犬にブロッコリーを与えても大丈夫?与え方の注意点や量を解説


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はじめに

栄養素が豊富で健康的な野菜として知られるブロッコリーは、その栄養価の高さから「野菜の王様」とも呼ばれます。最近は、さらに栄養価が高いブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトも注目されています。「ブロッコリーを愛犬に食べさせたい」「ブロッコリーは犬の体にとって悪いのだろうか」と考える人もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、ブロッコリーもブロッコリースプラウトも、犬に与えても問題ありません。確かに、チョコレートやネギ、アボカドなど、犬が食べると中毒症状になり、下痢や嘔吐などの体調不良を起こすだけでなく、最悪の場合、死に至る危険性がある食べ物もあります。しかし、ブロッコリーやブロッコリースプラウトには、犬の体に良くない有害成分は含まれていません。

ブロッコリーは人間にはもちろん、犬にとっても良い効果をもたらします。ただし、犬にブロッコリーを食べさせる際には、調理方法や適切な量など注意したい点があります。ぜひ、この記事を参考にしてブロッコリーを愛犬の食生活に取り入れてください。

ブロッコリーの栄養価とは

ブロッコリーは、さまざまな栄養成分がバランスよく含まれた、栄養が豊富な野菜と知られ、「野菜の王様」とも呼ばれています。その栄養価とは、どれほどのものなのでしょうか。以下では、ブロッコリーの栄養素の豊富さや、それに伴う健康効果について詳しく説明します。

ブロッコリーの栄養素の豊富さ

​​ブロッコリーには、体を健康に保つための栄養成分が多く含まれています。

まずは、たんぱく質。たんぱく質は筋肉・皮膚・臓器などを構成する成分です。ブロッコリーのたんぱく質の含有量は、100gあたり5.4gです。肉や魚と比べれば、もちろん少ないですが、枝豆と並んで、野菜の中では多いです。また、他の野菜と比べ、体内での吸収率が高い点も嬉しいポイントです。人間が一日に必要とするたんぱく質の全てをブロッコリーで補うことは難しいですが、タンパク質摂取量を少しでも増やしたい場合は有効です。

次に、食物繊維。ブロッコリーに多く含まれている食物繊維は、「不溶性食物繊維」で、腸内環境を整え便秘解消に効果的です。そして、ミネラルは、体の機能を構成したり維持したりする成分です。ミネラル不足になると、免疫力低下・情緒不安定・便秘や頭痛の原因になります。

また、ビタミンに関しては、ブロッコリーに含まれているビタミンCは、なんとレモンの二倍以上です。レモンのビタミンC含有量は100gあたり100mgですが、ブロッコリーの場合は、100gあたり140mgです。ビタミンCは、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能の向上の効果があります。

ファイトケミカル(フィトケミカル)は、色素や香り・辛味・苦味などに含まれる抗酸化作用のある成分です。ファイトケミカルの機能性成分は、生きるために必須なものではありませんが、体内の老廃物や有毒物質を解毒する作用があります。免疫力向上・肥満予防・アンチエイジングといった健康に生きる手助けをします。抗酸化作用で有名なポリフェノールもこの一種です。

ブロッコリーの健康効果

ブロッコリーは、体の健康に必要な栄養成分が多く含まれていますが、特に含有量の多いビタミンC・カリウム・β-カロテン・スルフォラファンの4つの栄養成分とその健康効果を紹介します。

まず、ビタミンCは、「活性酸素」の働きを抑える抗酸化作用があります。活性酸素は増えすぎると老化や免疫機能の低下、がんや動脈硬化を引き起こす原因です。

次にカリウム。カリウムはミネラルに分類され、血圧を抑え、むくみを解消する効果が期待できます。さらには、筋肉の機能にも作用し、正常に働くようにサポートします。

β-カロテンは、緑黄色野菜に多く含まれています。体内でビタミンAに変換され、目の明暗や色を識別する働きをサポートするだけでなく、皮膚や粘膜の健康を保ち、細菌感染を防ぐ効果があります。

そして、スルフォラファン。スルフォラファンは、ファイトケミカルに分類されます。抗酸化作用が高い成分で、体の酸化を抑え、老化や生活習慣病、がん予防効果に期待できます。さらに胃の健康にも作用し、ピロリ菌の数を減らす効果が期待できます。

犬にブロッコリーを与えるメリット

​​先に述べましたが、犬にブロッコリーを与えることは基本的に可能です。ブロッコリーには、犬の体によくない有毒成分は含まれていません。ブロッコリーは、彩りや見栄えがいいため、カフェのドッグメニューなどでも良く使用されています。犬にブロッコリーを与えるメリットを詳しく見ていきましょう。

犬の健康促進に効果的

ブロッコリーは、人間の身体だけでなく、犬にとっても良い効果をもたらし、健康促進に効果的です。犬はオオカミとは異なり、植物性のたんぱく質も消化できます。タンパク質は、犬の成長・発達・体組織の修復・酵素・免疫系の全てに関わっている非常に重要な栄養素で、市販のドッグフードの原材料として使用されています。

食物繊維は、犬のお腹の調子を整えたり、便秘予防に効果的です。そして、カリウムは、動物が生きていくために必要な代謝活動・神経活動を正常に機能させる働きを行います。

そして特に注目されているのは、植物に含まれる天然化学物質、ファイトケミカルの1種である、スルフォラファンです。抗酸化作用が高く、解毒力もあり、病気の予防や老化に役立つと言われています。また、研究段階のため、データは不十分ながら、ピロリ菌に対する殺菌作用やラットのガンの発生を抑制したとの報告があり、今後のさらなる研究が期待されています。この抗酸化作用は、ビタミンCなどにも含まれており、皮膚や被毛を美しく保つために一役買ってくれます。

栄養バランスの良い食事になる

犬は、β-カロテンを体内でビタミンAに変換することができます。ビタミンAは、粘膜機能を健康に保ち免疫力を高めます。ビタミンAは脂質と一緒に摂ることで吸収率が高まるため、ブロッコリーを与えるときは肉と一緒にフードにトッピングするとさらに効果が期待できます。

そもそも犬の主食であるドッグフードには、犬にとって一日に必要な栄養素がバランスよく全て含まれています。ブロッコリーは、トッピングやおやつとして、少量程度愛犬の食生活に取り入れることで、犬の健康サポートになります。

犬にブロッコリーを与える方法と量

犬にブロッコリーを与えることには問題ありませんが、与える際に注意したい点があります。与える方法や量を間違えると、アレルギーなどの体調不良を引き起こす可能性があります。以下では、犬にブロッコリーを与える方法と量を詳しく解説します。

ブロッコリーの調理方法

​​ブロッコリーは、茹でることでビタミンなどの栄養素が水に流れるため、生のままの方が、より多くの栄養素を摂取することができます。しかし、犬に与える場合には、消化しやすいように、火を通しましょう。

茹でる場合は、茹で汁は与えないようにしましょう。茹で汁は、栄養素とともに犬にとって尿路結石のリスクとなる「シュウ酸」などが溶け出します。また、無農薬じゃない場合は、残留農薬も溶け出している可能性もあります。茹で汁には栄養もありますが、与えたくない成分も溶け出しているため、茹で汁は捨ててください。

​​小房に分け、さらに小さく刻んで詰まらせないようにしましょう。さらに心配な場合は、ミキサーの利用がおすすめです。茎の部分も与えても問題ありませんが、固い部分であるため、皮を厚めにむいて同じように火を通し、こまかくしてから与えてください。

​​適切なブロッコリーの量

​​​​犬に野菜を与えるときの目安は、一般的には一日に必要なカロリーの10%ほどです。しかし、ブロッコリーはカロリーが低いため、量に注意しましょう。

犬の大きさや体重によって量を調整してください。体重4kg未満の超小型犬なら20g、体重10kg以下の小型犬なら45g、体重25kg未満の中型犬で80g、体重25kg以上の大型犬で90gが目安です。

ブロッコリーを与えた分は、カロリーオーバーしないようにドックフードの量を調整しましょう。また、ブロッコリーを食べ過ぎることで、ドッグフードを残したりすることがないように注意しましょう。

ブロッコリーを与える際の注意点

​​犬にブロッコリーを与える際の注意点を細かく解説していきます。

下処理が必要な場合

食物繊維を多く含むブロッコリーは生のままで与えると、消化器官に負担がかかるため加熱処理が必要です。茎も与えることができますが、かたく消化しにくい部分であるため、厚めに皮を剥いて加熱処理しましょう。茹でる場合は、塩や油を入れずお湯だけで茹でましょう。

冷凍ブロッコリーは、原材料がブロッコリーだけの場合は解凍して与えることも可能です。冷凍のままの場合は内臓を冷やしてしまい、下痢の原因になるので注意してください。

食べ過ぎに注意すること

犬にブロッコリーを与えるときは、食べ過ぎに注意が必要です。身体に良い成分でも、過剰に摂取すると、良くない場合があります。

食物繊維は、過剰に摂取することで、便秘の原因になったり、スルフォラファングルコシノレートの成分は、刺激が強いため、嘔吐や下痢の原因になることがあります。

カリウムの過剰摂取は、血液中のカリウム濃度が上がり、四肢のしびれ・筋力の低下・嘔吐・不整脈などを引き起こす可能性があります。このカリウムの摂取は、腎機能が衰えるシニア犬や、腎臓病を患っている犬の場合は特に注意しましょう。

一般的なドッグフードには、一日に必要な栄養がバランスよく配合されています。栄養素が豊富といってもブロッコリーだけでは不十分です。そのため、ブロッコリーの食べ過ぎでドッグフードを残すことがないように、調整しましょう。

症状が現れた場合の対処法

​​与える方法と量を守ると、症状が現れる可能性は極めて少ないですが、犬によっては、体調不良を引き起こす場合があります。症状が現れた場合は、なるべく早く獣医師に相談してください。

ブロッコリーによる犬の体調不良

ブロッコリーは、食物繊維が豊富なため食べすぎるとお腹を壊す場合があります。

犬は雑食性ですが、肉食時代の名残で野菜に含まれる食物繊維の消化を苦手とする犬もいます。与えすぎると消化不良で下痢や嘔吐を引き起こしたり、少量でも体調不良に苦しむ犬もいます。個体差があるため、初めて食べるときは特に注意し、少量から与えてみてください。また、他に新しい食べ物を与えず、原因を特定しやすくしておくこともポイントです。

下痢や嘔吐、口の周りなどを痒がる、皮膚が赤くなるなどの症状が出た場合は早めに獣医師に相談してください。

症状が出た場合の対応方法

ブロッコリーは、食物アレルギーを引き起こす可能性があります。アブラナ科の植物にアレルギーを持つ犬の場合は与えることができません。皮膚のかゆみ・皮膚が赤くなる湿疹・下痢・嘔吐などがおこらないか、注意してください。過去に別の食べ物でアレルギー反応を示したことがある場合や、ワクチン接種時や薬疹を示したことがある場合はさらに注意しましょう。

また、ブロッコリーをはじめとするアブラナ科の野菜にはグルコシノレートという成分が含まれています。このグルコシノレートを毎日の大量摂取を続けると甲状腺機能低下症という病気になる可能性があります。現在では、犬が、ブロッコリーを食べることによって甲状腺機能低下症を発症するという例は報告されていませんが、すでに、甲状腺疾患を持つ犬の場合は、念のため、ブロッコリーを与えるのは控えましょう。

ブロッコリーをはじめとする生野菜は、カリウムが大量に含まれています。カリウムの過剰摂取は、腎機能に問題がある場合、カリウムの排出がうまくできない場合があることを覚えておきましょう。

さらに、ブロッコリーには、尿路結石の原因になるシュウ酸も多く含まれているため、過去に尿路結石を患ったことがある場合は控えましょう。

持病がある場合は、事前に動物病院を受診し、獣医師に相談してください。また、症状が出た場合は早めに獣医師に相談しましょう。定期的な健康診断や血液検査の実施もおすすめです。

まとめ

さまざまな栄養成分がバランスよく含まれたブロッコリーは、まさに「野菜の王様」。

ブロッコリーだけで、犬にとって一日に必要な栄養を全て補うことはできませんが、おやつとして少量与えることで、健康をサポートしてくれます。

ドックフードのトッピングにすると見た目も鮮やかになるため、人気です。また、食欲が落ちてとにかくなにか食べさせたいときや、水分を取らせたいときに与えてみるとよいでしょう。

与える際には、アレルギーに注意しながら、小房に分け加熱処理してから与えましょう。与えすぎに気をつけながら、適量のブロッコリーを、日々の愛犬の食生活にぜひ取り入れてください。

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