健康

【獣医師監修】犬が吐いた時の対処法|すぐに病院に連れて行った方が良いケースも

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はじめに

愛犬が急に苦しそうに吐いた時、とても心配になりますよね。

犬が吐くのは、病気や誤飲など多数の原因が考えられます。

今回は、犬が吐いてしまう原因や吐いた物別の対処法をそれぞれ紹介するので、ぜひ参考にしてください。

飼い主の方は焦らずに、愛犬のために最良の行動をとってあげましょう。

犬が吐く原因

犬が吐く原因をそれぞれ詳しく解説します。

病気が原因の場合もありますが、飼い主の不注意が原因になってしまう場合もあります。

飼い主の不注意のせいで愛犬が苦しまないように、よく確認してできる限りの対策をしてください。

胃が原因

犬は胃の病気にかかっている場合、吐くことがあります。

胃の病気症状
胃炎
  • 嘔吐
  • 腹痛
  • お腹のハリ
  • 食欲不振
  • 吐血
胃潰瘍
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 貧血・脱水
  • 黒色便
  • 元気がなくなる
腫瘍
  • 嘔吐
  • 下痢・便秘
  • 腹部にしこりができる
  • 食欲不振
  • 体重低下
胃捻転・胃拡張
  • 吐きたそうなのに吐けない
  • 呼吸困難
  • お腹のハリ
  • 急にぐったりする

胃の病気は、似た症状が出ることが多いので飼い主が判断してしまうのは大変危険です。

胃炎は、発症して数日のものを急性胃炎、数週間以上続くものを慢性胃炎と呼びます。

原因は誤飲や細菌・寄生虫、薬物反応や基礎疾患・アレルギーなど様々な原因が考えられるため、それぞれの原因によって治療法が違うので、動物病院での診断が必要です。

胃潰瘍も腎不全や肝不全、ステロイド等の薬が原因になる場合があるため、それぞれの原因に合った治療法をする必要があります。

胃に腫瘍ができてしまった場合は、初期症状はなく症状が出た時には進行してしまっている可能性が高いです。

愛犬の様子がおかしいと感じた時は、すぐに動物病院に連れて行き、専門の獣医に相談してください。

胃捻転は、胃が捻じれてしまって血管を圧迫しショック状態を起こすなど、緊急性の高い症状が現れます。

大型犬に起こりやすい病気なので、大型犬の飼い主の方は特に注意してください。

急に元気がなくなったり、丸まってお腹を痛がる様子が見られた時はすぐに動物病院に連れていきましょう。

小腸が原因

犬は小腸に病気を抱えている場合も、吐くことがあります。

小腸の病気症状
腸炎
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 腹痛
腸捻転
  • 何度も嘔吐
  • 下痢
  • 急に元気がなくなる
誤飲が原因の腸閉塞
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 下痢に近い軟便

腸炎の原因は、細菌、ウィルス、寄生虫感染の他、アレルギー、ストレスが原因になっていることがあります。慢性腸炎の原因としては、自己免疫疾患や腫瘍が関係している場合もあります。

食事療法や投薬治療で改善できる場合もありますが、原因を早期発見するために詳しい検査が必要になることもあります。

腸捻転は胃捻転と同じで、本来あるべき位置ではなく腸が捻じれてしまっている状態で、早急に外科的な治療を受ける必要があります。

緊急性の高い病気なので、急に元気がなくなり痛がる様子が見られたら、すぐに動物病院に連れて行ってください。

腸閉塞は、誤飲などが原因で腸に内容物が詰まり、通れなくなっている状態です。

緊急性が高いため、上記のような症状に気付いたら、すぐに受診したほうがよいでしょう。

嘔吐だけではなく、便や食欲の低下など普段と違う様子がないか、しっかり確認して飼い主は病気の早期発見ができるようにしてあげてください。

食道が原因

犬が嘔吐してしまう原因となる食道の病気を紹介します。

食道の病気症状
巨大食道症
  • 嘔吐
  • 体重減少
  • 呼吸困難
  • 発熱
食道炎・食道狭搾
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 吐血

巨大食道症は、遺伝的、あるいは原因不明で起こる先天的なものと、ホルモンの異常や病気やけがによる神経や筋肉の異常などが原因で起こる後天的なものがあります。

食道が伸び切ってしまい、食べ物がうまく胃に送られなくなってしまう病気で、食べても吐いてしまうためどんどん衰弱していく怖い病気です。また、食べ物を誤嚥しやすくなるため、誤嚥性肺炎を起こし、死に至ることもあります。

原因不明な場合の治療は難しく、高い位置から食事をさせ重力で胃に食事を運ぶ食事法や、ドッグフードをふやかすなどの方法で嘔吐を抑えます。

食道炎は、食道に炎症が起こってしまう病気です。

食道炎が進行し、粘膜下の組織や筋肉の層まで破壊してしまうと、その部分を修復しようと線維化して食道内部がごわごわに狭くなってしまうことを食道狭搾と言います。

治療法は、投薬治療や狭くなった場所にバルーンを入れたり切除をする外科手術などがあります。

食事の量や間隔が原因

犬は、空腹時に嘔吐することがあります。

空腹性嘔吐と呼ばれており、食事の時間の間隔が長すぎて空腹時間が長くなると起こる症状です。

特徴は、泡状の胃液を吐くことで、犬の体調には問題がなく、食欲は正常にあります。吐物に胆汁が混じることも多く、その場合は黄色っぽく見えます。

早食いが原因の場合は、1日の食事回数を増やし、一度の食事量を減らすことで早食いを防ぎ空腹時間を減らすことができます。

食べ過ぎが原因の場合は、愛犬の年齢や体重に合った食事量を与え、ドライフードをあげている場合は大粒から小粒にするなど、対策をしてあげましょう。

どちらも飼い主が餌の管理をしてあげれば、事前に対策ができるのでその子に合った食事量・食事法で空腹時間が長くなりすぎないようにしてください。

毒物を摂取した

犬は、毒物を摂取した場合も、嘔吐の症状が見られます。

犬にとって食べてしまうと毒になる、代用的な中毒性のあるものはこちらです。

種類中毒性のあるもの
食べ物
  • チョコレート
  • ネギ類(玉ねぎ・ネギなど)
  • ぶどう類(ぶどう・プルーンなど)
  • カフェイン
  • アルコール
  • ニンニク
  • らっきょう
  • なす
  • ニラ
  • イチジク
  • グレープフルーツ
  • レモン
  • アボカド
  • ナッツ類
薬品
  • 人間の薬
  • 洗剤・ 漂白剤
  • 農薬
  • 重金属(乾電池など)
  • アロマオイル
植物
  • アジサイ
  • アイビー
  • ポインセチア
  • ユリ科の植物
細菌やカビ
  • カビ菌
  • ボツリヌス菌
  • ウェルシュ菌

これらの中毒性のあるものを摂取してしまうと、嘔吐以外にも下痢・痙攣・呼吸困難・血便や血尿の症状が現れます。

重度の中毒症状を起こす危険があるので、もしも間違えて摂取してしまった場合はすぐに動物病院に連れて行きましょう。

その際いつどのくらいの量を摂取してしまったかを記録し、無理やり吐かせることはしないでください。

食べてしまったものにより、吐かせ方や治療法が異なるので、自分で判断せずに専門の獣医に相談してください。

食事が原因

犬は食事が原因で吐いてしまうことがあります

食べ方が良くない場合や、食べ物が変わった時に起こりやすい原因を紹介します。

  • 食べることが好きすぎて早食いになる
  • 不安や恐怖を感じて早食いになる
  • ドッグフードを変更した場合、体質に合わずに拒否反応を起こす
  • 散歩の際に草を食べた

食べることが好きな子は早くご飯を食べ過ぎて、消化不良を起こしたり、大量の空気を飲み込みすぎて吐いてしまいます。

早食いが心配な子は、早食い防止用の食器を使うなどゆっくりご飯が食べれる環境を整えましょう。

また、他の犬から餌を奪われていたり、環境の変化など緊張感のある中で食事をしている場合は、ストレスを感じ胃の中の酸が増えることにより嘔吐することがあります。

他の犬と食事の時間や場所を分けたり、なるべくストレスを感じない環境作りを心がけてあげてください。

ドッグフードを変更した時に嘔吐が見られる場合は、胃が驚いてしまっていたり、アレルギー反応を起こしている可能性があります。

新しいドッグフードに変える時は、初めは今まで食べていたドックフードに混ぜたり、1週間程かけてゆっくり切り替えましょう。

アレルギーが疑われる場合は、獣医の意見を聞きながら判断してください。

散歩の際などに草を食べてしまって嘔吐することは、犬にはよくあることです。

嘔吐が続かず、水分や食事もとれているなら心配ありませんが、体調が悪そうだったり様子がおかしい時は、感染症になっていることも考えられるのですぐに動物病院に連れて行きましょう。

ウイルス性の伝染病

犬は、ウイルス性の伝染病にかかっている場合も、嘔吐の症状が見られます。

ウイルスは数種類ありますが、犬コロナウイルス・犬パルボウイルスが一般的で嘔吐・下痢・食欲不振などの症状が見られ、重症化すると最悪死亡する恐れのある病気です。

母犬の初乳を飲めておらず、ワクチンも未接種の子犬は免疫が十分でなく発症する場合があります。

しかし、きちんとワクチンを接種していれば発症するのは稀なので、必ずワクチン接種を受けるようにしましょう。

吐いた物別の対処法

続いては、吐いた物や色など、それぞれの吐いたもの別に対処するべき方法を紹介します。

毛玉を吐いた場合

毛玉を吐いた場合は、毛の抜けやすい子や換毛期の子が、抜けた毛やできてしまった毛玉を食べてしまい吐き戻している可能性があります。

通常は誤飲した毛や毛玉は便と一緒に排出されますが、体内に毛玉が残っていると腸閉塞などの病気になる可能性があるため、反射的に体内から吐き出します。

対策としては、毛を飲み込んでしまわないようにこまめにブラッシングし、毛玉ができないように心がけましょう。

もしも毛玉を吐き出した時は、飼い主が勝手に判断せず専門の獣医に相談し指示に従ってください。

黄色い液体を吐いた場合

黄色い液体を吐いた場合は、胆汁が吐き出されている可能性があります。

これは胆汁嘔吐症候群と呼ばれており、胃が空になっている状態が長時間続き、胆汁が胃に逆流したことが原因です。

対処法は、食事の時間を変更したり、1度の食事量を減らして食事回数を増やすなど空腹時間を減らすことで改善できます。

しかし、それでも胆汁嘔吐症候群が治まらない場合は、動物病院に連れていき専門の獣医に診てもらってください。

白い泡を吐いた場合

白い泡を吐いた場合は、胃液を吐いている可能性があります。

原因は、空腹であることが考えられるので、黄色い液体を吐いてしまった時と同じように、食事の回数や量を見直して対処しましょう。

また、緊張や興奮した場合にも白い泡を吐いてしまうことがあるので、愛犬になるべくストレスがかからない環境作りを日頃から心がけてあげてください。

茶色い液体を吐いた場合

茶色い液体を吐いた場合は、消化できなかったフードか古い血を吐いたかの、2つの可能性が考えられます。

茶色い液体がドロドロしていてドッグフードの香りがする場合は、フードの可能性が高いので、消化不良を疑ってください。

一方、茶色い液体が消化済みの状態で強い刺激臭がする場合は、古い血液が混ざっている可能性があります。

その場合、胃腸炎や胃潰瘍が原因で出血している疑いがあるので、すぐに動物病院に連れて行きましょう。

赤い色の液体を吐いた場合

赤い色の液体を吐いた場合は、出血していることを表しています。

鮮血の血液は出血してすぐの可能性が高く、何らかの病気で胃や食道から出血していたり、おもちゃなどで口の中が切れてしまっていることが考えられます。

いずれの理由にせよ、赤い色の液体は出血していることに変わりないので、すぐに動物病院に連れていきましょう。

異物を吐いた場合

吐いたものの中に、おもちゃのかけらなどの異物が混じっている場合があります。

異物をすべて吐き出せずに体内におもちゃが残っていると、腸閉塞を起こす危険があるので吐いたから大丈夫だろうと安易に考えずに、必ず動物病院へ連れていきましょう。

また、タバコなどの異物を飲み込んで中毒症状が出る可能性もあるので、愛犬の届く場所に危険なものはないかよく確認してください。

吐いた時に飼い主がとるべき行動

愛犬が吐いた時、飼い主が取るべき行動を紹介します。

  1. なるべく早く動物病院に連れていく
  2. 獣医の指示のもと絶食・絶水などの応急処置をする
  3. 吐いてしまう原因を取り除く

飼い主は自己判断をせず、まずは動物病院に連れていくことを考えましょう。

どうしても動物病院にすぐに連れていけないときは、獣医に連絡しどのように対処すれば良いのか指示してもらってください。

基本的に吐いてしまった時は、絶食・絶水をします。

症状が落ち着いてきたら、少しずつ水や消化しやすいご飯を与えて、しっかり様子を見てあげる必要があります。

吐いてしまう原因が早食いや誤飲、ストレスなどの場合は、愛犬が吐かないように環境改善をしてあげましょう。

犬が吐くのは、飼い主への大切なサインです。

体調不良や危険な状態を見逃さないように、愛犬をしっかり観察し、適切な治療を受けさせ、早く痛みや苦痛から救ってあげてください。

急いで受診した方が良いケース

愛犬が吐いてしまったらなるべく早く動物病院に連れていくべきですが、特に危険な症状が見られた場合は急いで受診する必要があります。

急いで受診した方が良いケースを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

1日に複数回吐いている場合

1日に何度も吐いてしまう場合は、すぐに動物病院に連れて行ってください。

飲み込む事が苦手な嚥下障害になっている場合や、消化器の病気や異物の誤飲などの多数の可能性が考えられます。

吐き続けていると脱水症状を起こしてしまうので、飼い主が判断せずに必ず専門の獣医に診てもらいましょう。

その場合、吐くタイミングや吐いた物、その他の症状が出ているかも伝えられるように記録しておいてください。

すぐに連れていけないときは、吐いた物や色を写真に取っておくと良いです。

激しく吐いている場合

犬が激しく吐いてしまう場合も、すぐに動物病院へ連れて行ってください。

下痢や腹痛を伴ったり、震えが見られ大量に吐いてしまう様な時は、内臓の病気になっていたりウイルス感染・アレルギー症状を起こしている可能性があります。

ウイルス感染はワクチン接種をしていない子犬に見られる場合が多く、早いと1〜2日で死亡してしまう恐ろしい疾患です。

激しく吐くときは、明らかに体に異常が起こっているサインなので、何が起こるかわかりません。

早急に動物病院に連れていき、専門の獣医に診断してもらってください。

吐いて元気がない場合

吐いて元気のない場合は、様子を見てなるべく早く動物病院へ連れていきましょう。

食欲不振や発熱がある場合は、何かしらの病気になっていることもあります。

病気以外にもストレスを感じている可能性もあるので、専門の獣医に相談し指示をしてもらいましょう。

とにかく吐いてしまうということは、必ず何かしら身体に異常が起きているということです。

飼い主は自己判断をせず、必ず動物病院で適切な治療を受けるようにしてください。

まとめ

今回は、愛犬が吐いたときの原因や対処法について解説しました。

愛犬が急に吐いてしまったり、具合が悪くなると焦ってしまいますが、飼い主は冷静に適切な判断をする必要があります。

吐くということは、必ず体の中で異常が起こっており、最悪の場合病気が進行していて、死の危険が迫っている可能性もあります。

愛犬にいつもと違う様子が見られた時は、すぐに動物病院に連れていき、専門の獣医に診てもらうようにしましょう。

かかりつけの動物病院を作っておくと、もしもの場合すぐに行動できるのでおすすめです。

ぜひ今回の記事を参考に、愛犬と健康的な毎日を過ごしてください。

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