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愛犬が常に寝ている?適切な睡眠時間とたくさん寝る理由をご紹介

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はじめに

皆さんは十分な睡眠時間を確保できていますか?睡眠は身体や心の健康を維持するためにとても重要。私たちの大切なパートナー、犬も同じです。

愛犬が眠っている姿はかわいらしく、見飽きることがありません。でも、見るたびに眠っていると「うちの子、睡眠時間が長いような気がするんだけど、どこか具合でも悪いの?」と心配になってしまうかもしれません。

この記事では、犬と人の睡眠の違い、年齢や健康状態による変化、睡眠をサポートする方法などについてご説明します。

犬の睡眠について知ろう

犬と人の睡眠はどのような点が異なるでしょうか。また、犬の睡眠時間は人より長いのですが、それはなぜでしょうか。愛犬の睡眠をチェックする方法についてもご説明します。

犬と人の睡眠の違いとは?

犬と人は同じ哺乳類。睡眠について共通する点もありますが、大きく違う点が3つあります。睡眠時間の長さ、睡眠サイクルと眠る時間帯を決定する要因です。

睡眠時間の長さ

犬の睡眠時間は人より長く、一般的に成犬で平均12〜15時間といわれていますが、年齢や健康状態、生活環境、犬のサイズなどによって異なります。犬のサイズ、年齢、健康状態と睡眠については、後ほど詳しくご説明します。

睡眠サイクル

人は一般的にまとめて睡眠を取り、レム睡眠とノンレム睡眠のセットをおよそ90分間隔で繰り返します。レム睡眠とはまぶたの下で眼球が素早く動く急速眼球運動(rapid eye movement : REM)を伴い、身体は休んでいますが脳は起きている状態に近く、浅い睡眠。ノンレム睡眠は脳が休んでいる状態で、レム睡眠に比べ深い睡眠です。

犬にもノンレム睡眠とレム睡眠がありますが、合計16分間のノンレム・レム睡眠と5分間の覚醒のセットで21分間隔。人に比べ1周期が短く、これを8時間の夜間睡眠中に23回繰り返していることが報告されています。外敵がいる環境でも、起きている時間を小刻みに挟みながら眠ることで、安全で効率的に体を休めることができます。外敵に襲われる危険があった、野生時代の名残ですね。

眠る時間帯を決定する要因

生活スタイルにもよりますが、人は一般的に夜間に眠ります。人が眠る時間帯を決定するのは、体内で分泌されるホルモン。コルチゾールという覚醒準備を促すホルモンが早朝に大量に分泌され、天然の目覚まし時計として働くことで、朝に目が覚めます。

犬も夜間の睡眠の方が昼間に比べて長く、睡眠効率が高いことが確認されています。また、明るい時間帯に体温が上昇し、暗い時間帯に体温が低下することから、昼行性であることがわかります。ただし犬の場合は、人のようにコルチゾールが早朝に大量に分泌されて、目覚まし時計として働くわけではありません。野生のイヌ科動物の多くは夜行性。犬は、人と共に暮らすようになってから、人の生活パターンに合わせて昼間活動し、夜間に眠るように適応してきました。

麻薬探知犬の調査では、探知犬の睡眠サイクルは探知活動の時間帯に影響を受けず、シフトが昼間でも夜間でも柔軟に対応できることが確認されています。これは、犬の睡眠サイクルが短いためで、人ではなかなか同じように適応することはできません。

犬がたくさん眠る理由とは?

犬が人より長く眠るのは、体や脳がそれを必要としているからです。

人では7~8時間の睡眠が必要といわれますが、実際に睡眠時間をそれだけ確保できている方は少ないのではないでしょうか。「もう少し寝たいのに」と思いながら、決められているスケジュールをこなすため、時間になれば無理やり起きなければなりません。

一方、一部の働く犬を除き、大多数の犬は学校や会社などに出かけたり、家で働いたりする必要はありません。飼い主さんと一緒に起き、散歩に行き、おいしい食事を食べた後は、体や脳が回復に必要とする時間だけ眠ることができます。

睡眠中、心身は完全な休養状態に入ります。

心臓はゆっくり拍動し、血管が拡張して血圧が下がります。また、筋肉はリラックスし、エネルギー消費は最低限のレベルになり、体温も低下。成長ホルモンが分泌され、傷んだ細胞が修復されます。

脳内では老廃物が洗い流され、記憶の整理と定着が行われます。

睡眠中には心身のメンテナンスが行われますので、生きていくためには欠かせない時間です。

犬の睡眠をチェックしよう

最近は、スマートウォッチなどのウェアラブル端末でご自分の睡眠時間を確認している方も多いのではないでしょうか。

現在、犬や猫用のウェアラブル端末も何種類か発売されています。小型の端末を首輪などに装着し、内蔵された加速度センサーで睡眠時間や運動量を測定。データはアプリに蓄積され、変化があった場合はアプリが通知してくれるというものです。

このような端末を使わずに飼い主さんが見て確認することもできますが、ご自身の睡眠中は誰かに交代してもらうか、録画して後で画像を確認するなどが必要です。画像だけでは本当に眠っているのか、横たわった姿勢をとって起きているのかの区別は難しいかもしれません。

愛犬が健康なときの睡眠時間、睡眠サイクルと眠る時間帯を把握しておくと、変化があった場合に気付きやすくなります。

犬の睡眠時間に影響を与える要因

犬の睡眠時間の長さに影響を与えるのは、消費エネルギーです。消費エネルギーは、犬の身体の大きさや筋肉量、活動量により変化します。

犬のサイズ

一概にはいえませんが、大型犬は小型犬に比べ睡眠時間が長い傾向にあります。それは、大型犬の方が小型犬より消費するエネルギーが大きく、回復に必要な睡眠時間が長くなるからです。

一般的に、体が大きい犬ほど基礎代謝量(生命維持のために必要な最小限のエネルギー量)は大きくなります。ただし、消費するエネルギーの総量は基礎代謝に活動代謝(活動時に消費するエネルギー量)を加えたものになりますので、犬がどれくらい活動するかも考慮しなければなりません。

同じサイズの犬であれば、筋肉量が多く、活発に活動する犬の方が長い睡眠時間が必要。

犬の睡眠時間は、犬種による違いより、筋肉量などの個体差や、1日の運動量や生活スタイルなど飼い主の影響による違いが大きいと考えられます。

犬の活動量

犬の首輪に加速度センサーをつけ、放し飼いの犬と家庭で飼われている犬の活動量を比較する調査が行われました。その結果、自由に行動できる放し飼いの犬に比べ、家庭で飼われている犬の活動量の方が多く、それを補うために休息時間が長くなることが判明。また活動のレベルについても、放し飼いの犬は適度なレベルの活動に費やす時間が長かったのに対し、家庭で飼われている犬は高い活動レベル、すなわち激しく活動している時間が長かったことが確認されました。

家庭で飼われている犬の活動量は飼い主の行動に合わせて変化するので、人に付き合って多めに活動してくれていることがわかります。犬の睡眠と健康について

犬の年齢による睡眠時間の変化

犬はライフステージと共に睡眠時間が変化します。

哺乳・離乳期(0~2ヶ月齢)

人の赤ちゃんと同じように、この時期の子犬は1日の大半を眠って過ごします。特に哺乳期は、お乳を飲んでいるとき以外はほぼ眠っていますが、脳や体を発達させるのに睡眠はとても大切。かわいいので思わず触りたくなってしまいますが、眠っているときは邪魔をせず見守りましょう。

成長期(3~12ヶ月齢)

心身ともにぐんぐん成長する時期。犬が成長して活発に活動するようになるにつれて睡眠時間は短くなり、18時間ほどだったのが14〜16時間に。この時期も、成長に必要な睡眠時間をしっかり確保できるように気をつけてあげましょう。

成犬期(1~7歳)

一般的に12〜15時間ほどといわれています。ライフステージの中で活動時間が最も長くなるため、睡眠時間は短くなります。

中・高齢期(8歳以上)

高齢になると活動時間が短くなり、成犬期に比べて体力を回復するのに時間がかかるため、睡眠時間は長くなります。

犬の健康状態と睡眠時間の関係

犬のライフステージと睡眠時間についてご説明しましたが、それはあくまでも目安としてお考えください。同じ犬種・年齢であっても、睡眠時間には個体差があります。また、共に暮らす人の生活スタイルに大きく影響されることも。目安より多少長かったり、短かったりしてもあまり心配する必要はありません。

それよりも、愛犬の睡眠時間や睡眠の時間帯、睡眠サイクルが前に確認したときと比べて大きく変わった場合には注意が必要です。かかりつけの獣医さんに相談しましょう。

睡眠サイクルの変化

高齢犬の認知障害は人の認知症とよく似ていますが、睡眠サイクルの変化は、その徴候の一つです。高齢犬の飼い主を対象に行ったアンケート調査では、13歳で30%、16歳で50%以上が愛犬の「睡眠サイクルの変化」を感じていると回答しています。

高齢犬では、昼間のレム睡眠と夜間の覚醒時間が増加することが確認されています。人の睡眠障害と同じように、高齢になった犬は自律神経のバランスが変化し、日中に眠気を感じて、夜間の睡眠が維持できなくなることも。

嗜眠(しみん)

嗜眠とは、常に眠っている状態。刺激を与えると起きますが、また眠ってしまいます。

甲状腺機能低下症:喉のあたりにある甲状腺の機能が低下し、全身の代謝を促す甲状腺ホルモンが少なくなる病気。犬では特に性差がなく、比較的高齢の犬がかかります。甲状腺機能低下症になると元気がなくなり、嗜眠の症状が出ることがあります。これ以外に、肥満、脱毛、体温が下がる、脈が遅くなるなどの症状も。血液検査などで診断ができ、投薬による治療ができます。

いびき

睡眠時の異常として、いびきを症状とする病気もあります。

短頭種気道症候群(たんとうしゅきどうしょうこうぐん):ブルドッグ、パグ、シーズーなどの短頭種で、気道が狭く呼吸がしにくい状態になる病気。呼吸困難の状態が続くと危険な場合も。また、睡眠時無呼吸症候群が起きることもあります。外科手術で改善できる場合がありますので、獣医さんに相談してみましょう。

愛犬の睡眠時間をサポートする方法

愛犬に質の良い睡眠を十分にとってもらうため、飼い主がサポートする方法を3つのポイントにまとめました。

快適な睡眠環境

犬にとって快適に眠ることができるのは、周りを囲われた静かな環境です。

例えばクレート(屋根がついた箱型のハウス)などで上下左右と後ろを囲われた状態にすると、明るすぎず、巣穴の中にいるのと同じように安心することができます。眠る場所を清潔に保つため、トイレはクレートと別の場所に。クレートのサイズは、犬が中で方向転換できるものを選びましょう。

また、犬が落ち着ける場所を探してあげましょう。飼い主と一緒にいるのが好きな子なら、飼い主の気配を感じられる場所。外部の物音を気にしやすい子なら、外部の物音が聞こえにくい場所など、愛犬の特性に合わせてなるべく落ち着ける場所を選んであげてください。

十分な運動量を確保

犬の年齢や体力、健康状態に応じた十分な運動量を確保できるようにしましょう。

散歩は運動量を確保するだけではなく、気分転換によるストレス解消や人と犬のコミュニケーションの時間としても重要です。

ただし、暑い時間帯の散歩は危険なので控えましょう。犬は汗をかいて体温調節することができません。また、犬は地面からの距離が近く、アスファルトなどの照り返しの影響を強く受けます。そのため、人がそれほど暑いと感じない気温でも熱中症になってしまうことが。

早朝や日没後など、十分に気温と地面の温度が下がってから散歩するか、涼しい屋内で遊ぶ時間を増やしてあげましょう。

特に高齢期の犬で気を付けること

年齢を重ねると、だんだんと寝たり起きたりの動作がスムーズではなくなってきます。また、寝返りをうつのも苦手に。

特に体が大きい犬や体重が重い犬は、下側にしている部分に床ずれができてしまうことがあります。起き上がりやすく、体に負担がかからないようなマットやベッドなどを敷いてあげましょう。

まとめ

犬と人の睡眠は、睡眠時間の長さ、睡眠サイクルが短く覚醒がセットになっていること、眠る時間帯がコルチゾール分泌の影響を受けないことの3点で大きく異なります。

睡眠時間が長いのは、心身の回復に必要なため。その犬にとって必要な睡眠時間は、犬の眠りを人が邪魔しなければ確保できるはずです。また、犬の睡眠は年齢や健康状態によって変化します。普段の睡眠時間、睡眠パターンと眠る時間帯を把握しておけば、変化があったときに早く気付いてあげることができます。同じ犬種・年齢の他の犬と比べるのではなく、愛犬の睡眠が以前と比べて変化しているかを確認し、大きく変化した場合などは獣医さんに相談しましょう。

愛犬の睡眠をサポートするために飼い主ができるのは、快適な睡眠環境と十分な運動量の確保です。特に高齢犬は寝起きがしやすいよう、気を配ってあげましょう。

人にとっても、犬にとっても、心身ともに健康に過ごすために大切な睡眠。愛犬と長く楽しい時間を過ごすため、睡眠について改めて考えてみませんか?

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