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犬の去勢費用はどのくらいかかる?去勢のメリットやタイミングもご紹介

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はじめに

犬の去勢手術とはオス犬の精巣(睾丸)を摘出する手術です。手術という言葉を聞くと「なんだか可哀想」と感じる人も少なくはないでしょう。しかし、犬の去勢手術にはさまざまなメリットがあります。

本記事では去勢手術を検討している人に向けて、去勢手術のメリットや必要性について紹介しています。また平均的な手術費用の目安や、手術を行う上での注意点など、デメリットについても詳しく解説。愛犬の去勢手術をしようか迷っている人はぜひ参考にしてください。

犬の去勢手術の費用

去勢手術を行ううえで、気になるポイントのひとつとしてあげられるのが手術費用です。

ここでは去勢手術の平均的な費用について紹介します。費用は動物病院によっても異なるため、具体的な手術費用が気になる人はかかりつけの動物病院にご相談ください。

平均的な手術費用の目安

去勢手術の平均的な費用は小型犬の場合、2万〜5万円程度とされています。

犬の体格が大きくなると、麻酔などの量が増えるため手術費用は高くなる傾向です。また手術費用の他に診察料や術前検査費用、抜糸代など別途料金が必要になるケースもあります。

追加費用や保険の利用について

通常、オス犬の去勢手術は玉袋にメスを入れ、精巣を除去する方法がポピュラーです。しかし中には精巣が玉袋まで降りて来ておらず、開腹手術が必要になるケースもあります。このような症状は停留睾丸や陰睾などと呼ばれ、別途追加費用が発生します。

停留睾丸の場合、追加費用は精巣のある位置によっても異なります。精巣が皮下にある場合は追加で2万〜5万円程度、精巣がお腹の中にある場合は、追加で3万〜6万円程度が目安です。

また高齢の犬や持病のある犬は、専用の点滴や麻酔が必要になるケースもあります。その場合、追加で5千〜1万円程度を考えておきましょう。

犬の去勢手術を決断するポイント

犬の去勢手術は必須項目ではありません。メリットとデメリットを理解したうえで、手術を受けない選択をする飼い主さんもいらっしゃいます。周囲の意見を参考にしながら、飼い主さんが決断しましょう。

ここでは去勢手術の決断をするための2つのポイントについてお話します。

獣医さんに相談しましょう

去勢手術を受けるか悩んでいる人は、かかりつけの獣医師に相談するのがおすすめです。普段から愛犬の状態や様子を把握している獣医師であれば、その子に合ったアドバイスをもらえます。

とくに高齢の犬や持病のある犬の場合、手術や麻酔自体が身体の負担になってしまうケースも珍しくありません。不安なポイントを獣医師に相談することで、よりベストな回答が得られるでしょう。

メリットとデメリットを理解しましょう

犬の去勢手術に対する考え方は人それぞれ。信頼できる獣医師やほかの飼い主さんの体験談など、周囲の意見を参考にするのも方法のひとつです。

しかし、家族の一員である愛犬の去勢手術について最終決断を行うのは飼い主さんの役割。愛犬と飼い主さんにとって後悔のない選択ができるよう、メリットとデメリットを理解した上で愛犬にあった選択を行いましょう。

犬の去勢手術のメリット

去勢手術を行うと一体どのようなメリットがあるのでしょうか。去勢手術を行う具体的なメリットがわからないという人のために、ここでは犬に去勢手術を行う主なメリットを紹介します。

性格の安定化と行動の改善

去勢手術を行うと男性ホルモンが減少し、オス犬が本能的に行う行動を軽減する効果があると言われています。ただし、行為自体が習慣づいている場合は去勢手術を行っても軽減しないケースもあるため、あくまで個体差として考えましょう。

発情をなくす

去勢手術をしていないオス犬は、動物の本能として発情中のメス犬のフェロモンを感知すると発情する性質にあります。発情中のメス犬のフェロモンは約2km四方に広がるとされており、2km圏内に発情したメス犬がいると興奮状態になるため注意が必要です。

オス犬は発情すると、発情中のメス犬を探して脱走したり、1日中吠え続けたりと問題行動へ繋がるケースも珍しくありません。また発情中にメス犬に出会えないことは、ストレスにも繋がります。

去勢手術を行うことにより性的欲求をなくし、愛犬のストレスや問題行動の改善に繋げられるのも去勢手術のメリットです。

マウンティング行為を減らす

マウンティング行為とは、飼い主や他の犬、ものに対して腰を振る行為です。ドッグランなどの公共の場所で他の犬や人にマウンティングを行う行為は、マナー違反となる可能性もあります。

犬は交尾欲求や上下関係の保持、遊びの一環などさまざまな理由によってマウンティングを行なうため、去勢手術を行なえばすべてのマウンティングが軽減するわけではありません。しかし交尾欲求によって行なわれるマウンティングの場合、去勢手術を行なうことで頻度が軽減すると考えられています。

マーキング行為を減らす

マーキングとは後ろ足をあげ、少量の尿を出すことで自分の縄張りをアピールする行為です。お散歩コースやドッグラン、よそのお家など他の犬がいる場所ににおいをつけることで「ここは自分の縄張りだ」とアピールします。

去勢手術を行うとオス犬特有の縄張り意識が減少するため、マーキングの回数が減る可能性があります。ただしマーキングが習慣づいている場合、去勢手術をしても回数が減らなかったという意見も見受けられ、個体差があるようです。

一部の疾患のリスク軽減

去勢手術は一部疾患のリスクも軽減するといわれています。ここでは去勢手術を行うことでリスクが軽減する2つの病気を紹介します。

会陰ヘルニア

会陰ヘルニアとは、肛門のまわりの筋肉の隙間から臓器や脂肪が飛び出してしまう病気。症状としては飛び出す臓器によっても異なりますが、排尿や排便がしづらくなり動物病院を受診し発覚するケースが多いです。

軽度の場合であればお尻周りがぽっこりと腫れている程度で、日常生活に支障はありません。しかし重度になると排便や排尿ができず、命にかかわるケースもあります。完治には手術が必要で、飛び出した脂肪や臓器を元に戻し筋肉の隙間を塞ぎます。

高齢で未去勢のオス犬に発症しやすいとされており、加齢と共に肛門まわりの筋肉が薄くなることが原因です。筋肉が薄くなるのには、男性ホルモンが関係しているといわれています。そのため去勢手術を行うことで、会陰ヘルニアになる確率を下げることができます。

精巣腫瘍

精巣腫瘍は名前の通り、精巣に腫瘍ができる病気です。初期の場合、精巣の片側が大きく腫れる、脱毛するなどの症状がみられます。また悪性腫瘍の場合、精巣腫瘍からリンパ節や肺、肝臓などさまざまな臓器に転移する可能性があるため、早期の切除が必要です。

精巣腫瘍の原因ははっきりとはわかっていません。しかし精巣が皮下や腹腔内で留まっている停留睾丸の場合、発症率が高いとされています。去勢手術では精巣を取り除くため、精巣腫瘍を発症するリスクをゼロにすることが可能です。

前立腺肥大

前立腺とは膀胱の根本にある前立腺と呼ばれる部分が大きくなる病気です。前立腺が大きくなることで、尿道や直腸が圧迫され排便・排尿がしづらくなる、血尿・血便などの症状が現れます。

原因は精巣から分泌される男性ホルモンで、未去勢かつ中高齢のオス犬に多くみられる病気です。ほとんどの場合、去勢手術を行うことで症状が改善するため、事前に去勢手術を行うことで病気を予防できます。

犬の去勢手術のデメリット

さまざまなメリットのある去勢手術ですが、当然デメリットも存在します。ここでは犬の去勢手術のデメリットを2つ紹介します。愛犬に去勢手術を行うか悩んでいる人はメリットとデメリットを比較してベストな選択を行いましょう。

手術に伴うリスクと合併症

犬の去勢手術を行う際は、全身麻酔を使用します。もちろん動物病院ではしっかりと術前検査を行い、細心の注意を払いながら施術を行いますが、なかにはアナフィラキシーショックや麻酔後の気道閉塞など、命に関わる副反応を起こす可能性もゼロではありません。また麻酔による合併症として誤嚥性肺炎や小脳機能障害などがみられるケースもあります。

とくに高齢の犬や持病のある犬は麻酔のリスクが大きくなるため、去勢手術はできるだけ若いうちに施術をするのがベター。リスクや合併症について気になる点があれば、かかりつけの動物病院に相談しましょう。

性ホルモン欠乏による影響

去勢手術を行うと男性ホルモンの一つである「テストステロン」が減少します。それにより消費エネルギーが少なくなり、必要な摂取カロリーが未去勢時の7〜8割程度に変化します。

また男性ホルモンには食欲を抑制する働きもあるため、去勢後は食欲旺盛になるケースも珍しくありません。必要摂取カロリーは減り食欲は増すため、去勢後は太りやすくなるといわれています。体重管理には十分に気をつけましょう。

しかし性ホルモン欠乏による影響はデメリットだけではありません。男性ホルモンが減少することで、性的欲求や縄張り意識が減り、攻撃性やマーキングが減少するきっかけにもなります。

犬の去勢手術のタイミング

去勢手術に興味はあるけれど、どのタイミングで行えばいいのか分からないと悩んでいる人も多いはず。ここでは犬の去勢手術に適切な時期と、早期手術のメリット・デメリットについて解説します。

成長期と成犬期の適切な時期

去勢手術はどのタイミングでも行えます。一般的には成長期から成犬期に替わる、生後6ヶ月〜8ヶ月頃に施術するのがベターです。

乳歯が永久歯に生え変わり、体重の増加が落ち着いた頃が成犬になったサイン。マーキングやマウンティングの癖がつく前に去勢手術を行うことで、問題行動が軽減しやすくなります。

また、高齢になってから去勢手術を行うと麻酔などのリスクが高まるため注意が必要です。若くて健康なうちに去勢手術を済ませておくのがおすすめです。

早期手術のメリットとデメリット

アメリカでは生後3ヶ月前後で去勢手術を行う早期手術が注目を集めています。早期手術のメリットとしては、望まない妊娠を避けることができる、男性ホルモン特有の問題行動が出づらくなるなどがあげられます。

とくにアニマルシェルターなどでは、譲渡する前に去勢手術を行うことで新しい飼い主とスムーズな譲渡が行えます。

しかし幼齢の犬は成犬に比べ身体が弱く、麻酔によるリスクが高まるのがデメリット。精巣が玉袋まで降りてきていない場合、一般的な去勢手術に比べ大がかりな手術が必要になります。早期手術に興味のある人はメリット・デメリットを踏まえ、信頼できる獣医師に相談しましょう。

犬の去勢手術に関する注意点

愛犬の去勢手術を行うと決めた場合、どのような準備やケアが必要になるのでしょうか。ここでは犬の去勢手術に関する注意点を術前・術後の2パターンに分けて紹介します。

これから愛犬の去勢手術を行う予定の人はぜひ参考にしてください。

事前の健康チェックと手術の準備

去勢手術を行う前は身体的に異常がないか、手術を受けられる体調かどうか健康チェックを行います。チェックする内容は動物病院によって異なりますが、ポピュラーなのは触診と血液検査の2種類。追加でレントゲンを行う場合もあるようです。

予約方法に関しても健康チェックを行ってから手術日を予約するケースや、手術当日に健康チェックを行うケースなどタイミングもさまざま。かかりつけの動物病院の指示に従いましょう。

また手術当日は絶食・絶水が必要です。手術当日に家族がフードや水、オヤツなどを与えてしまい、手術ができなくなったパターンもあります。去勢手術を行う際は、手術の準備や術後のケアなど、家族全員で情報共有することが大切です。

術後のケアと経過観察の重要性

人間と同じように犬も術後は傷口の痛みや不快感から、元気や食欲がなくなってしまう場合があります。術後10日〜2週間程は愛犬の体調が安定していないと考え、1匹での留守番を減らすなど、可能な限りサポートしてあげましょう。

また犬によっては手術した翌日から普段通り過ごせるようになるケースもあります。その場合は、獣医師と相談しながら軽い運動を行っても問題ありません。ただし傷口が汚れたまま放置していると炎症を起こしてしまう可能性があるため、傷口は常に清潔に保つように心がける必要があります。

愛犬が傷口を気にしていないからといって、獣医師から指定されたエリザベスカラーやエリザベスウェアは外さないようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか。去勢手術にはメリットとデメリットの両方があることがわかりました。麻酔のリスクや費用など、さまざまな方面から考えながら去勢手術を受けるかどうかを考えましょう。

去勢手術に対する考え方や、手術を行うタイミングは人それぞれです。また犬の年齢や性格、持病の有無によっても手術へのリスクは異なるため、一概にどちらが正解かは言い切れません。

去勢手術を受けるべきか悩んでいる人は、一人で抱え込まず他の飼い主さんや信頼できる獣医師に相談するのがおすすめです。また周囲の意見を参考にしつつ、最終決断は飼い主さんが納得した方を選択しましょう。

しっかりと納得した上で決断をすることで、愛犬と飼い主さんにとってよりベストな選択ができるはずです。この記事を読んだ飼い主さんが、愛犬の去勢手術について考えるきっかけになれば幸いです。

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