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犬の便秘は病気なの?原因や対策を徹底解説!

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はじめに

犬も人間と同じような理由から、便秘に悩まされることがあります。

私たち人間は便秘がちになると、整腸作用のある食事を摂ったり運動したりと、ある程度の自己対処ができます。

しかし、犬は便秘の苦しみを言葉で訴えることができないため、飼い主が日頃から観察し、早めに症状に気づいて対処する必要があります。

便秘の初期症状に気づかずに放置していると、悪化してさらに苦しむことになるほか、何らかの病気のサインを見逃してしまうこともあるでしょう。

本記事では、犬の便秘の原因や日頃から行える対策について徹底解説します。

愛犬の健康を守るため、便秘の初期症状のサインや病院に連れて行くタイミングなどについてもぜひ知っておきましょう。

犬の便秘の原因とは?

これまで毎日快便だったはずの愛犬が便秘になると、何が原因か気になりますよね。

犬が便秘になってしまう原因は1つではないため、考えられる原因を丁寧に確認しましょう。

食事による原因

食事の好みは犬によって異なり、ウェットフードばかり好む犬もいれば、カリカリした食感のドライフードばかり好む犬もいます。

フードの種類を新しく変えたタイミングで便秘になったとすれば、食事が原因である可能性が高いといえます。

まずは、フード自体が愛犬に年齢相応のものかや、体のサイズにあった量を与えているかなどを確認してみましょう。

食事がドライフードの場合は、水分摂取量が少ないことが原因で便秘を引き起こしている可能性もあります。

また人間と同様に、肉類・脂質が多く食物繊維が少ないと犬も便秘になりやすいため、便秘がちな場合は高繊維なフードを試してみることもおすすめです。

運動不足による原因

犬の運動不足が続くと、腸のぜん動運動が鈍り便秘になります。

特に高齢の犬は若い頃と比べて運動量が減るため、筋肉量が減少したことが原因で腸内の動きが悪くなります。

1度に長い距離のお散歩をすることが難しいようであれば、短い距離で回数を増やしたり、家の中での適度な運動を促したりしましょう。

犬の本能をくすぐるような引っ張りっこや宝探しは、飼い主にとっても室内でも遊んであげやすくおすすめです。

運動不足はストレスの原因ともなるため、習慣として散歩や室内遊びを取り入れ、老犬でもじっとしている時間が長くならないよう気にかけてあげましょう。

ストレスによる原因

犬はストレスにさらされると、便秘になることがあります。

引っ越しをして住環境が変わったときや、新しい家族が増えたとき、また来客が多い時期や逆に留守番ばかりの時期など、いつもと違った環境にストレスを感じたために腸内環境が乱れることは大いにあるでしょう。

犬によっては、トイレの場所が変わったことや、トイレが不衛生な状態のままであることにストレスを感じ、うんちを我慢してしまうこともあります。

トイレを失敗して飼い主に怒られた記憶がある犬は、排便を我慢してしまうことがクセになっている場合もあります。

我慢グセがついてしまうと、せっかく便が直腸まで運ばれても、排便のサインにすら気づきにくくなってしまい便秘は悪化する一方です。

最近では、自動掃除機能が付いたトイレもあるため、便利なアイテムを活用しながら、少しでも愛犬のストレスを緩和できる環境を作りましょう。

その他の原因

上記以外にも、特に小型犬は腹部や腰部が冷えやすく便秘になることがあります。

具体的には、腹部の冷えで消化管の動きが鈍くなり、便秘を引き起こします。

犬用の服やブランケットを活用することで腹部や腰部の冷えを防止しましょう。

また、すでに病気で薬を服用している場合、その副作用が原因で便秘がちになることもあります。

最近服用を始めたばかりの薬がお通じに影響している可能性がある場合は、獣医師に相談してみるとよいでしょう。

便秘の症状に注意しよう

そもそも犬の便秘に定義はなく、排便の回数のみで便秘かどうか判断することは困難です。

だからこそ、健康な状態の排便頻度や量を飼い主が把握し、便秘になる手前の「便秘ぎみ」の状態から飼い主が気づいてあげることが大切です。

犬は便秘の苦しさを言葉で伝えることができないため、次のような症状がないか、1つずつ確認しましょう。

うんちの出ない期間が長い

成犬の排便回数は、目安としては1日2回前後です。

もちろん犬の年齢や体格、普段から食べているドッグフードによって多少の差はあるものの、少なくとも1日に1回以上は排便するのが理想的です。

丸2日排便がなければ便秘を疑ったほうがよいでしょう。

また、便秘の症状が始まった時点で早めに対処できるよう、健康な状態の時の排便の回数や量を把握しておくことも大切です。

毎日1回排便していても、以前より量が少なかったりコロコロと硬くなってきているとすれば、便秘がちになっている証拠です。

うんちが硬くなっている

犬のうんちは、健康な状態であればツヤがあり、手で掴んでも形が崩れない程度の適度な柔らかさです。

うんちがコロコロと硬い場合は、水分摂取量が不足しているか、ドッグフードがあっていない可能性があるでしょう。

排便時に強くいきんだり、排便の姿勢になってからうんちが出るまでに、いつもより長く時間がかかっている場合は、うんちが硬くなっている証拠です。

またうんちは、大腸内で水分が吸収されることで、適度な硬さへと変化します。

便秘がちになると、うんちが大腸に留まる期間が長引くため、さらに水分だけが吸収され、便秘が悪化します。

腹部が膨らんでいる

犬が便秘になると、当然お腹がパンパンになり腹部が膨らんだように見えます。

便秘が原因の膨らみは一時的なものですし、単に肥満が原因であればお腹以外にも全体的に脂肪がつくため違和感はありません。

しかし、犬の腹部が膨らむ原因は便秘以外にも多岐にわたるため、痛そうに横たわったり元気がない場合は要注意です。

たとえばフィラリア(犬糸状虫)感染などで腹水貯留している可能性や、消化器系の病気で臓器が大きくなっている可能性も考えられます。

お腹の膨らみが症状となって現れる病気には、命に関わる深刻なものもあるため、不安を感じたらすぐに獣医師に相談しましょう。

便秘の症状が続く場合は病院へ

下痢に比べ、便秘は緊急性がないように思われがちです。

しかし、排便を待っている間にもうんちはどんどん硬くなり、脱水症状や体力低下を招きます。

また、便秘の症状には腸閉塞や会陰ヘルニアなどの重大な病気が潜んでいることもあるため、次のような症状がある場合は、迷わず獣医師に相談しましょう。

獣医師に相談するべき症状に以下のようなものがあります。

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 嘔吐
  • 排便姿勢になるが痛がって出ない
  • 肛門や便に出血がある
  • お腹がパンパンに張っている

便秘の症状を放置してしまうと、脱水症状に陥ってしまい元気や食欲がなくなることがあります。

食欲が低下すると新たに便が作られないため、腸内活動が鈍くなり、さらに便秘の悪循環に陥ってしまうことが問題です。

また、肛門あたりに腫瘍がある場合や、飲み込んでしまった異物が腸内に詰まっている場合は、通過障害により排便できないこともあります。

上記のような症状がみられる場合は、便秘が長期化して症状が悪化しないよう、早めに獣医師に相談しましょう。

医療処置が必要な場合の対処法

動物病院では、獣医師が犬の触診や聴診で腹部の状態や腸の運動を確認します。

必要であればレントゲンの画像診断で腸の中の便を確認し、同時に異物誤飲や腫瘍の可能性がないかを細かく調べます。

ほかの病気が疑われる場合は、血液検査が行われることもあるでしょう。

治療は、浣腸と摘便で宿便を取り除き、その後は食事療法や緩下剤などで様子をみます。

便秘の原因となっているものが、前立腺肥大や会陰ヘルニアなどであれば、その場で外科手術が行われることもあるでしょう。

便秘を予防するためにできること

便秘を未然に予防するためには、私たち人間と同様に、普段から食事や運動に気をつける必要があります。

愛犬が快適に過ごせるよう、次のことを1つずつ意識して過ごしましょう。

適切な食事を与える

便秘になりやすい傾向がある場合は、食物繊維を多く含むドッグフードを選びましょう。

ダイエットフードとして販売されているフードは、食物繊維が多く含まれていることが多いためおすすめです。

また、ドライフードばかりだと水分不足になるため、お湯をかけてふやかしたり、ウェットフードを混ぜるなどの工夫が必要です。

人参やかぼちゃ、ブロッコリーなどの野菜を普段の食事に混ぜてあげることも有効です。

フードの変化に敏感な犬もいるため、喜んで食べる方法を探りながら便秘になりにくい食生活を整えましょう。

適度な運動を促す

排便の際には、腸を動かすために筋力が必要なため、運動不足な犬は便秘になりやすい傾向があります。

普段から散歩や遊びの時間を増やして、適度な運動を習慣化しましょう。

毎日散歩することが難しい場合は、室内でボールやおもちゃでアクティブに遊んであげたり、「ふせ」や「おすわり」を繰り返すだけでも有効です。

適度な運動の目安としては、小型犬は15~30分の散歩を朝夕2回、中型犬は30~40分の散歩を朝夕2回、大型犬は60分程度の散歩を朝夕2回です。

ストレスを軽減する方法

犬はストレスを感じると、腸内細菌のバランスを崩してしまうことがあります。

最近引越しなどで住環境が変わった場合は、なるべく一緒に過ごす時間を増やしてみましょう。

留守番が長い日は、飼い主の愛情を感じることができるよう、積極的なコミュニケーションやスキンシップを心がけることも大切です。

また、家庭内の喧嘩や不穏な空気も犬は敏感に感じとります。

愛犬がリラックスした状態で過ごせるように、家庭内のトラブルも解消し、飼い主自身もストレスをためないことが愛犬のストレス軽減にもつながるでしょう。

便秘のワンちゃんへのケア方法

愛犬が便秘になってしまったら、なるべく早い段階で次のような対処法を試しましょう。

マッサージや軽い運動で腸を刺激する

人間と同様に犬の便秘にはマッサージが有効です。しかし、前提として犬がリラックスした状態でマッサージを行うことが重要です。

また、冷たい手で触ると犬の体が緊張してしまうため、マッサージをする際は事前に手を温めておきましょう。

犬を仰向けに寝転ばせたら、まずはおへそを探してみてください。

おへその周りには胃腸を整えるツボがあるため、おへそを中心に円を描くように優しく撫でてマッサージすることで、腸の動きを効率的にサポートできます。

普段からスキンシップの一環としてこのマッサージをすることで、便秘にを未然に防止することもできるでしょう。

また、ぜん動運動を活発にするためには、家でも軽い運動をさせ、寝ているだけの時間をなるべく短くしてあげましょう。

水分摂取を増やす

体格水分摂取量の目安/1日
超小型犬(2kg)190ml
小型犬(4kg)320ml
中型犬(8kg)530ml
中型犬(10kg)630ml
大型犬(20kg)1060ml

便秘は、軽度なら水分をとることで緩和されます。

特に冬場は喉が渇きにくく水分摂取量が減るため、水飲み場を普段より増やしたり、水飲み場に連れて行くことで水分補給を促してあげましょう。

シニアの犬は喉が渇きにくく、特に飲水量が減る傾向があるため、ドライフードをお湯でふやかしたり、ウェットフードの割合を増やすなどの工夫が必要です。

体重1kg当たり20~90mlくらいが1日の水分摂取量の目安です。

おしっこの色が薄い黄色?透明であれば問題ありませんが、黄色が濃い場合は水分不足が疑われます。

水飲み場のボウルの形状が飲みづらい場合もあるため、水分不足が心配な場合は違う形状のボウルで水飲み場を増やし様子をみてみましょう。

獣医師の指示に従って薬を使用する

上記の方法を試しても便秘が改善されない場合は、人間用のビフィズス菌整腸剤や酸化マグネシウムなどの便秘薬を使用できる場合もあります。

しかしながら、正しく使わないとかえって症状が悪化する恐れもあるため、自己判断せずに必ず獣医師の指示にしたがって使用しましょう。

まとめ

愛犬が便秘になってしまったら、まずは原因を探ってみることが大切です。

食事内容や運動不足、環境からくるストレスが原因となっていることが多いため、1つずつできる範囲で改善してあげましょう。

また、元気がない、食欲がない、排便の姿勢になるけれど痛そうで出ないなどの症状が出始めた場合は、便秘が悪化して脱水症状や体力の低下を招いている可能性があるため早めの受診がおすすめです。

便秘にはほかの病気のサインが潜んでいることもあるため、自己判断せずに獣医師の指示に従い、愛犬の健康を守りましょう。

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