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犬の肉球の役割とケア方法を解説。自宅で出来るマッサージ方法もご紹介

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はじめに

みなさん、愛犬の肉球はどんな状態でしょうか。

肉球は、ぷにぷにと柔らかい状態が理想ですが、硬くカチカチになっていませんか?

実は、カチカチになっている場合も多くあります。

肉球がカチカチになってしまう原因の1つとしては、毎日の散歩でアスファルトの上を歩くことが挙げられます。

犬は人間のように靴を履いていないため、踏みしめる地面の影響を受けやすいからです。

硬くザラザラとしたアスファルト上の散歩は、肉球の水分を奪い角質化が進みます。

乾燥して硬くなった肉球は、犬の身体にさまざまな悪影響を及ぼす原因になりかねません。

そのため、私たち飼い主が肉球の状態を気にかけ、ケアしてあげることが大切です。

本記事では、犬の肉球の役割やケア方法、トラブルや普段気をつけるべき点について解説します。

犬の肉球の役割

犬の肉球には多くの役割があります。

そのため、肉球の状態は犬の健康状態を左右すると言っても過言ではありません。

肉球の状態が悪いと、犬の身体に大きな負担がかかってしまうからです。

まずは、肉球の基礎知識から説明していきます。

肉球の外観

肉球といえば、あらゆる商品のイラストなどに使われる可愛らしい犬の足跡全体を指すと思われがちですが、それぞれ名称が異なります。

まず、真ん中に位置する一番大きな肉球を、前足は「掌球(しょうきゅう)」後ろ足は「足底球(そくていきゅう)」と呼びます。

また、掌球や足底球を囲むように4つ並んでいるのが、前足は「指球(しきゅう)」後ろ足を「趾球(しきゅう)」と言い、読み方は同じですが使う漢字が異なる肉球です。

さらに、地面に触れない部分にも小さく丸い肉球があります。これは、犬の手首部分に位置する肉球で「手根球(しゅこんきゅう)」と呼ばれています。

肉球の機能

肉球は、犬が健康を保つうえで大切な役割がいくつも備わっている場所です。肉球は、犬の身体で唯一汗腺がある部分で、体温調節の役割も担っているからです。

犬は、身体中に汗腺のある人間のように汗を出して体温調節することができません。そのかわりに、口を開けハァハァと呼吸をすることで熱を身体の外に放出し体温調節をします。

ただ、呼吸だけでは体温調整がむずかしい場合には、肉球が汗を出し体温調節の補助的な役割を担います。

肉球の保護と支える役割

肉球は、熱さや冷たさなどの刺激から足を保護する役割もあります。地面に直接触れる肉球表面は、皮膚の内側が火傷したり凍傷を負ったりしないよう、分厚い角質層で覆われているからです。

また、衝撃を吸収する機能も備わっています。たとえば、犬が飛んだり跳ねたりしたとき、犬の関節や骨は衝撃を受け大きな負担がかかりますが、肉球がクッションの役割を果たし衝撃を和らげているのです。

肉球の構造は、表面から角質層→表皮層→真皮層→皮下組織層という構造になっています。角質層は地面に直に触れる部分なので、硬い細胞で覆われており表面はスパイク状に隆起しているため、急に止まったり方向を変えたりといった動きが可能です。

また、表皮部分は人間の使うクッションにも用いられるハニカム構造が見られ、衝撃を吸収する役割を果たします。さらに内側の真皮層や皮下組織は弾力性に富むエラスチン線維や脂肪組織です。犬の肉球には、全ての層で衝撃を吸収する役割が備わっています。

このように肉球は、犬の健康を担う大切な部分です。ただし、肉球の状態によっては犬の身体に負担がかかる場合があります。

たとえば、肉球のケアを長期間怠れば、乾燥して硬くなってしまいます。硬くなった肉球は、本来備わっているスパイク状の機能を果たさなくなり、ツルツルとした床の上を歩くと滑ってしまうのです。肉球の機能を使えない場合、犬の関節に大きな負担がかかり転倒の危険性もあります。

犬が肉球をなめる理由

犬が身体を舐める行為はよく見られる姿です。ただし、その行為に意味があるときもあります。愛犬の行動を観察し、その意味を理解してあげましょう。

清潔保持

犬は、清潔を保つために自分自身の身体を舐めます。これはグルーミングと呼ばれ、多くの動物に見られる行為です。グルーミングは身体の清潔を保つと同時に、気持ちの安定にも効果があります。

情緒調整

犬は、情緒が安定しないときに肉球を舐めることがあります。ときどき舐めている程度なら問題ありません。単なる退屈しのぎの場合もあるからです。

ただ、頻繁に足先や肉球、指の間などをなめ続ける姿が見られるときは緊張や恐怖、孤独などといったストレスを紛らわしている可能性があります。

また、自分の足を噛んで傷を作ってしまうこともあるので、注意が必要です。傷ができてしまうと傷口を舐めたり噛んだりして自ら傷を広げてしまう場合もあるので、 動物病院へ行って処置してもらいましょう。

コミュニケーション手段

肉球にトラブルが見られないのに肉球を舐め続けている場合、ストレスを抱えている可能性も考えられます。そのような場合は、コミュニケーションの時間を設けるよう工夫してみてください。

たとえば、まとめて時間を取るのではなく、一日に何度かに分けて10分でもいいので、遊んだり散歩したりなど、犬と向き合える時間を作ってあげましょう。

また、動物は生まれながらに備わった能力を発揮したとき、満足感を得る性質があるのでノーズワークなどもおすすめです。ノーズワークとは犬の嗅覚を使った遊びで、おやつなどを見えない場所に隠し、嗅覚だけで探させる遊びです。ノーズワークは犬の心身のエクササイズになるほか、老犬の脳トレにも良いと言われています。

犬用のおもちゃとして販売もしているので、市販品を買ってあげてもよいでしょう。

犬の肉球ケアの方法

犬の肉球は、毎日のケアがおすすめです。

肉球ケアは愛犬の健康維持につながるので、ぜひ実践してください。

肉球の洗浄方法

肉球を洗浄するときは、肉球周辺の指や爪の間のすみずみまで汚れを落とします。シャンプーを使用する場合は、泡をよく洗い流してあげてください。

ちなみに、使用するシャンプーは必ず犬用を使ってください。人間用のシャンプーは刺激の強いものが多く、肌トラブルを引き起こす場合もあるからです。

また、シャンプー後はしっかりと乾かしてあげることも大切です。

濡れたまま放置すると、毛玉や皮膚病の原因になる場合もあります。

肉球の洗浄は、清潔を保つためにも肉球の状態をチェックするためにも良い方法です。ただし、洗いすぎは禁物です。たとえば、散歩のたびに肉球の洗浄をおこなうなど、やりすぎた場合は肉球の油分が失われ、かえって乾燥しやすくなってしまいます。

毎日の散歩のあとは、ウェットティッシュや濡れ布巾で足を拭く程度で充分です。その場合でも、仕上げに乾いた布で拭き、蒸れないように注意してください。

保湿対策

肉球周辺は蒸れないよう気を付けてあげることが大切ですが、肉球自体は保湿が必要です。

保湿対策として夏場は炎天下での散歩を控え、早朝や夕方など日差しが厳しくない時間帯での散歩を意識してください。

アスファルトの熱は肉球の水分を奪い、場合によってはやけどの危険もあるからです。

かつてアスファルトが多くなかった頃に犬と散歩していた人からすれば、肉球ケアなど考えられなかったでしょう。

土を踏みしめておこなえる散歩は、犬の肉球を過剰に乾燥させることがなかったため、肉球の状態に無頓着な人も多いです。そのため、肉球ケアをしたことがない飼い主さんも見られます。

もしも肉球ケアを長期間おこなっていない場合は、まず温かいタオルで肉球を包み込み温めたあと、肉球をやさしく揉んであげてください。タオルの温度は熱くなりすぎないよう、人肌程度です。

揉みほぐしてあげることで、肉球が柔らかくなってきます。硬くなった肉球をほぐしてあげましょう。

肉球のクリームやバームの使用

肉球の洗浄は毎日おこなうと逆効果とお話しましたが、肉球の保湿は毎日おこなうのが理想的です。毎日のお手入れが大切なので、散歩のあとにはクリームをぬってあげてください。

クリームを塗ってあげることで、乾燥を抑え肉球が本来持っている機能を発揮できます。

ただし、肉球に塗りこむクリームは犬が舐めても問題ないペット用のクリームを使用してください。人用の保湿クリームはアルコールや香料が含まれているものが多く、犬への影響が心配です。

肉球の保温クリームには、シアバターやみつろうなど天然成分が配合されているものがおすすめです。

また、毛足の長い犬の場合は、肉球を覆うように毛が生えている場合も多いです。肉球周辺の毛は、洗った時の乾かしづらさや毛玉ができる可能性も高いです。加えて、室内で滑る危険性もあるので、肉球が露出するようケアのたびにカットしてあげることをおすすめします。

ただ、犬は脚を触られることを嫌がる場合が多いため、むずかしそうであればトリマーなどプロの手を借りるのも1つの方法です。

自宅でできる犬の肉球マッサージ

肉球ケアに是非取り入れていただきたいのが、肉球のマッサージです。肉球マッサージは、愛犬とのコミュニケーションをはかれるうえに愛犬の健康促進効果も期待できます。

マッサージの効果

犬の肉球は、人間と同じく多くのツボが存在する部分です。

肉球を揉みほぐしてあげることで肉球が柔らかさを取り戻すだけでなく、病気を未然に防ぎ、愛犬の健康維持に繋がります。

前足の一番大きな掌球には、疲労回復や不安を和らげるツボが存在します。各指球にあるのは、耳や歯、ストレス、内臓などに効くツボです。 また、後足の掌球には代謝促進や内臓系に効果のあるツボが存在し、各趾球(しきゅう)には、不眠や歯、身体のコリ、胃・肝臓・胆のう・生殖器などに効くツボがあります。

1つひとつの肉球を、やさしくマッサージしてあげましょう。

マッサージの手順

マッサージは、犬がリラックスしている状態のときにおこないます。

先に身体を撫でるなど、充分なコミュニケーションをとっておくと犬が安心します。

環境を整えたら、マッサージ自体は簡単です。

両手の親指で掌球から外側に指を押し広げるイメージで、やさしく揉みほぐしてあげましょう。あわせて、保湿クリームを塗ってあげると保湿効果が高まります。足1本に対してマッサージの時間は3分程度で充分です。このとき、犬が嫌がるようなら無理強いはせず、時間をあけてもう一度おこなってみてください。

マッサージの頻度と注意点

肉球はデリケートな部分です。

肉球に傷を作らないよう、爪が伸びていないことを確認し指輪なども外しておいたほうがいいでしょう。また、手洗いをして清潔な状態にしておくことも大切です。

マッサージの際は、肉球に傷やひび割れなどのトラブルがないか確認しましょう。

マッサージの頻度は、2週間に1回程度で充分です。

なお、肉球にトラブルがあった場合はマッサージはおこなわずトラブルのケア、また病院に診せるなどの対処をしてください。

肉球のトラブルと予防

犬の肉球は、外部刺激を受けやすい場所です。ちょっとしたトラブルはケアできる知識を持ちましょう。また、飼い主さんが気にかけてあげることで防げるトラブルもあるので覚えておいてください。

ひび割れや傷のケア

犬の肉球は、乾燥や加齢によりひび割れてしまうことが少なくありません。

ひび割れてしまった場合は、散歩後に保温クリームを塗るなどのケアをしてあげましょう。保温クリームに慣れていない犬は、クリームをなめてしまうことも多いので散歩前に塗るなど工夫をしてみてください。

犬の肉球に傷が見られる場合は、患部を流水で洗い清潔な布で押さえましょう。小さな傷なら清潔を保つだけでも治癒する場合が多いです。消毒液を使うときはイソジンなど色のつくものは患部の状態が分かりにくくなるため、無色のものをおすすめします。

消毒液は犬用も市販されていますが、刺激の弱い人間用の消毒液を使う飼い主さんも多いです。

犬は肉球にトラブルがあると、気になって舐めたり噛んだりすることが多く、症状が悪化する場合があります。また、完治してもそれがクセになり舐め続けてしまう場合もあるので、家にはエリザベスカラーを備えておくことをおすすめします。

体重管理と肉球への負担

愛犬の体重管理は、飼い主さんの義務と言ってもいいでしょう。愛犬が可愛くて、ついついおやつを与えすぎてしまう気持ちはわかりますが、肥満は犬の健康を著しく損ないます。

心臓や足腰の負担はもちろん、犬の全体重を支える肉球も過酷な状況を強いられるからです。

犬の体型は、腰が適度にくびれていることが理想とされています。

とはいえ、犬種や年齢など個々で適正体重は異なるため、かかりつけ医に診断してもらい適正体重を教えてもらうとよいでしょう。

散歩時の予防策

冒頭でもお話したように、犬を暑いアスファルトや砂浜を歩かせるのはさけましょう。暑いアスファルトは肉球をやけどさせてしまうこともあります。肉球のやけどを未然に防ぐために、夏は早朝や夕方など日が落ちてから散歩に出かけるなど工夫しましょう。

また、怪我や火傷を防ぐためには、犬に靴下を履かせることも1つの方法です。

肉球のやけどやケガは、飼い主さんが注意することで予防できる場合も多いです。

肉球にトラブルがある場合、犬がおかしな歩き方をすることもあります。日頃から散歩中の歩き方を観察し、犬の変化にいち早く気付いてあげてください。

獣医師に相談すべき場合

犬の肉球は他の部分に比べると再生能力が高くありません。トラブルを放置すると長引く可能性があるため、早めに病院へ連れて行くことが大切です。

異常な肉球の変化

肉球は犬の健康状態を確認出来る部位でもあるので、毎日の散歩のあとに肉球をチェックする習慣をつけることをおすすめします。チェックの際に、以下のような変化が見られた場合は病院へ相談しましょう。

  • 爪の間や肉球に異物が刺さっている
  • 肉球が割れている
  • 肉球から出血している
  • 肉球が腫れている

長期間のトラブル

老犬になると、肉球があきらかに変化してくることもあります。

犬の身体は人間と同じく、年齢を重ねるにつれ水分量が低下するので、肉球も角質化が進むからです。

水分量の低下により、肉球のつぶつぶが伸びイソギンチャクのような見た目になっている犬も見られますが、これは病気ではないので心配ありません。

心配ない症状ですが、犬の歩き方がおかしいとか気にしているなどの仕草が見られるようなら、病院で短くカットしてもらうとよいでしょう。

獣医師のアドバイスを受けるべき症状

肉球は犬の健康状態を確認できる部位でもあるため、見逃してはいけない症状が現れることもあります。以下のような症状がある場合は医師に相談してください。

  • できものができた
  • 肉球に発疹ができた
  • 肉球が固い
  • 肉球が冷たい
  • パンパンに腫れている
  • カビのようなものがついている

肉球の異常には早めに気付いてあげることが大切です。そのために、肉球周辺の毛は肉球が見えやすいようにカットし、毎日のチェックを欠かさないようにしてください。

まとめ

犬の全体重を支え、地面と接触して刺激を受ける部位は肉球です。

肉球は、地面とじかに触れる部位のため、小さな傷から細菌が入り悪化してしまうことも珍しくありません。

愛犬の健康を守るには毎日の肉球チェックが欠かせません。

肉球チェックにより怪我や病気のサインをいち早く察知でき、必要に応じて病院に連れて行くことができます。

毎日肉球ケアをおこない、愛犬の健康管理をしてあげてください。

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