さんの疑問に答えるために、その理由について徹底的に解説しています。

また、適切にしつけるための方法として、「噛まれたときのリアクション」や「専用スプレー」などについて、具体的に詳しくまとめました。

さらに、やってはいけないしつけ方法として、「無反応」や「叩かない」といったことなどについて、さまざまな視点から詳しくまとめました。

犬と一緒に遊んであげているとき、突発的に噛みついてくることがあって対処の仕方などに困っている場合には、この記事を参考にして基礎的な知識としてお役立てください。

犬が人を噛む理由

犬が人を噛もうとするときには、なんらかの理由があります。

その理由としては、以下の6つのことが考えられるでしょう。

  • ストレス
  • 恐怖
  • 甘え
  • 興奮
  • 口の中が痒い
  • 遊んで欲しい

次の項目で、さまざまな視点から詳しい情報をまとめました。

ストレス

犬が人を噛んでしまう理由の1つとして、過度のストレスが原因となっていることがあります。

運動不足

運動不足が原因で、ストレスが溜まってしまうことが原因です。

適切な運動ができないことで心身ともに疲弊することにより、苛立ちからも噛み癖の症状が出ている可能性があります。

運動不足についての対処法としては、犬用のおもちゃなどを用意して、噛むことでストレスを発散させられるようにしましょう。

また家の中では自由に過ごさせる、なるべく散歩は毎日欠かさないなど十分な運動をさせて、犬がストレスを感じないように配慮してください。

環境の変化

引っ越しや家族構成の変化など、環境が変化することによってストレスを感じることが原因です。

不安や不満を抱えている状況を改善するために、噛むことに転換することで、精神の安定を求めている可能性があります。

また飼い主さんが怒ったとき、大きな音がしたときなどの状況によっては、ストレスや恐怖を感じることによって、思わず噛んでしまうことがあるでしょう。

無反応でスルーしてしまうようなことはせず、人を噛む行動はいけないことだと叱って、しっかりと教えることも大切です。

ただし、しつけと称して犬を叩いたり蹴ったり、押さえつけたりするようなことをしてはいけません。

そのような暴力的な行為をしてしまうと、飼い主さんに脅威を感じ、恐れるべき相手として認識することで過度に怯えてしまい、さらに噛み癖が悪化する可能性があります。

しつけが必要なときは、以下の対処法を参考にしてください。

まずは、犬を落ち着かせましょう。

安心できるように、そっと抱きしめたり優しく声をかけたりして、犬の興奮状態を抑えるようにしてください。

つぎに、根本的な原因と理由を探りましょう。

なぜ噛もうとしたのか、その原因と理由を正しく理解して、しつけなどを通して改善していくことが大切です。

最後に、噛みつき癖が日常的にならないよう、しつけの方法を見直してみましょう。

たとえば環境の変化が原因の場合には、新しい状況などに慣れるよう時間をかけて、しっかり対応してください。

大きな音がしたとき、咄嗟に驚いて噛むことがある場合には、騒音などがない静かな環境で過ごせるよう配慮しつつ、大きな音に慣れるようトレーニングをしていく必要があります。

また飼い主さんに叱られたときに、歯を立てたり、牙をむき出してきたりするような場合にも、気持ちを抑えるようなトレーニングをする必要があるでしょう。

正しいトレーニングの仕方が分からないなど、対応が難しいと感じるときには、ドッグトレーナーに相談することも1つの手段です。

信頼関係の欠如

コミュニケーションやスキンシップが不足してしまうと、飼い主さんのことを脅威に感じてしまい、恐れによるストレスが原因となって噛み癖の症状が出ることがあります。

信頼関係が欠如していることを示唆しているとも考えられ、犬と飼い主さんとの関係性が崩れている可能性もあるでしょう。

子犬の頃からしっかりとしつけを行い、飼い主さんとの信頼関係を築き、人に対して歯を立てることがないようにトレーニングしてください。

衝動的に噛むようなことをしてはいけないということを、子犬の頃から学ばせていないと、日常的な噛み癖として身についてしまうことがあります。

子犬の頃はもちろん、成長してからも、日々のスキンシップを欠かさないように配慮して、飼い主さんのことをリーダーとして認めてもらうことが重要です。

一緒に過ごす時間を増やして、犬が安心感を持てるようにすることで、犬との信頼関係を崩さないようにしましょう。

あまりにも噛み癖がひどくて、対応が難しいと感じるときには、ドッグトレーナーに相談することも1つの手段です。

ドッグトレーナーは犬のしつけを行う知識を持つ専門家で、噛み癖の原因となることについて正しく理解しており、犬の性格に適したトレーニングを行ってくれます。

犬との正しい接し方や、効果的なトレーニングの方法などもアドバイスしてくれることがあるので、できれば利用してみることを検討してください。

恐怖

知らない人や知らない犬が近づいてくると、恐怖を感じて、自分の縄張りを侵害されたことで威嚇したり、身を守るために噛みつこうしたりするなどの攻撃的な行動に出ます。

また犬は予期せぬ刺激に弱い動物です。

大きな音や突然の動きなど、犬にとって予期していない刺激を受けると、パニックを起こして、恐怖心などから噛みついてしまうことがあります。

恐怖や不安などを感じたことが引き金となって、人に対して牙をむき出してしまうことがある場合の具体的な事例としては、以下のような状況が想定できるでしょう。

たとえば散歩をしているとき、不意に知らない人が近づいてきたら、犬にとっては予期せぬ刺激を受けることとなり、恐怖心から攻撃的な行動に出る可能性があります。

犬が勢いよく吠えて、噛みついてしまうかもしれないと感じた場合、飼い主さんが犬を制止するため、飛びついていかないよう抱き止めようとしますが、その行動も危険です。

いきなり束縛されて自由を失うことでパニックになり、飼い主さんの腕の中で暴れてしまい、思わず噛みついてしまうことがあるでしょう。

犬が威嚇の吠え声を発しているのに、意に介さず知らない人が近づいてきたときは、リードを引き寄せて犬の前に立ち、犬を守る姿勢をとってください。

もし散歩中に、近づいてきた知らない人を犬が噛んでしまった場合、状況によっては飼い主さんに責任が生じてしまう可能性もあるため、注意が必要です。

法律としての見解によれば、民法第718条にて、以下のように規定されています。

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民法第718条:動物の占有者は、犬や猫などのペットが他人に危害などを加えた場合、損害を賠償する責任を負う。

ただし飼っている動物の種類および性質に従い、相当の注意をもって管理をしていた場合は、この限りでない。

占有者に代わって動物を管理している者も、前項の責任を負う。

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つまり、飼い主さんが犬の種類や性質に応じた適切な注意を払っていた場合であれば、飼い主さんに責任はないと判断される可能性があります。

しかし、犬にリードをつけていなかった場合や、犬の管理状態が適切でなく問題があると判断された場合には、飼い主さんに責任がある可能性が高くなるでしょう。

急に近づいてきた人が悪いのではないかと思われますが、法律上は、飼い主さんが犬の所有者である以上、犬の行動に対する責任を持つことになります。

飼い主としての責任として、まず被害者に対して謝罪し、治療費や損害賠償などを支払う必要があるでしょう。

また犬のしつけを怠っていた場合には、トレーニングをするなどして、再発防止に努めなければなりません。

しつけをするときには、具体的な方法として、以下のことに気をつけましょう。

  • 犬に十分な社会化をさせることで、知らない人や環境などに慣れさせてください
  • 犬に予期せぬ刺激を与えないよう、周囲の状況などに気を配ってください

犬の心理状態などを理解するように努め、正しい対応をすることで、恐怖心による噛みつきを予防することが大切です。

また知らない人が散歩中の犬に触ろうとした場合には、以下の方法で、その行動を阻止してください。

犬のリードが長すぎるときは、リードを短く持って犬を飼い主さんのほうに引き寄せ、双方に危険が及ばないような体勢をとる必要があります。

相手に対しては、いきなり近づいてきたら犬が怖がるので急に触ろうとしないでくださいと、はっきりとした口調で危険な行為であることを伝えましょう。

トラブルの可能性を伝えているのにも関わらず、忠告を無視して近づいてくるような場合には、以下の方法で注意喚起を促してください。

知らない人が近づけば犬が怖がり、不用意に手を伸ばせば、意図せず噛んでしまうこともあるので危険であるということを、厳しく警告しましょう。

飼い主の許可も得ずに、他人の犬に勝手に触ろうとするほうが間違っているのですから、遠慮せずに強い口調で伝えてください。

もし相手が耳を傾けようとしてくれないなど、緊急を要する状況によっては、周囲に助けを求めるか、警察に通報することも1つの手段です。

甘え

飼い主さんの腕や足にじゃれつくように、軽く甘噛みをしてくる場合には、飼い主さんとのスキンシップを求めていることが考えられるでしょう。

子犬の場合には、母犬に甘えるときに前歯で噛むような仕草をしますが、これは甘噛みといって、よく見られる行動です。

また歯が生え替わる時期に、歯がムズムズすることから噛みたくなってしまうことも、原因の1つです。

子犬期を過ぎて成長してからも、甘噛みのような柔らかい噛み方をしてくることがあり、これは愛情表現の1つとされています。

犬がなぜ噛むのか、仕草や行動をよく観察し、甘えたいという心理状態を正しく理解することが大切です。

甘噛みをするときは、飼い主さんと一緒に遊びたかったり甘えたかったりする心理状態を、噛むという行動に転じていることが、理由の1つとして考えられるでしょう。

飼い主さんの関心を惹きつけるための行動の一環として、噛むという行為で表現していることも、原因の1つです。

甘えたい気持ちから甘噛みをしてくるときは、獲物を捕らえるときのように強く噛んだりはしないため、さほど痛くないでしょう。

しかし噛み癖がついてしまうと、家具を傷つけたり、衣服を噛み千切ってしまったりなどの問題行動を生じる可能性があります。

場合によっては、噛む力を間違えてしまったことで、飼い主さんや家族などに怪我をさせてしまうかもしれません。

噛み癖などの問題行動を容認してしまうことは、犬の教育上としても推奨できないため、早めに対処することが大切です。

具体的な対処法としては、以下のようなものがあります。

はっきりとした口調で、「ダメ」や「ノー」と声をかけましょう。

力を入れすぎないよう注意しながら犬の口を開いて、噛まれた箇所を静かに引き離してください。

たとえば撫でるなどのスキンシップをとっているときに、母犬に甘えるときのような気持ちになって、ふと前触れもなく飼い主さんのことを噛もうとすることがあるでしょう。

そういうときは「ダメ」と叱って制止する必要がありますが、噛んでも問題のないおもちゃを与えるなどして、犬の関心を別のものに向けさせる工夫も大切です。

たとえば以下のような、犬用のおもちゃを与えるとよいでしょう。

犬用のジャーキー、犬用のガム、犬用のビスケットなどの食用のおやつは、噛んでも安全で、歯磨き効果や栄養補給の効果も期待できます。

牛皮製のチューイングボーン、鹿の角、木製の噛み棒など、天然素材で作られたおもちゃは噛んでも安全で、歯磨き効果やストレス解消の効果も期待できます。

ナイロン製のボール、ポリプロピレン製の噛み棒、ゴム製のおもちゃなど、耐久性の高い素材で作られたおもちゃは、噛んでも壊れにくく、長期的に遊ぶことができます。

興奮

犬は興奮してしまうことが原因で、咄嗟に噛んでしまうという行動を取ることがあります。

たとえば状況としては、以下のようなものが考えられるでしょう。

遊んでいるときに興奮してくると、本能的に狩りをするような行動をとり、獲物に噛みつくような感覚で、飼い主さんを噛んでしまうことがあります。

たとえば旅行や出張などで不在にしていた飼い主さんに、久しぶりに会えたときは喜びのあまり興奮して、愛情表現の1つとして噛んでしまうこともあるでしょう。

ドッグランなど初めての場所に行ったり、新しいおもちゃを与えたりしたときにも、好奇心や警戒心から興奮してしまい、噛むという行動をとってしまうこともあります。

普段の状態であれば、飼い主さんに対しては加減して噛んでくるため、さほど痛くはない可能性が高いでしょう。

しかし犬が興奮しているときは、高揚のあまり力加減を間違えてしまうことがあるかもしれません。

強く噛んでしまった場合には、流血するなどの怪我を負う可能性もあるため、普段から噛み癖がある場合には、早めに対処することが大切です。

対処法としては、以下のようなものがあります。

なるべく犬が興奮しそうな状況を避けましょう。

犬が噛んだときは「ダメ」や「ノー」と声をかけて、その場で行動を制止してください。

犬が興奮したときに噛んでしまうことを防ぐためには、犬の性格や好みに合わせて十分な運動や遊びを提供し、ストレスを解消させてあげることも大切です。

また犬に噛んではいけないことをしっかりと教え、噛もうとする欲求を別の方法で発散できるように配慮してください。

日頃から、チューイングボーンや木製の噛み棒などの犬用おもちゃを与えておくことで、噛みたいという衝動や本能を抑制することができるでしょう。

噛み癖が頻繁に生じる場合や、具体的な対処法がわからない場合には、獣医師またはプロのトレーナーに相談するのも1つの手段です。

口の中が痒い、または痛い

犬は、口の中が痒い、または痛いときに、噛むという行動をとることがあります。

口の中が痒い、または痛い原因については、以下のようなものが考えられるでしょう。

口内炎になると、口の中が痛くて痒くなります。

歯周病になると、歯茎が腫れたり歯石が溜まったりすることにより、口の中が痛くなります。

犬用の歯の矯正器具を取り付けることで、口の中が傷ついて痒くなることもあるでしょう。

食べ物やハウスダストなどのアレルギーによって、口の中が痒くなることがあります。

また口腔癌や内臓疾患などの病気によって、口の中が痛くなることがあります。

口の中が痒い、または痛いことが原因である場合には、以下の対処法を参考にしてください。

歯磨きや歯石除去などのケアを行い、普段から口の中を清潔に保つように心がけましょう。

また、定期的に口腔内の診察を受け、異常がないかどうかチェックするとよいでしょう。

噛んではいけないということをしっかりと教え、噛みたいという欲求に対しては、犬用のおもちゃなどを与えることでストレス発散を促してください。

噛み癖が頻繁に生じる場合や、具体的な対処法がわからない場合には、獣医師またはプロのトレーナーに相談するのも1つの手段です。

遊んで欲しい

犬が噛んでくるときの理由の1つとして、構って欲しいという気持ちから、飼い主さんに一緒に遊んで欲しいと伝えるために、わざと噛んでくることが考えられます。

こういった場合には、チューイングボーンや木製の噛み棒などの犬用おもちゃを与えることで、ある程度は解決するでしょう。

しかし、根本的な解決にはなりません。

具体的な対処法としては、以下のようなものが挙げられます。

運動不足や遊びが不足してしまうと、ストレスが溜まって、噛むなどの問題行動を起こしやすくなります。

なるべく毎日の散歩を欠かさず、ドッグランなど運動の機会を提供し、できるだけコミュニケーションが不足しないように、時間を作って一緒に遊んであげてください。

犬の性格や好みに合わせて、十分な運動や遊びの機会を提供し、ストレスを解消させてあげることが大切です。

ストレスを解消させるためには、犬用のマッサージや、おやつを与えるなどのスキンシップを取るようにしましょう。

犬が噛んだときには、はっきりと「ダメ」や「ノー」と声をかけて、噛んでいるものを犬の口から離し、注意を別のものに向けさせてください。

噛み癖が頻繁に生じる場合や、具体的な対処法がわからない場合には、獣医師またはプロのトレーナーに相談するのも1つの手段です。

適切なしつけ方法

犬が噛む原因には、さまざまな理由があります。

子犬の頃は、歯の生え変わりの時期に歯がムズムズするため、噛むことで口の中の違和感を解消しようとして、甘噛みというストレスを発散するための行動を取るでしょう。

飼い主さんと一緒に遊びたいという親愛の気持ちから、わざと噛みつくことで、飼い主さんの関心を自分に向けようとすることもあります。

自分のテリトリーを守るために、あえて侵入者を激しく噛もうとすることもありますが、これは縄張り意識という本能が影響しています。

原因を特定する

噛む理由を知るためにも犬の様子などをよく観察し、噛む原因となるものを特定した上で、適切なしつけを行いましょう。

噛む対象となっているものはなにか、噛もうとする前に犬はどのような行動をとっていたか、噛んだあとの様子はどうか、このようなポイントを把握して原因を特定してください。

飼い主さんに甘えたくて噛んでいると思われるときは、チューイングボーンや木製の噛み棒などの犬用おもちゃを与えて、噛むための対象を人からおもちゃに移行させてください。

飼い主さんが叱ったとき、噛もうとする行動を途中でやめることができたときは、おやつをあげたり褒めてあげたりして、これからも噛まないように学習させましょう。

遊びたいことが原因になっている場合には、犬に十分な運動や遊びの時間を与えることで、噛みたいという欲求を減らしてあげてください。

ストレスや不安が原因になっている場合には、犬が安心して過ごせる生活環境を整えてあげることが大切です。

スキンシップをこまめにとったり、散歩や遊びの時間を増やしたりして、犬のストレスを解消してあげましょう。

縄張り意識による攻撃性が原因として考えられる場合には、犬のテリトリーを尊重してあげることが大切です。

犬が噛む対象を別のものに変えてあげたり、犬の縄張り範囲を広げてあげたりすると効果があるでしょう。

毎回同じ言葉で叱る

たとえば「こら」「ダメ」「痛い」など、毎回同じ言葉で叱るといったしつけは有効な対策です。

犬は、人間の言葉の意味を正確に理解することはできませんが、音や声の強弱、表情や態度などから、飼い主さんの感情を察知することができます。

噛むことはいけないことだと認識させるためにも、毎回同じ言葉で叱ることで、飼い主さんの感情を明確に伝えるようにしましょう。

たとえば「こら」や「ダメ」といった短い単語は、犬が覚えやすいためトレーニングで使う言葉として適しています。

ただし厳しく咎めすぎると逆効果になる可能性があるため、叱り方の加減には注意しましょう。

また噛む原因となっているものを探り、問題行動を改善していくことも大切です。

遊びや甘噛みがエスカレートして噛んでくる場合には、噛んではいけないということを教えるようにしましょう。

歯がムズムズするなどの理由で噛んでいる場合には、チューイングボーンや木製の噛み棒などの犬用おもちゃを与えてください。

不安や不満を感じて噛んでいることが考えられる場合には、ストレスになっている理由を特定し、その原因を取り除いてあげてください。

噛み癖は、犬が成長するにしたがって自然に治まることもありますが、子犬の頃から早めに対処することで、より効果的に治すことができるでしょう。

噛まれたらリアクションする

しつけるときの一環として、噛まれたらリアクションすることは必要なことです。

犬は飼い主の反応を見て、自分の行動がどのような意味を持つのか、よいことなのか、いけないことなのかを学びます。

たとえば無視してリアクションしないでいると、噛むことはいけないことだと認識する機会を失い、噛んでも悪いことではないと思ってしまう可能性があるでしょう。

ただし叩いたり押さえつけたりといった、犬が痛みや恐怖を感じるようなリアクションは、問題行動をエスカレートさせる要因になるため注意が必要です。

犬は、痛みや恐怖を感じると攻撃的になったり、攻撃対象を避けたりするようになり、飼い主さんとの信頼関係を損ねてしまいかねません。

噛んだときは、強い口調で「こら」や「ダメ」と叱り、行動を制止するようなリアクションをしてください。

また噛みつかれたときに「痛い!」といった声をあげることは、噛むという行動は飼い主さんを困らせてしまうことなのだと気づくきっかけにもなります。

ただし大声で叫んだり、喚き散らしたり、パニックになって慌てふためくようなリアクションは逆効果です。

犬を興奮状態にさせてしまう結果になり、さらに噛むという行動がエスカレートしてしまう可能性があるので、注意しましょう。

噛まれたくない物には専用スプレーを購入する

家具、電気コード、衣服、靴、スリッパなど、犬に噛まれたくない物に対しては、専用スプレーがおすすめです。

噛み癖の防止に効果的な専用スプレーを購入して、随時必要なときに、噛まれたくない対象物にスプレーしておくことが効果的でしょう。

専用スプレーには、苦味や刺激臭などの成分が含まれています。

犬が舐めたり噛んだりすると、嫌な味がしたり刺激を感じたりすることで、噛むことを嫌がるように仕向けるためのアイテムです。

具体的な市販品としては、以下のようなものが挙げられます。

GRANNICK’Sというブランドから、ビターアップルという商品が発売されています。

ビターアップルは、リンゴの皮から抽出した苦み成分を使用した、天然素材の噛み癖防止スプレーです。

Vet’sBestというブランドから、ビターチェリースプレーという商品が発売されています。

ビターチェリースプレーは、レモンから抽出した成分とグレープシードから抽出した成分を使用した、天然素材の咀嚼防止スプレーです。

トーラスというブランドから、強力いたずら防止スプレー カジリノン100という商品が発売されています。

強力いたずら防止スプレー カジリノン100は、シトラス系香料、トウガラシエキス、ジャマイカカッシアエキスなどを使用した、かじられるなどの悪戯を防止するスプレーです。

スプレー以外にも、チューイングボーンや木製の噛み棒などの犬用おもちゃを併用することで、より効果的に予防することができるでしょう。

やってはいけないしつけ方法

犬が噛んできたときに、やってはいけないしつけ方法はいくつかあります。

  • 無反応
  • 常に犬の欲求を叶えてあげる
  • 叩くなどの暴力によってしつける
  • 子犬だからと叱らずに放置する

次の項目で、さまざまな状況に応じて詳しい情報をまとめました。

無反応

犬の噛みつきを防止するために、しつける方法の1つの手段として、無反応でいることはおすすめできません。

犬は、飼い主さんの反応を観察して、どのような行動が許されるのか、どのような行動が禁じられているのかを学習します。

飼い主さんが無反応でいると、噛んでも叱られないことから許容範囲内だと犬が勘違いしてしまう可能性があり、噛み癖をエスカレートさせる原因にもなるでしょう。

具体的な対処法としては、以下のようなものが挙げられます。

噛まれた瞬間に、できるだけ静かな落ち着いた声で「痛い」「やめて」と強く叱りましょう。

叱って行動を制止することによって、噛んではいけないことなのだと犬に学習させてください。

ただし大きな声で、怒った口調で厳しく叱ってしまうと、犬は興奮して噛みつきがエスカレートしてしまう可能性があるので注意が必要です。

遊んであげているときや、撫でるなどのスキンシップをしているときに噛まれた場合には、噛んだ時点で遊びやスキンシップを中断してください。

噛んだことで遊びやスキンシップが終わってしまうと学習させることで、噛み癖を改善することができるでしょう。

とはいえ、全く噛まないようにすることはできませんし、犬にとってもストレスになってしまいます。

全面的に噛んではいけない対象物と、そうではない対象物を明確に分けたほうがよいでしょう。

もちろん叱ることは必要ですが、チューイングボーンや木製の噛み棒などの犬用おもちゃを与えることで、これは噛んでもよいということを学ばせることも大切です。

常に犬の欲求を叶えてあげる

たとえば、「遊びたい」「甘えたい」といった犬の欲求を叶えてあげることは、噛みつき防止対策として有効な手段の1つです。

だからといって、なにもかも無差別に欲求を叶えて、いつでも犬の願い通りにしてあげるという方法は推奨できません。

犬は、飼い主の反応を観察して、どのような行動が許されるのか、どのような行動が禁じられているのかを学習します。

犬の欲求を叶えてあげてばかりいては、なんでも言うことを聞いてくれる、どんなことでも許してくれると勘違いさせてしまうでしょう。

噛みつくことはおろか、ほかの問題行動を引き起こしてしまう原因にもなりかねません。

犬の欲求に応じつつも、決められたルールを守るように学習させましょう。

噛むことを目的とした犬用のおもちゃは自由に噛む機会を与え、飼い主さんを噛もうとしたときには叱るようにしてください。

また犬が欲求をコントロールできるように、自主性を育てることも大切です。

たとえば噛んでも問題のないおもちゃには、犬用のジャーキー、牛皮製のチューインググッズ、ナイロン製のボールなど、数多くの種類があります。

犬の好みに合わせて複数のおもちゃを購入して、その中から犬に自分でおもちゃを選ばせて、自由に遊ばせるとよいでしょう。

叩くなどの暴力によってしつける

たとえば叩いたり蹴ったりしてしつける方法は、「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)に抵触する可能性があるでしょう。

動物愛護管理法では、苦痛を与える行為、生命や身体を危険にさらす行為、適正な飼養管理をせずに放置する行為など、犬などの愛玩動物を虐待することを禁止しています。

叩いたり蹴ったりした場合、犬に対して苦痛を与えていることは確実であるため、誰から見ても虐待と見なされるでしょう。

また叩くなどの暴力行為は、犬を恐怖や不安に陥れ、極端に臆病になったり、逆に攻撃的になったりする原因にもなります。

犬をしつけるときは、暴力的な行為は決してしないでください。

犬が理解できる言葉や行動などで、正しくしつけを行うことが大切です。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

犬の口から噛んでいたものを取り上げ、強い口調で「こら」や「ダメ」と叱ってください。

犬に噛まれたくない家具や衣服などの対象物には、噛み癖防止に有効性のある専用のスプレーを使用するとよいでしょう。

噛む原因を特定することが難しい場合や、状況の改善が難しい場合には、獣医師またはプロのトレーナーに相談するのも1つの手段です。

子犬だからと叱らずに放置する

飼い主さんに対して、母犬に甘えるときと同じように、前歯で噛むような仕草をすることがあるでしょう。

甘えたいだけだからと許容してしまうと、噛みつき癖になってしまうことがあるので注意が必要です。

犬は、おおむね生後6〜8週頃から社会化期に入り、周囲の環境や他の犬、人間とのコミュニケーションを学び始めます。

この時期に、噛みつきなどの問題行動を取る場合には、繰り返しトレーニングを行い、してはいけないことを学習させる必要があるでしょう。

噛みつき防止対策としては、以下のようなものが挙げられます。

犬が噛もうとしたときには、「こら」や「ダメ」といった短い単語で、強く叱ってください。

噛むという行動を制止することで、噛んではいけないことなのだと学習させないといけません。

ただし、あまりにも厳しい口調などで叱りつけると、問題行動がエスカレートしてしまう可能性があるので注意してください。

遊んでいるときやスキンシップをしているときに噛まれたときは、噛んだ時点で遊びやスキンシップを中断しましょう。

噛んだことで遊びやスキンシップが終わってしまうと学習することで、噛み癖を改善することができます。

これらの対策を、子犬の頃から継続して行うことによって、噛みつき防止の効果が期待できるでしょう。

噛むといった問題行動に対しては、早期に対策を講じて、子犬のうちに正しく学習させるようにしてください。

飼い主も犬は噛む習性がある生き物だと理解してあげる

本来、犬には噛むという習性があります。

そのような特徴を持っている生き物であるということを、飼い主さんも事前に熟知し、理解してあげることが大切です。

犬の祖先は、オオカミであるとされています。

遺伝子研究の結果、オオカミと飼い犬のDNAは約99%が一致しているとされており、オオカミから飼い犬へと進化したことは確実でしょう。

犬はオオカミの性質を受け継いでおり、古い時代から狩猟や牧畜などの仕事を手伝うことで人間と共存してきました。

つまり本来であれば、犬には獲物を捕まえるという本能があり、狩りの対象物を捕らえたときには噛むという習性を持っているのです。

対処法としては、「こら」や「ダメ」といった短い言葉で叱り、行動を制止することによって、良いことと悪いことを犬に学ばせる必要があります。

しかし怒った口調で厳しく叱りすぎると、興奮して噛みつくといった行動が増長されてしまい、かえってエスカレートする可能性があるので注意が必要です。

またしつけと称して、犬を叩いたり暴力を振るったりする行為は、犬との信頼関係が崩れてしまう可能性があります。

飼い主さんのことが脅威に感じられ、犬にとっては恐れの対象になることで極度の恐怖心からストレスを感じて、さらに噛み癖がひどくなってしまうかもしれません。

犬の習性であることを正しく理解してあげて、子犬の頃から早期にトレーニングを行い、適切に対処するように心がけてください。

まとめ

この記事では、甘噛みや噛み癖などがある犬に関して、「犬はなぜ飼い主を噛むのか?」と不思議に感じている飼い主さんの疑問に答えるために、原因や理由について徹底的に解説しています。

さらに、適切なしつけとして「噛まれたときのリアクション」や「専用スプレー」などについて、具体的なポイントを押さえつつ細かくまとめています。

つぎに、やってはいけないしつけとして「無反応」や「叩かない」といったことなどについて、さまざまな視点から詳しくまとめました。

犬とスキンシップをとっているとき、突発的に噛みついてくることがあって対処の仕方などに困っている場合には、この記事を参考にして基礎的な知識としてお役立てください。

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