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- はじめに
- じゃがいも(ジャガイモ)を犬に与える際の注意点とは?
- 犬に与えてはいけないじゃがいもの種類とは?
- じゃがいもの適切な与え方とは?
- じゃがいもの効果(メリット)と注意点まとめ
- じゃがいもの芽や皮を誤食した場合の対処法
- まとめ
はじめに
じゃがいもは犬に与えても問題ない野菜です。しかし人間が口にできる野菜や果物でも、犬にとって毒となる食材もあるため飼い主さんは心配ですよね。
「本当に与えても平気?」「注意すべきことはあるの?」という飼い主さんのために、今回は「犬にじゃがいもを与えても大丈夫?」というテーマで解説します。
じゃがいもを与える際の注意点や適切な量についてもご紹介します。「すでに愛犬にじゃがいもを食べさせている」または「じゃがいもを与えてみたい」と考えている飼い主さんは、ぜひ当記事を参考にしてください。
じゃがいも(ジャガイモ)を犬に与える際の注意点とは?
そもそも犬にじゃがいもを与えてよいのでしょうか?
またじゃがいもにはどのような栄養素があり、犬の体へはどんな影響があるのでしょうか?
それぞれ詳しく解説します。
犬にじゃがいもを与えても大丈夫な理由とは?
「犬にじゃがいもを食べさせて大丈夫?」という飼い主さんの質問をよく目にします。結論からいうと、犬にじゃがいもを与えても問題ありません。
じゃがいもは犬が生活するうえで欠かすことのできない炭水化物や食物繊維、カリウムなどの栄養素を豊富に含んでおり、おやつなどの副菜として与えるのに適しています。
持病などの問題がなければ、子犬から老犬まで年齢を問わず与えられる野菜です。しかし子犬や老犬は消化器官が未発達または衰えていることが多いため、下痢や嘔吐などの体調不良に気をつける必要があります。
限られた季節にしか入手できない野菜も多いなか、じゃがいもは一年を通して流通しているためすぐに購入できます。また保存や加工も容易におこなえることから、犬へ定期的に与える野菜として使い勝手が良いのも特徴のひとつです。
しかし腎疾患や心疾患などの持病を持つ犬には不向きな食材であること、アレルギー反応を示す可能性があることなど注意すべき点もあります。
じゃがいもの栄養素と犬の体への影響
じゃがいもにはでんぷん(炭水化物)、ビタミン、カリウムなどのミネラル、食物繊維など、栄養素が多く含まれています。
またじゃがいもに含まれる糖質は筋肉量や免疫力の低下を防ぐ効果があります。ただし糖質の過剰摂取は肥満の原因になるため、犬の状態(犬種・体重・運動習慣など)にあわせた適量を超えてはいけません。
100gあたりの糖質やカロリーはサツマイモの約半分です。じゃがいもは食後の満足感もあるため、サツマイモよりダイエット食として向いているのはじゃがいもです。
与える際に気をつけるべき量と頻度
じゃがいもは毎日犬に与えても問題ありません。先述したように、与える量が多くなると肥満につながってしまうため、適量を守ることが大切です。
犬におやつや間食を与える場合、1日に摂取するカロリーの10%〜20%程度が適量だといわれています。
その点を踏まえたうえで、犬の体重と1日に摂取可能なじゃがいもの量を示した目安は以下のとおりです。
- 超小型犬(体重4kg以下)‥約1/2個
- 小型犬(体重10kg以下)‥約1個
- 中型犬(体重25kg以下)‥約1個と半分(1/2)
- 大型犬(体重25kg以上)‥約2個
※愛犬の体重が適正体重を上回っている場合でも、適正体重にあわせた量を守ってください。
じゃがいもの大きさにはバラつきがありますが、収穫量・出荷量ともに全国一となっている北海道では以下の規格で統一されています。
- 3L‥260g以上
- 2L‥190g以上、260g未満
- L‥120g以上、190g未満
- M‥70g以上、120g未満
- S‥30g以上、70g未満
- 2S‥30g未満
一般的なスーパーで販売されているじゃがいもは、S〜2Lサイズのものが多いようです。つまり、30g〜260gと幅広いサイズで販売されていることになります。
愛犬にじゃがいもを与える際は様子をみながら少しずつ食べさせ、体調に変化がないか観察してあげましょう。
犬に与えてはいけないじゃがいもの種類とは?
じゃがいもは犬にとっても栄養素が豊富な野菜です。しかしなかには、犬に与えてはいけないじゃがいもが存在します。体調不良の原因になるため、以下でご紹介する項目には十分気をつけてください。
生じゃがいもが危険な理由
生のじゃがいもを犬に与えるのはとても危険であり、その理由は以下の2つです。
- 犬はでんぷんをうまく消化できないため
- 加熱しないと硬く食べづらいため
それぞれ詳しく解説します。
犬はでんぷんをうまく消化できないため
犬の唾液には、でんぷんを分解し消化しやすくするアミラーゼと呼ばれる酵素が含まれていません。そのため、アミラーゼが唾液に含まれている人間のようにでんぷんをうまく消化できません。
のちの研究で、すい臓から分泌されるアミラーゼ量は祖先であるオオカミを大きく上回っていることがわかりました。しかしいずれにしろ、でんぷんの消化が苦手で時間を要することに変わりありません。
とくに加熱されていないでんぷんは消化しづらいとされており、生のじゃがいももそちらに該当します。
消化できない状態が続くと消化器官に大きな負担がかかり、それにともなった腹痛や下痢、嘔吐などの体調不良を引き起こすことがわかっています。
加熱しないと硬く食べづらいため
加熱前の生じゃがいもは身が硬く、ホクホクとした食感はありません。犬に与える際も硬いままだと食べづらいだけでなく、場合によっては喉に詰まって窒息する恐れもあります。
とくに子犬や老犬は、小さくカットしてもうまく飲み込めないケースがあるため注意が必要です。
また生のじゃがいもは甘みも少ないため美味しく食べることができません。愛犬においしい状態のじゃがいもを与えるうえでも、きちんと加熱処理しましょう。
じゃがいもを調理する際の注意点
じゃがいもを犬に食べさせる前には必ず以下の調理をおこないましょう。
- 皮や芽は必ず取り除く
- 火を通す(電子レンジでの加熱、茹でる、蒸す など)
- 食べやすいよう細かくする(刻む、潰す など)
- 味付けしない
それぞれ解説します。
皮や芽は必ず取り除く
じゃがいもの皮や芽には「ソラニン」「チャコニン」などの毒素が含まれています。犬に与える際は必ず取り除いてください。
とくに皮が緑色のじゃがいもには毒素が多く含まれているため、人間だけでなく犬にも与えてはいけません。
じゃがいもは日光にあたると芽の成長や変色がすすみます。新聞紙で包むなど、日光のあたらない風通しのよいところ(冷蔵庫も可)で保存すると長持ちします。新聞紙の湿り具合を確認し、定期的に交換しましょう。
火を通す
生のじゃがいもは体調不良を引き起こす可能性があります。また硬く食べづらいなどの問題もあるため、必ず火を通すようにしましょう。
じゃがいもは長時間茹でるとアクとともに栄養素も溶け出てしまうため、調理前に必要な大きさにカットし10分程度水にさらすのがおすすめです。これにより余分なアクを抜くことができます。
電子レンジで加熱する際は、皮をむきじゃがいもをきれいに洗ったあと、水のついた状態でラップに包んでチンします。じゃがいもの大きさによりますが、600Wで3〜5分ほどで十分加熱されます。
※竹串などで刺してみて、硬いようであればさらに20秒ほど加熱しましょう。
食べやすいよう細かくする
大きいまま与えてしまうと消化不良に陥る恐れがあるため、犬が食べやすいサイズに細かくすることも大切です。
細かく刻む、すり潰す、薄くスライスするなど、料理にあわせて適切な大きさにカットしましょう。
子犬や老犬は大きいサイズのままだと喉に詰まらせて窒息する恐れがあります。犬の年齢や犬種を考えて、カットする際の大きさを工夫しましょう。
味付けしない
犬にじゃがいもを与える際、味付は必要ありません。
人間と同じように味付けをおこなうと、塩分や糖分の過剰摂取につながります。じゃがいもに火を通したあと、犬に与えるものと飼い主が食べるものをそれぞれ分けて、飼い主の分だけ味付けを施しましょう。
じゃがいもの適切な与え方とは?
犬にじゃがいもを与える際の適切な方法を解説します。
じゃがいもを食事に取り入れる方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
犬にじゃがいものを与える際の適切な方法
犬にじゃがいもを与える際は、与えすぎない・細かくカットすることが大切です。
じゃがいもは炭水化物が多く含まれているため、与えすぎると肥満の原因になります。肥満は関節炎や高血圧、糖尿病などのリスクを高めます。
先述した「1日に摂取できるじゃがいもの量(目安)」を参考に、愛犬に適した量を与えるようにしましょう。
犬ごとに摂取できる1日の適正カロリー数は決まっているため、主食であるドッグフードの量(カロリー)を基準に、間食であるじゃがいもを与えます。
例をあげると以下のようになります。
≪主食と間食の摂取例≫
◇1日に500Kcal摂取する必要がある犬の場合
主食(ドックフード):400Kcal
間食(じゃがいも):100Kcal
=計500Kcal
※上記はあくまで例のひとつです。個体ごとに必要なカロリー数に違いがあるため、愛犬にあった主食と間食の摂取量を把握しましょう。
これまで食べていた大きさのじゃがいもでも、老化による衰えから喉を詰まらせてしまう恐れがあります。ペースト状にする、細かくカットするなど、愛犬の状態にあわせた形状で与えましょう。
じゃがいもを食事に取り入れる方法
犬が生活するうえで必要となる栄養素は、適量のドックフードを摂取していれば不足することはありません。
そのため、じゃがいもはあくまで副菜として、おやつやご褒美として与えるとよいでしょう。
ドックフードのうえに小さくカットしたじゃがいもをふりかけるなど、トッピングとして食事に取り入れる方法もおすすめです。
じゃがいもだけでは犬が必要とする栄養素を摂取できません。必ずドックフードなどの主食を与えたうえで間食として食べさせましょう。
じゃがいもの効果(メリット)と注意点まとめ
じゃがいもを与えることで犬の健康にどのようなメリットがあるのでしょうか?与える際に注意すべきこともあわせて解説します。
じゃがいもの栄養素と健康への効果(メリット)
じゃがいもにはたくさんの栄養素が含まれています。犬の健康に効果(メリット)のある代表的な栄養素をいくつかご紹介します。
【犬の健康にメリットのある栄養素】
◇でんぷん(炭水化物)
・炭水化物は脳や体を動かす際のエネルギーとして用いられる栄養素です。
でんぷんはじゃがいも以外のイモ類にも多く含まれており、消化酵素の働きで消化吸収され、すぐにエネルギーとして活用できる点で優れています。
◇ビタミンC
・ビタミンCは抗酸化作用のほか、免疫力の向上や関節炎などの病気予防に効果があります。じゃがいもに含まれるビタミンCは100gあたり35mgとリンゴの約5倍であり、茹でても壊れにくいという特徴があります。
◇カリウム
カリウムは高血圧の防止や神経・筋肉などの活動を手助けする栄養素です。
犬がカリウム欠乏症になると、成長阻害や筋肉の麻痺などさまざまな健康被害が発生します。しかし過剰摂取も犬の体によくないため、カリウムの水に溶けやすい性質を利用し、茹でこぼして犬に与えるのがおすすめです。
◇食物繊維
じゃがいもには不溶性食物繊維と水溶性食物繊維が含まれており、便秘の解消や急激な血糖値の上昇を抑える効果があります。
与える際に気をつけるべきポイントのまとめ
ここまでご紹介した、犬にじゃがいもを与える際に注意すべきポイントをまとめると以下のとおりです。
- 持病を持つ犬に与えるには不向きな場合がある
- アレルギー反応を示す恐れがある
- 犬種や年齢にあった適量を与えることが大切
- 生のじゃがいもは与えない
- 皮や芽は必ず取り除く
- 調理する際は加熱・適切なサイズにカット・味付けをしない
- ドックフードなどの主食とじゃがいもなどの間食を同一に考えない
じゃがいもは犬にとってたくさんの栄養素を摂取できる素晴らしい野菜です。しかし与えるうえで注意すべき点も数多くあるため、ご飯を手作りする際などは慎重に取り扱ってください。
じゃがいもの芽や皮を誤食した場合の対処法
犬がじゃがいもの皮や芽を誤食した場合の対処法をご紹介します。
じゃがいもの皮や芽を誤食した際はすぐに動物病院へ
犬がじゃがいもの皮や芽を食べてしまった際、以下のような中毒症状が出る場合があります。その際はすぐに動物病院へ連れていきましょう。
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 痙攣
- 失神
- 呼吸困難
- 意識障害 など
動物病院へ愛犬を連れていく際は「いつ」「なにを」「どのくらいの量」食べたのかしっかりと伝えてください。獣医師の診断を正確なものにするうえでとても重要な情報です。
ネット上では「犬が誤食したときはすぐに飼い主が吐かせるべき」などの情報があります。しかしこれは大きな間違いです。獣医学の知識のない素人が無理やり吐かせようとすると、嘔吐物が喉に詰まって窒息する恐れがあります。絶対に自分で吐かせようとせず獣医師による診察を受けましょう。
持病がある犬はより注意が必要
じゃがいもに含まれるカリウムは高血圧の防止や神経・筋肉などの活動を手助けする効果が期待できる栄養素です。しかし同時に、腎臓病などでカリウムがうまく排出できない犬は高カリウム血症になる危険性があります。
高カリウム血症は心臓の機能を著しく低下させ、場合によっては不整脈から心停止につながる恐れがある大変怖い病気です。
病気の治療状況によってはじゃがいもの摂取が良くないケースもあるため、腎疾患や心疾患以外の持病であっても、事前に獣医師と相談しておきましょう。
まとめ
今回は「犬にじゃがいもを与えても大丈夫?」というテーマで解説しました。
基本的には犬にじゃがいもを与えても問題ありません。しかし与えるうえで注意すべきことも数多くあるため、飼い主はしっかりとした知識を身につけておく必要があります。
美味しいじゃがいもを愛犬と一緒に食べられるよう、当記事で解説した内容をぜひ実生活に取り入れてみてください。