犬にヨーグルトを与えても大丈夫?与え方の注意点や量を解説

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はじめに

みなさんは、大切な愛犬にあげる食べ物にはどれくらい気をつけていますか?
今回は私たちの食卓に身近にあるヨーグルトについて解説していきます。結論から言うと、犬にとってヨーグルトは適切な与え方や量を守ることで健康維持にとても役立つ食べ物です。この記事では、犬にヨーグルトを与える際のメリットや注意点をまとめていますので、大切な愛犬の健康を守るために、ぜひ参考にしてみてください。

犬にヨーグルトを与える前に知っておくべきこと

犬にヨーグルトを与える前に含まれる栄養素と効果について知っておきましょう。ヨーグルトには、牛乳の成分を引き継ぎ、良質な『タンパク質・脂質・炭水化物・カルシウム・マグネシウム・乳酸菌・ビタミンB1、B2』が豊富に含まれています。それぞれの栄養素が犬に与える効果を解説します。

タンパク質は体を作るエネルギー源として、犬の食事で最も大切な栄養素です。タンパク質源には動物性食品と植物性食品がありますが、動物性食品の方が吸収率が高いため、少量で必要な栄養素の確保が可能です。不足すると、免疫力や筋肉量の低下を引き起こし、過剰に摂取すると肥満、腎臓疾患、肝臓疾患、心疾患の危険性が高まります。

脂質はタンパク質と同じく、犬の食事にとって大切な栄養素です。犬は脂質の吸収率が90%以上と高く、また食事中の脂質量が少なすぎるとそのほかの栄養素の吸収率が低下し、体重減少の原因になることがあります。

雑食性の肉食動物である犬にとって炭水化物の主成分であるでんぷんの消化は得意ではなく、でんぷん質が多い食事は未消化物を生じやすい傾向があります。一方で、生命維持における直接的なエネルギー源として糖質の確保は必要なので活動量や犬の体質などに合わせて調節します。糖質からのエネルギー不足が起こると、体を作るタンパク質がエネルギー源として使われ、筋肉量が減るなどの原因になります。

カルシウムは犬の食事におけるミネラルで最も気をつけるべき栄養素であり、カルシウムとヨーグルトにもわずかに含まれるリンは、1:1から最大でも2:1になるようにAAFCO(米国飼料検査官協会)では基準が設けられています。このバランスが悪いと骨の成長や骨密度に影響を与えます。また、過剰に摂取すると尿路結石のリスクが高まるので注意が必要です。

マグネシウムは歯や骨を構成する成分としての役割のほかに、犬の体温や血圧を正常に保つという働きもあります。カルシウムと同様に、過剰に摂取すると尿中のマグネシウム濃度が高くなり尿路結石のリスクが高まりますが、不足すると運動機能の低下や不整脈、食欲不振、麻痺、痙攣を起こすことがあります。

乳酸菌は犬の腸内環境を整える効果があり、また最新の研究では、乳酸菌の摂取が犬のアトピー性皮膚炎の改善に効果があるかもしれないと注目をされています。

ビタミンに関しては、人と異なり犬は、グルコース(ブドウ糖)からビタミンCを体内合成することができます。またビタミンB群とビタミンKも腸内細菌により体内合成できますが、抗菌剤の服用や腸内環境が悪い場合では不足することがあるので、食品やサプリメントでの補充が有益です。

ヨーグルトに含まれるビタミンB1は皮膚や粘膜の健康を保ち、糖質を燃やしてエネルギーに変えたり、神経系の機能を正常に保つために欠かすことのできない必要なビタミンです。ビタミンB2は細胞を作る働きがあり、ビタミンB1同様、皮膚や被毛、爪などを作り、目や粘膜を健やかな状態に保ち抗酸化作用もある栄養素です。

ヨーグルトの与え方に注意が必要な理由

バランスよく豊富な栄養素を含むヨーグルトですが、犬にヨーグルトを与えるときには注意が必要です。まず、冷蔵庫から出した直後は犬の胃腸を冷やしてしまい、下痢や嘔吐を引き起こす恐れがあるので少し置いて常温に戻すなど、冷えた状態で食べさせることは避けましょう。腎臓疾患や何らかの疾患があり、治療中や療法食を与えてタンパク質やカリウムなどの栄養を制限をしている犬には与えないでください。また、ヨーグルトをあげすぎてしまうと普段与えているフードの量が減り、栄養が偏ってしまい、運動量の少ない犬の場合肥満の原因になってしまいます。さらにヨーグルトに含まれているカリウムは、利尿作用があるので、おしっこの回数が増えることがあります。愛犬にヨーグルトを与えてもいいかわからない場合は、必ずかかりつけの獣医師の先生に相談してからあげるようにしましょう。

犬の体格に合ったヨーグルトの量を知る

犬の体格に合ったヨーグルトの摂取量を知ることも必要です。犬種によって個体差や運動量の違いはあるので一概には言えませんが、おおよそ体重1kgに対し1g程度が目安になります。適量を毎日少しずつ継続してあげることは腸内環境の改善や免疫力向上にもつながり、いいことですが、ヨーグルトのあげすぎは肥満や結石などの病気の原因になるので、活動量に合わせた量をあげるようにしましょう。

ヨーグルトの与え方のポイント

次に犬にヨーグルトを与える際の健康上の注意点や正しいヨーグルトの選び方、与えるタイミングについてポイントをおさえていきましょう。

犬の健康状態を確認する

ヨーグルトをあげる際は犬の健康状態も確認してください。特に下痢などの症状が出ている際、人と同様に整腸効果のあるヨーグルトをあげたくなりますが、乳糖不耐性という、乳糖を分解するために小腸から分泌される消化酵素が元々少ない場合、さらに症状を悪化させてしまう可能性があります。下痢が治らない場合は早めに獣医師の先生に相談しましょう。

プレーンヨーグルトを選ぶ

必ず犬にあげる際のヨーグルトは甘味料や香料、着色料や増粘剤などが使われていない、プレーンヨーグルトを選ぶようにしましょう。加糖タイプのヨーグルトを与えると、糖分の過剰摂取となり、稀に嘔吐や下痢の症状が現れることがあります。長期的に摂取すると、肥満や糖尿病などの原因にもなりますので、加糖タイプのヨーグルトは避けた方がいいです。また、人工甘味料としてわずかに、犬にとって重い中毒症状(30分から1時間以内に嘔吐や脱力感、運動失調など)を引き起こすキシリトールを含んでいる場合もあるので、与える際は成分表記をしっかり確認する必要があります。プレーンのヨーグルトに、オリゴ糖やはちみつなどを加えるとヨーグルトの善玉菌を増やす相乗効果があるので、お腹の張りや便秘が気になる時には少量入れてあげるといいでしょう。

与えるタイミングに注意する

犬にヨーグルトを与える場合は、食事の前や食間より食後がおすすめです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌は胃酸に弱いため、胃酸の分泌が弱まっている食後に与えると乳酸菌が働きやすく、腸内を酸性にすることで、悪玉菌の増殖を抑えてくれます。悪玉菌の増殖を抑えてくれることで、腸の消化吸収力が高まり、食事の栄養吸収がよくなり免疫力の向上につながります。また、下痢や軟便の改善、おならや口臭の匂いも軽減します。ちなみに人では、食前にヨーグルトを食べることで血糖値の上昇を抑えてくれる効果があると研究でわかっていますが、犬ではヨーグルトと食前の血糖値の関係に関する研究が行われていないため、その効果はわかっていません。ヨーグルトの乳酸菌の効果を存分に発揮するには食後に与えるのがおすすめです。

犬の体格ごとのヨーグルトの量

では、実際に犬にヨーグルトを与える際に適切な体格ごとの量を解説していきます。ヨーグルトはあくまで普段の食事の補助なので、他のおやつやトッピングでプラスしてあげる際は普段食べているフードの摂取カロリーの10%に抑えて与えましょう。

愛犬の活動量やフードのカロリーに合わせて与える目安にしてみてください。

小型犬の場合の適切な量

4kg未満の超小型犬(チワワ、ヨークシャーテリア、ティーカッププードルなど)には約3〜4g(小さじ約1杯未満)

10kg未満の小型犬(ミニチュアダックスフンド、トイプードル、パグなど)には約5〜10g(小さじ1〜2杯)

中型犬の場合の適切な量

25kg未満の中型犬(コーギー、スピッツ、ビーグルなど)には約20〜25g(小さじ4〜5杯)

大型犬の場合の適切な量

25kg以上の大型犬(ゴールデンレトリーバー、ハスキー、シェパードなど)には約25〜40g(小さじ5杯以上)

ヨーグルトの与え方の注意点

犬にヨーグルトを与える際は以下の2点に特に注意してあげるようにしましょう。

食べ過ぎに注意する

ヨーグルトの種類によっては乳脂肪分を多く含んでいるものもあり、100gあたり30〜60kcalとカロリーが高めの物があります。脂肪分が気になる場合は、低脂肪や無脂肪タイプのヨーグルトを選んであげるといいでしょう。無脂肪で無糖類のヨーグルトであれば、カロリーも37kcalと低く、安心して与えることができます。また、フルーツ入りのヨーグルトも注意が必要です。糖分が多く、肥満の原因になりかねません。さらに犬にとって有害なフルーツもあるので注意をしてあげる必要があります。中でもブドウ、特に干しブドウは嘔吐や下痢、急性の腎障害を引き起こすといった中毒報告もありますので、絶対に与えないようにしてください。レモンやグレープフルーツなど外皮を剥かないで与える柑橘類も嘔吐や下痢の原因になりますので、万が一食べてしまった場合は、早めに獣医師に相談することが大切です。

アレルギー反応に気を付ける

ヨーグルトを初めてあげる際には下痢や嘔吐、皮膚の痒み、目の充血、くしゃみなどのアレルギー反応が出ないかよく観察してあげる必要があります。はじめは必ず少量から与えるようにしてください。万が一、アレルギー反応や気になる症状が出た場合はすぐに獣医師の先生に相談しましょう。どうしても心配な場合は、かかりつけの動物病院が空いている時間に、ヨーグルトを与えて様子をみるのも安心できる方法です。

また、消化器官が成熟する1歳以降になってからヨーグルトを与えることで、アレルギーでなかった場合でもお腹を壊したり嘔吐をする可能性は低くなります。

ヨーグルトを与えることで得られるメリット

栄養バランスに優れたヨーグルトは、食べ過ぎに注意したり、アレルギー反応に十分に気をつけることで、犬にとって嬉しいメリットが手軽に得られることができます。

腸の健康促進

ヨーグルトに含まれる乳酸菌には、人と同様に犬の腸内でも善玉菌を増やす効果があり、被毛の艶が増したり、アトピー性皮膚炎の改善や、口腔内の善玉菌も増やす効果があると言われているので、口臭対策にもいいとされています。また、腸内の善玉菌が増えて、腸内環境が整うと便の状態も良くなり、匂いも軽減されることがあります。発酵食品であるヨーグルトに含まれている消化酵素は、食べ物の消化や分解を助けてくれるので、消化や分解があまり得意ではない犬の、強い味方にもなります。そして、幸せホルモンであるセロトニンは脳の他に腸からも作られていて、腸の蠕動運動も活発にしてくれる働きがあるので、ヨーグルトは腸の健康促進には積極的に取り入れたい食材といえます。

免疫力向上

人も犬も同様に体の中での免疫機能が備わっている場所は腸で、免疫細胞の7割が備わっていると言われています。そのため、ヨーグルトの乳酸菌の力を借りて腸の健康を守り、腸内細菌のバランスを整えるということは、免疫細胞が活性化し、愛犬の免疫力向上のための近道になるといえます。また、乳酸菌の力により免疫力が上がると、アトピー性皮膚炎の改善や歯周病の症状が抑制されることが研究によって認められています。犬の高齢化により、腸内の善玉菌はどんどん減ってきてしまうので、ヨーグルトでの腸活によって老犬の免疫力や体力の向上も期待できるでしょう。シニア期からは歯周病や腫瘍も多くなってきますが、腸の免疫を保ち、より良くすることで病原菌と戦う体づくりにもつながります。ヨーグルトを毎日コツコツと続けて与えることで、アレルギー症状を抑えたり、ウイルス感染を防ぐことで風邪の予防にもなります。腸の健康を保ち、免疫力を高めることで強い抵抗力を身につけ、さまざまな病気から大切な愛犬の体を守ってあげましょう。

犬にヨーグルトを与える際の注意点まとめ

ヨーグルトは嗜好性が高いため、つい与えすぎてしまったり、アレルギーや持病がある犬、乳糖不耐性の犬に与える際は獣医師に相談するなど、注意が必要ですが、夏バテ気味の犬や食の好き嫌いが多く食が細かったり、咀嚼力や消化力が衰えた老犬、病気の回復期で固形のフードが食べ辛い犬などにはとてもおすすめの食材です。家族の一員である大切な愛犬の健康維持のために、簡単にご飯のトッピングでヨーグルトを加えたり、寒天で固めたおやつにしたり、水切りヨーグルトを使って犬用のケーキを作ってみたりと工夫することで、飼い主さんも一緒に楽しみながら食事にヨーグルトを取り入れることができます。また、メーカーやヨーグルトに入っている乳酸菌やビフィズス菌の種類や特徴によって、犬が好む味や体への効果も少し変わりますので、目的に合わせていろいろ試してみるのも楽しいですね。ヨーグルトを毎日少量ずつ継続して、その子の腸内環境にあった乳酸菌を取り入れることで内側から手軽に愛犬の健康をサポートしてあげましょう。

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