【獣医師監修】猫の警戒心を解くにはどうしたら良い!?原因と対策を解説

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はじめに

猫との信頼関係1

猫は独立心が強く、新しい環境や人に対して警戒心をもちます。なぜ猫が警戒心を持つのか理由を理解すれば、猫とのより良い信頼関係を築いていけるはずです。

この記事では獣医師監修のもと、警戒心を持つ理由や警戒心を和らげる方法について詳しく解説します。具体的なステップを着実に踏んで、猫との距離を縮めていきましょう。

なぜ猫は触らせてくれないことがあるの?

猫が人に触らせてくれないのには、いくつかの理由があります。信頼関係ができていなかったり、特定の箇所への触られることに対する嫌悪感であったり、ストレスなどさまざまです。

それぞれの理由を細かくみていきましょう。

信頼関係が足りない

猫と人との間には、信頼関係が非常に重要です。猫は基本的に警戒心が強い動物で、新しい環境や人に対して特に慎重になります。

猫が人に触らせてくれない主な理由の一つは、その人との間に十分な信頼関係が築かれていないことです。そのため、子猫の頃から家族に迎え入れている場合は、触らせてくれないことはあまりありません。

信頼関係が築けていない場合、猫は不安や恐怖を感じて身を守るために触られることを避けます。

信頼関係を築くには十分な時間が必要です。猫のペースに合わせてゆっくり近づき、猫が安心できる環境にしてあげましょう。また、おもちゃやフードなどを使って近づき、あなたは危険なものではないと思ってもらえるようにすることも大切です。

触られるのが苦手な性格である

猫にはそれぞれの個性があり、中には触られること自体が苦手な性格の個体もいます。猫の生い立ちや遺伝的な要因であったり、それぞれの経験によって苦手になったりすることが多いです。

また、猫は独立心が強く自己主張がはっきりしているため、自分の意思に反する場合、触られることを拒むことがあります。

このような猫の場合無理に触ろうとせず、猫が安心して自ら近づいて来られるような環境を整えてあげましょう。

触られる部位が苦手である

猫は身体の特定の部位に触られることを特に嫌うことがあります。猫にとってその部位がとても敏感な箇所ということです。

多くの猫はお腹、足、尻尾の付け根などの部分に触れられることを好みません。お腹は猫にとって急所であるため、触られることを嫌う個体が多くいます。

お腹は敏感な箇所で、多くの猫が自分を脅威から守るためにお腹を見せないようにしています。足や尻尾の付け根も、猫が攻撃や逃走する時に重要な役割を果たすため、特に警戒していることが多くあります。そのため、嫌がることは本能的な行動です。

これらの部位に無理やり触れようとすると、猫は不安やストレスを感じてそれまでに築き上げてきた信頼関係にも影響を及ぼす可能性があります。猫との触れ合いでは、猫が快適だと感じる部位などを中心に撫でることから始めましょう。

猫があなたを心から信頼し、家の中を自分のテリトリーだと理解して安心できてこそ、リラックスしてお腹を見せてくれるようになり、それまで触らせてくれなかった部位も触らせてくれるようになります。猫の反応に注意しながら少しずつ触れるか試していきましょう。

触れる時には猫の反応に注意しながら行い、不快なサインを出した場合すぐに触ることをやめてあげることや、どれだけ信頼関係が出来上がっていても、どうしても触られることが苦手とする個体もいることを覚えておきましょう。

ストレスを感じている

猫が触らせてくれないのには、ストレスが大きな要因として挙げられます。

猫は環境の変化や不安定さ、他のペットや人との関わりの中で、さまざまなストレスを感じています。運動量が足りなかったり、嫌なことがあった時にもストレスを感じます。

猫のストレスのサインは、過度なグルーミング、食欲不振、いつもと違う場所で爪とぎをする、突然攻撃的になる、トイレ以外で排泄をするようになるなどです。

このようなサインは、猫が何らかのことに対して心地よくないと感じているあらわれで、その場合猫と無理に触れ合おうとすることは避けるべきです。

ストレスを軽減するためには、猫が安全だと感じられる環境を整えることが大切になるため、静かで落ち着いた場所を与えてあげましょう。

また、定期的なフードの提供、綺麗なトイレを維持する、一緒に遊んであげるなどがストレスの解消につながります。

そのほかに、猫が隠れたりリラックスしたりできる隠れ家を用意することも役立ちます。

ストレスをそのままにしておくと、健康状態にも影響を与えてしまうため、どのようなことでストレスを感じているのか、普段からしっかりみてあげることが大切です。

飼い主の柔軟剤・香水の匂いが強い

猫はとても嗅覚が敏感で、人が日常的に使用する柔軟剤や香水の強い匂いに反応することがあります。柑橘系の匂いも猫にとっては不快と感じるようです。匂いが猫にとって不快と感じている場合、匂いの元となるあなたと距離をとってしまうようになります。

猫は自然界では獲物を追ったり危険から身を守るために嗅覚がとても優れています。そのため、自然界には存在しない人工的な強い匂いは苦手です。

匂いが原因と考えられる場合には、猫と接触する前は香水の使用を控えたり、衣類に使用する柔軟剤を無香料のものに変えたりするなど、匂いの強さを軽減することが有効です。

猫との生活では猫の感覚に配慮し、快適に感じられる環境を整えてあげましょう。

体調が悪い・病気である

猫が触らせてくれない理由の一つとして、体調不良や病気の可能性が考えられます。猫は不調を感じると、痛みや不快感から身を守る本能が働き、人や他の動物との接触を避けることが多いです。猫は弱っているところを見せると、敵に狙われてしまうことから、痛みや体調不良を表に出すことが少ない動物です。

猫が急に触らせてくれなくなった場合、体調不良や病気のサインの可能性があります。

そのほかに、食欲がない、隠れる時間が増える、鳴き方が普段と違うなどいつもと違うところがあれば早めに獣医師に相談しましょう。普段と違う行動を通じて飼い主が初めて気づくことも珍しくありません。

早期発見、早期治療が猫の健康を守り、再び触れ合えるようになります。

猫の警戒心を解くには?

猫との信頼関係2

猫が警戒心を抱くことは自然な行動です。信頼と理解を深めることで、この壁を乗り越えられるようになります。この章では、猫の警戒心を和らげ、安心して接するようになるための具体的な方法を解説します。

じっと見つめない

猫の世界では、じっと見つめる行為は挑戦や脅威のサインと捉えられ、本能的に警戒心を抱いてしまいます。猫の警戒心を解くためには「じっと見つめない」ことがとても大切です。

猫との信頼関係を築くためには、猫をじっと見つめるのではなく、穏やかな視線を送ることがおすすめです。また、猫が快適に感じるように時々目をそらしましょう。こうすることであなたが戦闘体制ではないこと、敵意はないことを表現できます。

じっと見つめる行為を減らすことで、猫は徐々にあなたの存在に慣れて警戒心が解けるようになってくるでしょう。

猫と接する時は動きをゆっくりにする

猫は急な素早い動きや音に敏感で、危険のサインと捉えることがあります。身体の大きな人間の動作は、小さな猫にとって少しのことでの大きな動きに見えてしまいます。

猫の警戒心を解くためには、動きをゆっくりと穏やかにすることが大切です。猫と接する際には、急な動作や大きな音を避け、ゆったりとした動きで恐怖心を与えないように近づくことを心がけましょう。

猫に触れる時も急に手を伸ばすのではなく、手をゆっくりと猫の視界に入れてからにしてください。一番いいのは、猫が自らその手に触れてくることです。

穏やかな動きやアピールをすることで、猫は徐々にあなたとの距離を縮めてきます。

猫の顔を見て話しかける

猫とのコミュニケーションは、声のトーンや話しかける際の態度が重要な役割を果たします。猫の警戒心を解くためには「猫の顔を見て話しかける」ことが有効です。できるだけ姿勢を低くして、目線を猫の目線に合わせて穏やかで優しい声で話しかけましょう。

猫の顔を見て話しかける際には、直接じっと見つめるのではなく、猫の目を優しく見たり、時々視線をそらしたりすることで、戦闘体制ではないことをあらわしてください。

顔を見て穏やかに猫の名前を呼びかけることで、猫との絆を深めます。

猫は視力が非常に弱い

猫の視力はおよそ0.1〜0.2と言われており、人間の10分の1程度です。物を正確に識別できる距離は10m先くらいまでで、解像度も低めです。

しかし、肉食動物である猫は動体視力には優れています。そして聴力がかなり優れています。

猫の顔を見て話しかけることによって、猫は話し手の顔の表情や口の動きが見え、声のトーンや発する音からさらに多くの情報を得られます。

これにより猫は安心感を得られ、人の声や存在をより親しみやすいものとして認識するようになるのです。

警戒心の強い猫と仲良くなるには?

猫との信頼関係3

警戒心の強い猫と仲良くなるためには、猫のペースに合わせて行動することがポイントです。遊びを通じて猫との距離を縮めたり、猫のタイミングに合わせたりすることを心がけることで絆が深まっていきます。

たくさん遊んであげる

警戒心の強い猫と仲良くなるためには「たくさん遊んであげる」ことが効果的です。遊びは猫が自然な狩猟本能を発揮し、ストレスを発散を発散する手段の一つです。

猫と一緒に遊ぶことによって、猫は人との関わりが楽しいものであり、危険ではないと学習します。

猫にも個性があるので、それぞれの猫が好むタイプのおもちゃを見つけて遊んであげましょう。遊ぶことによって猫は徐々に飼い主との間に信頼関係を築き、警戒心を和らげてくれます。

猫じゃらしなどのおもちゃを使う

遊ぶ時に猫じゃらしなどのおもちゃを使うことは、警戒心の強い猫との信頼関係を築く上で、有効です。猫じゃらしのようなおもちゃは、猫の狩猟本能を刺激し、遊びながら本能を安全に発散させられます。

おもちゃを使うことにより、猫と人との間でコミュニケーションがとれるようになることも大きなポイントです。「楽しい」を共有できたら警戒心が薄れてくるはずです。

おもちゃを使った遊びは、猫が人の存在に慣れ、少しずつ近づいてくるきっかけを作り出します。

猫が遊びに夢中になっている間、猫と人との距離は自然と縮まり、猫は安心して楽しめます。これを繰り返すことによって、人との仲を深めていけるでしょう。

指の匂いをかがせる

警戒心の強い猫と仲良くなるために「指の匂いをかがせる」方法は、猫と人との間で安全なコミュニケーションを築く効率的な方法です。

猫は嗅覚を使って周りの情報を得ることが多く、新しい環境や生き物などに遭遇した時には、匂いを嗅ぐことで安全かどうか判断します。そのため、指の匂いをかがせることで、猫にとってあなたが「知っている存在」になり、警戒心が和らいでいきます。

指の匂いをかがせる時には、無理に猫の顔に手を近づけるのではなく、手を猫の鼻の近くに静かに差し出し、猫が自ら匂いをかぎに来るのを待ちます。

このようにすることで、猫はストレスを感じることなく、自分のペースで人を調査します。

何度も指の匂いをかがせることによって、早くあなたの匂いを覚えてもらいましょう。そうすることで、徐々に猫がリラックスした様子を見せたり、興味を示したりしたら、猫があなたの匂いを受け入れ始めたサインです。このように小さな一歩から始め、信頼関係を築いていきましょう。

猫のタイミングに合わせる

警戒心の強い猫と仲良くなるためには、猫のタイミングに合わせることはとても重要です。

猫は独立心が強く、自分のペースで物事を進めたいと考える動物です。

そのため人が猫との関係を急ぎすぎたり、注意を払いすぎたりすると逆に猫を遠ざけてしまうことがあります。

猫のタイミングに合わせるということは、あなたは「何もしない」ということです。猫が興味を感じたら、接する機会が与えられ、逆に距離をおきたがっている場合には、尊重するということです。

このように猫の気持ちを尊重することで、猫は徐々に人を安全で信頼できると認識し始めてくれます。

また、猫のタイミングに合わせることは猫が新しい環境や人になれるのに必要な時間を与えることにもなります。猫によっては信頼を築くのに時間のかかる猫もいるため、急がず猫が自ら関係を深めていけるよう尊重してあげましょう。

時間をかけて仲良くなることが一番である!

警戒心の強い猫との信頼関係を築くには、関係が一歩進んだかと嬉しく思える時もあれば、また元に戻ってしまったというような残念な気持ちになる時もあるかと思います。

猫のタイミングに合わせたり、じっくりと相手の気持ちを理解したりすることはもちろん大切ですが、もっとも重要なことは「時間をかけること」です。

猫との関係を築く上で、急ぐことは逆効果になります。猫が自ら信頼と安心を見つけるまでの過程を尊重することが、最終的な1番の近道です。

まとめ

猫との信頼関係4

この記事では獣医師監修のもと、猫の警戒心の原因と、それを解決するための具体的な対策についてまとめました。

猫が人に対して警戒心を持つ理由はさまざまで、信頼関係の不足や触られるのが苦手な性格、特定の部位への嫌悪感、ストレス、体調不良などが挙げられます。

このさまざまな理由を少しずつ改善していくために色々な方法を提案しましたが、それを実践しつつ、1番の解決法となるのはやはり「時間」です。

時間をかけて猫の個性とニーズを理解し、忍耐強く寄り添うことがお互いにとって満足のいく関係へとつながります。

この記事を通じて、猫との深い絆を築き、1日でも早く猫の警戒心がなくなれば幸いです。

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