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はじめに
この記事では、さまざまな視点から重要ポイントを解説し、「犬を多頭飼いするときに注意すべき点」と「得られるメリット」について、わかりやすくまとめました。
たとえば「犬同士の相性を見極めるときの注意点」「先住犬がいる場合の注意点」「遊び相手ができることによるメリット」など、有益な情報を提供しています。
迷い犬を保護したときや、2匹目となる犬を迎えたいときなど、多頭飼いをする必要性が生じた場合には、この記事の情報を参考にして基礎的な知識としてお役立てください。
多頭飼いする時の注意点
犬を新しく迎え入れて多頭飼いを始めようとするときは、以下の注意点について事前に把握し、問題が生じないように心がける必要があります。
飼育する数が増えるほど、さまざまな必要経費が倍になることを認識しておきましょう。
相性や性格を把握するためにも、犬同士の相性について事前に把握しておく必要があります。
顔合わせをするときは、事前に複数回にわたり、時間をかけて慎重に行ってください。
お互いの体の大きさが、ある程度近い犬同士であれば、体格や運動量の調和が取りやすいでしょう。
相性が合わず仲良くない場合や、生活環境などへの配慮が欠けている場合には、怪我などのトラブルに繋がる可能性があります。
複数の犬を同時に散歩させるときは、飼い主さんがリーダーシップをとり、トラブルが起きないようにしましょう。
犬同士の相性が合わない場合には、争いを避けるためにも別々のケージを用意してください。
特定の犬にだけ過剰な愛情をそそぐと、信頼関係などのバランスが崩れる可能性があるため、公平性を保ちましょう。
次の項目で、それぞれに関して具体的な事例や注意事項などを交えながら、配慮するべきポイントについて詳しくまとめました。
飼育のお金が倍になる
多頭飼いすることで複数の犬を飼育する場合には、犬の数に応じて飼育にかかるお金が倍になり、必要経費が増加することを理解しておきましょう。
犬を飼うときは、たとえばドッグフードや犬用おやつなどの食事代だけでなく、ほかにもさまざまな飼育費用がかかることを認識しておくことが重要です。
まずは犬用のトイレ用品など、身の回り品として必要なものを用意しましょう。
一般的な見解としては、なるべく飼育数に応じて複数のトイレを設置することが望ましいとされています。
複数のトイレを設置しておくことで、犬のストレスを軽減することができるだけでなく、円滑なトレーニングとなることにも期待ができるでしょう。
一般的な目安として、犬の数と同数のトイレを用意することが推奨されています。
たとえば2匹の犬を飼育しているときはトイレの数は2個、もし5匹の犬を飼育しているのであればトイレの数は5個と、飼育している犬の数に見合うぶんのトイレを設置してください。
犬同士が仲良しの場合には、例外としてトイレの共有が可能なこともあります。
お互いに協調性と社会性があり、いつも仲良く一緒に過ごしているようであれば、1つのトイレを共有させても比較的問題は少ないでしょう。
ただし神経質な犬の場合には、相性の問題に関わらず、他の犬が使用したトイレを嫌がり、粗相をしてしまう可能性もあるので注意が必要です。
犬を多頭飼いするときは、それぞれの犬の性格や運動量などを考慮して適切な数を用意し、必要に応じてトイレの数を増減してください。
犬用のベッドも必要です。
ベッドについては、必ずしも頭数分を用意する必要はありません。
犬は群れを作る性質があるため、1つのベッドをシェアすることが可能であると言われています。
お互いに体温を共有することで快適さを感じるため、複数の犬が一つのベッドで寝ることも珍しくはないでしょう。
犬用のベッドについては、個数よりも、犬たちが快適に寝られるサイズに配慮して、広さや大きさのあるものを選ぶことが大切です。
犬が退屈しないよう、おもちゃを与えることも必要になります。
犬用のおもちゃについては、複数の犬で1つのおもちゃをシェアさせることは珍しくなく、ごく一般的に行われています。
たとえば複数の犬に対して、ぬいぐるみを1つだけ与えた場合に、犬同士で仲良く遊ぶようであれば問題ありません。
ただし遊びに夢中になり興奮してしまうことで、激しい取り合いや争いが起こる可能性があるため、いつでも飼い主さんが仲裁できるように心構えておきましょう。
おもちゃで遊ばせるときには、犬のそばを離れないようにしてください。
犬同士で諍いが起き、争いがエスカレートしてしまうようであれば、おもちゃを共用させることはせず、個別に与えたほうがよいでしょう。
また犬用のおもちゃには、チューイングトイという種類があります。
チューイングトイは、噛んで遊ぶことでストレスの解消を促すことを目的として作られており、歯の健康を保つことにも役立ちます。
それぞれの犬へ行き届くように1つずつ与えて、犬同士で取り合うことなく、十分に満足できるだけのストレス発散ができるように配慮してあげることが大切です。
犬の心身における健康上のためにも、おもちゃを複数個用意して、犬たちがストレスなく楽しく過ごせるような環境を整えてあげましょう。
これらの生活必需品は当然必要なものですが、それ以外にも、たとえば医療費にも費用がかかることを把握しておいてください。
予防接種、健康診断、病気や怪我の治療など、多頭飼いするにあたり、それぞれの犬に対する医療費を準備しておくことが必要です。
たとえば、犬を飼うときに義務付けられている予防接種として、狂犬病ワクチンは必ず接種する必要があります。
狂犬病予防法に基づき、犬が3か月以上になった時点で接種してください。
なお、狂犬病ワクチンを1回接種したら終わりというわけではなく、年に1回の定期的な追加接種を行う必要があることを認識しておきましょう。
また、狂犬病ワクチンだけではなく、様々な感染症を予防するために、混合ワクチンも接種することをおすすめします。
このほかにもトリミング費用やペット保険など、さまざまな出費の発生が想定されるため、あらかじめ経済面のシミュレーションを行うことが重要です。
したがって、多頭飼いをするときには、追加する犬の数に応じて、経済的な負担が増加することを考慮しておく必要があるでしょう。
犬同士の相性を事前に把握しておく
多頭飼いをするときは、事前に顔合わせをして、双方の性格や相性に問題がないかを把握しておくことが大切です。
たとえば保護団体などから新たに犬を迎える場合には、2週間程度のトライアル期間があります。
お試し期間中に一緒に暮らして、実際の生活ぶりなどをチェックすることで、先住犬との相性が合っているかを判断してください。
先住犬と新しく迎える犬の相性が合っているかを見極めるためには、事前に顔合わせを行うことで、相性や性格を把握することが重要です。
ブリーダーまたはペットショップを介して、新しく2匹目や3匹目として子犬を迎えるときは、当然のことですが飼い犬と販売している犬との顔合わせによる相性の確認はできません。
この場合は、迎え入れる予定の犬に関する性格などを聞き取り、実際に飼い主さんが対面して犬の行動などを注意深く観察し、相性を確認することが大切です。
たとえば極端に怯えて臆病な様子を見せないか、あるいは噛みつくなどの攻撃性はないかなど、性格における特徴や問題点に注意しましょう。
事前に複数回顔合わせしておく
多頭飼いをするときは、初日から先住犬と一緒の部屋で過ごさせることは推奨できません。
もし相性が合わなければ、争いなどのトラブルが発生してしまうことがあるでしょう。
事前に複数回の顔合わせをしておくことをおすすめします。
犬同士を顔合わせさせるときには時間をかけて慎重に行い、徐々に時間を増やして、お互いに慣れていくように手助けしてあげましょう。
顔合わせのときには、それぞれの行動や性格を注意深く観察し、犬同士の相性に問題がないかを見極めてください。
体の大きさが近しい同士にする
多頭飼いをするときの犬同士の体の大きさについては、一概に言える基準はありません。
一般的には、体の大きさが近い場合、じゃれ合うときの体格や運動量の調和が取りやすいとされています。
しかし、これはあくまで一般的な傾向というだけであり、それぞれの個体差により異なる場合もあるでしょう。
友好的な性格かどうか、協調性はあるか、極端に怯えたりしないか、攻撃的な行動をとらないか、それぞれの性格や行動パターンなどを見極めましょう。
どちらかといえば体格の違いにこだわることよりも、相性が合っているかどうかのほうを優先させて、お互いに仲良くできるかどうかを慎重に判断するようにしてください。
ただし、あまりにも体格が違いすぎる場合には争いが起きる可能性もあるため、ある程度は体の大きさが釣り合うかどうかを考慮することも大切です。
ケガに繋がる
相性が悪い状態で多頭飼いをした場合、犬同士で争い合うリスクに繋がる可能性があります。
とくに犬同士における体格差に開きがあるときは、悪くすると大きな怪我を負うような事態になることも避けられないでしょう。
また生活環境におけるテリトリーなどの配慮が不十分な場合にも、ケンカの頻度が高まることが考えられます。
たとえば犬同士における支配関係によるトラブルは、なわばり争いが原因となっている傾向が高いです。
生活環境によっては大きな問題が生じることもあるため、それぞれのプライバシーが保たれるよう配慮する必要があります。
また、なわばり争いはオス犬にだけ生じるイメージがありますが、実はそんなことはなく、メス犬にも当てはまります。
犬同士の支配関係は、なわばり争いや順位付けに関連しており、オス同士だけではなくメス同士の場合にも競争が起こりやすいでしょう。
ただし個体差や環境によっても異なるため、一概に当てはまるわけではありません。
多頭飼いをするときには、犬同士の相性が合うかをチェックして、争いの種になるような問題点がないか確認しましょう。
また、それぞれのテリトリーを十分に確保できるかどうか、生活環境面においても総合的に考慮し、慎重に判断することが大切です。
散歩に苦労する
一般的な見解によれば、多頭飼いをする場合、それぞれの犬を管理するための工夫が必要となり、散歩に苦労すると言われています。
複数の犬を同時に散歩させるときは、飼い主さんにおけるリーダーシップの確立が重要です。
飼い主さんと犬の間で信頼関係を築き、犬同士で争わないように統率をとることができれば、突発的なトラブルなどを避けることができるでしょう。
犬同士に体格差がある場合には、力の強い犬のほうに引っ張られてしまわないように、体の大きい犬のリードを若干短く持つようにしてください。
歩くスピードに関しては、歩幅の小さい犬のペースに合わせて、体の小さい犬を引きずるような、無理な歩かせ方をしないように気をつけましょう。
犬同士の相性が悪い場合には、散歩の時間を別々にして1匹ずつ行うか、家族の協力を得て一緒に散歩してもらうことを検討してください。
ケージが複数個必要なことがある
多頭飼いをするときに、複数のケージを用意する必要があるかどうかについては、個体差もあるため一概には言えません。
それぞれ個別のケージを用意するか、複数の犬を同一のケージで共用するかは、犬同士の相性や行動パターンなどによって異なります。
犬同士の相性が悪くなく、ケージ内で一緒に過ごしてもストレスが少ない場合には、複数の犬に対して同じケージを利用しても問題は少ないでしょう。
ただし相性の問題が解決しており、犬同士の関係性が良好で、たとえ飼い主さんの監視がなくても仲良く過ごせることが前提です。
複数の犬が十分に寛げるだけのスペースを確保し、ストレスを感じないような環境を整えることにも配慮してください。
また犬用のおもちゃも複数個用意して、快適に過ごせるように配慮することも大切です。
犬同士の相性が合わない場合には、争いを避けるためにも別々のケージに隔離して、それぞれの犬が安全に過ごせるようにしましょう。
犬同士の上下関係を確立し、争いなどのトラブルを防ぐためにも、それぞれの犬にとっての安全な場所を提供することが重要です。
個別にケージを用意する必要性があるかどうかについては、獣医師やトレーナーに相談し、それぞれの犬のニーズに合った、適切な環境を整えてあげましょう。
一部の愛犬にだけ愛情を与えすぎない
犬を多頭飼いするときは、一部の愛犬にだけ愛情を与えすぎないように注意してください。
特定の犬にだけ過剰な愛情を与えてしまうと、他の犬との関係性や群れの中でのバランスが崩れる可能性があります。
飼い主さんとの信頼関係を損ねないためにも、それぞれの犬に対して、公平かつ均等に愛情をもって接することが大切です。
過度なストレスを与えたり、犬同士がトラブルになったりすることを避けるためにも、分け隔てなく愛情と注意を払い、バランスを保つことを心がけてください。
先住犬がいて後から犬を飼う場合は要注意
すでに先住犬を飼っている場合において、後から犬を迎えることを検討するときには、くれぐれも配慮を怠らないようにしましょう。
具体的には、以下の2つのポイントについて注意する必要があります。
- 元々、他の犬を怪我させたことがある愛犬は要注意
- 体格差がかなりある場合は要注意
次の項目で、それぞれに関して具体的な事例や注意事項などを交えながら、配慮するべきポイントについて詳しくまとめました。
元々、他の犬を怪我させたことがある愛犬は要注意
多頭飼いをするとき、他の犬を怪我させたことがある愛犬を同居させるためには、特別な注意が必要です。
犬同士の相性や行動パターンを確実に理解し、トレーニングや監視を通じて訓練を行いましょう。
狂暴性が強い場合には、争ったり怪我を負わせたりしないよう別々の部屋で飼うなど、安全面に配慮する必要があります。
他の犬を怪我させたことがある愛犬がいる場合には、獣医師やトレーナーに相談し、安全かつ適切な環境を整えることを検討してください。
体格差がかなりある場合は要注意
多頭飼いをするとき、体格差がかなりある場合は、特別な注意が必要です。
あまりにも体格差が開いている場合には、縄張り争いなどの支配関係によるトラブルが発生する可能性があります。
場合によっては、悪くすると大きな怪我を負ってしまうこともありえるでしょう。
新しく迎えた犬を同居させるときは、徐々に慣らしていくようにして、慎重に行う必要があります。
先住犬が認めて受け入れてくれるまでの期間は、とくに細心の注意を払ってください。
犬同士の相性や行動パターンを見極めて、必要性に応じてトレーニングで訓練を行うことをおすすめします。
犬同士で怪我をしないように注意し、安全を確保するためにも、監視を怠らないようにすることが重要です。
多頭飼いするメリット
犬を多頭飼いするときは、さまざまな注意点を認識する必要性がありますが、以下のようなメリットもあります。
- 遊び相手ができる
- 運動量が増え肥満になりにくい
- 社会性を身につける
- 自分を犬だと認識する
次の項目で、それぞれに関して具体的な事例や注意事項などを交えながら、配慮するべきポイントについて詳しくまとめました。
遊び相手ができる
犬を多頭飼いするときのメリットの1つとして、遊び相手ができるという利点が挙げられます。
多頭飼いをすることにより複数の犬が遊び合うことで、犬同士におけるマナーなどの学びを得ることができ、社会性を養うことができるでしょう。
また遊び相手がいることで、飼い主さんが不在のときの留守番中にも退屈することなく、ひとりでいることへの孤独感も和らげることができます。
ただし争いや支配関係のトラブルが発生する可能性もあるため、犬の性格や相性を見極め、必要に応じてトレーニングを行い、監視を怠らないなどの慎重な配慮が必要です。
運動量が増え肥満になりにくい
犬を多頭飼いするときのメリットとして、運動量が増え肥満になりにくいという利点は、一般的に挙げられる理由の1つです。
仲良く一緒に遊ぶことで、運動不足の解消や肥満の予防ができるでしょう。
またストレスを軽減する有効性についても、大いに期待できます。
ただし肥満傾向については個体差があるため、一概には言えないでしょう。
犬種、性格や性質、健康状態などによっても異なるため、新しく犬を迎え入れて多頭飼いをするときには、慎重な判断が必要です。
社会性を身につける
遺伝子研究の結果によると、オオカミと飼い犬のDNAは近いと言われているため、オオカミから飼い犬が進化したと言われています。
オオカミは群れをなして生活する動物で、狩猟するときに仲間の連携や協力が重要な役割を果たすことから、社会性や協調性が強いとされています。
祖先とされるオオカミと同様に、犬にも社会性と協調性が強い傾向があり、群れの中で生活することが自然な行動と言えるでしょう。
一般的にも、子犬の段階から他の犬と接することで、社会性を身につけるトレーニングになるとされています。
多頭飼いをすることで、犬同士がお互いに挨拶の仕方や遊び方のルールを学び合うことができるため、社会性を身につけることができるでしょう。
ただし犬同士の相性をよく見極め、必要に応じてトレーニングを行い、飼い主さんによる監視を怠らないようにすることが重要です。
自分を犬だと認識する
他の犬と対面させたり、複数の犬と一緒に同居生活させたりすることによって、「自分を犬だと認識する」かどうかは、現時点では明確になっていません。
犬として認識することと、多頭飼いをすることにおいての関連性についても、根拠のある情報などは明示されておらず、不確かな情報とも言えます。
一部の研究では、鏡に映る自分の姿や自分の姿が映った写真を見ることによって、視覚的な情報をもとに自分を犬として認識する能力があると主張し、議論されているようです。
しかし広く知られている一般的な見解としては、犬が自分自身を犬として認識できないとする意見のほうが強いでしょう。
たとえばミラー・テストと呼ばれる自己認識の実験において、犬は鏡の中の自分を、他の個体として認識する能力がないと実証されています。
したがって、多頭飼いをすることで「自分を犬だと認識する」かどうかについては、断定的な回答をすることはできません。
この主張については、科学的な研究や専門家の見解に基づいていない、一部の意見に過ぎないものである可能性があるでしょう。
犬の行動や認知に関する疑問などに関しては、信頼できる獣医師や動物行動学者の意見や情報を参考にすることを推奨します。
まとめ
この記事では、獣医師監修のもとで「犬を多頭飼いするときの注意点」と「得られるメリット」について、さまざまな視点から情報をまとめました。
たとえば「犬同士の相性や体格差における注意点」や「先住犬がいる場合に注意したいこと」などについて、詳しく解説しています。
また「遊び相手ができる」「運動量が増える」「社会性を身につける」などのメリットについても、有益な情報をまとめました。
当記事の情報を基礎知識として吸収し、犬を多頭飼いする必要性があるときなどに、ぜひお役立てください。