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はじめに
栄養素が豊富に含まれており、人間の体によい効果を与えるとされている「納豆」。納豆は、犬に有害な成分が含まれていないため、与えてもよい食品です。ただし、ワンちゃんに与える際にはいくつか注意したいポイントがあります。
今回は、納豆をワンちゃんに与えるときの注意点や適切な与え方について解説します。記事後半では納豆のメリットについても紹介していますので、納豆をあげてみたいなと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
納豆を犬に与える際の注意点とは?
ワンちゃんに納豆を与える際には、量や頻度などいくつか注意したい点があります。ここでは、納豆を与える際に適切な量と頻度を解説します。
与えても大丈夫な理由とは?
納豆には、「タンパク質」や「カリウム」などの多くの栄養素が含まれていますが、犬の体に悪影響を与える成分は入っていません。そのため、納豆はワンちゃんに与えられる食品です。
ただし、大豆アレルギーのある犬は与えない方がよいでしょう。納豆は大豆を納豆菌で発酵させ、作られています。大豆アレルギーのあるワンちゃんが摂取するとアレルギー症状があらわれる可能性があります。
アレルギー症状は、食べてからすぐみられるモノから、数時間経ってあらわれるモノまでさまざまです。口のかゆみ、下痢、嘔吐などの症状があらわれ、命の危険もあるため、納豆を与えないようにしましょう。
納豆の栄養素と犬の体への影響
納豆には、以下のような栄養素が含まれています。
- 食物繊維
- タンパク質
- ミネラル
- ビタミン
- ナットウキナーゼ
- グルタミン酸
- 大豆サポニン
納豆に含まれる栄養素は、犬の体によい影響を与える成分が含まれています。例えば、食物繊維は整腸作用を期待できます。また、タンパク質は犬の体を健康に維持するために不可欠な成分で、筋肉や肉、内臓などを生成しています。
納豆に含まれる栄養素が犬の体にもたらすメリットは、記事の後半で紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
与える際に気をつけるべき量と頻度
納豆をワンちゃんに与える際には、量と頻度に注意しましょう。納豆の食べ過ぎは、体によいとされている栄養素を過剰に摂取してしまい、体に悪影響を及ぼす恐れがあります。
一度に与えてよい目安量は、犬の1日の必要カロリー量の10%程度だとされています。犬の体の大きさ別の納豆を与える量は、以下の通りです。
超小型犬(~4kg未満) | 約3~5g(小さじ1杯) |
小型犬(4~10kg未満) | 約16g(大さじ1杯) |
中型犬(10~25kg未満) | 約27g(1/2パック) |
大型犬(25kg以上) | 約27~45g(1パック) |
また、ワンちゃんに納豆を与える頻度の目安は、3日~1週間に一度と言われています。納豆は栄養価の高い食品です。毎日与えると、栄養の過剰摂取となるため、時々もらえる特別なおやつとして与えた方がよいでしょう。
犬に与えてはいけない納豆の種類とは?
ワンちゃんに納豆を与える際には、納豆の種類と調理方法にも気をつける必要があります。ここでは、犬に与えられない納豆の種類と、納豆を調理する際の注意点を解説します。
納豆の中でも避けた方が良い種類
納豆は、「甘納豆」「糸引き納豆」「寺納豆」の3種類に大きく分けられます。糸引き納豆は、私たちの食卓によく出てくるお馴染みの納豆です。糸引き納豆は、丸大豆の納豆とひきわり納豆がありますが、どちらも犬に与えても問題ありません。
甘納豆は、大豆を砂糖で煮詰めて作られます。糸引き納豆の材料が水と大豆と納豆菌のみに比べて、甘納豆には砂糖が使用されているため、ワンちゃんに与えるのには向いていません。
また、寺納豆とは大豆と小麦と麹菌を塩水に漬けて熟成させて作る納豆です。糸引き納豆と比べ、小麦や塩が大量に含まれているため、ワンちゃんに与えるのは避けた方がよいでしょう。
さらに、納豆の加工品にも注意が必要です。原材料に大豆と納豆菌と水以外が入っている場合は、犬の体に悪影響を与える可能性があります。納豆の加工品のなかで犬に与えられるモノは、フリーズドライの商品です。フリーズドライとは、凍結させた食品を真空状態にして水分を抜く加工方法です。普通の納豆と成分はほぼ変わらず、ワンちゃんにも安全に与えられます。
納豆の調理方法の注意点
ワンちゃんに納豆を調理して与える場合は、納豆に付属しているタレと薬味は使用しないようにしてください。納豆のタレには塩分が多く含まれており、犬の体に悪影響を及ぼす恐れがあります。塩分の摂り過ぎは、腎臓や心臓に負担をかけるので、与えないように注意しましょう。
薬味であるカラシは、ワンちゃんにとって刺激物となります。また、納豆の薬味としてよく使用するネギも、犬にとっては毒となります。ネギの香味成分である「アリルプロピルジスルフィド」という成分が犬の体内に入ると、血液中の赤血球を溶かす現象を引き起こし、重度の貧血状態となります。溶血性貧血が重度になると、死亡する可能性も高くなるため、ネギは入れないように調理しましょう。
納豆の適切な与え方とは?
次に、ワンちゃんに納豆を与える際の適切な方法を紹介します。納豆を効率よく食事に取り入れる方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
納豆の調理方法と犬への与え方
ワンちゃんに与える納豆は、丸大豆の納豆よりもひきわり納豆がおすすめです。犬は食事の際にご飯をほとんど噛まずに丸呑みすることが多いため、ひきわり納豆の方が消化・吸収しやすいというメリットがあります。
納豆の栄養素は熱にも強いため、加熱調理も可能です。もちろん、特に調理をせずにそのままワンちゃんに与えることもできます。ワンちゃんに与える際には、よく混ぜた方がなめらかな食感になり、食べやすくなります。上記で紹介した1回の納豆の目安量を守って与えましょう。
ワンちゃんに与える方法は、以下の3つがあります。
- ドッグフードにトッピングする
- おやつとして納豆単体で与える
- 納豆を調理してメインのご飯として与える
ドッグフードにトッピングまたはおやつとして与える方法は、犬の口周りが納豆のネバネバで汚れる可能性があります。食後は飼い主が口周りを拭いてあげましょう。納豆を加熱調理して与える場合は、納豆のネバネバは少なくなります。
納豆を食事に取り入れる方法
納豆をワンちゃんの食事に効率よく取り入れるには、パウダータイプの納豆やフリーズドライの納豆がおすすめです。パウダータイプやフリーズドライは、納豆特有のネバネバした糸が出ることなく、手軽に食事に取り入れられます。
また、ワンちゃんのなかには、納豆の独特のニオイが苦手な子もいます。パウダータイプやフリーズドライは、納豆独特のニオイが少なく、苦手なワンちゃんでも食べられる可能性があります。
フリーズドライの納豆は、普段食べているドッグフードにふりかけたり、おやつに取り入れたりとさまざまな与え方が可能です。フリーズドライの納豆にも丸大豆タイプとひきわりタイプが販売されているので、ワンちゃんの好みに合わせて選んでみてください。
納豆のメリットと注意点まとめ
ここからは納豆をワンちゃんに与えるメリットを、納豆に含まれる栄養素別に紹介します。さらに、納豆を与える際の注意点をまとめて紹介しますので、ワンちゃんに納豆を与える前にチェックしておきましょう。
納豆の栄養素と健康への効果
納豆には、犬の体へよい影響を与える栄養素が豊富に含まれています。納豆の栄養素とその健康効果については以下の通りです。
食物繊維 | 納豆には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の両方が含まれています。水溶性食物繊維は、水に溶けてゼリー状になり、腸の老廃物を体外に排出する働きがあります。 一方、不溶性食物繊維は水に溶けにくく、便をかさ増しし、腸の動きを助ける役割があります。どちらも整腸作用が期待できますが、与えすぎるとお腹の調子が悪くなるため、注意しましょう。 |
タンパク質 | タンパク質は肉食に近い動物である犬にとって、体を作るのになくてはならない成分です。筋肉や骨、内臓の形成に大きな役割を持っています。 他にも体を動かすためのエネルギーとしての役割や、血液循環を助ける働きなどもあります。 |
ミネラル | 納豆に豊富に含まれているミネラルは、犬の体の組織や体液を構成する成分です。ミネラルには、細胞や神経伝達、pHバランスを調整する役割があります。 ミネラルは犬の体内で作ることができません。そのため、日ごろの食事で摂取する必要があります。 |
ビタミン | 納豆にはビタミンB2やビタミンKが豊富に含まれています。ビタミンB2は、皮膚や被毛の健康を保つことができ、皮膚病などの予防につながります。 ビタミンKは、骨を丈夫にする働きがある成分です。 |
ナットウキナーゼ | ナットウキナーゼは、大豆が発酵する際に生成される成分です。ナットウキナーゼは、血栓を溶かす働きがあり、血液をサラサラに保つことができます。 |
グルタミン酸 | 納豆のネバネバとした成分は、グルタミン酸が結合してできた「ポリグルタミン酸」と呼ばれる成分です。グルタミン酸は、腸のバリア機能の向上や腸内環境の改善などの働きがあります。 |
大豆サポニン | 大豆サポニンには、抗炎症効果や抗ガン作用、活性酸素の除去などの働きがあります。活性酸素の除去ができるため、老化を遅らせる効果を期待できます。 |
与える際に気をつけるべきポイントのまとめ
納豆を与える際には、以下のポイントに注意することをお伝えしてきました。
- 大豆アレルギーのある犬には与えない
- 1日の目安量を守る
- 3日~1週間に一度の頻度にする
- 甘納豆、寺納豆、人間用に加工された納豆の加工品は与えない
- 納豆に付属している「タレ」や「薬味」は与えない
- 丸大豆の納豆よりひきわり納豆がおすすめ
大豆アレルギーがなくても、腎臓病の犬は納豆を避けた方がよいと言われています。納豆に多く含まれているタンパク質とカリウムは、腎臓に負担をかける可能性があります。腎臓病の疾患がある場合は、症状が悪化しないようにするために、納豆を与えないことが大切です。
納豆をワンちゃんに初めて与えるときは、少量から始めることをおすすめします。初めて食べる物は、お腹の調子が悪くなったり、皮膚に湿疹があらわれたりと異常があらわれる可能性があります。まずは少量から与えて様子を見て、問題がないようであれば1日の目安量まで量を増やしましょう。
納豆を食べるときの犬の反応と注意点
ここからは、納豆を食べたときのワンちゃんの反応とその反応の意味をいくつか紹介します。自宅のワンちゃんに納豆を食べさせたことがある人は、そのときの様子を思い出しながらご覧ください。まだワンちゃんに納豆を食べさせたことがない人は、自宅のワンちゃんがどのような反応をするのか予想しながら見ていきましょう。
犬が納豆を食べるときの反応と意味
ワンちゃんによって、納豆を食べるときの反応はさまざまです。好奇心が強く食欲旺盛のワンちゃんは、納豆を混ぜているときから欲しそうにすることもあります。ほとんどのワンちゃんは納豆のニオイも好きで、初めて食べるときでも食いつきがよい子が多いようです。
納豆を食べる前や食べた後に、ワンちゃんが自分の口周りをペロペロと舐める行動をすることがあります。この行動には、目の前のご飯が美味しそうという気持ちが込められています。食後にもずっと口周りを舐めているときは、よっぽど納豆が美味しかったと考えてよいでしょう。
また、SNSでは納豆を初めて食べたワンちゃんが歯をカスタネットのようにカチカチと鳴らす動画が話題となりました。心配になった飼い主は、動物病院に連れていったところ、とくに異常は見つからず、獣医師からは「美味しすぎて興奮したんですね」と診断されたようです。納豆が美味しすぎて少し変わった反応をするワンちゃんもいるので、ワンちゃんの反応は一頭ずつ個性があると言えます。
食べる際に気をつけるべきこと
ワンちゃんが納豆を食べる際には、納豆がのどにつまっていないか注意しましょう。特に丸大豆タイプの納豆は、超小型犬など体の小さい犬が食べるにはやや粒が大きめです。体の小さいワンちゃんに与える際には、ひきわり状に包丁で細かく刻んで与えることをおすすめします。
納豆を一度食べてから大好きになるワンちゃんは多いようです。納豆は犬の体にもよい栄養素が多く含まれていますが、食べ過ぎは体に毒となります。納豆が大好きなワンちゃんは、飼い主が納豆を食べているときにも、「ちょうだい」と寄ってくる可能性が高くなります。ワンちゃんに納豆を与える際には、適量を守って与えましょう。
まとめ
納豆はワンちゃんに与えることができる食品で、体にもよい栄養素が豊富に入っています。
納豆の適量は、犬の1日の摂取カロリーの10%とされており、体の大きさによって異なります。納豆の食べ過ぎは栄養を過剰摂取してしまう可能性があり、体に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
納豆を効率よく食事に取り入れるには、パウダータイプの商品やフリーズドライの納豆がおすすめです。パウダーやフリーズドライであれば、納豆特有のネバネバとした糸でワンちゃんの口周りが汚れることがありません。また、いつものドッグフードにふりかけたり、おやつとして手軽に与えたりもできるため、おすすめです。
ぜひ、ワンちゃんの健康のために、いつもの食事やおやつとして納豆を取り入れてみてください。