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はじめに
ワンちゃんが寝転がってお腹を出している姿を見たことがある方は多いのではないでしょうか。ワンちゃんは、言葉が話せない代わりに、体の動きを使って自分の気持ちを表現します。
今回は、ワンちゃんが仰向けになり、お腹を見せる理由や正しい対処法をご紹介します。自宅のワンちゃんがお腹を見せるときの気持ちを知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
犬がお腹を見せる理由とは
ワンちゃんが仰向けになりお腹を出すのは、服従のサインだと考えられてきました。このように考えられるようになったのは、現在の犬の祖先にあたるオオカミにそのような習性があったからだと言われています。
しかし近年の研究では、お腹を出すポーズは服従を示しているわけではないと分かってきました。お腹を出す理由は、その場の状況や相手によって大きく異なります。
服従心とは異なる心理
ワンちゃんがおへそを上に向ける行動は、以下のような心理状態のうちのどれかであると考えられます。
- リラックス
- 甘えたい
- 相手を落ち着かせようとするカーミングシグナル
- 恐怖や不安
- 攻撃の準備
ワンちゃんのリラックスまたは甘えたいとき、相手を落ち着かせたいときにお腹を見せる行動は、飼い主など信頼した人の前で行われる場合が多くあります。
一方、カーミングシグナルとは、相手や自分を落ち着かせるために行う行動です。仰向けになる以外にもあくびや視線をそらすなどの行動も、カーミングシグナルです。おへそを上に向けるカーミングシグナルは、ワンちゃんが強い恐怖や不安を感じている可能性があります。
恐怖や不安、攻撃の準備の際に仰向けになるお腹を出す場合は、犬同士で遊んでいるときが多いようです。飼い主に叱られて、不安や恐怖からお腹を出すワンちゃんもいます。
この行動の真の意味とは
つまり、お腹を見せる行動の真の意味は、自己防衛または安心感を示しています。今、ワンちゃんがどのような心情なのかは、仰向けになる行動以外の体の動きに注目することが大切です。
例えば、恐怖や不安を感じ、自己防衛のためのお腹を出しているワンちゃんは、目を見開き、体に力が入った状態で緊張している様子が伝わってきます。
一方で、安心感を抱いているワンちゃんは、目を細めて、体の力が抜けています。ワンちゃんがどのように感じているかによって、おへそを上に向けたときの行動も変えてコミュニケーションをとりましょう。
自己防衛のために行っている際には、無理やり触ろうとすると、恐怖心を与えてしまい、嚙まれる可能性があります。ワンちゃんの気持ちを汲み取るように心掛けましょう。
犬がお腹を見せる理由を解説
ワンちゃんがお腹を出すのには、自己防衛と安心感を示すためという2つの理由があると紹介しました。
なぜお腹を見せる行動をするのか、それぞれ解説します。
自己防衛の一環としての行動
自己防衛の一環として、仰向けになり、おへそを上に向けた姿勢になる場合、ワンちゃんは強い恐怖や不安を感じているでしょう。
ワンちゃんは急所とされているお腹をわざと出して、「自分に敵意はないから攻撃をしないで」というメッセージを相手に伝えています。急な大きな音に驚いたり、飼い主に叱られたり、ほかのワンちゃんが苦手だったりすると、おへそを上に向けた姿勢をとるワンちゃんもいます。
恐怖や不安を感じている際には、しっぽをお腹側に丸めて、目を見開いた緊張状態であることがほとんどです。ワンちゃんが緊張している様子であれば、不安を取り除くことが大切です。
また相手に安心して欲しいときに、仰向けになりおへそを上に向けたポーズになる場合もあります。初めて会った人や犬にお腹を出すときは、攻撃する気はないと示していると考えられます。相手に安心して欲しいときにとる自己防衛の行動です。
さらに犬同士で遊んでいる際におへそを上に向けるのは、急所である首を守っている、または次に攻撃を仕掛ける準備をするための行動だという研究報告もあります。耳を伏せたり、体が異常に強ばっていたりしない場合は、遊びの一環で行っている可能性が高いため、見守ってあげましょう。
環境の安心感を示すための仕草
ワンちゃんは、安心できる環境下であれば、おへそを上に向けて寝転がることがあります。一頭でいる状態でおへそを上に向けている場合は、自己防衛での行動よりも、リラックスして安心している状態であることが多いとされています。
ワンちゃんのお腹は、防御力が弱いため、安心できない環境では見せません。体の中でも防御力の弱い部分を見せているときには、安全な場所にいると感じている証拠といえるでしょう。
安心できる環境の場合は、目を細め、体の力が抜けているのが特徴です。おへそを上に向けたまま寝てしまうようなワンちゃんもいます。特に暖かい日や家族全員が集まっている場所でよく見られます。
環境だけでなく、飼い主にも安心感を抱いているときに、お腹を出す場合があります。飼い主を信頼し、安心して身を任せられる存在と感じているワンちゃんは、甘えたり愛情を表現したりする際に、おへそを上に向けたポーズをします。
甘えている場合は、しっぽを振りながら飼い主に期待のまなざしを向けているでしょう。飼い主が帰宅したときやワンちゃんが「構って欲しい」と感じたときに見られる行動です。
犬がお腹を見せている時の注意点
お腹を出しているからといって、接し方を間違えると、信頼関係が崩れてしまう可能性があります。
ワンちゃんがお腹を出しているときに、注意したいポイントを2つ紹介します。
急にお腹を触らないようにする
ワンちゃんが飼い主に甘えたくてお腹を出している場合でも、急にお腹を触らないように注意しましょう。お腹は体の中で急所にあたり、皮膚が薄く防御力の弱い部分です。急にお腹を触ると驚いて、飼い主を噛んでしまう恐れがあります。
特に注意したいのは、テンション高いワンちゃんが仰向けになっているケースです。ワンちゃんは犬同士で遊ぶ際に、遊びの一環としてゴロンと寝転がることがあります。
また初対面のワンちゃんがおへそを上に向けたポーズをしているときには、触らない方がよいでしょう。相手を安心させたいときのカーミングシグナルとして、お腹を出している可能性があります。
初めて会った人に対して、緊張や不安を感じ、お腹を出すワンちゃんもいます。緊張や不安を感じているときに触ると、恐怖心から攻撃される恐れがあるので、触らないようにしましょう。
犬のリラックスサインを見逃さない
ワンちゃんは、飼い主に甘えているときと、環境にリラックスしている状態のときのどちらでも、お腹を見せることがあります。リラックスしている状態にもかかわらず、飼い主が甘えていると勘違いして構ってしまうと、ワンちゃんは嫌がるでしょう。
嫌がっていることに気付かずに、さらに構い続けると、信頼関係が崩れる恐れがあります。そのため、ワンちゃんがリラックスしてお腹を出しているときのサインを見逃さないことが重要です。
ワンちゃんは、安心できる環境下で仰向けになる場合、飼い主のそばではなく、ワンちゃん自身が安心できる場所にいることが多いでしょう。たとえば、ベッドやソファなど、自分のにおいが付いたお気に入りの場所で、お腹を見せています。
場所だけでなく、ワンちゃんの体の動きでも、リラックスをしているのか、飼い主に甘えたいのか見分けることができます。リラックスしている場合、体の力がすべて抜けています。目も細めて、しっぽもだらんと垂れ下がっているでしょう。
一方、甘えたいときには、しっぽをぶんぶんと振り、飼い主に期待のまなざしを向けて、目が生き生きとしています。
安心して休息をとるためにお腹を出しているときには、無理に構おうとせずに、そっとしておきましょう。
犬がお腹を見せた時の適切な対応
上記では、ワンちゃんがお腹を見せても、急にお腹に触れてはいけないことを紹介しました。それでは、ワンちゃんがお腹を見せてきたときに、飼い主はどのような対応をすればよいのでしょうか。
ここでは、適切な対応方法を2つご紹介します。ぜひ自宅のワンちゃんが仰向けでお腹を出したときの参考にしてみてください。
犬の信頼を築くための接し方
ワンちゃんがお腹を見せたときに、飼い主がどのように行動するかによって、ワンちゃんの信頼を得ることができるかどうかが決まります。飼い主の行動は、ワンちゃんがどのような気持ちで仰向けになっているのかによって異なります。
例えば、ワンちゃんが飼い主に吠えたり飛びついたりした後に、仰向けになるときには、無視することをおすすめします。この場合のお腹を見せる行為は、飼い主に甘えたいという一方的な要求から行っています。飼い主が、お腹を見せる度に構うと、「お腹を見せれば構ってくれる」と学習し、ワンちゃんがわがままになり信頼関係が崩れてしまうでしょう。
また飼い主が叱るとお腹を見せる場合は、叱り方を見直す必要があります。いたずらなどの悪いことをしたときに、叱ることは大切ですが、大声で怒鳴るように叱ると、ワンちゃんは恐怖心を感じ、信頼関係が崩れる可能性があるため注意が必要です。ワンちゃんを叱るときには、現行犯で叱り、「こら」や「ダメ」と短い言葉で叱るようにしましょう。
快適な環境を提供するための配慮
ワンちゃんは、安心できる環境で、お腹を見せてリラックスすることがあります。中にはお腹を見せたまま寝てしまうワンちゃんもいます。
ワンちゃんの睡眠時間は人よりも長く、体力を回復させる大切な時間です。リラックスして仰向けでお腹を見せて休んでいる場合は、そっとしておきましょう。
睡眠中に無理やり起こすと、信頼関係が崩れる原因となります。ワンちゃんがリラックスして休める環境を整えてあげることも、飼い主の役目です。テレビの音量を下げたり、ワンちゃん用ベッドを用意したりすることをおすすめします。
またワンちゃんは体温調節のために仰向けになり、お腹を出すこともあるとされています。ワンちゃんが過ごしている部屋が暑いときには、少しでも体温を下げるために仰向けの姿勢で休むことがあります。暑くてお腹を見せている場合は、呼吸が荒く、ハァハァと口から舌を出してパンティングが見られます。
ワンちゃんが暑そうにしている場合は、空調を使用して、快適な室温に調節しましょう。
まとめ
今回は、ワンちゃんがお腹を見せる理由や、飼い主の正しい対応について紹介しました。
お腹を見せるときのワンちゃんの気持ちは、そのときの状況や相手によって異なります。一人でいるときや飼い主さんと一緒にいるときにお腹を見せている場合は、安心している状態のときが多いようです。
一方で、ワンちゃんは恐怖を感じたときにもお腹を出すことがあります。お腹を見せたからといって、いきなりお腹を触らないようにしましょう。
ワンちゃんの気持ちを正しく読み取り、安心して暮らせる環境を整えてあげましょう。