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はじめに
牛乳は栄養価も高く、健康のために毎日欠かさずに飲んでいるという方も多いのではないでしょうか。
「犬にも牛乳を与えてもいいのかな?」と考えたことのある飼い主さんも多いでしょう。
犬に牛乳を与えてはいけないという意見を見たり聞いたりしたことがある人もいるかもしれません。実際のところはどうなのでしょうか。
結論、犬に牛乳を絶対に与えてはダメ!ということはありません。ぶどうやチョコレート等のように、与えることで犬に命の危険が及ぶような食品ではないからです。
しかし、犬に牛乳を与える前には必ず知っておきたいポイントがいくつかあります。
今回の記事では、犬に牛乳をあげるメリットやデメリット、与える際の注意点、牛乳の代替品にはどんなものがあるかなど詳しく解説します。
犬に牛乳を与えるデメリット
まず最初に、犬に牛乳を与える場合のデメリットをご紹介します。
もし犬に牛乳を与えようと考えているなら、デメリットもしっかり理解したうえで与えるようにしてください。
デメリットは2つあります。
- 消化不良を引き起こす可能性がある
- 下痢や腹痛を引き起こすことがある
人間でも牛乳を飲むとお腹が緩くなるという人も多いですが、犬は人間以上に体に異変が出やすいので注意が必要です。デメリットについて順番に解説していきます。
消化不良を起こす可能性がある
犬に牛乳を与えるデメリットとしてまず考えられるのは消化不良を引き起こしてしまうことです。
牛乳には乳糖(ラクトース)という成分がたくさん含まれています。犬の体には、このラクトースを分解するための消化酵素(ラクターゼ)が少なく、体の中で十分に消化吸収できないため消化不良を起こしてしまいます。
このように体内でラクトースを分解できないことを、ラクトース不耐症(乳糖不耐症)といいます。
子犬の時期は母乳を飲むためラクターゼの数が多いのですが、成犬になるとともに必要なくなるのでラクターゼはどんどん減少していきます。人間も含めた哺乳類は皆同じように、大人になるにつれてラクターゼが少なくなります。
日本人の約8割以上はラクトース不耐症だといわれていますが、犬は人間よりもラクターゼの数がかなり少ないためほとんどの犬が消化不良を起こす可能性があります。
そのため、牛乳を飲むことで消化不良になってしまう犬が多いです。
下痢や腹痛を引き起こすことがある
ラクトース不耐症の犬や牛乳アレルギーの犬に牛乳を与えることで、下痢や腹痛を引き起こすこともあります。
ラクトース不耐症の場合、下痢や腹痛は半日〜1日ほどで治りますが、牛乳アレルギーの場合は数日〜数週間続くこともあります。アレルギーの場合だと、他にも嘔吐や痒み、皮膚に発疹が出るほか、ひどい場合には脱毛等の症状が出ます。
犬はお腹が痛い時人間のように伝えることができないので、飼い主さんが犬のサインを見逃さないようにしましょう。
もし牛乳を与えたあとに犬のお腹がキュルキュルとなっていたり、やたらとお腹を舐めたり、落ち着きがなかったりする場合は、腹痛の可能性があります。
もしも犬に下痢など体調不良の症状が出た場合にはすぐに動物病院へ連れて行くようにしましょう。
また、冷たい牛乳をそのまま与えると余計にお腹を壊しやすくなります。
常温に戻すか、少し加熱して人肌程度に温めてから与える方が良いでしょう。
牛乳を与える際の注意点
牛乳にはタンパク質やカルシウムなど、必要な栄養が豊富に含まれていますので、上手に取り入れれば健康の維持に役立ちます。しかし犬に牛乳を与える場合には、注意するべき点があります。
- ラクトース不耐症の犬には与えない
- 少量から様子を見ながら与える
犬に牛乳を与える場合にはこれらのことに注意して、与えるようにしてください。
ラクトース不耐症の犬には与えない
先ほども説明した通り、ラクトース不耐症の犬に牛乳を与えると消化不良や下痢、腹痛などを引き起こす可能性があります。
ラクトース不耐症の犬にも、「少しだけなら与えても大丈夫なのでは?」という意見もあるかもしれませんが、どの程度の量で下痢や腹痛を引き起こすかは、犬の体質や年齢、体の大きさなどによって様々です。
与えてみないとどの程度の症状が出るかも分かりません。
軽度の腹痛の症状が出るかもしれませんし、下痢をして脱水症状になってしまう可能性もあります。
牛乳は栄養が豊富ですが絶対に与えないといけないものではないので、ラクトース不耐症の犬には与えない方が良いでしょう。
また、子犬に牛乳を与えることもやめておきましょう。子犬は成犬に比べてラクターゼの数が多いですが牛乳に含まれるラクトースを分解するだけの量はありません。
犬の乳汁に比べて牛乳はラクトースの数が多いので、子犬は体の中でラクトースを分解しきれません。
哺乳中の子犬に犬の乳汁の代わりに牛乳を与えてしまうと下痢や栄養不足になることもありますのでできれば避けた方が良いです。
少量から様子を見ながら与える
犬に牛乳を与える場合、まずは少量から与えるようにしてください。ほんの少量であれば、何の症状も出ない犬が多いです。
最初からたくさん与えてしまうと、犬は喜んで飲むかもしれませんが時間が経ってからお腹を壊したり下痢をしたりする可能性があります。
少しだけ与えてみて体に異変がないか様子を見ながら、無理なく消化できる量のみを与えるようにしましょう。
犬に牛乳を与えるメリット
ここまでは犬に牛乳を与えるデメリットや注意点をお伝えしましたが、メリットについても考えてみましょう。
- 健康な犬に与える場合、栄養補給になる
- 水分補給ができる
これらが犬に牛乳を与えるメリットといえます。
デメリットばかり見られがちですが、上手く普段の食生活に取り入れることで犬の健康維持に役立てることができます。
健康な犬に与える場合、栄養補給になる
ラクトース不耐症や牛乳アレルギーのない犬に牛乳を与えると栄養補給になりますし、牛乳を与えることを推奨している獣医師もいます。
暑い夏の時期には食欲が落ちてしまう犬もいますが、ご飯を食べたがらない犬でも牛乳だと飲むという犬もいるでしょう。また、ご飯に牛乳を少量かけることで食いつきが良くなることもあります。
この場合、牛乳を与えることで栄養を補給することができます。
ただし、総合栄養食をしっかり食べている犬はそれだけで1日分の栄養がしっかり取れているため、そこにプラスで牛乳を与えてしまうとカロリーの摂りすぎになってしまいます。
牛乳はカロリーが高いため与えすぎると肥満の原因になってしまいますので、与える量には十分注意してください。
水分補給ができる
牛乳を与えることで栄養補給と同時に水分も補給できます。
水分補給のために牛乳を与えるのも良いですね。あまり水を飲みたがらない犬に必要な水分を取らせるのは難しいですが、牛乳だと喜んで飲む犬は多いでしょう。
与えすぎはダメですが、牛乳を水で薄めて与えるなど飼い主が工夫して、様子を見ながら与えるようにしてください。
この場合にも一気にたくさん飲ませるのではなく、少量ずつに分けて与えるということを覚えておきましょう。
牛乳の代替品として与えるべきもの
牛乳は健康のために良い食品ですが、デメリットもあるのでやっぱり犬に牛乳を与えるのは心配だという人もいると思います。
そんな人にはこれからご紹介する牛乳の代替品を与えるのがおすすめです。
- 犬用のミルク
- 牛乳の代わりに水を与える
牛乳は本来、牛の赤ちゃんが飲むためのものなので、犬に与えるなら犬用のものが良いでしょう。
犬用のミルク
犬用のミルクは、子犬を飼育した経験のある人はよくご存知かもしれません。
ミルク=子犬に与えるものだというイメージがあるかもしれませんが、犬用ミルクはどの年齢の犬にも与えることができます。
犬用のミルクには乳糖が入っていないか、または大幅にカットされているので人間用の牛乳よりも安心して犬に与えられます。
乳糖ゼロの犬用ミルクは、ラクトース不耐症の犬にも与えても大丈夫ですし、乳糖分解酵素が含まれているものもあり、消化不良を起こす心配もありません。
犬用ミルクは、ペットショップの店頭やネットでも手軽に購入することができますので一度試しに購入してみても良いでしょう。
おやつやご褒美に与えたり、妊娠している犬に栄養補給として与えたりするのも良いですし、ドライフードにかけて与えても喜ぶかもしれません。
犬用ミルクは子犬用、成犬用、シニア用というように年齢に応じて商品が分かれているので犬の年齢に応じて選ぶことができます。
子犬用ミルクには高タンパクや高カロリーなど、成長に必要な栄養素が配合されており、シニア用には免疫力の強化など犬の年齢に応じて必要な栄養素が入っています。
商品によって、どんな目的で与えるのか・与えるのに適した年齢は何歳ごろかなどが表記されているので、犬の年齢や与える目的に合わせて購入するようにしましょう。
ミルクの種類も、液体タイプとお湯で溶かす粉ミルクがあります。
液体タイプだとすぐに与えられるのがメリットで、犬乳の代わりに子犬に与えることもできます。粉ミルクは調乳の手間はかかりますが、パウダーのままふりかけて使ったり量が調節できるのがメリットです。
液体タイプだとそのまま与えられますが、保存期間が短いものが多いので注意してください。粉タイプの方が長く保存しておけるため、使いやすい方を選ぶと良いでしょう。
牛乳の代わりに水を与える
水分補給用に、いつも牛乳を与えているという飼い主さんもいるかもしれません。
先ほどもお伝えした通り牛乳の与えすぎは肥満の原因になるほかにも、尿結石の原因にもなる可能性があります。
しっかり水分を摂らないと、脱水症状になったり水分不足で体調を崩すこともあるので、水をしっかり飲むことは大切です。
できれば牛乳の代わりに水を与えるほうが良いでしょう。
水道水を与えることに抵抗がある人もいるかもしれませんが、日本の水道水は高品質なので犬に与えても問題ありません。
カルキ臭を気にして水道水を飲まないという場合は煮沸することでカルキが抜けて飲むようになることもあります。浄水器を使って浄水にしてから与えるのも良いです。
もしミネラルウオーターを与える場合には、硬水ではなく軟水を選びましょう。
硬水にはマグネシウムやカルシウムが入っているため尿結石の原因になる可能性があるからです。
どうしても水を飲まず、牛乳しか飲まないという場合には牛乳を水で薄めて与えるという方法もあります。牛乳を大量に与えるよりは、少量の牛乳を水で薄める方がラクトースの量も少ないのでおすすめです。
牛乳を与える時の注意事項
犬に与える牛乳を選ぶ時や与える量についても注意が必要です。
犬の健康のために是非知っておきましょう。
- 無調整牛乳を選ぶ
- 低脂肪乳を選ぶ
- 牛乳の量を制限する
このような注意事項を守って、犬に牛乳を与えるようにしてください。
無調整牛乳を選ぶ
無調整牛乳(牛乳と表記されているもの)は、牛の乳汁を加熱殺菌したものなので添加物が一切入っていません。
カルシウムやビタミンA、ビタミンDがたっぷり含まれています。
犬の健康のために牛乳を与えたいと考えているなら、無調整牛乳を選ぶと良いでしょう。
ただし栄養価は高い分カロリーも高いので、与えすぎには注意してください。
低脂肪乳を選ぶ
無調整牛乳は栄養豊富な反面、カロリーが高いことがデメリットです。カロリーの摂りすぎは肥満の原因になります。
そこでおすすめなのが低脂肪乳です。脂肪分やカロリーが牛乳(無調整牛乳)よりも少ないのでカロリーの摂りすぎによる肥満を防ぐことができます。
ただし、ラクトースの数は普通の牛乳とほぼ変わらないため、低脂肪だからたくさんあげても大丈夫というわけではありません。低脂肪乳も与えすぎには注意しましょう。
牛乳の量を制限する
犬に牛乳を与えすぎると消化不良や下痢、肥満の原因になってしまうため、与える場合には量を制限することが大切です。
犬が欲しがるからといってたくさん与えてしまうと犬の体調不良に繋がってしまいますので、きちんと1日に与える量は守りましょう。
犬の年齢や体格、体調によって与えて大丈夫な量は異なります。
与える牛乳の量は、5kgの犬で1日10cc、10kgで15cc、30kgで30ccくらいが目安になります。
意外と少ないと感じる人も多いのではないでしょうか?
あくまでも目安なので犬の様子を見ながら少しずつ与えてみてください。
まとめ
犬に牛乳を与える場合、ラクトース不耐症・消化不良・下痢などを引き起こす可能性があるので注意が必要です。
もし牛乳を与える場合は少しずつ与えて様子を見たり、水で薄めるなど、飼い主がしっかりと責任を持って与えるようにしましょう。
牛乳よりも犬用ミルクの方が、犬の体に配慮されているので牛乳を与えてみたいと考えている飼い主さんは一度犬用ミルクを試してみてはいかがでしょうか?