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はじめに
愛犬が震えているとき、原因がわからないと不安に感じるでしょう。
老犬であればなおさら、どこか調子が悪いのかもしれないと心配になるものです。
犬の震えは生理的な原因と病的な原因があり、病的原因だと緊急性が高いこともしばしばあります。
この記事では、犬が震えている時に考えられる原因や対処の仕方について、詳しく解説しています。
震えている原因さえわかれば、慌てずに効果的なアプローチができるため、愛犬の健康を守るためにも熟読しましょう。
普段から犬の震えを予防できるおすすめの方法も紹介しており、必見の内容です。
犬の震えの原因とは
犬が震えている原因は、大きく分けて病的原因とそれ以外の生理的原因が考えられます。
基本的に、震えがみられても日常生活を問題なく元気に送っている場合は、病気の可能性は低いでしょう。
それぞれ詳しく解説します。
病気以外の原因
犬が震えているときは、病気ではなく生理的な震えであることが多いです。
まず考えられる一番の原因は寒さでしょう。
特に小型犬は、身体が小さいために体温を維持しにくいという特徴があります。
私たち人間が寒い時にブルブルするのと同じように、体が発熱しようと全身の筋肉が小刻みに震え血流を促しているのです。
また、ストレスや不安を抱えているときも犬が震えることがあります。
たとえば、過去に病院の診察台で痛い思いをした経験がある犬は、診察台に乗せられると怖がったり警戒したりして、震えます。
犬にも性格があるため、外からの物音や工事の音、見知らぬ来客などに敏感に反応し、緊張のために震えることもあるでしょう。
さらに、犬が高齢になり筋肉量が減少することも、震えの原因です。
老犬は筋肉が弱っているため疲れやすく、長く同じ体勢で筋肉に負荷がかかるとプルプル震えることがあります。
最後に、稀なケースだと飼い主に注目してもらいたくて震える犬もいます。
犬は賢い動物なので、過去に寒そうに震えているときに飼い主が優しくかまってくれた経験があると、同じ結果を期待して震えることもあるでしょう。
病気による原因
病的な原因としては、怪我または病気が考えられます。
どこか怪我をして痛みを感じていると、犬が震えることがあります。
その場合は、体の一部を触ると嫌がったり威嚇したりするため、異変に気づくことができます。
犬が手足を引きずったり、どこかをかばっている様子があるかどうか、注意深く観察しましょう。
また、犬の震えが一時的ではなく繰り返し起こったり、元気がなくなって体重が減ったりしている場合は要注意です。
震えと同時に意識がはっきりしていない状態は病気の可能性が極めて高く、早急に獣医師に相談しましょう。
病的な原因としては、低血糖やてんかん、内臓の機能障害、中毒などさまざまな原因が考えられます。
いつもと違った様子がないかよく観察してみましょう。
犬の震えによくある病気
犬の震えにはさまざまな原因がありますが、よくある原因について解説します。
事前に知っておくことで、愛犬が震えていても慌てることなく対処できるでしょう。
痙攣性発作
てんかん発作は、犬によく見られる神経疾患です。
脳炎や脳腫瘍、水頭症などの病気で脳自体に異常がある場合、神経症状として震えの症状が現れることがあります。
全般性てんかん発作と呼ばれる症状は、突然倒れて手足を突っ張り全身が震えるため、初めて見る方は驚いてしまうでしょう。
通常はこのような症状が見られても、数分経つと落ち着きます。
また、手足や顔のごく一部など、特定の場所が痙攣する症状は、焦点性てんかん発作と呼ばれます。
1回の痙攣発作が数分以上続いた場合、あるいは意識が正常に戻る前に2回目の痙攣発作が起こった場合には、てんかん重積と呼ばれる症状が考えられます。
てんかん重積は、脳にダメージを与えてしまうリスクの高い病気です。
このような症状が見られた場合は、犬の生命に関わる事態にもなり得ますので、すぐに獣医師に相談しましょう。血液検査やレントゲンで精査が難しい場合はCTやMRIの検査が必要な場合があります。また。お薬を飲むことである程度コントロールできる可能性があります。
ストレス性の震え
犬が恐怖や緊張しやすいなどでストレスを感じると、自律神経系のバランスが崩れて震え始めます。
飼い主にできることは、犬が何にストレスを感じているのか観察して見つけてあげることです。
犬が特定の状況で震えている場合、できる限り不安を払拭できるよう工夫してあげましょう。大きな音やいつもとは違う臭い、普段いない人の出入りなどでストレスを感じることがあります。
家庭内環境の変化も、人間が想像する以上に犬は敏感に感じ取っています。
そのため、飼い主の心自体もストレスが少なく落ち着いていることが大切です。
ストレス性の震えを放置していると、場合によっては食欲低下や下痢、嘔吐など体調面にも影響が出始めてしまうため、注意して観察しましょう。
寒さによる震え
人間と同様に、犬は寒さを感じると「シバリング」という正常な行動をとり、体を温めようとして震えます。
高齢犬や小型犬は体温調節が苦手なため、特に寒さを感じやすい傾向があります。
また、シングルコートの犬種も防寒の役割を果たすアンダーコートがある犬種に比べて寒さを感じやすいことが特徴です。
寒くなると、犬の体は発熱しようとするため全身の筋肉が震えはじめます。
寒さによる震えは体が温まると止まるため、室温を調節して震えが止まれば心配いりません。
とはいえ、震えの原因として体温調節がうまくできなくなるような病気(甲状腺機能低下症など)が隠れている場合もあるため、注意が必要です。
犬の震えの他の症状
犬が震えているとき、同時に他の症状が見られる場合もあります。
以下のような症状がある場合、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
食欲不振
犬が震えている時、食欲不振の症状が見られる場合は要注意です。
いつもより食べる量が減っていると感じたら、食事を出した時の犬の反応を観察してみましょう。
新しくフードを変えた場合、気に入らなくて食べないこともありますが、その場合は我慢できないくらい空腹になれば食べるでしょう。
反対に食事に興味がなく、全く食べる気配がない場合、体調不良の可能性があります。
また、引っ越しや環境の変化でストレスにさらされると、それが原因で食欲が減退することもあるでしょう。
震えと食欲不振の状態が続くようであれば、全身の状態が悪化している可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。
嘔吐
犬が嘔吐すること自体は、さほど珍しいことではありません。
吐いた後にまだ食べていたり、何事もなかったように元気にしているのであれば、心配する必要はないでしょう。
ただ、繰り返し吐いている場合や、吐いた後に食欲がない、あるいはぐったりしている場合などは要注意です。
嘔吐は、食欲不振で空腹時間が長かったことが原因だったり、腫瘍や腎不全など重い病気が関わっていたりと原因は多岐にわたります。
たとえば腎臓の働きが悪くなると、尿素などの毒素が体内から排出されず溜まり、嘔吐が起こります。
また、糖尿病もケトン体という有害物質が体内に溜まり、嘔吐を引き起こします。
これらは重症化すると痙攣を起こすため、震えと嘔吐の症状が続く場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
無気力感
犬が寝てばかりで元気がないとき、飼い主としては心配になります。
もしも無気力な状態と震えが同時にみられた場合、病的な原因が潜んでいるかもしれません。
たとえば誤飲による中毒が原因ならば、神経症状として震えが起こる場合があります。
人間の内服薬や駆除剤など、部屋や庭で何かあさった形跡がないか調べてみましょう。
また、発熱が原因で無気力状態になり、震えている可能性もあります。
犬は耳から放熱しやすいため、耳の辺りを触って熱のこもり具合を確認しましょう。
元気がない状態が続くようであれば、すぐに受診しましょう。
犬の震えに対する対処法
犬が震えていたら、どのように対処してあげるのが犬にとって良いのでしょう。
病院での治療や、家でできる簡単な対処法を紹介します。
病院での診断と治療
病院で受診すれば、震えている原因によって的確な診断と治療を施してもらえます。
たとえば低血糖が理由であれば、血糖補助の補液や経口による栄養補助で対処します。
震えの原因がてんかんだと診断された場合、一定以上の頻度で繰り返し痙攣が起こるようであれば、抗てんかん薬を投与するでしょう。
中毒症状の場合は、解毒剤を投与したり、点滴治療を行ったりします。
また脳の炎症や腫瘍が原因である場合は、ステロイドのような抗炎症作用のある薬でまず炎症を抑えるでしょう。必要に応じてCTやMRIの検査も行うかもしれません。
獣医師であったとしても、検査をせずにこれらの原因を判断することは非常に困難です。病気に関しては自己判断せず、必ず獣医師のもとで診断を受けましょう。
早期治療できるものも多いため、10歳未満は1年に1度の、10歳以上は半年に一回の定期的な健康診断がおすすめです。
心地よい温かさの提供
老犬や小型犬、シングルコートの犬は、体温調節が苦手で寒さを感じやすい傾向があります。
ペット用ヒーターや毛布を活用し、またお出かけの際は犬用の服などで室内と外出時の温度差が激しくならないよう工夫してあげましょう。
また、寒そうなそぶりに早めに気がついてあげることも大切です。
体を丸めて寝ていたり、飼い主のもとにやたらとくっついてきたりする場合は、寒さを感じているかもしれません。
犬の耳や手足が冷えていないか確認して、必要であれば温めてあげましょう。
飲み水をぬるま湯に変えてあげる、フードをお湯でふやかしてあげるなども冬の間は体を温めるために効果的です。
ストレスの軽減
ストレスを抱えないよう、愛犬には日頃から落ち着いた態度で接してあげましょう。
また、飼い主自身のストレスに同調している可能性もあるため、飼い主自身がストレスがたまらないよう気をつけることも重要です。
環境的なストレスへの対処法としては、犬のトイレを清潔に保ったり、長時間の留守番を避けることも大切です。
運動不足でストレスが溜まっている場合は、しきりと手足を舐めたり吠えたりといつもと違った行動を見せます。
犬が発するこのようなサインに早めに気づき、対処してあげることが飼い主の役目です。
一度に長い散歩に連れて行けない場合は、短い散歩で数回に分けてあげるのもよいでしょう。
犬の震えを防ぐための注意点
犬の生理的な震えは、対策が難しいものもあります。
しかし普段から愛犬の様子を観察することで、防げる要因はたくさんあります。
快適な環境の提供
新居に引っ越したばかりだったり、来客が毎日来たりすると、私たち人間でもなかなか家にいても落ち着かないものです。
犬が快適に過ごせるよう、トイレや水飲み場の位置、ゆっくりお昼寝できる場所などを工夫しましょう。
室内でも、ある程度動き回れる広さがあると、ストレスが溜まりにくいものです。
また老犬の場合、トイレで踏ん張りやすいよう、滑りにくい床材を敷いてあげることも震え防止には効果的です。
適切な食事と運動
犬の震え防止には、適度な運動と健康的な食事が大切です。
散歩が足りないと運動不足でストレスを感じるため、適度な運動を毎日のルーティーンに取り入れてあげるとよいでしょう。
食事に関しては、同じものばかり食べていては飽きてしまいます。
血糖値が心配な場合は、獣医師に相談の上フードを選びましょう。
食べている様子も常日頃から観察することで、変化があったときに早めに気づいてあげられるため安心です。
日常的なストレス管理
犬はストレスを感じやすい動物です。
留守番が多い、散歩の回数が減った、大きな音がする、知らない臭いがする、来客が多い、病院に行く機会が増えたなど、犬がストレスに感じる原因をリストアップしてみて、できる限り改善してみましょう。
例えば引っ越して部屋が変わってしまっても、犬が過ごすエリアだけはレイアウトをそのままにしてあげると、新しい環境にも馴染みやすいはずです。
病院に行く際は、お気に入りのおもちゃやタオルを持っていく、留守番が多い場合は、なるべく帰宅後にコミュニケーションの時間を増やすなど、工夫次第でストレスを軽減できます。
まとめ
犬が震えている原因は、病的な原因とその他の原因があります。
その他の原因としては生理的な原因が多く、寒さやストレス、恐怖や緊張などが関わっていることが多いでしょう。
これらの多くは、飼い主の工夫で改善することができます。
犬が震えている様子を観察し、原因を突き止めることで少しでも快適な状態を用意してあげましょう。
また、病的な原因で震えているときは、怪我や病気が考えられます。
命に関わる重大な病気が潜んでいる可能性があるため、愛犬の様子を観察することが大切です。
震え以外にも食欲がない、ぐったりしている、嘔吐があるなどの状態が続くようであれば、自己判断せずに早急に獣医師に相談しましょう。