犬にうなぎを与えても大丈夫?与え方の注意点や量を解説

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はじめに

日本には、滋養強壮に良い食べ物として土用の丑の日にうなぎを食べる習慣があります。

家族の一員である愛犬に元気になってもらいたくて、うなぎを食べさせたいと思う人もいるでしょう。

はたして、犬にうなぎを与えても大丈夫なのでしょうか?

ここでは、うなぎに含まれている栄養素や犬に与えるメリット、与える際の注意点などについて解説していきます。

うなぎを犬に与える際の注意点とは?

結論からお伝えすると、犬にうなぎを与えても問題ありません。

ただし、いくつか気をつけなければいけない点があるので注意が必要です。

与えても大丈夫な理由とは?

うなぎにはビタミンやミネラル、カルシウムなどの必須栄養素が多く含まれているので、犬にとっても栄養豊富な食材といえます。

また、良質なたんぱく質源となる食材でもあります。

うなぎの血液には毒(下記に詳しく説明)が含まれていますが、しっかり加熱さえすれば犬でも問題なく食べることができますし、犬の年齢や体調に合わせて工夫すれば、子犬や老犬に与えても大丈夫です。

うなぎの栄養素と犬の体への影響

うなぎは、犬の体内に吸収されやすい動物性たんぱく質が取れるだけでなく、ビタミンやミネラル、カルシウムの他にもオメガ3脂肪酸などが含まれることから、犬の滋養強壮にとても役立ちます。

例えば、目の健康維持、皮膚や粘膜の健康維持、疲労回復サポート、血管の健康維持などの効果が考えられ、疲労回復を促進するビタミンB群が豊富に含まれるので、夏バテにも効果的です。

このように栄養豊富なうなぎですが、残念ながらビタミンCが含まれていません。

しかし、犬はビタミンCを体内で生成することができるために問題はなく、まさにうなぎは犬にとって完全な栄養を含んだ食材だといえます。

与える際に気をつけるべき量と頻度

犬にとって完全栄養食とはいえ、与えすぎは禁物です。カロリーも高いので与えすぎには十分に注意しましょう。

メインの食事というよりは、おやつとして数回に分けて与えることをおすすめします。

1日あたりのおやつの目安量は、1日の摂取カロリーの10~20%程度といわれていますので、白焼きの場合は小型犬なら約15~20g、中型犬なら約20~50g、大型犬なら約50~85gを目安としてください。

うなぎは犬にとっても栄養が豊富なので、シニア犬の栄養補給や健康維持におすすめです。必ず加熱したものを、食べやすい大きさにカットしたりすり潰したりして与えましょう。

適正体重を上回っている犬の場合は、現在の体重ではなく、適正体重に基づいた摂取可能量をあげることも大切です。

犬に与えてはいけないうなぎの種類とは?

スーパーで見かけるうなぎには、手頃な値段のものから少し手を出しづらい高額のものまで様々な種類があります。

一見、どれも美味しそうに見えるうなぎなのですが、犬に与えるには避けたほうが良い種類もあります。

一体、どのような点に注意してうなぎを選べばよいのでしょうか。

うなぎの中でも避けた方が良い種類

輸入のうなぎはできるだけ避け、可能なら国産のうなぎを与えるようにしましょう。

日本では主に中国から輸入されたうなぎが流通していますが、中国産と国産ではうなぎの種類が違うのをご存じですか?

中国産のうなぎは一般的に「ヨーロッパウナギ」と呼ばれるのに対して、国産のうなぎは「ニホンウナギ」という種類です。

日本では、うなぎは養殖に適した28℃前後の水温に調整できる養鰻場で、およそ半年~1年半かけて養殖されるのに対し、中国では「路地池」と呼ばれる池で2?3年かけて養殖されます。

中国では養殖期間が日本の倍になるので、その分うなぎが大きく育つのですが、大きく育てばそれだけ身や皮が厚くなり骨が太くなります。中国産のうなぎが厚みがあって大きいのはそのためなのです。

中国産のうなぎは脂質が多く、その分カロリーも高くなってしまうのであまりおすすめできません。

独特の脂の臭いがすることもあるので、嗅覚の鋭い犬に与えるのは避けたほうが良いでしょう。

うなぎの調理方法の注意点

うなぎの血液には「イクチオヘモトキシン」というたんぱく質の毒が含まれているため、調理には注意が必要です。

厚生労働省のHPには「うなぎの新鮮な血液を大量に飲んだ場合、下痢、嘔吐、皮膚の発疹、チアノーゼが引き起こされる」と記載されています。

ただ、「イクチオヘモトキシン」はフグのような危険性の高い毒ではなく、60℃で5分加熱すれば毒性が消えるので、加熱さえしっかりと行えば問題ありません。

しかし、もし目や傷口に毒が入ってしまうと重度の炎症を引き起こす可能性があります。捕まえた野生のうなぎや生のうなぎを捌く際には必ず手袋を装着して、目や傷口を保護したうえで調理するようにしてください。

くれぐれも、犬にうなぎを与える際には蒲焼きや白焼きのように必ず加熱したものを食べさせるようにしましょう。

うなぎの適切な与え方とは?

いざ、うなぎを調理しようとしても、スーパーで買ってきた蒲焼きをそのまま犬に与えて良いのか、うなぎの中に与えてはいけない部分があるのか悩んでしまうかもしれません。

ここからは、うなぎの調理方法や犬への与え方について解説していきます。

うなぎの調理方法と犬への与え方

うなぎの調理については、肝などの内臓部分は避けて、身の部分を必ず焼くか蒸すなどの方法で加熱をしてから、味付けをせずに与えるようにしましょう。

蒲焼きとして販売されているものを利用することが多いと思いますが、タレのついた蒲焼きは犬にとって過剰な塩分や糖分が含まれるため、おすすめできません。可能なら購入の際には白焼きを選ぶと良いでしょう。

蒲焼きの場合は、タレを洗い流してレンジで軽く温めてから与えるようにしてください。

その際、薬味としても使用される山椒は、刺激物なので決して与えないでください。

また、うなぎは小骨が多く犬の喉に刺さってしまう可能性があります。うなぎの頭や骨は取り除き、身をほぐしてから与えると良いでしょう。

うなぎは脂質が多く、カロリーは決して低いとは言えません。そのため、おやつとして与えるかあくまでも食事のトッピング程度にして、与えすぎないように注意してください。

うなぎを食事に取り入れる方法

愛犬の滋養強壮のために、主食にうなぎを少量トッピングするなどの工夫をすると良いでしょう。

その際は、トッピングやおやつの量は1日の摂取カロリーの10~20%程度に抑え、その分ドッグフードの量を減らすようにしてください。

また、手作り食を作る場合は栄養バランスがとても重要になってきます。

手作り食の問題点としてたんぱく質の量が多くなったり、逆にカロリー、カルシウム、ビタミン、ミネラルが不足してしまう点が挙げられます。

そこで、通常は総合栄養食を犬に与えて、1週間に1~2食を手作りご飯にすることで栄養が片寄るリスクを避けることができます。

総合栄養食を10?20%減らして手作り食に置き換えれば、犬にとって大きなトラブルは起きません。ぜひ、手作り食に栄養豊富なうなぎを取り入れてみてください。

とはいえ、うなぎは値段も高くなかなか手が出にくいのも正直なところ。そんな時は、うなぎによく似た「あなご」もおすすめです。

あなごはうなぎに比べると栄養素の量は劣るものの、ビタミンA・E・Dは100gで成人の1日の必要量を含んでいます。お値段も比較的手頃なので取り入れやすいかもしれません。

うなぎのメリットと注意点まとめ

栄養豊富で滋養強壮に良いとされるうなぎですが、犬にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

また後半では、うなぎを犬に与える際に気をつけるポイントをまとめましたので、参考にしてみてください。

うなぎの栄養素と健康への効果

ここからは、うなぎに含まれる栄養素と健康への効果をご紹介していきます。

ビタミンA

うなぎには豊富なビタミンが含まれていますが、特に多いのはビタミンAです。

ビタミンAにはβカロテンとレチノールの2種類がありますが、うなぎに含まれているのはレチノールです。

このレチノールは「目のビタミン」や「若返り成分」と呼ばれることもあり、視力の維持や白内障などの眼病予防や、目の健康を保つ働きが期待できます。

さらに、ビタミンAは犬の皮膚や粘膜、被毛の健康を維持する効果があります。

ビタミンB

うなぎには、疲労回復に効果があるとされるビタミンB1や、口内炎や皮膚など粘膜の健康を保つビタミンB2を多く含んでいます。

犬の疲労を防ぎ、健康な被毛を促進する効果が期待できます。

ビタミンD

ビタミンDにはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。

うなぎにはカルシウムも含まれているため、ビタミンDとカルシウムを同時に摂ることが可能で、体内に効率よく吸収する効果があります。

犬の老化現象でもある骨粗鬆症や骨折の予防のために、ビタミンDとカルシウムを同時に摂ると非常に効果的です。

ミネラル

うなぎには、カリウムやカルシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。

カルシウムは骨や歯の健康維持に、カリウムは細胞が正常に機能するために必要な成分で、犬の腎機能や心機能をサポートする効果が期待できます。

ビタミンE

脂溶性ビタミンであるビタミンEは抗酸化作用が非常に強く、血管を健康に保つほか、赤血球の破壊を防ぐ作用があることが知られています。

また、細胞の酸化を防ぐ働きがあり、犬の老化防止にも効果があります。

オメガ3脂肪酸

うなぎにはDHA(トコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。

DHAは脳の働きを正常に保つ働きがあるとされ、EPAには血液が固まるのを抑えて血栓を予防する働きがあります。

オメガ3脂肪酸は抗炎症作用を持つことから、加齢とともに発症しやすくなる腎臓病や心臓病、関節障害、皮膚炎などを予防する効果が期待できます。

近年、犬の認知症予防としても注目されていて、老化防止のためにドッグフードや犬用サプリメントに取り入れられている成分です。

与える際に気をつけるべきポイントのまとめ

  • 必ず加熱しましょう。生のうなぎは血液に毒を持っています。

60℃で5分加熱すれば毒性が消えるので、加熱さえしっかりと行えば問題ありません。

  • 白焼きもかば焼きも与えて良いが、タレはかけない!

白焼き、かば焼きとも犬が食べても大丈夫です。ただし蒲焼きのタレは塩分や糖分が多いので洗い流しましょう。

※もし生のうなぎを調理する場合は必ず手袋をしてください。

  • 与えすぎに注意!

うなぎはカロリーが高めなので、与えすぎは肥満を招きます。

おやつか食事のトッピング程度にしておきましょう。

  • シニア犬には小さくカットして

シニア犬の消化の負担を減らし、小骨が喉につかえてしまうのを防ぐためにも小さくカットするか、身をすり潰して与えましょう。

初めて与える時は少量にして、異常がないか様子を見るようにしてください。

  • 骨は全て取り除く

うなぎには小骨が多いため、犬の喉に刺さってしまう危険性があります。全ての骨を取り除いてから与えましょう。

うなぎを食べるときの犬の反応と注意点

犬にうなぎを与えたいのであれば、アレルギーに注意が必要です。

初めてうなぎを与える際には、必ず少量から与えて見て、犬の側で食事の様子を観察し、食後もしばらくアレルギー反応が出ていないか、犬から目を離さないようにしてください。

犬がうなぎを食べるときの反応と意味

うなぎに対してアレルギーを持つ犬もいます。白身魚にアレルギーがある場合は特に注意が必要かもしれません。

アレルギーの症状としては、下痢や嘔吐、発熱、皮膚のかゆみなどが挙げられます。

うなぎを食べた犬にこのような症状が表れたら、すぐに与えるのをやめましょう。

食べる際に気をつけるべきこと

犬の場合、うなぎに対するアレルギーの症例はあまり多くありませんが、念のため最初はごく少量を与えることをおすすめします。

もしもうなぎを食べた後、激しい下痢や嘔吐がある場合はすぐに動物病院を受診してください。

受診の際には、数日以内に食べたものが分かるメモを持参すると診断に役立ちます。

仮に軽い症状だとしても、何日も続くような場合は必ず動物病院を受診しましょう。

まとめ

幕末の英雄であり、愛犬家としても知られている西郷隆盛ですが、大金を支払って人と同じように愛犬にもうなぎを食べさせたというエピソードが残っています。

大切な愛犬にいつまでも元気でいて欲しい、長生きして欲しいといった愛情が感じられる心温まるエピソードです。

うなぎは、私たち人間にとってもバランス良く豊富な栄養を含み、少量でも栄養が補給できるとても優秀な食材です。

昨今の猛暑で食欲が低下しがちな夏場や、あまり量を食べることができないシニア犬の体力維持にも十分に役立ってくれるでしょう。

愛犬にはいつまでも元気でいて欲しいものです。与え方や適量に注意して、是非うなぎを食事に取り入れてみてください。

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