犬に人参(にんじん)を与えても大丈夫?与え方の注意点や量を解説


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はじめに

オレンジ色をした身近な野菜といえば、にんじんが思い浮かびます。

にんじんにはβカロテンやビタミン、食物繊維が豊富に含まれ、犬に与えても大丈夫な野菜のひとつです。

ただし与え方によっては、丸飲みしてのどを傷める原因や消化不良や病気を引き起こす原因になるので注意が必要です。

今回は、にんじんを犬に与えるメリットやデメリット、適切な量とタイミングや犬に効果をもたらす栄養素について詳しく解説します。

ぜひご覧ください。

犬の体格に合わせた適切なにんじんの与え方

体重や年齢に応じた量の計算方法

にんじんを与えるときは、犬の体重によって適切な量が異なるので確認しておきましょう。

おやつの場合は目安として、一日あたりの総摂取カロリーの1割程度が良いとされています。

メインの食事として与えるときは、その犬の重さによって量を調整しましょう。

体重が4kg未満の超小型犬ならば、15g以下が適切な量になります。

1本150g程度のにんじんで例えると輪切り1枚ほどです。

体重が10㎏以下の小型犬ならば、およそ30gが適切でにんじん1本に対し5分の1ほどの量でしょう。

体重25kg以下の中型犬に適切なにんじんの量は小型犬の倍、60gほどになります。

にんじん1本の約3分の1程度です。

体重が25kg以上ある大型犬になると、与えて良いにんじんの量は90gといわれています。

ただし、子犬やシニア犬の場合はにんじんを与える際には、細心の注意が必要です。

にんじんなど野菜に含まれる食物繊維は犬にとっては消化しづらいものです。

そのため、成長期間中である子犬にとっては消化不良や下痢を起こす原因になる恐れもあります。

デリケートなシニア犬には、にんじんに含まれる栄養素βカロテンが肝臓に負担をかける可能性もあるので、かかりつけの獣医師に相談してから与えることをおすすめします。

与える頻度とタイミングの調整

にんじんは1日に与えても良い適切な量をまもり、その都度ごはんに混ぜるなど、小分けにしたほうが栄養面でも消化の面でも効果的です。

初めてにんじんを与える場合は、あげる量も少なくして数日に分けて様子を見ましょう。

1歳前後の成犬ならば、にんじんはおやつやごはんの一部として毎日与えても良い食材です。

しかし小型犬、中型犬、大型犬など、犬の個体差によって毎日の食事を与える回数とタイミングは異なります。

体の小さい小型犬ににんじんを与えるときは朝・昼・夜と3回と少量ずつ分けて与えることで、消化器官への負担も軽くすみます。

中型犬のごはんは朝・夜の2回、中間におやつがある場合は、にんじんも全体のごはん量に合わせて調節が必要です。

同じく大型犬の食事回数も1日2回が多いようです。

しかし大型犬がかかりやすい胃捻転や胃拡張の原因と言われる早食いを予防するため、食事回数を一回増やし食事量を小分けにする方法もあります。

また、その犬の体調など状態をよく考えてにんじんの量は調整してくださいね。

にんじんの調理方法と注意点

犬には生のままのにんじんを大量に与えてはいけません。

にんじんに含まれる食物繊維は、犬の消化器官に負担をかける可能性があります。

またビタミンCを壊す酵素・アスコルビナーゼの作用を抑えるためにも加熱処理が必要です。

にんじんをごはんとして与える場合は、蒸す・ゆでる・煮込むなどで熱を通し、柔らかくしましょう。

にんじんの皮にも豊富に栄養が含まれているので、よく洗ってから皮ごと調理することは問題ありません。

オーブンで素焼きや電子レンジで加熱する方法なら手軽にできて便利です。

犬には人間の食べ物のような味付けは必要ありませんので、塩コショウなどの調味料を加えたり、大量の油で揚げることは避けてください。

また人間用に販売されているにんじんの加工品を利用することができます。

ただし、にんじん以外は何も含まれていない無添加のものを選んでください。

特に注意したい市販品はドレッシング類です。

ドレッシングにはにんじん以外に玉ねぎ、にんにく、オイルや香辛料など犬に与えてはいけないものが沢山入っているので絶対に与えないようにしましょう。

にんじんを与える際の注意点

与えすぎると引き起こされる消化器症状のリスク

にんじんを与えすぎることで、消化器官への負担が大きくなり、下痢や便秘または嘔吐を引き起こす原因となるので注意が必要です。

犬は生理現象として吐き気を催すことがありますが、嘔吐を何度も繰り返すのは胃炎の可能性があります。

にんじんが消化しきれない状態で吐き出されたなかに、血や黒い塊などが混じっていた場合は、消化器官が傷ついているかもしれません。

異常に気が付いたらすぐに動物病院へ相談に行きましょう。

また、にんじんの繊維が消化しきれず便秘になってしまうことも考えられます。

その際はにんじんを与えるのを止めて、水分を沢山あげることが大切です。

さらにお腹を優しくマッサージすることで、腸が活性化し便秘を解消する効果があります。

反対に消化不良が元で下痢になってしまう可能性も。

ほぼ水分のような便や血が混じっているなどの症状があれば、動物病院で診察してもらいましょう。

消化器官が弱っているときは抱き上げ方にも気をつけます。

なるべくお腹を圧迫しないように手を添えて、優しく抱っこしてあげましょう。

にんじんの適切な保存方法

生のにんじんは常温で保存することも可能ですが傷みが早まるので、冷蔵庫の野菜室などで保存することをおすすめします。

その場合、直接にんじんを野菜室に入れるのは避けましょう。

乾燥してすぐにしおれた状態になってしまいます。

にんじんを購入後、袋から取り出して水気をよく拭き取ることがポイントです。

一本ずつ新聞かペーパータオルで包んだら、乾燥を防ぐためポリ袋に入れて結び口はゆるく閉めます。

にんじんは横にして保存するとしおれるのが早くなるので、立てて保管すると良いでしょう。

包んだ紙は3日前後で湿ってくるので、新しい紙と交換します。

この方法で3週間ほど保存可能です。

一度で使いきれずカットした状態なら、切り口はラップでしっかりふさぎましょう。

最もおすすめなのは、にんじんを均等にカットし電子レンジで加熱をしてから保存用のビニール袋に入れて冷凍保存する方法です。

先に熱処理を加えることで、食事を与える度に必要な量だけを解凍し、調理する手間が省けます。

保存期間も1か月と長いので、まとめて作り置きもできますね。

食べやすい大きさや形に切る方法

犬は人間のようによく噛んで味わう行為はできません。

丸ごと飲み込みのどに詰まらせる恐れもあります。

特に小型犬には、たてにカットしたスティック型を飲み込むときに、のどを傷つける心配など負担がかかるようです。

そのため、犬の個体差に合わせてにんじんを食べやすい大きさにカットしましょう。

大型犬、中型犬ならサイコロ状に細かくカットしてごはんに混ぜることで、ボリューム感もアップして満足感も得られます。

小型犬はさらに細かいみじん切りにしてあげると食べやすくなります。

犬の体調やお腹の具合が心配なときは、にんじんをすりおろしてあげることもおすすめです。

すりおろすことで柔らかくなり、消化吸収もよくなります。

また、茹でたにんじんをフードプロセッサーでペースト状にしスープのように与えると、水分も含まれて食べやすくなるでしょう。

にんじんの栄養価と犬の健康への影響

ビタミンや食物繊維の豊富さによるメリット

ここでは、にんじんに含まれるビタミンや食物繊維などの豊かな栄養素について紹介します。

ビタミンAは目の健康を保ち、白内障などの眼病を防ぐ効果があります。

ビタミンAが不足すると角膜や目が傷ついたとき修復機能が働きにくくなり、視力低下につながる恐れが考えられます。

皮膚の健康も保ち老化の進行も遅らせ、犬の被毛も健康でツヤツヤに保たれるでしょう。

鼻、のどなどの気管支や胃腸などの粘膜も正常に保ち、乾燥や細菌による感染から守ります。

ビタミンCはにんじんの葉にも含まれています。

犬は体内でビタミンCがつくれるため、外からとる必要はないと以前は言われていましたが、現在では犬の年齢や健康状態などに応じて適度に補給すると良いとされています。

ビタミンCはコラーゲン生成にも作用する栄養素です。

コラーゲンは丈夫な骨や関節を形成しますので、骨や関節を丈夫にするためにも取り入れると良いでしょう。

また運動量が多い大型犬の疲労回復にもビタミンCは役立ちます。

食物繊維は犬の腸内環境を整える栄養成分です。

にんじんには食物繊維が豊富に含まれていますが、繊維は消化酵素で分解されず小腸から大腸へと運ばれていきます。

そこで腸の動きを活発化させ、便をカサ増しして腸内菌の不要な成分のエサになる整腸剤の役目も。

糖質の吸収も抑えてくれ、血糖値上昇も防いでくれます。

にんじんに含まれるカロチンの効果

にんじんがオレンジ色なのはβカロテンの色素によるもの。

英語名「キャロット」が語源といわれるほど、βカロテンはにんじんの主要となる栄養素です。

βカロテンは体内で必要な分だけビタミンAへと変換されます。

つまり犬の体内でビタミンAが多い場合は変換されずに排出される仕組みです。

ビタミンAはいきいきとした目を守るために重要な役割を果たし、画像のコントラストをくっきりと見せる視力効果を促進させます。

またβカロテンには老化や動脈硬化の予防、活性酸素の除去という大事な役割があります。

体内で活性酸素が過剰になると、細胞を傷つけがんを引き起こす原因にも。

人間と同じように、犬のがんも体のいたる部位で発生し悪影響を与えます。

それを防ぐためにも積極的に取り入れたい栄養素ですね。

歯の健康維持に与える影響

犬は噛み応えがあるものが大好きです。

その特性を利用して、生の硬いにんじんを歯ブラシ代わりに与えることもできます。

犬の歯石は一度こびりつくと取り除くのが大変難しいですよね。

硬いものを噛むことで歯についた歯石を取り除くことができ、にんじんの皮が研磨剤の代わりを果たします。

また、にんじんには歯茎の粘膜の健康維持に重要な栄養素を沢山含んでいます。

愛犬のきれいなピンク色の歯茎を保つためにもにんじんはおすすめです。

ほかにも、犬は歯が生え変わる時期は口がむずむずしてあらゆる物を噛みたくなりますが、そんなときのおもちゃ代わりに使用することもできます。

にんじんの大きさによっては丸ごと飲み込む危険もありますので、その犬のサイズに合わせて適度な大きさにカットして与えましょう。

また事故につながらないよう、犬がかじっている間は見守ってあげることが大切です。

にんじんを与えるメリットとデメリット

にんじんは犬にとってどんな効果があるのか、逆に注意する点は?

この疑問についてメリット・デメリット別にポイントをまとめました。

愛犬に与える際の参考にしてみてください。

メリット

にんじんを与えることで、犬の健康に必要な栄養素を効率よく摂取できます。

βカロテンは体内で必要なビタミンAへと変換され、目や皮膚、被毛の健康を保ち、歯茎やのど、消化器官などの粘膜を保護する栄養素です。

抗酸化作用も含み、老化を防ぎ、がんの原因ともなる活性酸素を除去して過剰になるのを防ぐ役目も果たします。

ビタミンCも含まれ、毛細血管や歯を正常に保ちつづける働きや抵抗力を強める効果も。

ビタミンCが不足すると骨の形成や関節に影響が出る恐れがありますが、にんじんを摂ることで補えます。

また、消化を助け便を促す効果のある食物繊維が豊富に含まれています。

食物繊維は、腸のなかにいる善玉菌のエサにもなる大事な栄養素です。

糖質の吸収をゆるやかにして急激な血糖値上昇を防いでくれます。

デメリット

にんじんはアレルギー物質をほとんど含まない野菜といわれますが、まれにアレルギーを発症する可能性があるようです。

ほかの野菜でアレルギー反応を示した犬は、特に注意が必要です。

元気がなくなる、下痢、目をつよくこする、吐き気、嘔吐などの症状がみられたらすぐに獣医師に相談してください。

それを防ぐためにも、最初ににんじんを与えるときは少量ずつ様子を見ながらはじめてみましょう。

胃腸の弱い犬は食物繊維が合わずに、消化不良を起こしてしまう可能性もあります。

便秘や逆に便がゆるくなってしまう場合も。

βカロチンからビタミンAへと変換されますが、摂取量によっては肝臓に負担をかける恐れもあります。

毎日にんじんを与えることで過剰な蓄積量となり、肝臓病の原因となる可能性も出てきます。

肝臓疾患などを持病に持つ犬には与えないほうが無難です。

犬は人間に比べて解毒能力が低いと言われているため、犬の負担になりそうなものは未然に防ぐ必要があります。

まとめ

いかがでしたか?

にんじんの効能や与える際の注意点を様々なポイントをお伝えしました。

カラフルなにんじんをごはんに混ぜると見た目も華やかになるので、あげる時も楽しい気分になりますよね。

にんじんは適切な量と正しい調理方法で与えれば、犬の健康を守るための大切な栄養を豊富に含んでいます。

上手に活用してこれからも愛犬の健康を守っていきましょう。

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