【獣医師監修】猫はレタスを食べてもOK!栄養素と猫へのメリット・注意点を解説

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はじめに

私たち人間にとってレタスはとても身近な野菜です。

レタスといえば水分が豊富でみずみずしいイメージがあると思います。

水分がたっぷりで健康的な野菜ならば、愛猫に与えたくなる飼い主さんも多いのではないでしょうか。

しかし気になるのが、レタスは猫が食べてもOKなのか、気になるところです。

結論からいえば、レタスは猫が食べても大丈夫です。

ただし、猫は本来肉食動物なので、野菜を食べるには注意すべきこともあります。

飼い主さんならば、猫がレタスを食べることでどのような影響を及ぼし、何に気をつけなければならないのか事前に知ったうえで安心して与えたいと思うでしょう。

そこで今回は、レタスの栄養素や、猫にとってのメリット、注意点などをくわしく解説いたします。

猫はレタスを食べても大丈夫!

猫はレタスを食べても大丈夫です。

初めは少しだけ与えてみて、喜んで食べるようであれば、特に気にすることなく与えても問題ありません。

とはいえ、基本は猫に必要なすべての栄養素が含まれている総合栄養食をメインにすることが望ましいので、レタスを与えるにしても、おやつの代わり程度にしておきましょう。

猫に有害な成分は含まれていない

レタスに含まれる栄養成分のうち約96%が水分のため、栄養価が高い野菜とはいえませんが、それでもさまざまな栄養素を少しずつ含んでおり、中毒症状を引き起こすような猫にとっての有害な成分は含まれていません。

そのため、猫が好んで食べるようであれば、安心して与えてください。

サニーレタスやサンチュは食べられる?

サニーレタスやサンチュも食べることができます。

一般的なレタスとサニーレタスやサンチュとの違いについてご紹介すると、一般的なレタスは「玉レタス」という品種で、他のレタスに比べ栄養価は低めですが、それぞれがバランスよく含まれています。

また、水分の多さとシャキシャキの食感が玉レタスの特徴です。

サニーレタスは「葉レタス」の一種で、レタスほどのみずみずしさはありませんが、カルシウムや葉酸、食物繊維が多く含まれています。

サンチュは「茎レタス」の一種で、レタスのなかでβカロチンの含有量がもっとも多く、さらにビタミンKを含んでいるのが特徴です。

ビタミンKは人間ならば骨粗しょう症の予防に効果があるといわれていますが、猫にも同じ効果があるとは限らないので注意が必要です。

どのレタスも猫にとって有害な成分は含まれていませんので、3種のうちどれを食べても大丈夫です。

レタスに含まれる栄養素と猫へのメリット

レタスには水分のほかにもさまざまな栄養素が、バランスよく含まれています。

それぞれの栄養素が、人間と同じような効果を期待できるとは限りませんが、各栄養素についてご紹介するとともに、考えられる猫へのメリットについて解説いたします。

レタスの栄養素とメリット

カリウム

カリウムは体内の過剰な塩分を排出することで、血圧を安定させる効果が期待できます。

ほかにも神経の伝達や、心臓の機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などの働きをしており、猫の健康維持に欠かせない栄養素です。

しかし、加齢や、腎機能に問題を抱えている猫の場合には、余分なカリウムを体外へ排出することが困難になり、血中のカリウム濃度が上がってしまう「高カリウム血症」になるおそれがあります。

そのため、シニア猫や腎臓機能が低下している場合には、過剰摂取にならないよう与える量には注意が必要です。

カルシウム

カルシウムは、歯や骨の主要な成分になるだけでなく、筋肉の収縮や、神経の伝達、血液凝固作用の促進などさまざまな機能に関与しています。

カルシウムが不足すると、歯や骨が弱くなりますが、猫の場合は結石ができやすいため過剰摂取に注意を払い、適量の摂取にとどめておきましょう。

葉酸

葉酸は、赤血球の生成や、多くの生体機能に関わっている重要な栄養素です。

赤血球を生成することから「造血のビタミン」と呼ばれ、動脈硬化の予防にも効果があるとされており、不足すると貧血などの症状や免疫力の低下につながってしまいます。

ビタミンC

ビタミンCは、酸化から体を守る抗酸化作用、鉄の吸収促進やがん予防、アンチエイジングなどに効果があるとされており、コラーゲンの生成や抗酸化作用による免疫力の向上を促す働きも期待できます。

このビタミンCですが、じつは猫はヒトと違い体内で作ることができるので、これまでは一般的にビタミンCをあえて摂取する必要はないと考えられていましたが、現在ではビタミンCもある程度は摂取した方がよいと考えられるようになりました。

その理由は、年齢を重ねると老化による肝機能の低下などにより、体内の合成能力が低下してしまい、ビタミンCを作ることができなくなり、抗酸化作用が弱ってしまうためです。

その結果、若い頃に比べて体内のビタミンC濃度が下がることで、酸化ストレスに負けて老化がさらに進行してしまうので、ビタミンCをつくることができる猫も、シニア期を迎えたら積極的にビタミンCを摂取することが推奨されるようになったのです。

栄養素以外のメリットも

猫がレタスを食べることは栄養補給以外にも大きなメリットがあります。

水分補給ができる

猫はもともと飲水量が少ない動物です。

生きていくためには水分補給は欠かせませんが、水を意図的に飲ませることは簡単なことではありません。

効果的に水分補給をさせるのに、栄養素の96%が水分で構成されているレタスを食べさせることはとても有効な手段です。

食事に混ぜたり、おやつとして与えたりすることで、飲水量の少ない猫にもしっかりと水分を補給させることができます。

また、レタスには食物繊維が「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類含まれており、水溶性は血糖値の急激な上昇を抑え、不溶性は腸の中で膨張し、排便を促す働きをします。

含有量は水溶性が0.1g、不溶性が1gとなっており、それほど多くはありませんが、不溶性食物繊維が腸内環境の改善や便秘の改善に役立つと考えられます。

もともとの含有量が多くないため、それほど心配する必要はありませんが、食物繊維の過剰摂取によりお腹がゆるくなることもあるので、レタスの与え過ぎには注意を払いましょう。

猫にレタスを与えるときの量と調理方法

与えるときの適量は?

猫にレタスを与える際の適量は、1/4枚程度なら問題ありません。

ただし、あくまでおやつや水分補給などとして与えてください。

レタスだけでは必要な栄養素が不足してしまうため、メインは総合栄養食のキャットフードを与えて、補助的な役割としてレタスを適量与えるのがよいでしょう。

初めは少量ずつ与えてみて、喜んで食べるようであれば少しずつ量を増やしてもよいですが、適量までにとどめてください。

猫は肉食動物なので、野菜などを消化する酵素を体内に持っていないため、あまり大量に与えてしまうと、体調を崩すことがあるので注意が必要です。

猫に与えてよい部位

レタスの部位に関しては、葉や芯の部分などどれを与えても問題ありません。

ただし、芯の部分は固いところがあり、消化しにくいため、細かく刻んで与えるのがよいでしょう。

特に、シニア猫にレタスを与える際には、消化能力によっては芯の部分は避けて葉だけを与えることをおすすめします。

つぎに、レタスの種類に関してですが、サニーレタスやサンチュ、グリーンリーフなどがありますが、どれも猫に与えても大丈夫です。

注意点として、サニーレタスなどは同じレタスでありながら、緑黄色野菜に分類されるため、カリウムなどを多く含んでおり、過剰摂取には注意しましょう。

レタスはあくまで嗜好品として与えるのが望ましく、どの種類を与えても問題ありませんが、水分補給をさせる観点から一般的な玉レタスのほうが猫に与えるならばおすすめです。

生のまま与えるがおすすめ

レタスの与え方としては生のまま与えてください。

レタスに含まれるビタミンCやカリウムは水溶性のため、長時間水に浸したり、しっかりと茹でたりすると栄養素が溶け出してしまいます。

また、レタスの特徴でもあるシャキシャキの食感も生で食べることによって感じることができるので、生で与えた方が食感も栄養素も失うことなく摂取することができます。

加熱するなら短時間に

もし加熱してレタスを与える場合には、短時間茹でる程度にとどめてください。

レタスに含まれるビタミンCは熱に弱く、あまり長い時間茹ですぎると、肝心の栄養素がすべて失われてしまいます。

小さくちぎって与える

レタスを与える際には、人間が食べるようなサイズではなく小さくちぎって与えてください。

口が小さい猫は大きいままだと食べづらいですし、万が一そのまま飲み込んでしまい喉に詰まらせることのないよう気を配ってあげる必要があります。

また、芯などはみずみずしいため、水分補給にも適していますが、固い部分が多いため、与える際には、細かく刻んで食べさせるようにしてください。

また、猫は肉食動物でもあるため、野菜を消化することが得意ではありません。

消化しづらいものを大量に食べれば消化不良を起こすことも考えられます。

そのため、適量を守ることはもちろんですが、少量ずつ食べるようにする意味でも小さくしてから食べさせることはとても重要となります。

猫にレタスを与える際の注意点

レタスは猫が食べても問題ありませんし、水分補給などの面でメリットも多い野菜ということは間違いありません。

ただし、注意しなければならない点がいくつかあるので、飼い主さんは与える前にその点をしっかりと把握しておきましょう。

与えすぎに注意

キャットフードを毎日食べている猫は、風味も食感も違うレタスを気に入ると、とてもよい食いつきを見せることもあるでしょう。

猫がおいしそうに夢中で食べる姿をみれば「もっと食べさせてあげよう」とついたくさん与えたくなってしまいます。

しかし、レタスはあくまでおやつや、水分補給としての補助的な役割にとどめておかなければなりません。

レタスにもさまざまな栄養素が含まれていることはご紹介しましたが、もともと水分以外の栄養素の含有量はそれほど多くありません。

肉食動物である猫は、レタスをたくさん食べても成長や健康維持に必要な栄養素が不足してしまいます。

猫が健康な体を維持するためには、総合栄養食であるキャットフードをしっかりと食べなければなりません。

レタスをたくさん与えることで、キャットフードを食べる量が減ってしまうと栄養が足りなくなってしまうことが考えられるので、適量を守って与えるようにしてください。

猫に与える量としては1/4枚程度までを適量としていますが、嗜好品として与えるため、それより少なくても問題ありません。

また、サニーレタスやサンチュなどの緑黄色野菜は一般的なレタスと違い、シュウ酸が多く含まれています。

シュウ酸を多く摂りすぎると、結石の原因となるおそれがあるので、こちらも与える量はしっかりとコントロールするようにしてください。

ドレッシングはNG

猫にレタスを与える場合に、人間が食べているドレッシングのかかったレタスを与えるのは絶対に避けましょう。

ドレッシングには、猫が口にしてはいけない玉ねぎやニンニクなどが含まれているため、食べると中毒症状を起こしてしまうからです。

中毒症状になると、下痢や嘔吐、重症化すると血尿や貧血が出て最悪の場合には呼吸困難を引き起こし死に至ることもあります。

ドレッシング以外にも、口にしてはいけないものを食べてしまった際には、体調に異変を起こしていなくても速やかに病院へ連れていき、症状が悪化しないよう対処してください。

また、食べてはいけないものを含んでいなくても、人間が食べるような味のついたものは塩分の摂りすぎにつながるため与えるべきではありません。

人間の食べ物は、猫にとっては味が濃すぎるため、健康を害するだけでなく猫用の食べ物を食べなくなってしまうことがあります。

人間にとってはそのまま食べると味気ないと感じるレタスのような食べ物も、猫はおいしく食べることができるので、過度な味付けはする必要がありません。

アレルギー反応が起こることも

レタスは猫にとって有害な物質は含まれていませんが、少量含まれているたんぱく質に過剰反応して、稀に食物アレルギーを起こすことがあります。

食物アレルギーを起こす確率は低いものの、ゼロではないということを理解しておく必要があります。

そのため、初めて与える際には、少量与えてみて猫の様子をみてください。

食べてから時間が経過して、体を痒そうにしていないか、下痢や嘔吐を起こしていないか、いつもと違った様子はないかよく観察しましょう。

問題がなく、レタスによってアレルギーを起こさないことが確認できたら、次回からは適量までは量を増やしてもよいでしょう。

まとめ

猫にレタスを与える際の与え方や、レタスに含まれている栄養素について解説いたしました。

猫にとって安全な食材というだけでなく、それほど多くはないもののさまざまな栄養素が豊富に含まれており、水分補給とあわせて猫に与えるメリットは多いといえるでしょう。

ただし、あまり口の大きくない猫には食べやすいサイズにちぎって与えることや、芯の部分は細かく刻んで食べさせるようにしてください。

また、猫は体に必要な栄養素に関しては、総合栄養食であるキャットフードから摂らなければならないため、レタスを食べ過ぎて食事量が減ることのないよう、あくまで嗜好品の範疇で与えるようにしてください。

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