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はじめに
猫にとって必要な栄養素は、主に動物性タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルであり、これらの成分は肉類や魚類から摂取できます。
野菜には「食物繊維」「ビタミン」「ミネラル」などの成分が豊富に含まれていますが、猫の消化器官では食物繊維を十分に消化吸収できません。
ただし適量であれば便秘や下痢の予防として有益な働きが期待でき、なかでも白菜は猫に安全とされている食材であり、栄養価の高い野菜の一つです。
この記事では、猫が食べても問題のない白菜の適切な量と、白菜の主な栄養素、そして与える際の注意点について解説し、詳しくまとめました。
猫は大量でなければ白菜を食べても大丈夫
結論を先に述べると、少量の白菜を与える程度であれば猫の健康を害することはないというだけで、「猫は大量でなければ白菜を食べても大丈夫」という表現は、適切ではありません。
白菜は猫にとって安全な食べ物ですが、「主食として与えるのではなく少量のおやつ程度であれば問題ない」という認識が大切であり、「過剰に与えると消化器官のトラブルが起こる可能性がある」ことに注意してください。
白菜などの野菜類は、猫の消化器官では十分に消化吸収できず、大量に与えると下痢などの消化器系の問題を引き起こす可能性があるので、適量を守ることが重要です。
白菜は水分が95%
一部の栄養成分表を参考にすると、「白菜100gあたり水分95.2g」と記載されており、また別の栄養成分表を参考にすると、「白菜100gあたり水分95.4g」と記載されています。
したがって白菜の水分含有率は、おおむね95%前後であり、水分が多いことでカロリーが抑えられるだけでなく、白菜に含まれる栄養素を濃縮した形で摂取できるところが利点です。
また白菜から摂取できる水分は消化を助ける役割があるとされており、水分が多いことで胃腸の動きを滑らかにし、消化を促進させる効果が期待できる健康的な食材と言えます。
猫に有害な成分は含まれていない
白菜の成分の約95%前後が水分でできており、他に含まれる成分として「食物繊維」「ビタミンB群」「ビタミンC」「ビタミンE」「ビタミンK」「葉酸」「カルシウム」「カリウム」「マグネシウム」「リン」「鉄」「銅」「亜鉛」などが豊富に含まれています。
これらの成分は猫の健康維持に必要不可欠な栄養素であり、白菜に含まれる主な栄養素のほとんどが猫用のキャットフードにも含まれているため、猫が食べても有害な成分は含まれていないと判断して問題ありません。
ただし猫の消化器官は本来肉食動物向けに進化していることが指摘されており、大腸は身長の約4倍程度しかなく草食動物に比べて非常に短いため、食物繊維を消化吸収する能力が低いです。
白菜自体には猫にとって有害な成分は含まれていないと言えますが、大量に与えると下痢などの消化器系のトラブルを引き起こす可能性があるため、与える量には気をつける必要があります。
白菜の主な栄養素
白菜は水分が95%前後を占めていますが、これは水分の割合が高いということを示すものであり、水分自体は栄養素ではありません。
白菜の主な栄養素は、「食物繊維」「ビタミンB群」「ビタミンC」「ビタミンE」「ビタsミンK」「葉酸」「カルシウム」「カリウム」「マグネシウム」「リン」「鉄」「銅」「亜鉛」などの成分です。
水分の割合が高いことにより、これらの栄養素を摂取することができるため、白菜は健康的な食材と言えます。
カリウム
人間にとってのカリウムには、以下のような効能効果があることが示されています。
具体的には、「体内の水分量や飲水量のコントロール」「エネルギー代謝の調節」「筋肉の収縮」「神経伝達」「血圧を下げる効果」「腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制し尿中への排泄を促進する」などの効能効果が期待できるでしょう。
猫にとってのカリウムも、以下のように多くの重要な役割を果たします。
具体的には、「体内のナトリウムを排出し血圧を調整する」「心臓の機能を維持し不整脈のリスクを減らす」「筋肉の収縮と弛緩を調節する」「神経信号の伝達を促進する」「細胞の水分と電解質バランスを維持する」などの作用が期待できるでしょう。
ただし腎臓の機能が低下している猫は、カリウムを適切に排出できなくなるため、過剰摂取した場合に血中のカリウム濃度が上昇し、高カリウム血症を引き起こす恐れがあります。
高カリウム血症になると、「おう吐、下痢、脱水症状」などの症状が起き、場合によっては「不整脈や心停止」などの深刻な症状が現れる可能性があります。
したがって腎臓病と診断された猫の場合には、獣医師の指導のもとで、カリウムやナトリウムなどのミネラルを制限したキャットフードに切り替えるなど、食事管理に気をつけることが重要です。
カルシウム
人間にとってのカルシウムには、以下のような効能効果があることが示されています。
具体的には、「骨や歯の維持と形成に不可欠な栄養素」「骨粗しょう症の予防に役立つ」「血液の凝固作用に関与する」「筋肉の収縮を助け筋肉の正常な機能を維持する」などの効能効果が期待できるでしょう。
猫にとってのカルシウムも、以下のように多くの重要な役割を果たします。
人間への効果と同様に、「骨や歯の維持と形成に不可欠な栄養素」「骨粗しょう症の予防に役立つ」「血液の凝固作用に関与する」「筋肉の収縮を助け筋肉の正常な機能を維持する」などの作用が期待でき、「妊娠中の猫や成長期の子猫は多くの栄養を必要とするためカルシウム補給としても役立つ」などのメリットにも期待できるでしょう。
ただし猫は本来肉食動物なので、白菜などの野菜類に含まれるカルシウムを十分に吸収できるかは定かではありません。
あくまでも猫の主食は総合栄養食のキャットフードとし、白菜はおやつとして与える程度に止め、補助的な役割として考えましょう。
また食物繊維を多く含む食材を過剰に与えると、下痢などの消化器系のトラブルが起こる可能性があるため、与える量に気をつけてください。
ビタミンK
人間にとってのビタミンKには、以下のような効能効果があることが示されています。
具体的には、「カルシウムの吸収を助け骨の形成を促進し骨の健康維持に役立つ」「骨粗しょう症の予防に役立つ」「血液の凝固に必要な凝固因子の生成に不可欠な栄養素」「出血時の止血に役立つ」などの効能効果が期待できるでしょう。
猫にとってのビタミンKも、以下のように多くの重要な役割を果たします。
人間への効果と同様に「カルシウムの吸収を助け骨の形成を促進し骨の健康維持に役立つ」「骨粗しょう症の予防に役立つ」「血液の凝固に必要な凝固因子の生成に不可欠な栄養素」「出血時の止血に役立つ」などの作用が期待でき、「外傷を負ったときに血液を固める酵素の生成を助けるため出血が止まりやすくなる」などのメリットにも期待ができるでしょう。
ただし猫は本来肉食動物なので、白菜などの野菜類に含まれるビタミンKを十分に吸収できるかは定かではありません。
あくまでも猫の主食は総合栄養食のキャットフードとし、白菜はおやつとして与える程度に止め、補助的な役割として考えましょう。
また食物繊維を多く含む食材を過剰に与えると、下痢などの消化器系のトラブルが起こる可能性があるため、与える量に気をつけてください。
ビタミンC
人間にとってのビタミンCには、以下のような効能効果があることが示されています。
具体的には、「抗酸化作用により活性酸素から体を守る」「肌の老化防止に効果がある」「鉄の吸収を高める働きがある」「コラーゲンの生成を助ける」「免疫力を高めて風邪の予防に役立つ」などの効能効果が期待できるでしょう。
猫にとってのビタミンCも、以下のように多くの重要な役割を果たします。
具体的には、「抗酸化作用により老化の進行を遅らせる」「免疫力を高めて病気に対する抵抗力を付ける効果がある」「コラーゲンの生成により創傷治癒を促進する」などの作用が期待できるでしょう。
ただし猫は本来肉食動物なので、白菜などの野菜類に含まれるビタミンCを十分に吸収できるかは定かではありません。
あくまでも猫の主食は総合栄養食のキャットフードとし、白菜はおやつとして与える程度に止め、補助的な役割として考えましょう。
また食物繊維を多く含む食材を過剰に与えると、下痢などの消化器系のトラブルが起こる可能性があるため、与える量に気をつけてください。
猫は野菜の消化が苦手
猫は本来肉食動物として進化してきたため、草食動物のように植物性の野菜を消化して栄養とするための消化器官を持っていません。
猫の歯や顎の仕組み、腸の長さなどは、本来の食性である肉を消化するための構造になっています。
また猫の唾液には炭水化物の消化に必要なアミラーゼの分泌量がほとんどないとされており、猫は繊維質が含まれる食べ物の消化が苦手な傾向にあると言えるでしょう。
猫は肉食動物
猫の消化器官は本来肉食動物向けに進化しているため、植物性の食物や炭水化物の消化には適していません。
猫の臼歯(きゅうし)は先端が尖っており、なおかつ上下の歯が前後で微妙にずれています。
これは、肉や骨を「咬む」「引き裂く」「噛み砕く」「丸呑みする」ことに適した構造です。
顎の構造も、縦に大きく開くことはできますが横に動かすことはできません。
これは、植物を細かくすりつぶすことには適しておらず、肉を引き裂くのに適した形状です。
また猫の大腸は身長の約4倍程度の長さしかなく、植物性の食物を消化する必要がないためだと考えられています。
毛玉を吐くために食べる猫も
猫はグルーミング(自分の体を舐めて被毛の手入れをする行動)をしたときに、多かれ少なかれ抜けた毛を飲み込んでしまいます。
胃の中に溜まった毛玉を吐き出すために、通常は猫草を与えることが一般的ですが、猫草の代わりに白菜を与えることもできるかもしれません。
アブラナ科の野菜に含まれている辛み成分「イソチオシアネート」は白菜にも含まれており、この刺激作用が毛玉を吐き出す手助けになる可能性が示唆されています。
ただし白菜を食べ過ぎると、胃腸に過度の負担がかかる恐れがあるので、適量を厳守し、猫の体調や様子を見ながら与えることが大切です。
猫に与えていい白菜の量
猫は本来肉食動物であり、植物性の食物を消化吸収することが苦手なため、白菜を与えすぎると下痢などの消化器症状が現れる可能性があるので注意が必要です。
また白菜には有害な成分は含まれていないとされていますが、イソチオシアネートという成分が含まれており、猫には刺激が強すぎる可能性が指摘されています。
過度に摂取した場合には胃腸に負担がかかる恐れがあるため、猫に白菜を与えるときは、ティースプーン1杯程度の少量にとどめることが賢明です。
個体差があるため適量は一律ではなく、猫の年齢や体重あるいは体調や嗜好などによっても異なるため、猫の様子を見ながら与える量を調整してください。
本来猫の食事は総合栄養食のキャットフードを主食とすることが正しい食事法であり、白菜はおやつ程度に抑え、与え過ぎないことが大切です。
猫に白菜を与える時の注意点
猫に白菜を与えるときは、おやつ程度という認識で少量を与えるよう注意し、みじん切りにしたり茹でたりするなどの一手間を加えて、与え方にも工夫しましょう。
また白菜は水分含有量が95%前後を占めているため、あまり水を飲まない猫にとって水分補給の役割を果たす可能性が期待されます。
しかし白菜を毎日継続して与えた場合、尿路結石や甲状腺機能低下症のリスクがあるため、定期的に与え続けることは避けたほうがよいでしょう。
水分補給の目的で白菜を与えるときは、補助的に与える程度にとどめ、自動給水機を導入するなど別の方法を検討してください。
自動給水機の中には、水の流れを意識した形状のものがあり、猫は流れる水を好む傾向にあることから推奨されています。
芯の部分は細かく切る
白菜の緑の葉の部分は生で与えても問題ありませんが、白い芯の部分は固いので、そのまま与えると喉に詰まらせてしまう危険性があります。
芯の部分を与えるときは、茹でて柔らかくすることが重要であり、繊維を断ち切るようなイメージで細かく刻んで与えることが推奨されています。
茹でてから与えた方が安心
白菜の白い芯の部分は固いので、そのままの状態で与えると喉に詰まらせてしまう危険性が指摘されています。
白菜の緑の葉の部分は生のまま与えても問題ありませんが、芯の部分は茹でて柔らかくしてから与えたほうが安心です。
また芯の部分を柔らかくするだけでは不十分で、茹でるか蒸して柔らかくしたあと、必ず食べやすいように細かく刻んでから与えることが推奨されています。
少量を与える
白菜には免疫力向上や便秘解消の効果があると考えられており、食物繊維やビタミンなど猫の健康に有益な栄養素が多く含まれています。
しかし大量に与えると胃腸の負担になり、与え過ぎると尿路結石や甲状腺機能低下症などの病気のリスクが高まるため注意が必要です。
猫に白菜を与えるときは「少量」を厳守することが重要で、成猫の場合はティースプーン1杯程度を目安にし、子猫には与えないほうがよいでしょう。
個体差があるため適量は一律ではなく、猫の年齢や体重あるいは体調や嗜好などによっても異なるため、猫の様子を見ながら与える量を調整してください。
本来猫の食事は総合栄養食のキャットフードを主食とすることが正しい食事法であり、白菜はおやつ程度に抑え、与え過ぎないことが大切です。
甲状腺に疾患のある猫は注意
白菜などのアブラナ科の野菜に含まれる成分のうち、特に甲状腺の機能に影響を与えるのはグルコシノレートという成分です。
野菜を切ったりすりおろしたりしたときにミロシナーゼという酵素がグルコシノレートを分解し、イソチオシアネートという化合物を生成します。
イソチオシアネートには、甲状腺の機能を低下させる作用があり、具体的には、ヨウ素の取り込みを阻害したり、甲状腺ホルモンの合成を抑制したりすることで、甲状腺の機能を低下させます。
甲状腺は代謝を司る内分泌腺で、甲状腺に疾患がある場合、白菜に含まれる成分が症状を悪化させる可能性があるため、甲状腺に疾患のある猫には白菜を与えることは避けてください。
大量に食べると低カリウム血症に
白菜を猫に大量に与えた場合、低カリウム血症になる可能性はありますが、白菜だけが原因とは限りません。
低カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が低下した状態のことで、主な症状としては「筋肉の脱力感」「四肢麻痺」「自律神経失調」「不整脈」「心停止」などが挙げられます。
猫の場合には、白菜に含まれるカリウムが多量に吸収されることで、血液中のカリウム濃度が一時的に上昇することによって、低カリウム血症になる可能性があるでしょう。
白菜に含まれる水分が多量に吸収されることで血液が薄まり、カリウム濃度が相対的に低下することも原因であり、白菜の大量摂取により腸内環境が乱れ、カリウムの吸収が阻害されることも理由の1つです。
ただし適量であれば、白菜を食べても甲状腺が腫れることはごく稀であり、機能低下を起こすリスクはさほど高くないという意見もあり、大量に与え続けない限りは、低カリウム血症になる可能性は低いと言えます。
また低カリウム血症になるのは白菜だけが原因とは限らず、腎臓病や糖尿病などの基礎疾患により、二次的に低カリウム血症になることもあるようです。
猫の健康を第一に考えて、白菜を与えるときは少量を厳守し、また白菜に限らず猫用に作られたキャットフード以外の食べ物は、控えめに与えるほうが賢明と言えるでしょう。
アレルギー反応
一般論として、「アレルゲン」とは体内に入ってアレルギー症状を引き起こす原因となる物質のことで、食物アレルギーでは食品中のタンパク質を指します。
白菜にはタンパク質が少量含まれているとされており、「痒み」「下痢」「おう吐(おうと)」などを伴うアレルギー症状を引き起こす可能性があるでしょう。
したがって白菜を与えるときは少量を厳守し、与えすぎないよう心掛け、猫の体調に変化がないかよく観察することが大切です。
アレルギー症状が疑われる場合には放置せず、すぐに動物病院へ連れて行き、適切な診察と治療を行いましょう。
食物性のアレルギーの症状
一般的な食物性のアレルギーの主な症状としては、皮膚症状(湿疹、じんましん、かゆみ)、消化器症状(おう吐、下痢、腹痛)、呼吸器症状(くしゃみ、鼻水、咳)などが挙げられています。
重篤な場合には、アナフィラキシーショックと呼ばれる血圧低下や意識障害を伴う症状が現れることがあります。
白菜を食べたことでアレルギーが疑われる場合には、獣医師に相談し、適切な検査と治療を受けることが大切です。
アレルギー症状が疑われたら動物病院へ
アレルギー症状が疑われる場合には、放置すれば悪化する恐れがあるため、気づいた時点ですぐに動物病院へ連れて行き、適切な診察と治療を行いましょう。
動物病院では、問診で症状の経過や食事内容を詳しく聞き取り、皮膚や粘膜の状態を観察し、血液検査でIgE抗体の有無を調べ、必要に応じて食物アレルギーの検査を行います。
治療としては、抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイド薬などの内服薬による処方が行われ、重症の場合には点眼薬や点鼻薬を併せて使用することが一般的です。
アレルギー検査の結果、白菜がアレルゲンであると特定された場合は、白菜を完全に除去した食事に変更することが重要で、療法食への変更を提案された場合は、その指示に従いましょう。
また温度と湿度の変化、過度のストレスなどがアレルギー症状を悪化させる要因となる可能性も考えられるため、治療後に症状が治まった後も、猫にとって快適な生活環境を整えることが大切です。
まとめ
白菜には猫にとっても必要な栄養素が含まれていますが、過剰に摂取した場合には下痢などの消化器系のトラブルを引き起こす可能性があります。
猫に白菜を与えるときは適量を守り、調理時には塩や油を使わないことを厳守し、ゆでるか電子レンジで加熱してから与えると消化によいでしょう。
猫の健康を第一に考え、バランスのよい食生活を送るためのヒントとして、当記事の情報をぜひお役立てください。