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はじめに
いちごは、甘くて美味しいだけでなく、ビタミンが豊富で美容効果もあるフルーツです。おいしくて美容にもいいとあれば、ワンちゃんにも食べさせてあげたい!と思う方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、犬にいちごをあげるときの注意点や適切な量を解説します。いちごの選び方や処理方法、簡単ないちごのおやつレシピも紹介しますので、ワンちゃんにいちごを食べさせてあげたいと思う方は、ぜひ参考にしてください。
犬にいちごをあげる前に知っておきたいこと
犬が少量のいちごを食べるのは、基本的に問題はありません。ただし、与え方には注意が必要です。
ここでは、犬にいちごをあげる前に知っておきたいこととして、与え方に注意が必要な理由や健康上の利点、潜在的なリスクをご紹介します。
いちごの与え方に注意が必要な理由
いちごには、キシリトールという犬にとって有毒な成分が含まれています。犬は、キシリトールを摂取しすぎると低血糖や肝機能障害を起こす恐れがあるので、与え方に注意が必要です。
犬がキシリトールを摂取して危険な量の目安は、「体重10kgの犬が1000mg以上摂った場合」と報告されています。
そこで、いちごのキシリトール含有量(100gあたり350mg)で計算すると、体重10kgの犬がいちごを280g以上食べた場合に、キシリトールの中毒症状が起こる恐れがあることになります。
いちごの標準的なサイズは、1粒約30gですので9個以上食べると危険です。そのため、犬にいちごを1~2粒与えるだけでは、中毒を起こす危険はほとんどないでしょう。
またいちごは、食物繊維や水分も多いため与えすぎると下痢をしてしまうこともあります。以上の点から、犬にいちごを食べさせるときには、適量を与えるよう注意しましょう。
犬にとってのいちごの健康上の利点と潜在的なリスク
いちごには、ビタミンC・アントシアニン・ペクチン・カルシウム・鉄分・葉酸・カリウムといった美容や健康に嬉しい成分が含まれています。
いちごに含まれる栄養素とそれぞれの効能は以下のとおりです。
- ビタミンC:皮膚や骨を構成するコラーゲンの形成をしていて犬の皮膚や粘膜を健やかに維持するのに役立つ栄養素です。また強い抗酸化作用があるので、免疫機能アップ、発がん物質の生成抑制、アンチエイジングなどが期待できます。
- アントシアニン:ポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用がある栄養素です。犬の体に良くない働きをする活性酸素を抑え、アンチエイジング、目の疲れの回復、免疫機能アップなどが期待できます。
- ペクチン:腸内環境を整えるために必要不可欠な水溶性食物繊維です。腸内環境を正常に保つ作用があり、便秘解消効果や善玉菌を増やす効果、免疫力アップが期待できます。ただし、摂りすぎると下痢になる可能性もあるので注意が必要です。
- カルシウム:骨や歯の材料になり、犬の体のバランスを整えるために重要な栄養素です。その他にも神経の伝達・ホルモンの分泌・筋肉の収縮などに役立ちます。
- 鉄分:体を動かすのに必要不可欠なミネラルの一種です。体内に酸素を送る働き、鉄分や酸素の貯蔵を行います。犬は鉄分が不足すると、貧血が起きたり、疲れやすくなったり、毛にツヤがなくなったりします。
- 葉酸:「造血のビタミン」と呼ばれるビタミンB群の一種です。DNAの合成に関係していて、妊娠中や成長期の犬には特に必要と考えられています。犬の貧血改善や免疫力アップも期待できます。
- カリウム:生命維持活動に必要不可欠なミネラルです。過剰な塩分を排出し、血圧を安定させる働きがあります。ただし、腎臓が弱っていると、カリウムを正常に排出できず心臓にダメージを与えてしまうため注意は必要です。
上記にも記したとおり、犬にとっていちごは健康上の利点が多くありますが、下痢になる可能性があったり、腎臓が弱っている犬は摂取に注意が必要だったりと、潜在的なリスクもあります。
さらに、いちごに多く含まれる果糖には、肥満や糖尿病のリスクを高める可能性がありますので、食べ過ぎにも注意が必要です。
ワンちゃんがいちごを食べたがっても、大量にあげすぎないように気をつけましょう。
犬にいちごを与えるポイント
先にも触れましたが、いちごは、犬にとって健康上の利点が多い食べ物ですが、潜在的なリスクもあるため適量を与えることが大切です。
そこで、犬にいちごを与えるときの適切な量と頻度の決め方、事前に確認すべきことを解説します。
適切な量と頻度の決め方
犬にいちごを与えるときは、体重に合った適切な量にしましょう。
犬にとってメインの食事以外に摂取可能なカロリーは、1日に必要なカロリーの約10%です。また、いちごのカロリーは100gで約34kcalあります。
これらを基に算出した犬にいちごをあげる適切な量は、以下のとおりです。
体重4kg未満の超小型犬:約1/4〜2/3個
体重10kg以下の小型犬:約1〜2個
体重25kg未満の中型犬:約2〜3個
体重25kg以上の大型犬:約3〜5個
ただし、上記はあくまでも目安で犬の年齢や健康状態、運動量によって適切な量には差があります。まずは、ワンちゃんの様子を見ながら、目安量より少なめの量を与えるようにしましょう。
いちごをあげる前に確認すべきこと
いちごには、カリウムが多く含まれます。そのため、腎臓病や心臓など病気の治療中の犬や療養食を食べている犬にいちごを食べさせる場合には、必ずかかりつけの動物病院で確認してください。
犬にいちごをあげる際の注意点
いちごは、健康な犬であればあげることができます。ただし、実際にいちごをあげるときには、アレルギー反応の可能性と種や茎の取り扱いに注意が必要です。
アレルギー反応の可能性
犬でも人間と同じように食物アレルギーが出る可能性があります。いちごは、バラ科の果物のため、バラ科のアレルギーがある場合には注意が必要です。
犬にいちごをあげた後に、以下の症状が見られる場合は食物アレルギーの可能性が高いため、すぐにかかりつけの動物病院を受診してください。
- 口の周りが赤く腫れる
- 目が充血する
- 嘔吐・下痢をする
- 皮膚を痒がる
犬に食物アレルギーがなくても、いちごの成分と体質が合わないこともあります。初めていちごを与えるときには、少量ずつあげて、食べたあとの犬の様子をよく観察しましょう。
種や茎の取り扱いについての注意
いちごに限らず、犬に果物を与えるときには、種や茎を取り除く必要があります。理由は、種や茎で窒息する可能性があることと体に悪影響を及ぼすことがあるからです。
いちごの場合は、種を取り除いて食べさせる必要はありません。茎やヘタは、固くて消化に悪いので取り除きましょう。
いちごの選び方と処理方法
いちごは、栽培時に虫の被害を受けやすく栽培期間も長いため、農薬を多く使用して栽培されます。そのため、いちごは残留農薬が多い食品です。
大切なワンちゃんに与えるのに、いちごの残留農薬を心配される方もいるのではないでしょうか。そこで、安全ないちごの選び方や洗浄方法などをご紹介します。
安全ないちごの選び方のポイント
安全ないちごを選ぶ方のポイントは、無農薬栽培や有機JAS認定、特別栽培農作物のいちごを選ぶことです。
いちごは、農薬を使用せずに育てるのが非常に難しいため、無農薬栽培のいちごは非常に希少でスーパーなどではなかなか手に入りません。
無農薬栽培のいちごは、無農薬野菜を配達している宅配サービスやネットで購入できることが多いです。
また、有機JAS認定のいちごは、化学薬品不使用でかつ国の基準をクリアした栽培方法や環境で栽培されたいちごで、「有機いちご」「オーガニックいちご」と表記されて販売されています。
特別栽培農作物のいちごは、農林水産省が定めた減農薬のガイドラインをクリアして栽培されたいちごです。化学薬品の使用量は慣行栽培のいちごより少ないものの、農家によって差があるため、生産者や栽培方法を確認できるいちごだとより安心できます。
洗浄とカットの方法
いちごは食べる前に必ずしっかりと洗いましょう。気になる方は、重曹水や食品用洗浄剤などで洗うのもおすすめです。
いちごを洗うタイミングは、食べる直前にしましょう。果肉が弱って痛みやすくなってしまいます。
また、洗うときには、ヘタは取り外さずに洗ってください。ヘタを取り除いてから洗うと、栄養が流れ出したり、水っぽくなったりしてしまいます。
いちごをしっかり洗ってヘタを取り除いたら、必ず食べやすくカットしてあげましょう。そのまま与えると、嘔吐や窒息の原因になります。潰すか小さく刻んであげてください。
代替品としての果物の選択肢
いちごをはじめとした果物は、食物繊維やビタミンなど栄養が豊富なものが多いため、食事の代替品に与えたいと考える方もいるのではないでしょうか。
ここでは、いちご以外に犬に安全な果物や代替品として果物を与えることについて解説していきます。
いちご以外の犬に安全な果物の提案
果物は、栄養もあり体にも良く適量を与えるのであればおすすめです。ただし、果物の中には犬に与えると危険なものもあります。
そこで、いちご以外に犬に安全な果物を提案しますので参考にしてください。
- りんご
- ばなな
- キウイ
- みかん
- すいか
- 柿
- 梨
- アセロラ
- クランベリー
- クコの実
- アサイー
- ブラックベリー
- カシス
- 栗
上記の果物を犬に与える際には、皮・種・芯・茎を取り除き、喉に詰まらせないよう小さく刻んであげるようにしましょう。
バランスの取れた食事の重要性
結論から述べますと、食事の代替品として果物を与えるのはおすすめしません。
その理由は、3つあります。
第一に、犬は肉食に近い雑食で、腸管が短くたくさんの果物を消化できないからです。食事の代替品として果物を与えるのは、犬の体にとって負担になります。
第二に、果物は果糖が多いからです。与えすぎると肥満や糖尿病のリスクを高めてしまいます。
第三に、人間と同じように犬も毎日の食事から体が作られるため、栄養バランスの取れた食事をとる必要があるからです。
ただし、犬にとって栄養バランスの取れた食事は人間とは異なり、ペット栄養学の正しい知識を基に作られた食事を与えることが重要です。
そのため、果物は犬の食事の代替品として与えるのではなく、バランスの取れた食事のトッピングやおやつとして少量を与えることをおすすめします。
犬に与えるいちごのレシピ
先にも触れましたが、犬にいちごを与えるときには、おやつとして少量をあげるのがおすすめです。いちごを小さく刻んで与えるだけでもデザートに良いですが、少し手を加えるだけで
ぐっと特別なおやつになります。
ここでは、犬に与える簡単で安全ないちごのおやつレシピをご紹介します。
簡単で安全ないちごのおやつの作り方
犬にあげるいちごを使った簡単で安全なおやつは「いちごのババロア」です。材料は、いちご・豆乳・ゼラチンの3つだけでできます。
普段のおやつにも、お祝いなど特別な日にもおすすめのレシピです。
材料
- いちご 中3個(約50g)
- 無調整豆乳か牛乳 50g
- ゼラチン 2g
作り方
- ゼラチンを大さじ1/2〜1の水でふやかす
- 常温に戻しておいたいちごと無調整豆乳をミキサーに入れて撹拌する
- 1のゼラチンをレンジで15秒ほど温め沸騰させて溶かし、ミキサーに加える
- いちごと豆乳、ゼラチンをミキサーで撹拌する
- 容器に移す
- 冷蔵庫で1時間ほど冷やし固める
お好みで、飾りに小さく刻んだいちごやミントを飾るのもおすすめです。無調整豆乳は、牛乳など他のミルクでも代用できますのでお好みのミルクを使用しましょう。また、ゼラチンを寒天に変えることも可能です。
まとめと注意喚起
今回は、犬にいちごをあげるときの注意点や適切な量をご紹介しました。いちごは、犬に与えても良い果物ですが、注意が必要な場合もあります。
ワンちゃんの健康と安全を考える重要性
いちごは、ビタミンC・アントシアニン・ペクチン・カルシウム・鉄分・葉酸など美容や健康に良い栄養成分が豊富に含まれています。
ただし、いちごには、キシリトールやカリウムも含まれているので注意が必要です。犬は、キシリトールを摂取しすぎると低血糖になってしまう恐れがあるので、体重に合った適量を与えるようにしましょう。
また、腎臓病などの治療中や療養食を食べている場合は、いちごに含まれるカリウムを正常に排出できず心臓にダメージを与えてしまう可能性があります。持病があるワンちゃんは、食べさせる前にかかりつけの動物病院で相談してください。
さらに、バラ科の果物にアレルギーがある犬は、いちごにアレルギー反応を起こす可能性もあります。初めて犬にいちごをあげるときには少量をあげ、食べた後の様子を慎重に観察しましょう。
口の周りが赤く腫れる、嘔吐や下痢、目の充血、皮膚を痒がるなどいつもと違う様子がでてきたら、すぐにかかりつけの動物病院を受診しましょう。
いちごを与える際のポイントを再確認
犬にいちごをあげる量は、1日に必要なカロリーの約10%程度が目安です。栄養バランスの取れた食事のトッピングやおやつとして少量を与えるようにしましょう。
また、いちごは農薬を多く使って栽培する果物です。残留農薬が気になる場合は、できるだけ無農薬いちごや有機栽培いちごなどを選びましょう。
いちごは食べる直前にしっかり洗い、消化に悪いヘタは取り除きます。洗ってヘタを取った後は、窒息や嘔吐を防ぐため、潰すか小さく刻んでからあげましょう。