【獣医師監修】猫に魚肉ソーセージはNG!与えてはいけない理由と食べてしまった時の対処法

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はじめに

肉食動物の猫が魚肉ソーセージに興味を持つことは一見自然なことかもしれません。甘えた顔で欲しがってくると、つい可愛さ余って与えたくなる飼い主が多いのではないでしょうか。しかし、魚肉ソーセージは猫に与えてはいけない食べ物です。

なぜ猫に魚肉ソーセージを与えてはいけないのか、その理由と、万が一食べてしまった場合の対処法について、獣医師監修のもと詳しく解説します。

愛猫を守るために、この記事を通じて正しい知識を身につけましょう。

猫に魚肉ソーセージを与えてはいけない理由

猫に魚肉ソーセージを与えてはいけない理由はたくさんあります。添加物や塩分の多さなど、普段私たちが食べる時にはあまり気にしていないことばかりです。猫にとってどれほど危険なのかを見ていきましょう。

魚肉ソーセージの原材料は?

魚肉ソーセージの原材料は、50%以上が魚のすり身が使われていますが、それ以外に作る上で、調味料や香辛料、植物性油脂などが使用されています。

加工食品には、おいしく食べてもらうために塩分も多く入っています。猫にとっては味付けも濃く、塩分過多になる可能性があります。そのため、健康にさまざまな影響を及ぼす恐れがあるので好ましくありません。

塩分が多く腎臓や心臓に負担がかかる

魚肉ソーセージには多くの塩分が含まれており、猫の腎臓や心臓に大きな負担がかかる可能性があります。

猫の体は塩分を効率的に処理する能力が限られており、過剰な塩分は腎臓病や心臓疾患を引き起こしかねません。

塩分の過剰摂取が原因で、塩分中毒の恐れも出てきます。

猫の塩分摂取量は、体重が1kgあたり、1日に0.7g程度です。

魚肉ソーセージには100gあたり2.1gもの塩分が含まれているといわれているため、猫がたくさんの量を食べなかったとしても、塩分の取り過ぎになることは明確です。

そのため、塩分が多い魚肉ソーセージは猫の健康を守るために避けるべき食品といえるでしょう。

タマネギが含まれている場合がある

商品によって、すり身以外に含まれているものは違いますが、時にタマネギが含まれていることがあります。

タマネギは猫の赤血球を破壊する物質を含んでいるため、溶血性貧血を起こすタマネギ中毒になってしまう可能性のある食品です。体重が1kgあたり5gのタマネギでも危険です。

中毒症状を起こす量は個体差があります。加熱したとしても有毒成分は消えることはないので覚えておきましょう。

香辛料が使われている

人間の食べ物には香辛料が含まれています。

魚肉ソーセージには、ジンジャー、ペッパー、ナツメグ、シナモン、コリアンダーなどの香辛料が入っている場合が多く、猫にとってはいいものとはいえません。

香辛料は猫の消化器系に刺激を与え、消化不良や胃腸の不調を引き起こします。また、香辛料の中には猫に有害な成分を含むものもありとても危険です。

魚肉ソーセージに限らず、人間の食べ物には香辛料が含まれている可能性が多いことから、猫に与えることは避けた方が良いでしょう。

添加物が入っている

加工食品には添加物が多く含まれていることがほとんどです。魚肉ソーセージには、色づきをよくするための着色料、ソーセージの結着力を出すためのリン酸ナトリウムが使用されています。

リンやカルシウムの過剰摂取は尿路結石を引き起こす可能性があり、タール系の色素を使用した着色料の場合は発がん性の疑いもあるといわれています。

猫にとって健康リスクの高い食べ物を食べさせるのではなく、安全なものを与えてあげましょう。

猫が魚肉ソーセージを食べたがるのはなぜ?

猫が魚肉ソーセージを食べたがるのはどのような理由があるのでしょうか。猫の心理を探ってみましょう。

魚の匂いに反応する

猫は本能的に魚の匂いに強く反応します。これは、魚の独特な香りが猫の嗅覚を刺激し、捕食本能を呼び起こすからです。

そのほか、猫は魚肉ソーセージの味が理由で食べたがっているのではなく、匂いで食べたがっているといわれています。猫の味覚は人間より劣っています。そのため、食べた時の味の感覚が薄いです。逆に、人間と比べると匂いにとても敏感です。

人間よりも強く感じる匂いで、美味しいと判断して好んで食べようとするのです。

飼い主と同じ物を食べたがる

猫は飼い主と同じものを食べたがります。

ご飯を食べていると近寄ってきて、目を話した隙に口を近づけていたり、手で触っていたりすることはよくあることです。

これは好奇心からきている場合があります。

飼い主が美味しそうに食べていると、猫も美味しそうという気持ちが出てくるのです。

また、魚の美味しそうな匂いが本能を刺激して食べたがる場合もあります。

どちらにせよ、欲しがっていても人間の食べ物は猫にとっては危険なので、あげないようにしてください。

もし猫が魚肉ソーセージを食べてしまったら?

もしも愛猫が魚肉ソーセージを食べてしまったら、どのように対処すべきでしょうか。

この章では、猫が魚肉ソーセージを誤って食べてしまった場合の適切な対処方法を解説します。

万が一の事態に備えて、知識を身につけておくことが重要です。

猫の様子を注意深く観察する

もし猫が魚肉ソーセージを食べてしまった場合、まずは猫の様子を注意深く観察しましょう。誤って食べてしまったからといって、すぐに症状としてあらわれるわけではありません。

しばらく様子を見て、猫の行動や体調に異常がないかをチェックし、吐き気、下痢、異常な行動、食欲不振などの症状があらわれていないかを観察します。これらの症状は、魚肉ソーセージの塩分や添加物が原因で引き起こされることが考えられる症状です。

食べた時間や量などを記録しておく

もしも魚肉ソーセージを食べてしまった場合、食べた時間や食べた量を正確に記録しておきましょう。飼い主も慌てている場合が多いです。頭では整理していても、動揺して上手く獣医師に説明できない場合もあるため、記録として残しておくことは大切です。

そしてこの情報は、万が一、猫が体調を崩した時に、獣医師が正確な診断を下すための重要な手掛かりとなります。また、猫が摂取した具体的な量によって、必要な治療の内容が変わることもあります。

正確な情報があればあるほど、獣医師はより適切な対応を行うことが可能になります。

普段と違う様子があればすぐに動物病院へ

猫が魚肉ソーセージを食べてしまった後、普段と違う様子を見せた場合は、迅速な対応が必要です。異常が見られる際には、ためらわずに動物病院へ連れていきましょう。

受診の際は魚肉ソーセージのパッケージを持参

猫が魚肉ソーセージを食べた後に体調不良をあらわした場合、動物病院の受診時にはパッケージを持参することを忘れないようにしましょう。

パッケージには製品の成分や添加物の情報が記載されており、これが獣医師にとって重要な手がかりとなるからです。パッケージがない場合、食べ残した魚肉ソーセージを持参しても良いでしょう。

成分情報をもとに、獣医師は猫の症状の原因を特定しやすくなり、適切な治療方針を決められます。製品情報があれば、より迅速な対応が可能となることを覚えておきましょう。

動物病院での対処法

動物病院を受診すると、問診や採血、健康状態のチェックをして、症状を確認するところから始まります。このときに飼い主はしっかりと症状を説明しましょう。

問診や採血の結果で治療方法は変わってきますが、点滴をしたり、整腸剤や吸着剤を処方されたりとさまざまです。

症状がひどい場合には、入院になることもあります。

魚肉ソーセージを欲しがらないように気をつけよう

猫が魚肉ソーセージを欲しがらないようにするには、日頃から注意が必要です。この章では、猫が加工食品に興味を持たないようにするための具体的な方法を解説します。

猫の目の届かないところに置く

猫が魚肉ソーセージを欲しがらないようにするための簡単な方法の一つは、食品を猫の目の届かないところに保管することです。高い棚や猫が開けられないところなどに置きましょう。猫が魚肉ソーセージを見たり、匂いを嗅いだりできなければ欲しがることはなくなります。猫が簡単に食品に触れることを減らし、リスクを減らすことが大切です。

食べ終わった後のビニール・フィルムにも注意

食べ終わった後のビニールやフィルムも猫にとって大きなリスクです。ビニールやフィルムには、魚肉ソーセージの匂いが残っています。伸縮性があり噛みちぎりにくいため、そのまま丸飲みして腸に引っかかってしまうことも考えられます。

飲み込んだ後すぐに体調に変化がある場合や、時間が経ってから吐き気や下痢、食欲不振、腹痛などの異常がみられる場合もあります。特に変わりなく元気に過ごす猫もいます。

上記のような症状に注意し、もし異変がみられた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。そして、このような危険が起こらないよう、魚肉ソーセージを食べた後は、すぐに猫の届かないところに処分することが大切です。

その他に猫に与えてはいけない食べ物

猫が安全で健康に生活するためには、避けなければいけない食べ物を理解しておくことが大切となってきます。魚肉ソーセージ以外にも食べてはいけない食べ物が多く存在することを覚えておきましょう。

玉ネギ、ニンニク

玉ネギやニンニクは猫にとってとても危険な食べ物です。

ごく少量では問題ありませんが、大量に摂取した場合赤血球にダメージを与えて貧血を起こしてしまう可能性があります。

食材自体は気をつけていても、意外と落とし穴なのが、濃縮された粉末などです。玉ネギやニンニクが食材として目に入らないため見落としがちになります。

玉ネギやニンニクを食べてしまうと、無気力や衰弱などの症状があらわれ、尿もオレンジから濃い赤色のものになります。

玉ネギやニンニクを食べてしまった場合には、早めに獣医師に相談しましょう。

生卵、生肉、骨

生卵や生肉を食べた場合、サルモネラ中毒や大腸菌中毒などの食中毒を引き起こすことがあります。嘔吐や下痢、無気力などの症状としてあらわれるこれらの中毒は、人間にも感染してしまうものです。また、生卵は猫の皮膚や被毛のトラブルが起こる場合があります。

調理中は猫が近づかないように注意し、料理後は手洗いを徹底しましょう。

骨は噛み砕くと鋭利な破片になってしまい、猫の口内や消化管を傷つける恐れがあります。

消化不良も引き起こすことがあり、腸閉塞などの健康問題のリスクも高くなるので注意しましょう。

チョコレート

チョコレートは猫にとって非常に有害な食べ物です。

チョコレートに含まれるテオブロミンという物質は、人間にとっては比較的安全ですが、猫が摂取してしまうと、中毒症状を引き起こすことがあります。これは、猫の体ではテオブロミンが代謝されにくいことが原因です。

中毒症状には嘔吐や下痢、不整脈、高体温、痙攣、激しい喉の渇き、そして最悪の場合には死に至ることもあります。

ホワイトチョコレートやミルクチョコレートに比べ、ダークチョコレートの方が高濃度のテオブロミンが含まれているので危険性が高まります。同時に、チョコレートに含まれているカフェインもテオブロミンと同じグループの物質のため、猫には有害です。

生のパン生地

生のパン生地も猫にとって危険な食べ物です。

生のパン生地を食べてしまうと、胃の中で膨張してアルコールが発生します。この状態は猫がアルコールを摂取したことと同じです。

その結果、嘔吐や下痢、呼吸困難や震え、運動失調を引き起こすことがあり、深刻な場合は、昏睡や死に至ることもあります。

猫が生のパン生地に触れないよう、厳重な注意が必要です。

牛乳、乳製品

牛乳には乳糖が含まれています。肉食動物の猫は乳糖を分解する酵素がほとんどありません。母乳を飲まなくなった成猫には、分解する酵素が減少してくるため、成猫が牛乳を飲んでしまうと乳糖を分解できず、消化不良を起こしてしまいます。

その結果、お腹の調子が悪くなったり、下痢の症状が出てしまったりすることがあります。

一部の猫は、牛乳を飲んでも問題ないことがありますが、消化器系のトラブルが考えられるため、成猫になってからの牛乳はおすすめできません。

ブドウ、レーズン

ブドウやレーズンの果物を摂取した場合、猫は腎機能障害が進むことがあり、少量であっても腎臓へのダメージがあります。

食欲不振、嘔吐や下痢、無気力、腹痛などの症状があり、ブドウやレーズンを食べた可能性がある場合、腎臓へのダメージを疑いましょう。

初期の症状は嘔吐や下痢、元気消失、尿量の減少などです。症状が重くなると、尿の量が減少し、最悪死に至ることもあります。

ブドウやレーズンなどの果物は、猫の手の届かないところに保管し、決して与えないようにしてください。もしも食べてしまった可能性のある場合には、早めに獣医師に連絡しましょう。

ドッグフード

猫と犬は必要とする栄養素が違います。

猫はタンパク質やビタミンを犬より多く必要とするため、ドッグフードで必要な栄養素を満たすことができません。

また、猫が食べ物から摂取しなければならないタウリンやアラキドン酸は、犬の場合体内で合成できるため、ドッグフードにはあまり含まれていません。そのため、猫がドッグフードを食べると栄養素が不足してしまいます。

まとめ

この記事では、猫に魚肉ソーセージを与えるべきでない理由と、万が一食べてしまった場合の対処法について詳しく解説しました。

魚肉ソーセージには塩分や添加物、猫にとって危険なタマネギや香辛料が含まれています。猫の健康を守るためには、どれだけ欲しがっても与えるのは避けるべきです。また、嗅覚が優れている猫には、食べ終わった後のビニールやフィルムにも注意しなくてはいけません。

もし食べてしまった場合は、猫の様子を観察し、必要ならすぐに動物病院を受診しましょう。

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