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はじめ
私たちの食卓に何気なく並ぶトマトは、一年中手に入り、手軽に美味しく栄養を摂れる野菜として重宝されています。
そんなトマトは犬にも与えて良い食べ物なのでしょうか?
今回は犬にトマトを与える際の適切な方法や注意点、危険部位を食べてしまった場合の対処法などを解説していきます。
愛犬に美味しくトマトを食べてもらうために、気を付けるポイントを抑えておきましょう。
トマトを犬に与えても大丈夫ですか?
トマトは犬に与えても問題ない食材です。
栄養素が豊富に含まれているトマトは、犬にとっても健康に良い食べ物といえます。
トマトはドッグフードに使われていることも多い食材ですが、家庭で犬に与える際には注意する点がいくつかあることをご存知でしょうか?
注意点を知らずに身体に良いから、愛犬がトマトを欲しがるからと与えていたら、思わぬ症状を引き起こすかもしれません。
犬にとってのメリット・デメリットをしっかりと確認しましょう。
トマトは犬にとって安心安全な食べ物なのでしょうか?
トマトの実の部分は犬にも安心して与えることができます。
豊富な栄養素を持つトマトを犬に与えることで健康維持に役立つでしょう。
トマトの代表的な栄養素である「リコピン」は強い抗酸化作用があり、ガン予防やアンチエイジング、生活習慣病の予防効果などが期待できます。
さらにトマトには「ビタミンC」も豊富に含まれている野菜です。
ビタミンCは皮膚の健康に欠かせないコラーゲンを作るのに必要なだけでなく、免疫力を向上させて風邪を引きにくくする効果があります。
体内でビタミンAに変化する「βカロテン」もトマトに多く含まれる栄養素の一つです。ビタミンAは皮膚や毛の活性化や、粘膜や歯を丈夫にする為にも必要な栄養素です。
「ビタミンE」は血液をサラサラにする効果があり、アンチエイジングや動脈硬化の予防に役立ってくれます。
「ビタミンC」「βカロテン」「ビタミンE」は合わせて「三大抗酸化ビタミン」と呼ばれており、相乗効果もあるこれらを豊富に含むトマトは犬にとっても栄養価の高い野菜です。
さらにトマトの90%以上は水分でできているため、夏バテなどの際に効果的に水分を摂取させることができます。
このように様々な栄養があり犬の健康にも役立つトマトですが、犬に与える際には気を付けるべき点もあります。
トマトを犬に与える際の注意点は何ですか?
初めて犬にトマトを与える際には、アレルギー症状が出ないかどうか注意する必要があります。
アレルギー症状はタンパク質への免疫細胞の反応が引き起こすもので、微量ではあるもののトマトにもタンパク質が含まれています。
初めて与える際にはトマトのみを少量与え、アレルギー症状が出ないか確認しましょう。
犬にトマトアレルギーがある場合、嘔吐、下痢、皮膚の痒みや腫れなどの症状が現れます。
ただ、すぐに症状が現れる人間の食物アレルギーとは違い、犬の食物アレルギーの症状は食後数十時間経ってから現れることが多いため、初めてトマトを食べてから数日は様子を見た方が安心です。
また、トマトに含まれる「カリウム」は腎臓の機能が低下していると正常にカリウムを排出できずに、血液中のカリウム濃度が上がってしまう「高カリウム血症」を引き起こすことがあります。
四肢の痺れや不整脈などに繋がり、重症化すれば命を落とす場合もあります。
腎臓病を患っていたり、高齢で腎臓機能が弱っている犬にはリスクがあるので、トマトは与えない方が良いでしょう。
ブタクサやシラカバ、イネ、スギの花粉症を持つ犬もトマトは要注意です。
これらとトマトは交差反応アレルゲンと呼ばれる関係性があり、タンパク質の構成が似ているために同じようなアレルギー反応が出る可能性があります。
またトマトはナス科の植物なので、同じナス科のジャガイモやナスなどにアレルギー反応がある犬は、トマトにもアレルギー反応が出てしまう可能性があります。
そのためこれらのアレルギーのある犬にトマトを与える場合、慎重に少量ずつ与えて犬にアレルギー症状が出ないかよく確認しましょう。
トマトには「シュウ酸」も多く含まれています。
シュウ酸は身体の中のカルシウムと結びつき尿路結石の原因になることもあるため、結石になりやすい犬や腎臓に疾患のある犬は注意しましょう。
シュウ酸については生野菜全般に言えることなので、犬に与える際にはそのまま与えるよりも加熱するなど工夫をすると、シュウ酸のリスクを抑えられて安心です。
トマトを犬に与える際の注意点
アレルギー症状の他にも犬がトマトを食べる際には注意するべき事があります。
知らずに与えて愛犬が苦しまないようにするためにも、しっかりと注意点を理解しておきましょう。
与え過ぎに注意しましょう
食べさせても大丈夫だからといって人間が食べる感覚で与えてしまうと
犬にとっては過剰摂取になってしまいます。
人間には一口大のミニトマトでも、身体が小さい犬には負担となります。
犬の体重などを考慮して与えすぎには注意が必要です。
水分量の多いトマトは水分補給に役立ちますが、
食べすぎると逆に水分の摂りすぎで下痢の原因になってしまうこともあります。
犬にとってのトマトはたまの補助的なおやつ程度に考え、食べすぎないように量を管理してあげましょう。
犬に適さないトマトの危険部位とは?
トマトの実の部分は犬に害はありませんが、トマトの葉や茎、花や完熟していない青い実には「トマチン」と呼ばれる有害成分が含まれています。
「トマチン」には高い殺虫効果があるため、犬が口にすると中毒を引き起こす可能性がある危険な成分です。
少量を口にしただけですぐに健康に影響があるわけではありませんが、
犬に与える際は葉や茎を取り除き、完熟している赤いトマトを与えるように気を付けないといけません。
トマトを与える際の適切な方法は?
犬に与えるトマトは生のままでも問題ありませんが、加熱する方がより安心して与えられます。
犬にとってはトマトの皮や種は生だと硬く、消化がしにくい部分です。
上手く消化出来ないと体調不良の原因や消化器官への悪影響も考えられるため、生ではなく加熱して与える方が良いでしょう。
加熱することで皮が剝きやすくなりますし、実も柔らかくなって食べやすくなります。
トマトの栄養素「リコピン」は加熱するとより吸収率が高まると言われており、
また尿路結石の原因にもなる「シュウ酸」も加熱により溶かし出す事ができます。
生であげられる方が用意が楽ですが、犬の為には加熱したものを与えてあげましょう。
特に消化器官がまだ未発達な子犬や、高齢で消化機能が低下してしまったシニア犬は
トマトは上手く消化できずに下痢や嘔吐などを引き起こす可能性があります。
消化が不安な犬には無理に与えず、食べたがるのであれば加熱して皮と種を取り除き、
柔らかくしてから量を加減して与えるなどの工夫が必要です。
トマトの適正量と与え方
栄養があって手軽に与えられるトマトは、愛犬が欲しがればついいくつもあげたくなります。
しかし、いくら体に良いからといって食べ過ぎは禁物です。
犬のトマトの摂取量は、基本的に1日の食事量の10%以内とされています。
他の野菜も与える場合はそれらも含めて10%以内なので、与えて良いトマトの量は思っている以上に少ないかもしれません。
愛犬がトマトを食べ過ぎないよう、適正量をきちんと把握しておきましょう。
ここでは大型犬、中型犬、小型犬など、体重別のトマトの適正量をご紹介します。
犬に与えるトマトの適正量は?
犬のトマトの食べすぎに注意が必要ですが、では一体どれくらいの量をあげても良いのでしょうか?
人と同じく犬にも大型犬から超小型犬まで様々な体格の犬種がいます。
食事の量が体重によって違うように、犬の種類によって与えて良いトマトの適量も変わってきます。
体重が25㎏以上あるゴールデンレトリバーやセント・バーナードのような大型犬の場合、
与えて良いトマトの量は36g〜78gです。
通常のトマトは小さいものでも150gはあるので、トマト1個を全て与えてしまうとあげすぎになります。
ミニトマトであれば1個20gほどなので、大型犬なら3個程度が適量です。
柴犬やボーダー・コリーなど体重10~25㎏ほどの中型犬に与える適正量は
13g〜39gほどが目安とされています。
ミニトマト2個では多いので、1個半を与えると良いでしょう。
10kg未満の小型犬、トイ・プードルやミニチュア・ダックスフンドなどは
7g〜15gの摂取量が良いとされています。
ミニトマト1個分でも多いことになるので、ミニトマトを半分がちょうど良い量になります。
チワワやティーカップ・プードルなど、成犬でも体重が5kg以下の超小型犬の摂取量は5〜10gが目安です。
ミニトマト約20gの半分でも与えすぎとなり、ミニトマト4分の1から半分ほどしかあげられません。
これらはあくまで目安なため、1日の量を決めるのではなく、愛犬の体調などを考慮しつつ与えることをおすすめします。
そもそもトマトは栄養面において犬に絶対必要な食材ではありません。
総合栄養食としてドッグフードを食べている場合は無理にトマトを与える必要もないので、
食欲が落ちていて水分補給をさせたい場合や愛犬が食べたがる場合におやつとして少量与えるなど、毎日与えるのではなく3〜4日に1回など調整して与えましょう。
トマトを調理してから与えるべき?
様々な栄養素を持つトマトですが、犬に与える際は調理する必要があるのでしょうか?
基本的には生のままや加熱して皮を剥いて与えると良いとされており、特別に調理する必要はありません。
しかし、せっかく栄養たっぷりのトマト、愛犬にも美味しく食べてほしいものです。
そのまま与えるのであれば、ヘタを取り除いて小さくカットし、食事にトッピングすると良いでしょう。
生の状態でも栄養は摂れますが、トマトは加熱することで旨味成分やリコピンが増える野菜です。より栄養を考えるのであれば加熱することをおすすめします。
トマトを茹でて皮を剥き、小さくカットして与えます。茹でた水の中にもビタミンCやカリウムが溶け出すので、汁ごと与えてスープのように調理しても美味しくなります。
オーブンやトースター、フライパンなどで焼いて加熱すればより甘みが増すため、酸味が苦手な愛犬に与える際におすすめです。
また、トマトにはケチャップやトマトピューレ、トマトジュースなど様々な加工品があります。
これらはトマトの成分が凝縮されているため少量なら問題ないように思えますが、多くの製品には調味料が含まれているため、犬に与えるのはおすすめできません。
特にトマトケチャップは玉ねぎや香辛料など犬に悪影響のある原料が含まれているので、
少量であっても絶対に与えないでください。
トマト缶やトマトジュースの場合、原材料がトマトのみのものであれば少量なら問題ありませんが、栄養を気にするのであれば生のトマトを与えるほうが良いでしょう。
基本的には加工品は与えない方が無難と言えます。
トマトの危険部位と対処法
トマトのまだ熟していない青い実やヘタや茎、花は犬にとって悪影響のある危険部位です。
目を離した隙に愛犬がまだ青いトマトを食べてしまった!
落ちたヘタを拾う前に素早く食べられてしまった!
など、気を付けていても犬がトマトの危険部位を誤って食べてしまう事態は起こり得ます。
そのような場合はどのように対処すれば良いのでしょうか?
犬がトマトの危険部位を食べてしまった場合の対処法は?
もし犬がトマトの危険部位を食べてしまった場合は、まずは口の中に残っていないか確認し、残っている場合は出来るだけ取り除きましょう。
飲み込んでしまった場合でも消化する前であれば中毒症状を起こす前に対処出来るため、
速やかに吐かせる処置が必要になります。
だからといって家で無理に吐かせるのは禁物です。食べてから2時間以内に動物病院を受診し、獣医に吐かせる処置をしてもらいましょう。
トマトの危険部位を食べた場合の症状とは?
犬がトマトの危険部位を食べた場合に起こる中毒症状としては、
下痢や嘔吐などの消化器症状や、歯茎の色が白っぽくなる、ぐったりするなどの貧血症状があげられます。
トマチン中毒による症状が重症化すると、最悪の場合死に至ることもあります。
危険部位を食べたと分かっている場合は速やかに動物病院を受診しましょう。
その際、食べたトマトが残っていれば持参し、食べた時間や量を獣医に伝えるとスムーズに診察が可能になります。
獣医の指示に従って行動しましょう。
愛犬がトマトの危険部位を食べてしまった!と心配のあまり焦ってしまうかもしれませんが、まずは落ち着いて愛犬の状態を確認し、動物病院で獣医の指示を仰ぎましょう。
早く吐かせなければと家で無理やり処置してしまうと、暴れ出して怪我をするなど却って危険な状態になる場合もあります。
食べてからすぐに動物病院を受診すれば消化前に処置してもらえるので、
家では口の中に残っているものを取り除くのみに留め、獣医の指示に従いましょう。
まとめ
犬にトマトを与える際のリスクや適正量、危険部位などをご紹介しました。
犬にとっても栄養豊富で健康に役立つトマトですが、ヘタや茎、青いトマトは中毒症状を引き起こす成分が含まれているため与えないようにし、食べすぎには注意が必要です。
水分を多く含むため下痢になりやすく、体質によっては避けた方がよい食材でもあります。
身体に良いからといって無理に食べさせず、適量を守って与えることが大切です。
トマトが好きな愛犬に安心安全に美味しく食べてもらうためにも、正しい与え方を意識しましょう。