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【獣医師監修】猫は乗る場所によって感情が違う?それぞれご紹介

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はじめに

猫が乗る場所1

猫と暮らしていると、体の上に乗られた経験をしたことがある飼い主さんも多いでしょう。

長時間抱っこをされるのはあまり得意ではない猫ですが、自分から飼い主にぴったりと寄り添って乗っている姿は実に気持ちよさそうです。

しかし、ほかにもくつろげる場所はたくさんあるのに、なぜ人の上に乗ってくるのか気になることはありませんか。

また、乗ってくる場所によっても猫の感情が違うともいわれています。

猫と幸せに共生していくためにも、猫がどのような気持ちでいるのか、猫を愛する飼い主さんなら気になるところでしょう。

今回は、猫が人に乗ってくる理由や、乗る場所による感情の違いなどについて、それぞれご紹介していきます。

猫はなぜ人の上に乗る?

そもそも猫はなぜ人の上に乗るのでしょうか。

ただ、居場所がなく、退屈をしているだけでしたら家の中に他の場所もあるはずです。

それでも飼い主の上に乗ってくるのには、猫なりの理由がきちんとあります。

飼い主さんも、猫が乗ってきた理由を知ることで、大切な猫との距離がさらに縮まるのではないでしょうか。

猫が飼い主に乗ってくる理由について解説していきます。

信頼している

警戒心の強い猫は、むやみやたらに人に近づきません。

ましてや、自分の体を預けるため、よほど飼い主さんを信頼していなければ、体の上に乗ってくることはありません。

日々の生活のなかで、自分に安心感を与えてくれて、「この人は安全な人だから警戒しなくて良い」と猫が思っているので、リラックスしたいときにわざわざ飼い主のところへ行き、体を乗せているのです。

なかには「寒くて暖をとりたい」といった理由の場合もあり「ただ温まりたいだけじゃ」と思いがちですが、そのようなときも結果、飼い主さんを探して、体に乗ることで暖をとっています。

ほかにも体調が悪く、つらいときなどにも信頼できる飼い主に身を寄せてくることがあるので、体の上に乗って来た際に、いつもと様子が違うようでしたら体調を崩しているサインを出している可能性もあるので、注意深く観察してください。

いずれにしろ、猫が体を預けて乗ってくるのは、飼い主と猫の間に信頼関係が構築できている証といえます。

愛情表現である

信頼している飼い主に対して、体を乗せてくるのは、猫からの愛情表現の意味合いも持っています。

猫が言葉の代わりに、飼い主に乗ることで距離を縮めて、愛情を表現しています。

甘えたいときや、撫でてほしいとき、遊んでほしいときなどに、飼い主に乗ってアピールをしていることもあります。

また、その強い信頼関係から、飼い主を独り占めしたいと考える猫は多く、自分の縄張り意識が強い猫は、体を擦りつけることで自分のニオイをつけて、「飼い主は自分のもの」「ここは自分のテリトリーだ」と主張することもあります。

このように、一見マイペースで、あまり大げさに愛情表現などをしないイメージの猫ですが、飼い主に乗ることでしっかりと愛情表現をしていることがわかります。

猫はのる場所によって感情が違う

猫に乗られた経験のある飼い主さんで、日によって乗られる場所が違ったりした経験はありませんか。

これは猫が感情によって、乗る場所をあえて変えている場合があるからなのです。

くわしくご紹介していきます。

膝の上

猫が自分からよく乗ってくる場所として膝の上があります。

ソファの上に座っている飼い主さんの膝の上や、あぐらをかいている足の間にすっぽりとおさまって座っていることがあるでしょう。

この位置ですと、飼い主との距離も近いので、猫はいろいろな感情表現をしていることがあります。

座り心地の良さや気持ち良いのはもちろんですが、飼い主の顔が見えることで猫はとても安心してリラックスできているのでしょう。

ほかにも、「撫でてほしい」「遊んでほしい」などの要求をアピールするために飼い主に乗ってくることも珍しくありません。

また、体調が悪いことを飼い主に訴えていることもあるので、猫が膝に乗ってきたら、「ただ甘えているだけなのか、何か伝えたいことがあるのか」しっかりと観察をしてあげてください。

肩の上

肩の上に乗ってくる猫はどのような感情や状況なのでしょうか。

自らすすんで顔の近くに来るので、信頼や愛情表現といったことはもちろんですが、他にも理由があるのでみていきましょう。

肩は高い位置にあるので、猫が高い場所に移動したいときに踏み台代わりに使われてしまうこともあります。

また、高いところに登るためではなく、肩そのものに乗って高い位置から景色を見たい、何かから逃げたいなどの理由も考えられます。

本来ならば肩の上はバランスも悪く、落ちてしまうことも考えられますが、その状況を楽しむような好奇心旺盛な猫が肩の上に乗ってくることが多いようです。

とはいえ、乗せている人間が急に動き出せば、着地に失敗する危険性もあるので、猫の様子は常に見ておく必要があります。

衣服の上

飼い主が衣服を脱ぐと、猫がその上に乗ってくることがありますが、この行為にもきちんと理由があります。

まずは脱ぎたての衣服はあたたかいので、猫にとってちょうどよい場所になっているのです。

特に冬服の場合には、厚手でふかふかしているものが多く、心地よいのでしょう。

また、飼い主のニオイがついた衣服は安心して休める場所でもあります。

安心できるニオイとあたたかな肌触りは、猫にとってとても快適な場所だといえるのでしょう。

もし、飼い主さんが留守にしている間、猫が衣服の上に乗っていることがあったら、それは寂しくて飼い主のニオイのついた衣服に乗って飼い主さんの帰りを待っていたのかもしれません。

あまり大きな感情表現をせずクールだといわれている猫ですが、このような姿を見ると猫なりにしっかりとさみしい感情を表現していることが伺えます。

顔周りだけのせる

リラックスして飼い主の隣にいる猫が、突然顔周りだけを乗せてきた経験はありませんか。

ちょこんとあごを乗せてきたしぐさは、なんともいえずかわいらしい姿です。

ときには、そのままウトウトして眠ってしまうこともあり、とてもリラックスしている様子が伺えます。

そのようなとき、猫はどのような心境なのでしょうか。

リラックスしている事はもちろんですが、猫にとって、顔を預けてしまうのはとても楽な体勢だということも理由の1つです。

人間同様に、猫もずっと頭を支えていると、首や肩、背中に多少の負担がかかります。

そのため、本当にリラックスしたい場合には、頭を預けて、完全に脱力することで、リラックスできる時間を作っているのです。

また、猫が顔周りを乗せる理由として、自分の存在をアピールしたいケースもあります。

猫のあごの下にはニオイを発する臭腺というものが存在しており、ここからフェロモンを発しています。

このフェロモンを飼い主の体に擦りつけることで、自分の精神的な安定を図ると同時に、「ここは自分の場所だ」と強くアピールしているのです。

このとき発せられるフェロモンは「フェイシャルフェロモン」と呼ばれ、別名「安心フェロモン」とも言われており、これを発するときは、「この居心地のよい場所は自分の場所だ」としっかりとアピールしています。

猫が顔周りを乗せてきたときは、その場所がリラックスできる場所であり、なおかつ自分にとってとても大切な場所であることがわかります。

人以外の場所でも感情が違う

猫が乗る場所2

猫を観察していると、人以外にもいろいろな場所に乗っているのを目にします。

家のなかのありとあらゆる場所に乗ったり、座ったりしていますが、いったいどのような意味があるのでしょうか。

実際に猫がよく乗っている場所について解説していきます。

チラシの上

家にチラシを置いていたり、飼い主さんがチラシを読んでいたりするときに、猫が乗ってくることがあります。

まず、置いてあるチラシに乗るのは、直接床に座るのに比べて、チラシの上は暖かいことが理由です。

寒さが苦手な猫は、少しでも暖かい場所を探すことに長けていて、冷たい床よりも暖かそうなチラシの上に座っているのです。

人間がチラシを読んでいるのに、あえてそこに乗ってくる場合は、暖かい場所という理由はもちろんですが、遊んでほしい、構ってほしいと飼い主の気を引くためにわざと乗ってきて注目してほしいとアピールしていることがあります。

紙類を暖かい場所と認識している猫の場合、チラシに限らずいろいろな紙に乗ってしまうことがあるので、くれぐれも大切な書類を猫の行動範囲に置かないでください。

パソコンの上

飼い主さんがパソコンを触っていると、いつの間にか猫がやってきて、キーボードやモニターに触ってくることがあります。

場合によっては、キーボードの上にそのまま寝そべってしまい、飼い主さんは何もできなくなることもあるでしょう。

猫がパソコンに乗ってくる理由には、電化製品の上は暖かいこと、過去に猫がパソコンに乗ってきた際に、飼い主さんが猫をパソコンからどかすために、遊んであげた経験を猫が覚えており、同じように気を引こうと乗ってきている事が考えられます。

また、好奇心旺盛な猫ならば、パソコンに興味を持っている可能性もあります。

モニターに映るカーソルの動きや、スクリーンショット、キーボードをたたく音などに興味津々で、ついつい近くで見たくなってパソコンに乗ってきてしまったことも考えられます。

猫がパソコンに乗ってくる姿も、微笑ましくかわいいですが、お仕事に支障が出るようでしたら、少しかまってあげたあと、飼い主さんの近くにベッドを置いて移動させることを繰り返しているうちに猫も学習してパソコンに乗ってくることは少なくなってきます。

ソファの上

猫がソファに乗ってくるのは、人間同様に居心地のよい場所だからです。

地面より高い場所に座面があり、ふわふわで暖かいソファは、猫にとって快適に過ごせる条件が揃っているのです。

さらに大好きな飼い主がソファに座っているのならば、猫にとって1日中過ごしても飽きない場所となっていても不思議ではありません。

猫のなかには、ソファの背もたれに乗ることが好きな子もいますが、これは木に登っている間隔に似ているためといわれています。

背もたれに乗るなんてとてもバランスが悪いように感じますが、高いところにのぼることが大好きな猫にとっては問題ありません。

気持ちよさそうにしているので、そっとしておいてあげたいですが、一点気を付けなければならないことがあります。

それは猫にとって、ソファは格好の爪とぎ場所になってしまうことです。

安定感のあるソファは、猫にとって、とぎ心地の良いスペースになってしまいます。

対策として、猫の出入りする部屋のソファにはソファカバーをするようにしてください。

これだけでもかなり爪とぎリスクを軽減できます。

高い場所

猫は高い場所を好む動物です。

そのため家の中にキャットタワーなどを置いて、意図的に高いところに登れるようにしている方も多いでしょう。

猫が高いところを好む理由には、野性の頃の習性が残っていることが大きな理由です。

かつて野性の猫は、高いところにのぼり、周りを見渡せる場所にいることで、獲物を見つけたり、危険を回避したりしていました。

猫は他の動物よりも平衡感覚に優れており、地上にいるよりも不安定な高所にいる方が安全を確保できたため、その名残が今でも残っているのです。

また、猫は長い距離を走るよりも、高低差を利用した運動を好んでいることなども理由に挙げられます。

猫に体にのってもらうにはどうしたら良い

猫が乗る場所3

すべての猫が必ず体に乗ってくるとは限りません。

自立心が強い猫などは、単独行動を好み、飼い主や周りの人とも適度な距離で過ごすことが多くなります。

決して飼い主を嫌っているわけではなく、あくまで性格なので、無理強いすることはできません。

しかし、大切でかわいい愛猫に自分の体の上に乗ってもらいたいと思う気持ちもあるでしょう。

そこで、猫に乗ってもらえるかもしれないポイントをご紹介するので、まだ猫が乗ってきてくれないという飼い主さんは試してみることをおすすめします。

おやつで誘う

猫におやつを見せて、乗ってほしい場所に誘導してみましょう。

例えば、膝の上なら座った状態で脚におやつを置いて、猫が座ったらほめながらおやつをあげてください。

何度か繰り返していると、「ここに座ると良いことがある」と猫が認識してくれて自発的に座ってきてくれるかもしれません。

そこが快適な場所であれば、おやつがなくても座ってくれるようになるでしょう。

乗りやすくしてあげる

本当は飼い主さんに甘えて、体の上に乗りたいのに、乗りにくかったり、居心地が悪かったりしているだけかもしれません。

そのような場合には、猫を体に乗せて様子を見てください。

頻繁に体の位置を変えるようであれば、飼い主さんの体勢が良くないのかもしれません。

また、体勢に問題はないけれど、どこか居心地が悪そうに感じたら、タオルや毛布を敷いてあげると良いかもしれません。

猫はフワフワしてやわらかいものが好きなので、猫にとって体に乗りやすい環境になります。

猫と仲良くなる

家に迎え入れたばかりの猫は、飼い主さんとの信頼関係がまだ構築できていません。

そのため、「本当は甘えたいけれど、まだ怖い」といった状態ですとなかなか乗ってくることはありません。

この場合は、焦らずに時間をかけて猫と信頼関係を築いていけば、性格によっては自ら体に乗ってきてくれることもあるでしょう。

逆に、猫に乗ってもらうことを焦るばかりに、無理強いをしてしまうと、仲良くなるどころか警戒されてしまい日常生活にも支障をきたしてしまうので、猫の様子を見ながら嫌がることは避けつつ時間をかけて仲良くなってください。

まとめ

今回は、猫が人間に乗る際に、どのような感情をもって行動しているのか、くわしく解説してきました。

一見クールに見える猫ですが、実は猫の行動にはさまざまな愛情表現が隠されていることを、おわかりいただけたのではないでしょうか。

「うちの猫はまだ乗ってきてくれない」といって、無理に乗せたりするのはやめましょう。

それぞれの性格の違いで、甘えたい気持ちはあるけれども、行動に移せない子もいるからです。

おやつで誘ってみたり、乗りやすい環境を整えたりしながら今よりも少しずつ猫との関係性を深めていけば、猫の方から乗ってきてくれることもあるでしょう。

猫が人間や物に乗っているときに、どのような感情で乗っているのか、観察してみるのも

きっと新しい楽しみになるはずです。

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