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はじめに
多くの犬は体全体を毛で覆われている場合がほとんどですが、毛のない犬がいることをご存じでしょうか。毛のない犬は大変めずらしく、世界中でも数犬種しか存在しません。
「どうして毛がない犬がいるの?」
「毛がなくても普通に生活できるのかな?」
「毛のない犬種はめずらしいので興味がある」
など、日本でも目にすることも少ない毛のない犬(ヘアレスドッグ)について、多くの疑問や興味がある方もいらっしゃると思います。また、飼い方などについて知りたいと思われる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ヘアレスドッグと呼ばれる毛のない犬について、その特徴や暮らし方、飼う際の注意点やポイント、代表的な犬種についてご紹介します。
ヘアレスドッグを知らなかった方にも毛のない犬の魅力をお伝えしますので、ぜひ読んでください。
毛のない犬の存在を知っていますか?
毛のない犬は実際に目にすることも少なく、その存在を知らない方も多いと思います。
書物やネットサイトなどの情報により知ることの方が多いのではないでしょうか。実は毛のない犬を飼っている方は少ないため、めったに出会うことができません。
一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)発表の2022年犬種別犬籍登録頭数のデータでは、1位のプードルが83,916頭であるのに対し、毛のない犬の中でトップのチャイニーズ・クレステッド・ドッグでもわずか177頭です。このデータからも、実際に目にすることが少ない理由がわかると思います。
ここでは、毛のない犬についての犬種や注目点についてご紹介します。
世界にほんの数犬種しか存在しない
毛のない犬(ヘアレスドッグ)の犬種は以下の7種類と言われています。
- チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
- メキシカン・ヘアレス・ドッグ(ショロイツクインツレ)
- アメリカン・ヘアレス・テリア
- ペルービアン・ヘアレス・ドッグ
- ヘアレス・カーラ
- アルゼンティニアン・ヘアレス・ドッグ
- ペルービアン・インカ・オーキッド
このようにヘアレスドッグに分類される犬種の数は少ないことがわかると思います。
また、日本で一番人気のあるチャイニーズ・クレステッド・ドッグでも、飼っている方は少ないです。このため、ヘアレスドッグはとてもめずらしく、貴重な犬種であることがわかります。
フサフサの被毛がない犬種に注目
ヘアレスドッグは頭やしっぽ部分に被毛を持っている犬種もいます。しかし、ほかの犬種が持つフサフサな被毛がないため、直接皮膚が見えるユニークな容姿が特徴的です。
被毛がないため、魅力ある体のフォルムがはっきりわかります。街中に連れて行っても目を引く存在です。
ヘアレスドッグが被毛を持たない理由は、FOXI13という遺伝子が突然変異を起こしたことにより毛のない犬が生まれたと考えられています。ヘアレスドッグを知らない方から見れば、皮膚病を患っている犬と心配されるかもしれませんが、決して病気ではありません。
飼い犬の容姿にユニークさを求める方にとっては、ヘアレスドッグはほかの犬にはない魅力を持っている犬種であると言えます。
ヘアレスドッグの特徴
ヘアレスドッグの特徴はなんと言っても直接目にすることができる「肌」と被毛を持たないユニークな「容姿」ではないでしょうか。
ここでは、そんなヘアレスドッグの特徴について少し詳しくご紹介します。
繊細ですべすべの肌を持つ
ヘアレスドッグは繊細ですべすべの肌を持つ犬種です。その肌は柔らかく、チャイニーズ・クレステッド・ドッグという犬種においては皮膚に汗腺を持ち、汗をかくことで体温調節が行えます。基本的に体温調節のための汗腺を皮膚に持たない犬の中では特殊な肌を持つと言えます。
また、ヘアレスドッグは被毛を持たないので、ほかの犬種と比べて体温が高めです。
このため、古代人はヘアレスドッグの肌で暖を取ったり、湿布の代わりに肌を患部に当て痛みを和らげたりしたと言われています。
特徴である肌のおかげで、ヘアレスドッグは古代から愛され重宝される存在だったようです。
目を奪われる美しい姿
被毛がないことによるメリットのひとつとして、ヘアレスドッグは美しい体のラインを見せることができます。これは、被毛を持つ犬にはないヘアレスドッグならではの特徴です。
日本で人気のあるチャイニーズ・クレステッド・ドッグはヘアレスドッグですが、頭や耳、足先やしっぽ部分に被毛を持っています。そのため、被毛がない部分とのバランスが魅力的で美しく感じる方も多いと思います。
被毛がないことを活かした美しい姿は、容姿に注目が集まるヘアレスドッグならではの大きな魅力ではないでしょうか。
毛のない犬種の暮らし方
毛のないことのデメリットをどのように工夫し回避しているのかなど、ヘアレスドッグの生活について、被毛がある犬との違いに興味を持つ方も多いと思います。
ここでは、毛のない犬種の暮らし方についてご紹介します。
温暖な気候が適している
ヘアレスドッグの祖先の発祥地は、南米大陸やアフリカ大陸などと言われています。
また、主な原産国を見ても中南米など温暖な気候の地域が多いです。
このように、毛のないヘアレスドッグの暮らす場所としては、温暖な気候の場所が適しています。
ヘアレスドッグを日本で飼育する場合は、飼育環境の温度と湿度を一年を通して適切に調整する必要があります。外出時の防寒対策や日焼け対策も大切です。
外出時の日焼け対策が必要
被毛がないため、太陽光を直接肌に浴びるヘアレスドッグには日焼け対策が必要です。
日焼けや皮膚炎、皮膚がんなど紫外線を浴びることで皮膚のトラブルを起こしやすくなります。
お散歩などの外出時は、紫外線の強い時間帯を避けたり、UVカットの洋服を着せたり、犬用の日焼け止めスプレーをしたりするなどの日焼け対策を行いましょう。
毛のない犬を飼う際の注意点
毛のないヘアレスドッグの大きなデメリットは、ほかの犬種以上に保温や皮膚のケアに気を配る必要があることです。
ここでは、これらの注意点と対応方法についてご紹介します。
保温対策をしっかりと行う
ヘアレスドッグは毛がないので寒さに弱い犬種です。体を冷やすことで体調を崩します。
愛犬の様子を見て、寒そうにしていないか常に保温に対して気を配ることが大切です。
体の震えや、体を丸めている場合などは寒がっている可能性があります。
飼育環境の気温はエアコンなどにより、適切な温度(飼い犬の様子を見て調整)に保つようにしてあげてください。常に温度や湿度がわかるように、温度湿度計をヘアレスドッグの居住環境に置き、管理するのがよいと思います。
外出の際は防寒対策として体のサイズに合う犬用の洋服を着せるようにし、体を冷やさないように注意しましょう。
皮膚のケアが重要
毛がないことのデメリットとして、ほかの犬と比べて皮膚のケアがより重要になることがあげられます。特にシャンプーについては、注意が必要です。
汚れや余分な皮脂を洗い落として皮膚を清潔に保ったり、体臭を抑えたりするためにもシャンプーは必要です。ただし、シャンプーの頻度が多いと、必要な皮脂まで失ってしまい肌荒れの原因になります。皮脂は皮膚の乾燥を防いで潤いを与え、細菌の侵入などから皮膚を守る働きがあります。皮膚トラブルにもなりますので、シャンプーしすぎには気をつけましょう。
ヘアレスドッグのシャンプーは月に1回から2回の頻度が適切です。シャンプーに加えて、定期的に体を優しく拭いてあげることで、負担をかけず皮膚を清潔に保つことができます。
また、犬用の保湿クリームを皮膚に塗ってあげることで、乾燥から皮膚を守ってあげることができます。皮膚の状態を見て保湿のケアも行ってあげてください。
感想などによる皮膚炎などが見られた場合はすぐに獣医師の診察を受けましょう。
毛のない犬の代表的な犬種
毛のない犬(ヘアレスドッグ)の犬種は、世界でも7種類と言われるほどめずらしい犬種です。そのため、その犬種のほとんどは購入が難しくなっています。
その中から、日本で飼育されている方がいる代表的な2つの犬種についてご紹介します。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
チャイニーズ・クレステッド・ドッグはヘアレスドッグの中でも、日本で登録頭数が一番多い犬種です。愛好家の間ではチャイクレとの愛称で親しまれています。
書物やインターネットなどの情報でも取り上げられることが多く、ヘアレスドッグの中でもよく知られているため、ご存じの方も多いと思います。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの特徴
中国が原産地のコンパニオン・ドッグで、古くから中国の家庭で飼われていたようです。
体のサイズは小型犬に分類され、理想体高はオスが28cmから33cm、メスが23cmから30cmで、体重はオスとメスともに5.5kg以下となっています。
ヘアレスドッグの中でもめずらしい特徴は、頭や耳、足の先やしっぽに被毛を持つことです。このユニークな容姿はチャイニーズ・クレステッド・ドッグの大きな魅力と言えるでしょう。
また、この犬種にはヘアレスドッグではなく、体全体に長い被毛を持つ「パウダーパフ」と呼ばれる種類も存在します。パウダーパフは、ベールのような被毛で覆われているかのようだと表現されることがあるほど、容姿に違いがあります。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの性格
明るい性格の持ち主で、飼い主に従順な犬種です。飼い主のご機嫌をとるような行動をする愛嬌もあり、可愛らしい一面も持っています。
比較的しつけもしやすいので、性格の面では飼いやすい犬種と言えると思います。
また、攻撃的ではなく、フレンドリーな性格のため、多頭飼いを考えている方にも適している犬種ではないでしょうか。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの購入と飼育について
チャイニーズ・クレステッド・ドッグを扱っているペットショップは少なく、この犬種のブリーダーを探した方が購入しやすいかもしれません。
参考として、あるブリーダーサイトでのチャイニーズ・クレステッド・ドッグの平均価格は約28万円が相場とのことでした。
飼育については、飼いやすい性格ではありますが、皮膚のケアについて細かいところまで気を配る必要があります。体を保護する被毛がないので、皮膚のケガや皮膚トラブルがほかの犬種より多いです。紫外線対策、防寒対策、スキンケアなどを楽しみながらお世話できる方が適していると思います。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは抜け毛やフケが出にくいため、犬のアレルギーがある方でも飼育できる可能性があります。犬のアレルギーがある方の犬選びの犬種に加えてみてはいかがでしょうか。
ペルービアン・ヘアレス・ドッグ
ペルービアン・ヘアレス・ドッグは日本ではめったに出会うことができないめずらしい犬種です。一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)発表の犬種別犬籍登録頭数のデータにおいても、2003年に7頭の譴責登録記録がありますがそれ以外には見当たりません。
日本国内のペットショップやブリーダーで扱っているところを探すのは難しく、一般の愛犬家でもご存じの方は少ないのではないでしょうか。
ペルービアン・ヘアレス・ドッグの特徴
ペルーが原産地のコンパニオン・ドッグで、インカ文明の陶器に描写があることから世界最古の犬種の一種と考えられているようです。
体のサイズは以下のように小型犬、中型犬、大型犬の3つの種類となっています。
- 小型犬:体高25cmから40cm、体重4kgから8kg
- 中型犬:体高41cmから50cm、体重8kgから12kg
- 大型犬:体高51cmから65cm、体重12kgから30kg
スリムな体型を持ち、気品がある容姿をしています。頭や足、しっぽなどに被毛がある個体もいるようです。ヘアレスに深く関わる遺伝子に関連して歯が弱く、歯の欠如などが多く見られます。
ペルービアン・ヘアレス・ドッグの性格
飼い主やその家族、同居のペットに対しては穏やかで、愛情を持って接してくれます。
警戒心が強く少し神経質なため、見知らぬ人に対しては慎重です。このため、番犬向きの犬種と言えます。
子犬の時から社会に慣れさせるしつけを行うことで、他人への警戒心を抑える訓練をすると外出時の対応が楽になると思います。
ペルービアン・ヘアレス・ドッグの購入と飼育について
日本でペルービアン・ヘアレス・ドッグを扱っているペットショップやブリーダーを見つけることは大変難しいです。購入を希望する場合は海外から入手することになると思います。
このため、ペルービアン・ヘアレス・ドッグの購入には比較的高額な購入費用が必要です。
飼育については、明るく元気があるため、散歩などによる運動量の確保が必要になります。
一日の散歩の目安は体のサイズにより小型犬で30分、中型犬、大型犬で60分くらいです。
また、散歩の際は気候にあわせて日焼け対策や防寒対策も必要なため、日焼け止めを塗ったり、洋服を着せたりしましょう。
ほかのヘアレスドッグと同様に、室内でも温度湿度管理を行い、保湿クリームなども併用して皮膚のトラブルに備えることが大切になります。
毛のない犬の飼い方のポイント
毛のない犬を買う際に共通して気をつけなければならないポイントは、体を保護する被毛がないデメリットを飼い主が補ってあげることです。
ここでは、ヘアレスドッグの生活環境におけるケアについてご紹介します。
環境に合わせたケアを行う
日本には四季があり、それぞれの季節に合わせたケアが必要になります。
室内の居住環境では、一年を通してヘアレスドッグに快適な温度と湿度管理が必要です。
常に温度や湿度がわかるように温度湿度計をヘアレスドッグの居住環境に置き、エアコンや加湿器を使って管理するのがよいと思います。
また、外出時には夏の日焼け対策や冬の防寒対策など、常に皮膚トラブルや寒さに弱いヘアレスドッグへの気遣いが必要です。
犬用の日焼け止めや乾燥保湿クリームの塗布、適度なシャンプーや体の汚れを優しく拭くなど、環境や状況に合わせたスキンケアを心がけましょう。
快適な暮らしを提供する
日常の暮らしの中でヘアレスドッグが快適に過ごすために工夫できることは色々あります。
居住環境では、温度湿度管理に加えてエアコンの風が直接当たらないように工夫したり、家具などの接触により皮膚にケガを負わないよう家具の形状や配置に気を配ったりすることができます。
散歩では、犬用の日焼け止めの使用とあわせて、季節によって紫外線の強い時間帯を避けるなどの工夫を行うと、より快適な散歩ができると思います。
洋服は被毛のかわりに皮膚を守り、紫外線対策や防寒対策にもなるので大変有効です。皮膚に優しい素材で体型に合う洋服を選んであげましょう。
まとめ
この記事では毛のない犬について以下の内容をご紹介しました。
- 毛のない犬の存在について
- ヘアレスドッグの特徴
- 毛のない犬種の暮らし方
- 毛のない犬を飼う際の注意点
- 毛のない犬の代表的な犬種
- 毛のない犬の飼い方のポイント
毛のない容姿が印象的で、そのためのケアが必要な犬種ですが、ほかの犬種にはない魅力を感じていただけたと思います。
毛のない犬種の存在と、そのケア方法について知っていただけることを切に願います。