【獣医師監修】猫にブロッコリーを与えるときの注意点は?調理法や適切な量も解説

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はじめに

猫にブロッコリーを与える時に、注意して欲しいポイントを紹介します。

ブロッコリーは、猫に対して毒性のある成分が含まれておらず、猫に与えても問題ありません。

しかし、与える量や調理法を知っていないと、病気の原因になったりアレルギーを引き起こす可能性もあります。

猫にブロッコリーを食べさせる時は、これから解説する注意点に気を付けながら与えましょう。

ブロッコリーは栄養豊富!猫が食べても大丈夫

ブロッコリーには、たくさんの栄養素が含まれており、毒性もないので猫に与えても問題はありません。

含まれている栄養素や与えるメリットについて解説するので、ぜひ参考にしてください。

ブロッコリーに含まれる栄養素

ブロッコリーに含まれる栄養素を紹介します。

100gあたりのブロッコリーに含まれている分量です。

カロリー37カロリー
炭水化物6.6g
たんぱく質5.4g
食物繊維5.1g
脂質0.6g
カルシウム38mg
ナトリウム20mg
マグネシウム26mg
ビタミンB10.17mg
ビタミンB20.23mg
ナイアシン1mg
ビタミンB60.3mg
パントテン酸1.42mg
ビオチン13.0μg
ビタミンC140mg
ビタミンE3.0mg
ビタミンK210μg
β-カロテン900μg
カリウム460mg
1.3mg
0.1mg
葉酸220μg

この中でも注目したい成分を解説していきます。

タンパク質

タンパク質は、身体のエネルギーとなる成分です。

ブロッコリーに含まれるタンパク質の量は、野菜の中ではトップレベルの含有量になります。

タンパク質は、20種類のアミノ酸によって構成されていますが、9種類は身体の中で作ることができないため、食事から摂取しなければいけません。

ブロッコリーだけで摂取するのは難しいですが、タンパク質源の一つとして優秀な食材であることは間違いないです。

また、ブロッコリーはダイエット食材としても食べられることが多いのですが、それもタンパク質の補給量が高いことが関係しています。

太り過ぎでダイエットを必要としている猫にも、おすすめな食材です。

食物繊維

そもそも食物繊維とは、消化酵素で消化されずに大腸まで達する成分です。

ブロッコリーに含まれる食物繊維には、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維が含まれています。

不溶性食物繊維は、腸を刺激して排便を促す効果があることから、便秘改善に役立つと言われている成分です。

水溶性食物繊維は、血糖値を上がりにくくしたり、腸内環境を整える役割を果たしています。

お腹の調子を整えてくれ、脂質や糖・塩分などを吸着して身体の外に排出する働きもあるので、肥満予防・改善にも期待できるのです。

ビタミン

ブロッコリーは、ビタミンCを筆頭にビタミンE、β-カロテン、葉酸などが多く含まれています。

水溶性ビタミンのビタミンCは、かなり強い抗酸化作用があり、加齢や運動時の酸化ストレスを軽減させる効果が期待できます。

猫は、体内でビタミンCを作れますが、水溶性ビタミンは尿と一緒に排出されやすく、体内で作り出す量では足りない場合もあります。

なので食事から摂取できるのは、嬉しいポイントです。

また、葉酸も同じく水溶性ビタミンに分類されます。

神経組織の発達やDNAの合成に関わる成分で、特に妊娠中の母猫は、葉酸をお腹の中の赤ちゃんに取られてしまうので、食事から摂れると良いです。

ビタミンEとβ-カロテンは、不溶性ビタミンに分類され、こちらも抗酸化作用があります。

トコフェロールとも呼ばれるビタミンEは、毛艶を保ってくれたり、アンチエイジングにも効果的です。

一方β-カロテンは、ビタミンAに変換されて作用するので、皮膚や粘膜の健康を維持したり、様々な細胞の増殖や分化に役立ちます。

β-カロテン自体にも、抗酸化作用や免疫賦活作用などがある万能な成分です。

ミネラル

ブロッコリーは、ミネラルが豊富な野菜なので、カリウム・カルシウム・マグネシウムが豊富に含まれています。

カリウムとマグネシウムは、エネルギー代謝や神経刺激の伝達、心機能を健康的に保つ役割と、体内の水分バランスを整えてくれる役割がある成分です。

カルシウムは、骨や歯の健康を維持してくれます。

また、鉄や銅も必須ミネラルの一種です。

鉄は貧血予防として重要な成分ですし、銅はたんぱく質と結合して体内の化学反応において触媒として関わる成分になります。

どの成分も猫の身体に必要な成分なので、ブロッコリー1つでこれだけの栄養素が取れるのは嬉しいポイントです。

猫にブロッコリーを与えるメリット

猫にブロッコリーを与えるメリットを紹介します。

  • 殺菌作用・抗酸化作用がある
  • 老化防止の作用がある
  • 肝機能を活発にしてくれる
  • 抗癌作用がある
  • 老廃物や有毒物質を排出してくれる
  • 便秘解消
  • 貧血予防

ブロッコリーは、かなりの栄養素が含まれているので、メリットも多いです。

老化防止や抗癌作用は、猫の長生きにも直接関係します。

猫は肉食動物のため積極的にブロッコリーを与える必要はありませんが、サポート食材としてはかなりおすすめです。

毎日ではなく、飼い主のご飯にブロッコリーが出るタイミングに、エサと一緒に与えてみましょう。

猫に与えても良いブロッコリーの量は?

猫にブロッコリーを与える時は、1日小さじ1杯程度にしましょう。

毎日与える必要はなく、与えるのはキャットフードのトッピング程度で十分です。

栄養素が豊富だからといって、与え過ぎてしまうと病気の原因になるので、規定の量は守って与えてください。

猫にブロッコリーを与える際の注意点

猫にブロッコリーを与える際に、気を付けておきたいポイントを紹介します。

何も知らずに与えるのは危険なので、ぜひ注意点をしっかり確認してください。

食べすぎると消化不良を起こすことも

猫は、肉食動物なのでタンパク質を消化・吸収する事は得意ですが、野菜などの植物の消化・吸収が苦手です。

ブロッコリーは、食物繊維が豊富なのでたくさん食べてしまうと、消化不良を起こすこともあります。

栄養価が高いからと言って、与え過ぎにならないように注意しましょう。

尿路結石症や甲状腺機能の低下が起こる危険性がある

ブロッコリーには、マグネシウムやシュウ酸、ゴイトロゲンという注意が必要な成分が含まれています。

マグネシウムは、エネルギー全般に関わる栄養素ですが、過剰摂取すると尿がアルカリ性に傾き、ストルバイト結石ができるため、尿路結石症を引き起こすことがあるので注意が必要です。

また、シュウ酸もカルシウムと結合することで、シュウ酸カルシウム結石ができ、尿路結石症の原因になります。

ストルバイト結石は比較的若い猫に多く、シュウ酸カルシウム結石は中高齢の猫に多いです。

ゴイトロゲンとは、甲状腺ホルモンの分泌を妨げたり、機能を低下してしまう危険性のある成分です。

1日摂取しても良い最大量は、1kgの体重に対して0.4mgなので、平均3〜5kgの猫は1.2〜2.0mgが規定量になります。

ブロッコリーに含まれている量は、ごく微量なのでブロッコリーを食べて甲状腺の機能が低下したという報告はありません。

しかし、甲状腺疾患を持つ猫には、ブロッコリーは与えない方が安全です。

食物アレルギーを起こす可能性がある

ブロッコリーには、タンパク質が含まれているので食物アレルギーを引き起こす可能性があります。

食物アレルギーで、出る症状はこちらです。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 皮膚炎

あまりブロッコリーで食物アレルギーが発症する事は少ないですが、初めて与える時は注意してください。

アレルギー症状が見られた場合には、動物病院に連れて行き、専門の獣医の指示に従いましょう。

初めて与える時は、動物病院のやっている昼間の時間帯に少量あげ、アレルギー反応が出ないか様子を見てください。

もしも、アレルギー症状が出た場合は、軽い症状だったとしても、それ以降はブロッコリーを与えないようにしましょう。

ブロッコリーを与えない方が良い猫

ブロッコリーは、栄養素が豊富で健康な身体作りにうってつけな野菜ですが、与えない方が良い猫もいます。

もしも、愛猫が疾患やアレルギーを持っている場合は、ブロッコリーを与えるのはやめましょう。

甲状腺機能低下症の猫

非常にまれですが甲状腺機能低下症の疾患を持っている猫には、ブロッコリーは与えないでください。

ブロッコリーを食べて甲状腺の機能が低下したという報告はありませんが、ブロッコリーに含まれるゴイトロゲンは、甲状腺の機能を低下させてしまう可能性のある成分です。

もしも、知らずに与えてしまった場合は、いつもと違った様子はないかを確認し、心配な時は動物病院へ連れて行きましょう。

なかなかすぐには症状がわからない場合もあるので、常に愛猫とコミニュケーションをとり、早期発見を心掛けてください。

ブロッコリーにアレルギーを持っている猫

元々食物アレルギーを持っている猫は、ブロッコリーにもアレルギー反応が出る可能性があります。

ブロッコリーは猫に必要な食べ物ではないので、無理に与える必要はありません。

キャットフードには、必要な栄養素が全て含まれているので、キャットフードを与えるだけで十分です。

もしも、ブロッコリーを与えるならごく少量だけ食べさせて、アレルギー反応が出ないことを必ず確認してください。

一度に多くの量を上げるのは大変危険なので、絶対にやめましょう。

猫にブロッコリーを与えるときの部位と調理法

猫にブロッコリーを与える時は、茹でて刻んだものを小さじ1杯が適切と言われています。

与える時にどの部位を与えれば良いのか、どのように調理したら良いのかを解説するので、ぜひ参考にしてください。

外葉は避けて内葉を与える

ブロッコリーは、どの部分を猫に与えても問題はありません。

しかし、外葉には農薬が残留している可能性が高いので、内葉を与えるのがおすすめです。

必ず加熱してから与える

猫にブロッコリーを与える際は、必ず加熱してください。

生のブロッコリーは、消化不良を引き起こす可能性があります。

特に茎の部分は、生だと硬いので喉に詰まらせてしまう危険があるため注意してください。

猫にとって毒になるイソチオシアネートも、熱に弱いため加熱して与えるとより安心です。

加熱の方法は、茹でるとビタミンが溶け出してしまうので、蒸したり電子レンジで加熱する調理方法がおすすめなのでぜひ試してみてください。

小さくカットする

加熱処理をしたブロッコリーは、食べやすく消化もしやすいように、小さくカットしてから与えましょう。

目安の大きさは、みじん切りにした状態くらいです。

ブロッコリーといえば、花蕾と呼ばれる頭の部分を想像すると思いますが、茎も葉も食べられます。

茎を食べさせる場合は、皮を剥いてあげてください。

どの部分を与えるにしても、大きすぎると食べづらかったり、喉に詰まらせてしまう危険もあるので、細かくカットしてあげましょう。

エサの上に、トッピングのように乗せてあげると食べやすいのでおすすめです。

ブロッコリースプラウトは猫に与えても良い?

ブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトは、ブロッコリーよりも栄養価が高いと最近注目を集めていますが、猫に与えるのは注意が必要です。

ブロッコリースプラウトについて、メリット・デメリットを解説します。

ブロッコリーよりも栄養価が高い

ブロッコリースプラウトは、ブロッコリーよりも栄養価が高いです。

ブロッコリーより、ブロッコリースプラウトに含まれてる量が多い栄養素はこちらになります。

成分ブロッコリースプラウトブロッコリー
カルシウム57mg38mg
β-カロテン1400μg900μg
ナイシアン1.3mg0.8mg

ブロッコリースプラウトは、ブロッコリーに成長する成長段階にあるため、栄養素が豊富に含まれています。

しかし、植物性のタンパク質や食物繊維、ビタミンC、カリウム、葉酸など代表的な栄養素はブロッコリーの方が高いです。

胃腸を刺激する可能性が高い

ブロッコリースプラウトには、体内でイソチオシアネートに転換して、胃を刺激するスルフォラファンが多く含まれています。

スルフォラファンは、抗酸化や解毒作用があり、身体の防御機能を高めると言われ、第7の栄養素として注目されている成分です。

ブロッコリースプラウトには、スルフォラファンが成熟したブロッコリーの20倍以上含まれています。

身体に良いところもある成分ですが、猫にとっては少量でも胃を刺激してしまう可能性がある危険な成分なので、与えない方が良いです。

過剰摂取には特に注意が必要

猫がブロッコリースプラウトを過剰摂取してしまうと、胃を刺激し炎症を引き起こす危険があるので、特に注意が必要です。

胃の炎症は、嘔吐などの症状を引き起こし、重症化すると脱水症状に陥る可能性もあります。

過剰摂取してしまうと、かなり危険な成分なので、大量に与えたり継続して与えるのは絶対にやめてください。

まとめ

ブロッコリーは、栄養価が高いので猫の健康維持におすすめな食材です。

しかし、ブロッコリーには与える際の量や調理法など注意する点がいくつかあります。

愛猫が健康に過ごせるために、身体に良いものを取り入れるのはとても良いことですが、何事もやり過ぎは良くありません。

1日に与える量は小さじ1杯を限度にし、エサのトッピングの感覚で与えるのがおすすめです。

キャットフードには、必要な栄養素がすべて含まれているので、ブロッコリーから栄養を摂ると考えずに、適度にプラスして与えるようにしてください。

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