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犬にも発情期ってあるの?発情期のサイクルや伴うリスクについて

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はじめに

愛犬との暮らしの中で、はじめてのことに戸惑う機会も多いのではないでしょうか?

愛犬のヒート(生理)もそのひとつだと思います。

「発情期はどんな周期でやってくるの?」

「ヒートの時の出血が心配」

「発情期はどうやって過ごすのがいいのかな?」

「去勢や避妊手術について悩んでいる」

など、愛犬の発情期を安心して過ごすために、飼い主さんは不安や悩みを抱えることが多くなりがちです。

本記事では、オス犬とメス犬の飼い主さんに知識として持っていると役に立つ、犬の発情についての情報をお届けします。

愛犬の発情期についてどのように対応するべきかを知りたい方は、ぜひお読みください。

犬の発情のサイクル

犬は性成熟期を迎えることにより発情がはじまります。

生殖可能な性成熟期を迎える時期は、小型犬で生後7ヶ月から10ヶ月、中型犬や大型犬で生後8ヶ月から12ヶ月です。

飼い主さんが愛犬の発情サイクルを理解しておくと、前もって犬用の生理用品を用意するなどの準備を行うことが可能です。また、外出の予定を立てるうえでも、発情期中の外出を避けることができます。

以下に発情期の具体的なサイクルについて解説します。

メス犬の発情周期とステージ

メス犬の発情周期は6ヶ月から10ヶ月であり、以下の4つのステージで構成されています。

1.発情前期

期間:3日間から17日間(平均で約8日間)

陰部に変化がおとずれ、出血(発情出血)がはじまります。

人間の月経の仕組みと違いがあり、出血の後に排卵があり交尾が可能な状態となります。

2.発情期

期間:5日間から20日間(平均で約10日間)

オス犬に交尾をうながす期間であり、発情期の3日目に排卵が起こります。

発情期の5日から7日の間で交尾をすると妊娠の可能性が高くなるようです。

3.発情休止期

期間:約2ヶ月

交尾を求めることがなくなり、妊娠した犬が出産や授乳を行う時期です。

妊娠していない場合でも、乳腺が発達するなどの偽妊娠と呼ばれる症状になる可能性があります。

4.無発情期

期間:約4ヶ月から8ヶ月

発情休止期が終わってから次の発情前期までの期間です。

落ち着きを取り戻し、発情の行動は見られなくなります。

発情期の兆候と特徴

メス犬とオス犬で、発情期の兆候として普段とは違った以下のような行動をします。

メス犬では、そわそわして落ち着きがなくなったり陰部を舐めたりします。また、水をよく飲むようになり、排尿の回数が増えます。そのほか、食欲に変化が出るなど普段と様子が変わる犬もいるので、注意深く見守ることが大切です。

オス犬には周期的な発情はなく、発情期のメス犬に出会うことで発情します。発情すると落ち着きがなくなり、マウンティング、マーキングが増えるなど行動に変化が現れます。

発情期の長さと頻度

発情期の長さと頻度には、犬により個体差があります。

犬の発情サイクルのうちメス犬がオス犬に交尾を許す発情期は5日間から20日間であり、平均10日間くらいの長さです。年に1回から2回の頻度で、この発情期が繰り返されます。

先述したように、オス犬には周期的な発情はなく、性成熟期を迎えた後に発情期のメス犬にめぐり会うことで発情します。

犬の発情に伴う出血

発情前期から発情期のメス犬に、発情出血と呼ばれる陰部からの出血があります。

この出血について理解することは、犬の負担を軽減するうえで大切なことです。

以下に発情に伴う出血について解説します。

出血の原因と量

出血の原因は、メス犬の体の中で妊娠準備のために子宮内膜が充血するためです。この充血した子宮内膜よりにじみ出た血液がヒート(生理)での出血になります。

出血量は個体差があり、また小型犬は少なく、大型犬は多くなる傾向があります。

初めてのヒート(生理)での出血量は少なく、年を重ねるにつれて少なくなるのが一般的です。出血が少ない場合は、犬が血液を舐めてしまうために飼い主が発情期に気づかないことも多くあります。

出血の期間と頻度

発情出血する期間は、発情前期から発情期にかけての約1週間から2週間であり、個体差があります。

この期間は妊娠準備のために子宮内膜が充血するため、継続して出血することになります。

血液の質は粘度が高い状態から薄くなり、色は淡く変化しますが、陰部の汚れをやさしく拭き取るなどのケアを続けてあげてください。

出血の期間が長く続き心配に思う場合は、ほかの病気である可能性があるため、動物病院で診てもらうのがよいと思います。

出血に対する注意事項

発情出血がある間は血液で床や家具を汚してしまうので、洗濯できるタオルなどを必要な場所に敷くことで防ぐことができます。また、犬用の生理用品であるオムツやサニタリーパンツを利用するのも効果的です。

オムツやサニタリーパンツを着用することで、オス犬の発情反応を軽減したり交尾を防止したりする効果もあります。また、ほかの飼い主さんに飼い犬がヒート中であることのアピールができるなど、血液による汚れ防止以外のメリットも大きいです。

ただし、これらの生理用品は陰部の通気性が悪くなり皮膚にトラブルが出たり、着用中はトイレができなかったりするなど、犬に負担をかけるデメリットもあります。皮膚の状態を健康に保ち、着用によるストレスを与えないように注意することが大切です。

犬の発情期の過ごし方

発情期を迎えたメス犬の飼い主さんにとって、日常生活における犬との外出やケアなどには多くの注意点があります。

ここでは、メス犬の飼い主さんに向けた発情期の過ごし方のポイントについて解説します。

発情期中のお出かけや旅行について

発情期中はオス犬とのトラブルを避けるためにも、お出かけや旅行は控えるべきです。

オス犬は発情期中のメス犬の匂いを嗅ぎ分ける能力が強く、発情期中のメス犬に誘発されて発情します。そのため、発情したオス犬に追いかけられたり、交尾により望まない妊娠につながったりするなどの心配があります。

また、オス犬同士がメス犬をめぐってケンカになることもあり、ケガや事故に発展してしまうと楽しいお出かけや旅行も台無しです。

このような事態を想定して、発情期中のメス犬の利用を断っている施設も存在します。

犬とのお出かけや旅行を楽しんでいる方々への配慮として理解しておくことが重要です。

発情期での注意事項と管理方法

発情期でのおもな注意事項には以下のようなものがあり、飼い主さんが管理して見守ってあげることが大切です。

体調の変化に気をつける

ホルモンの影響により、元気がなくなったり、食欲が落ちたりすることがあります。

食欲を出すためにドッグフードをお湯でふやかして香りを立てたり、新たにトッピングを加えたりするなどの工夫が必要です。

オス犬への配慮

オス犬との接触は相手を発情させストレスを与えてしまうため、避けるべきです。

日頃の近所でのお散歩においても、オス犬と合わないようなコースに変えてみたり、時間をずらしたりするなどの工夫をすることで接触を回避できます。

また、サニタリーパンツなどを利用することで、オス犬と遭遇してしまっても相手の飼い主さんにヒート(生理)中であると認識されやすくなり、トラブルの回避にも役に立つと思います。

偽妊娠への注意

発情休止期に入り、妊娠の有無にかかわらず分泌される黄体ホルモンというホルモンの影響により、偽妊娠となる場合があります。

偽妊娠になると妊娠した場合と同じように乳腺の腫れや乳汁分泌などの症状が出たり、おもちゃを子供と勘違いして扱ったり、巣作りをしたりするなどの行動を行います。乳汁分泌が活発になり偽妊娠の期間が長くなるため、乳腺はあまり触らないようにすることが大切です。

静かに見守ってあげれば3ヶ月くらいで自然に治ります。ただし、偽妊娠を繰り返すと子宮や卵巣、乳腺の病気になる確率が高くなると言われているので注意が必要です。

症状が強く出たり長引いたりする場合は動物病院で診てもらうことをお勧めします。

発情期中のストレス軽減方法

発情期中のメス犬は、ホルモンバランスの崩れにより肉体と精神にストレスを抱えます。

また、発情期のメス犬に誘発されて発情したオス犬も、交尾ができないことで同様にストレスを感じます。

メス犬は発情出血対策のためにサニタリーパンツなどの生理用品を着用しますが、着用中はトイレができません。また、陰部の通気性が悪くなるため、皮膚トラブルによる痒みを感じることがあります。

このため、生理用品を利用する際には必要に応じた着用と、こまめな交換を行うことでストレスを軽減してあげるのがよいです。

オス犬とメス犬が同居している家庭の場合、発情期中は生活環境を分けるなどの工夫をする必要があります。

また、それぞれの発情によるストレスを軽減するために、繁殖予定や健康管理を考慮したうえで去勢や避妊手術について考えることも大切です。

去勢・避妊手術のメリットとデメリット

発情期における犬の肉体的・精神的な負担やトラブルを軽減する方法のひとつとして、オス犬は去勢手術、メス犬は避妊手術を行うという選択肢があります。

愛犬の健康を考慮しつつも繁殖の希望もある場合など、将来の愛犬とのライフスタイルに関わる手術のため、実施について悩む飼い主さんも多いのが実情です。

ここでは去勢・避妊手術の利点やリスク、実施時期などについて解説します。

去勢・避妊手術の効果と利点

去勢手術の効果と利点

発情行動が治まることにより、発情によるストレスや発情期中のメス犬との接触に関連するトラブルを防ぐことができます。

また、攻撃性が低下し、マーキングやマウンティングも改善されて穏やかな性格になる場合も多いです。

さらに、ホルモンが影響して発症するオス犬の病気の予防効果があげられます。

肛門周囲腺腫、前立腺肥大などの発生率の低下や、会陰ヘルニア、精巣腫瘍の予防などの効果が期待できます。

避妊手術の効果と利点

発情出血がなくなり、ヒート(生理)時の皮膚トラブルやストレスがなくなります。また、望まない妊娠や偽妊娠を防ぐことができます。

飼い主さんにとっては、発情出血中の心配やケアの負担がなくなることもメリットです。

さらに、子宮系統の病気の予防効果が知られています。

子宮蓄膿症や卵巣疾患の予防、乳腺腫瘍の発生率の低下などの効果が期待できます。

手術のリスクと注意点

去勢・避妊手術にはメリットばかりでなく、以下のようなリスクや注意点があります。どちらの手術もこれらを理解したうえで、獣医師に相談して判断することをお勧めします。

全身麻酔のリスク

去勢・避妊手術にあたっては全身麻酔を行うため、麻酔によるリスクを伴います。

手術を予定している動物病院での事前検査でリスクの大きさを知ることができるので、獣医師と相談して手術の実施を検討してください。

肥満のリスク

去勢・避妊手術後は、代謝が低下することにより肥満になりやすいため注意が必要です。

食事の量や質、運動量を工夫することで肥満のリスクを軽減することが大切になります。

去勢・避妊手術の適切なタイミング

去勢・避妊手術を適切なタイミングで実施することで、発情のストレスや特定の病気を予防できるメリットがあります。。

犬の性成熟期や体調などに個体差があるため、実際の飼い犬の去勢・避妊手術のタイミングは動物病院に相談して決めることが大切になります。

去勢手術のタイミング

オス犬は生殖機能が具わる前の生後6ヶ月前後に去勢手術を行うのがよいとされています。

その理由は、このタイミングで去勢手術を行うことで、発情によるストレスや発情に付随する問題行動を起こすことがなくなると言われているからです。

避妊手術のタイミング

メス犬は一般的に最初に発情する前の生後6ヶ月前後に避妊手術を行う傾向があります。

その理由は、最初の発情期前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の高い予防効果が期待できるためです。

まとめ

本記事では犬の発情期について、以下の内容をお伝えしました。

  1. 犬の発情サイクル
  2. 犬の発情に伴う出血
  3. 犬の発情期の過ごし方
  4. 去勢・避妊手術のメリットとデメリット

愛犬の発情期の対応について知りたい方々に向け、発情期における注意点やケアの方法についてお伝えできたと思います。

また、発情期の負担を軽減する去勢・避妊手術は、病気の予防にもなる大切な選択肢であることもお伝えしました。

犬の発情期はメス犬とオス犬の両方に関係することであり、また自分の飼い犬だけの問題でなく周囲の犬への配慮が大変重要です。発情した犬同士でのケガや事故などのトラブルを避けるためにも、発情期の行動には十分注意してください。

犬の発情期について正しく理解しケアを行うことで、愛犬や飼い主さんが発情期のストレスを軽減でき、楽しく生活できることを切に願っています。

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