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犬はなぜ飼い主の顔を舐めるの?犬の心理や注意点をご紹介

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はじめに

愛犬と触れ合っている際、顔を舐められたという経験をした飼い主さんも多いはずです。元気にしっぽを振って顔を舐めてくれる愛犬の姿に、飼い主さんはとても嬉しい気持ちでいっぱいになるでしょう。

しかし「衛生的に問題はないのかな」「どんな理由があって舐めるのだろう」と多くの疑問が浮かぶはずです。そこで今回は、犬が飼い主の顔を舐める理由や注意点、適切な対応法について解説します。愛犬の気持ちをしっかりと理解し、より良い関係を築いていくための情報としてぜひ、参考にしてください。

犬が顔をなめてきたときの正しい対応は?

ここからは、犬が顔を舐めてきた際の正しい対応について紹介します。愛犬が顔を舐めてくる心理を理解し、愛犬が何を伝えようとしているかを汲み取ってあげましょう。

舐める理由を知ろう

犬は自分の気持ちを飼い主さんに表現する行動として、顔を舐めることがよくあります。信頼や愛情のほか、時には何かを求める時にも顔を舐めることもあるので理由は様々です。犬の祖先であるオオカミの子犬が母犬に食べ物をねだる際、口の周りを舐めることで感情や欲求を表現しました。

また、母犬は子犬の体に汚れを見つけると体を舐めて綺麗にしてあげます。そのため、顔や体を舐めることは愛情表現の一種として考えられるでしょう。野生の犬ではなく飼われている犬でも、飼い主さんの顔を舐めることでスキンシップをとっています。

愛情表現かもしれない

犬は、基本的に信頼していない相手を舐めることはありません。すなわち、犬が飼い主さんの顔を舐めるということは、愛情を表現していると考えられます。顔を舐めてくれる犬に対して飼い主さんは、喜んだり撫でるといった反応をするでしょう。この反応を見た犬は喜びを感じ、さらに顔を舐めることで飼い主さんとコミュニケーションを取ろうとします。

また、犬が飼い主さんの顔だけではなく口元を舐めることもあるでしょう。この行動は子犬が母犬に甘えている時に見せる行動であり、こちらも愛情表現の1つです。愛犬は飼い主さんのことを母親のような存在だと捉えており、「甘えたい」「かまってほしい」といった気持ちを伝えるために行動します。

心地よい刺激を求めているかも

飼い主さんがご飯を食べている際、犬が顔を舐めてきたという経験をした方も多いでしょう。この場合は食べ物の匂いに惹かれて、刺激を求めているからと考えられます。匂いに敏感な犬は、食べ物の匂いが残っている口周りに反応し、近づいてくることもあるでしょう。

食事中だけでなく、お風呂上がりにも犬が顔を舐めてくる場合もあります。これは化粧水の匂いに興味を持ち、情報を得ようとしている行動です。嗅いだことないがない匂いに興味が沸き、匂いの正体を確かめようとしていると考えられます。良い香りだけでなく、飼い主さんから気に入った匂いでなく、嫌な匂いがしてきた際もふき取ろうとして舐めることもあるでしょう。

犬が顔を舐める心理とは?

ここからは犬が飼い主さんの顔を舐める心理について解説します。単なる愛情表現だけではなく、野生動物の名残からくる行動もあるので犬の心理をよく把握しておきましょう。

社会的な行動の一環

野生の犬は群れで行動することが多く、リーダーである犬に敬意を示すために相手の顔を舐めることがあります。野生の本能から、飼い主さんの顔を舐めることで「服従している」「飼い主さんの方が立場が上だと理解している」という心理状態が働いているのでしょう。

犬の祖先であるオオカミは、子が親の口元を舐めることで「おなかがすいた」「かまってほしい」と表現していました。そのため、相手の口を舐めることで「あなたよりも立場が弱いです」と伝えているとされています。現代の犬も祖先の名残から、飼い主さんへの甘えの情を示しているのでしょう。

犬は上下関係を非常に大切にする動物であるため、相手を信頼しているという心理から顔を舐める行動に繋がっています。また、いたずらに対する謝罪の意味も込められている可能性があるので、飼い主さんに何か罪悪感を感じているのかもしれません。

人間とのコミュニケーション手段

元々犬にはお互いに身体を舐めることで、コミュニケーションを図る習性があります。そのため、人間である飼い主さんに対しても顔を舐めることで何か気持ちを表現しているのだと考えられるでしょう。

人間と異なり言葉を話すことができない犬ですが、舐めるといった行動で様々な情報を伝えようとします。「嬉しい」「遊んでほしい」といった感情のほかにも、挨拶の一環として舐める行動を取ることもあるでしょう。

フレンドリーな態度を表現

犬が飼い主さんの顔を舐める行為は、親愛の証であるとされています。飼い主さんを信頼しており、慕っている気持ちを表しているでしょう。顔を舐められた際は、飼い主さんに敵意を感じておらず仲良くしたいと考えているので、コミュニケーションをとってあげてください。

フレンドリーな犬の場合、出会ってすぐの飼い主さんを長時間舐め続けるといったこともあるでしょう。初対面の相手に対して顔を舐める場合は、「はじめまして」という意味を表しています。

顔を舐められることの注意点

愛犬が顔を舐めてくる行為は飼い主さんにとって、たまらなく嬉しいでしょう。しかし、「顔を舐められることでリスクがあるのではないか」と心配になる方もいるはずです。ここからは、犬から顔を舐められることの注意点について解説します。状況によっては問題が潜んでいる可能性もあるので、注意しましょう。

衛生面に気をつけよう

犬は興味のある物の匂いを嗅いだり、口に入れることで情報収集しようとする習性があります。犬の口内には多くの雑菌が存在すると言われていますが、中でも犬の口腔内に高い割合で潜伏しているといわれているのが「パスツレラ菌」です。この菌が人間に感染すると、人獣共通感染症である「パスツレラ症」を発症してしまう可能性があります。

発症すると、肺炎や気管支炎といった症状が現れることもあるので注意が必要です。パスツレラ症以外にもブドウ球菌などの犬の口腔内に存在する雑菌が人の顔に付着する可能性もあるので、衛生面を考慮しましょう。

また、排泄物を口にしてしまう犬もいるので注意しましょう。排泄物を口にした犬の口腔内は綺麗とはいえないので、顔を舐められた際の衛生面を考える必要があります。特に小さな子供や高齢者、妊婦等は免疫力が弱いといわれているので特に気をつけましょう。

教えることでコントロールする

愛犬に顔を舐めることをやめるように言うと、嫌われるのではないかと心配になる方もいるでしょう。しかし、犬が人の顔を舐めることで様々なリスクが存在するため、舐めるのをやめさせる必要があります。犬が舐めようとしてきた際は、「まて」や「すわれ」といった指示を出して上手くできたらご褒美をあげるなどして、褒めるようにしましょう。

飼い主さんがはしゃぎながら注意しようとすると犬は遊んでくれてると思い、舐める行為がエスカレートする可能性があります。そのため、落ち着いて静かにコントロールすることが大切です。「顔を舐めても飼い主さんは反応してくれない」と犬にわかってもらえることで、自ずと顔を舐めることをやめるでしょう。

舐めることへの適切な反応

犬が飼い主さんの顔を舐めることは、何か情報収集をしている場合があります。そのため、顔を舐めてきたからといって突然叱るのではなく、「どうしたの?」とやさしく声をかけながら愛犬の様子を見るようにしてください。

舐め癖をやめさせるために、舐めてきたら黙ってその場を離れるようにしましょう。また、愛犬を上手くコントロールできないといった方は愛犬が舐めてこようとしている際、おやつをあげるなどして舐める対象を人から物へ変えることも効果的です。

また、顔を舐められた後何時間も放置していると、雑菌が飼い主さんの肌の上で繫殖してしまう可能性があります。犬に顔を舐められた後はすぐに洗い流し、雑菌を繁殖させないようにしましょう。舐められた箇所に化粧水やクリームを塗ると、犬が匂いにつられてやってきてさらに舐める可能性があるので注意が必要です。

犬との触れ合い方を工夫しよう

フレンドリーな犬の場合、飼い主さんだけではなく来客にも顔を舐めようとするケースが考えられます。顔を舐めることをやめさせるには、普段からの愛犬への接し方が大切です。愛犬とのコミュニケーションの取り方を、今一度見直してみましょう。

代替行動を提供する

犬が顔を舐めようとしてきた場合、まず落ち着いて「まて」と行動を抑制します。その後、餌やおやつを与えることで犬とコミュニケーションを図ります。その際、手を舐めさせることで犬も愛情表現ができるので、代替行動として最適です。

愛犬との信頼関係を崩さないため、おもちゃを使って遊んでみたりマッサージをするなど違う形でコミュニケーションを取ることも効果的です。犬の愛情欲求が満たされていると、執拗な愛情表現をすることも減り精神的にも落ち着いてくると考えられます。

適切な遊び方を学ぶ

犬は適度な運動を必要とする動物なので、普段からしっかりと遊んであげることが大切です。犬が飼い主の顔を舐めてくる行為は、ストレスを感じた時やかまってくれなくて退屈だといった意思もあるでしょう。

散歩するだけでいっぱいいっぱいであったり、犬が1人で遊んでいる時間が長いと必要以上に飼い主さんにかまってほしいサインを出します。室内外問わずしっかりと遊んであげたり、留守番をしてくれた時は褒めてあげたりと愛犬としっかりとコミュニケーションを取ることが大切です。

犬の気持ちに寄り添った関わり方

犬が飼い主さんの顔を舐めるのは何か伝えたいことがあるからでしょう。そのため、犬の気持ちに寄り添った関わり方が大切です。「最近かまってあげられなかったからかな」「不安を感じているのかな」など普段の犬との生活を考え、犬が寂しい気持ちを抱いているのであれば解消できるような工夫が必要でしょう。

犬の気持ちを理解しないまま顔を舐めたからといって叱ってしまっては、犬はなぜ怒られたのかわかりません。寧ろ「怒らないで」という表現を示し、さらに顔を舐める行為をエスカレートするケースも考えられます。顔を舐めなくても愛情を伝えられるような関係性を築くために、犬が伝えようとしている気持ちを汲み取る努力をしましょう。

顔を舐められることのメリットと注意点

愛犬が嬉しそうに顔を舐めてくると、飼い主さんも特別な気持ちを抱くでしょう。顔を舐められることで嬉しい気持ちになりますが、注意しなければならない点もあります。健康上のリスクもしっかり考え、犬との適切な関係性を深めてください。

愛情の表現としての舐める行動

犬が飼い主さんに愛情や信頼感を抱くと、顔を舐めるようになります。そのため、愛犬から顔を舐められた場合は敵意を向けられておらず、自分を好きでいてくれてるのだと考えても良いでしょう。

犬は信頼していない相手には顔を舐めるという行為はしないので、飼い主さんを家族の一員として歓迎している証拠です。犬が飼い主さんに愛情を注いでいる行為なので、顔を舐められた際は思いっきり遊んでコミュニケーションを取ってあげましょう。

健康上のリスクに注意

犬に顔を舐めれて最も気になるのは衛生面です。犬は身体の汚れや排泄物を舐めることもあるため、口腔内には雑菌が潜んでいると考えられます。顔を舐められたからすぐに病気になるということはありませんが、乳幼児や高齢者など病気のリスクが高い人もいるので注意しましょう。

愛犬が自分の顔を舐めてくれて嬉しい気持ちを抱きますが、愛情と衛生面は分けて考える必要があります。顔を舐められた後はすぐに洗って雑菌を流すようにしてください。特に傷口からは雑菌が入りやすいので、石鹸等で丁寧に洗うようにしましょう。

バランスの取れた関係を築くことの重要性

いつまでも顔を舐めさせることを許していると、「飼い主さんよりも優位に立っている」「顔を舐めることで遊んでもらえる」と犬が勘違いしてしまいます。そのため、顔を舐めることをやめさせるには、その場を立ち去ることや無視をするといったしつけが必要です。

その際、犬に声をあげて叱ってしまっては飼い主さんへの愛情表現を示したことに対して叱られたと勘違いしてしまい、コミュニケーションの取り方がわからなくなるといった場合が考えられます。飼い主さんのいうことを聞いてもらうといった、適切な関係性が大切です。

まとめ

犬が飼い主さんの顔を舐める行為は、愛情や信頼感以外にも様々な意図がみられます。自分に愛情を抱いてくれる愛犬にすべての行為を許してしまいがちですが、顔を舐められることで健康上のリスクもあることを忘れないでください。

顔を舐める以外にも、犬とのコミュニケーションは豊富にあるので犬との接し方について今一度見直す機会を設けても良いでしょう。普段からトレーニングを行い、できた際はしっかり褒めることで愛犬は飼い主さんを信頼して安心して暮らせます。お互いが安全で良好な関係を築くためにも、適切な環境整備を心がけてください。

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