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はじめに
甘いものを猫に与えるのは身体に良くないイメージがありますが、砂糖は猫に与えても毒にはなりません。
しかし、砂糖を猫に与えるのはリスクもあるので注意が必要です。
今回は猫に砂糖を与える際の危険性や、与えても良い安全な方法を紹介します。
人間が美味しいと思うものが猫にとっても美味しいとは限らないので、愛猫の健康のために砂糖を摂取する際の注意点をしっかり理解しておきましょう。
猫に砂糖を与えるのは大丈夫?
基本的に砂糖に毒性はないので、猫に与えても大丈夫です。
しかし、甘みを感じないため砂糖を食べても美味しいと感じるわけでもなく、与える量によっては糖尿病などの重大な病気を引き起こすリスクが高まるため、積極的に与える必要はありません。
砂糖は猫にとって毒ではない
砂糖に含まれる成分に、猫にとって毒になるものはありません。
積極的に与える必要はありませんが、少し舐めてしまった程度なら焦らなくて大丈夫です。
しかし、人が食べてるものを欲しがるからと言って与え続けていると、気付かないうちに大量の砂糖を与えてる可能性があります。
砂糖に含まれる糖分(グルコース)は、肥満を引き起こし様々な健康被害に繋がるので、基本的には砂糖は与えないようにすることが望ましいです。
砂糖を与える時は注意が必要
砂糖は毒性がないものの、過剰摂取をすると糖尿病などの病気や肥満になる可能性があります。
少量を単発で与える場合はそこまで心配する必要はありませんが、毎日継続的に与えるのは危険です。
特にダイエット中・糖尿病を患っている猫の場合は、砂糖は避けることを勧めます。
砂糖の過剰摂取による危険性
砂糖の過剰摂取によるリスク・危険性を紹介します。
猫のおやつに人間が食べる甘いものをあげたり、ご褒美にお砂糖が入ったお菓子をあげるなどはやめてください。
糖尿病や肥満のリスク
砂糖の過剰摂取の1番のリスクは、糖尿病や肥満になる事です。
砂糖は体内で吸収されやすいだけでなく、食後の血糖値を急上昇させます。
血糖値が急上昇するとインスリンが大量に分泌され、後に中性脂肪に作り変えられてしまうのです。
猫は運動量が少なく睡眠時間も多い動物なので肥満になりやすく、肥満状態になると糖分を細胞に取り込む役割のあるインスリンの感受性が低下するため糖尿病を引き起こす確率も上がります。
糖尿病の症状 |
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糖尿病になると、水を飲む量と尿が増える多飲多尿の症状が出る可能性が高いです。
大量に水分が放出されると体内の水分量が減り、補うために飲み水が増えます。
また、糖尿病は糖を吸収しづらい状態になっているため食欲旺盛でも太らないで痩せていくことがあります。
糖尿病は一度かかってしまうと長い間闘病生活をすることになるので注意しましょう。
下痢や嘔吐を引き起こす可能性
猫に砂糖を与えすぎると、下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。
一度に大量摂取した場合も、少量を継続して与えた場合にも起こりうる症状なので注意しましょう。
猫にキャットフード以外の食べ物を与える場合は、原材料など表記されている材料に問題がないかをしっかり確認してから与えてください。
猫に砂糖はなるべく与えない方が良い
砂糖は猫の身体にとって悪い影響を与える可能性があるため、なるべく与えない方が良いです。
猫用のキャットフードやおやつは基本的には適量以上の糖分が入っていないものが多いですが、人間が食べる用の食べ物には猫にとって適量以上の砂糖が含まれてる場合があります。
特にケーキや甘いお菓子は危険です。
飼い主が美味しそうに食べていると欲しがる猫も多いですが、少しだけと食べさせるのはおすすめできません。
欲しがっているのにあげないと可哀想だからと人間の食べ物を与えてしまうと、体調不良の原因になり結果的に辛い思いをするのは愛猫です。
どうしても与えなければいけない場合以外は、人間の食べ物は与えないでください。
猫が舐めても問題のない砂糖の量
猫にとって砂糖は必要な栄養素ではないため、正確な糖分の基準は設けられていません。
しかし、炭水化物に含まれる糖分を含めても、1日に食べるものの35%以下に抑えることが望ましいです。
猫は40%以上の炭水化物を食べると、下痢・嘔吐・高血糖を引き起こす可能性があります。
炭水化物は毎日食べるキャットフードにも含まれているので、その他から糖分(砂糖)を摂取してしまうと過剰摂取になってしまうので気を付けてください。
少し舐めてしまってもほとんどの場合は問題はない
猫にとって過剰摂取にならない程度の量なら、砂糖を舐めてしまっても問題のないことがほとんどです。
身体に良いわけではないですが、一時的に砂糖を少量摂取しても毒性があるわけではないので継続的でなければ危険はありません。
家の中で砂糖が舐められる状況にあるならば、飼い主が見ていないところで継続的に舐めてしまう可能性もあるので砂糖は猫の届かない場所にしまっておきましょう。
猫は甘味を感じない?
猫は舌に味蕾と呼ばれる味細胞が500個しかないため、甘味を感じません。
猫が感じ取れる味覚は、酸味・苦味・塩味・旨みのみです。
猫の味覚の特性
猫の味覚は美味しさを判断するよりも、食べれるかどうか決めるために使われることが多いです。
味覚よりも嗅覚が発達しているので、匂いにはかなり敏感なので嗅覚からも味を判断しています。
苦味・酸味・旨味には敏感
猫の味覚で感じ取れるのは、苦味・酸味・塩味・旨味です。
その中でも苦味・酸味・旨味には敏感で、匂いと味で食べれるものか判断します。
猫は元々お腹が空けば単独で狩りをして、ネズミやウサギなどの小動物を食べていました。
常に新鮮な肉を食べていた猫にとって腐った肉は好まないので、腐敗臭の特徴である酸味は好みません。
また、苦味も猫を含む哺乳類が嫌う味で、本能的にも毒があると判断するため好まないと考えられています。
旨味は、グルタミン酸やイノシン酸などのアミノ酸によって生じる味覚です。
アミノ酸は猫にとってエネルギー源になるタンパク質を構成するために大事な成分なので、本能的に好んで摂取しようとします。
塩味はあまり感じない
猫は塩味を感じることはできますが鈍感です。
元々肉には塩分が含まれているので、塩分を他から摂取する必要がなかったため敏感に発達しなかったのでしょう。
塩味に鈍感だと、しょっぱい食べ物でも気付かずに食べてしまう可能性があります。
塩分を多くすると利尿作用があるという理由で高塩分のキャットフードも販売されていますが、塩分の過剰摂取は心臓・腎臓などの臓器へ負担がかかるので注意が必要です。
猫は高塩分に気付かずに食べてしまう事が多いので、飼い主は猫が食べるものの塩分量を気にしてあげてください。
甘味はまったく感じない
猫は肉食動物なので、穀物のように甘みのない肉が主食のため、甘味を感じる器官が発達しなかったと言われています。
今でも甘味は全く感じないので、猫は甘いものを好んで食べようとしません。
たまに甘いものを食べていると欲しがる猫もいますが、味ではなく匂いで寄ってくる可能性が高いです。
甘味を感じなくても糖分を摂取すれば肥満になるリスクは高まります。
人にとっては少量だとしても猫にはカロリーオーバーになるため、甘いものは猫に食べさせないようにしましょう。
甘いものをあげても猫は美味しく感じない
人はお祝いやご褒美にケーキや甘いおやつを食べる事がありますが、猫にとっては無味な食べ物なので甘いものが美味しいと感じません。
美味しいと感じないのに糖分を摂ると肥満や糖尿病になる危険があるため、猫に美味しいわけでもない甘いものを与える必要はないです。
幸福度が満たされるわけでもなく、病気のリスクだけが増えてしまうのでご褒美を与えたい時は別な方法を考えましょう。
砂糖水を経口補水液として活用する場合もある
砂糖は猫が体調不良の時や脱水症状を起こしているときに、経口補水液として与える場合があります。
すぐに動物病院に連れて行けない時の応急処置に使える方法なので、ぜひ覚えておいてください。
砂糖水で作った経口補水液を与えて良いのはどんな時?
砂糖水で作った経口補水液は、猫が体調不良だからといって、どんなときにも使える万能な水というわけではありません。
どんなときに与えて良いのかを解説するので、しっかり確認してください。
脱水状態
砂糖水で作った経口補水液を与えていいのは、猫が脱水症状を起こしているときです。
猫が脱水状態の時の症状 |
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猫が脱水状態に陥っている様子が見られた時は、背中の皮膚を軽くつまんでみましょう。
すぐに元に戻るなら心配ありませんが、戻りが遅い場合は脱水症状を引き起こしている可能性が高いです。
他にも普段より動きが鈍かったり、目・口・歯茎などが乾いている時も脱水状態の場合があります。
早期発見するためには異変に早く気付いてあげることが大事ですが、普段の状態を把握できていないと難しいです。
なるべく普段から愛猫とコミュニケーションを取り、肌の状態や身体の状態をよく観察しておきましょう。
また、猫の身体の60%は水分でできていますがキャットドライフードなどの食事から摂取できる水分は約10%程なので、食事以外からの水分摂取が必須になります。
1日に必要な水分量は1㎏あたり約45mlなので、元々あまり水分補給をしない猫にとって体調不良で身体がしんどい時は水分補給をするのが特に大変です。
体調不良以外にも夏の猛暑や、冬の暖房の効きすぎでも脱水症状を起こす可能性があるため、飼い主は必要な量の水分補給ができているか注意して見てあげましょう。
体調不良
猫が体調不良を起こしている時にも、砂糖水で作った経口補水液は役に立ちます。
猫が体調不良を起こしている時の症状 |
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猫に食欲がない場合は、水分不足になっている可能性が高いです。
また、発熱時や下痢嘔吐が続いている場合は、脱水症状を引き起こす危険があるため水分補給が必須になります。
上記の表のような体調不良の症状が出ていて、水分が取れていない状態の時は砂糖水で作った経口補水液を与え応急処置をすると良いです。
しかし、体調不良にはウイルス感染や病気など原因があることが多いので、なるべく早く動物病院に連れて行き専門の獣医に診てもらってください。
猫は体調不良を周りに悟られたくないため、弱っている姿を見せないようにします。
狭いところに隠れたり、使っていない部屋にいるなど飼い主からも距離を取ろうとする可能性があるので、注意して観察するようにしてください。
いつもと違うと感じたら、猫の身体を触って痛いところがないか・身体が熱くないかなどを確認し、異常があればすぐに対応してあげましょう。
動物病院にすぐに連れて行くのが1番望ましいですが、難しい場合は専門の獣医に電話して指示してもらうのが安心です。
低血糖
猫が低血糖を起こしてしまった時は、なるべく早く砂糖水で作った経口補水液を与えましょう。
猫が低血糖を起こした時の症状 |
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猫に低血糖に症状が出た時は、糖分を補給することで血糖値が上がれば比較的早く症状が改善します。
しかし、低血糖のまま長時間経過してしまうと、最悪の場合命の危険があるので注意が必要です。
低血糖になる原因は絶食状態が続いていたり下痢嘔吐が続いている時や、糖尿病を患っておりインスリン治療中で血糖値が下がりすぎたなどが考えられますが、神経的な症状は一見わからない可能性があります。
愛猫が体調不良・糖尿病の治療中の時は特に気を付けて観察しましょう。
少しでも低血糖を疑う症状が見られた場合は、砂糖水で作った経口補水液やブドウ糖を含むガムシロップなどを舐めさせてください。
スポイトなどでほんの少量ずつ与えると、舐めやすいのでおすすめです。
意識障害や痙攣を起こしていて誤飲の可能性がある時は、無理に舐めさせようとせずに獣医師に相談するようにしましょう。
経口補水液を作る方法
砂糖水の経口補水液を作る方法を紹介します。
経口補水液の作り方 |
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経口補水液とは、点滴を飲みやすくして水分補給をするための飲み物です。
上記の作り方をすれば、適切な塩分・糖分・水分が摂れます。
茹で汁や水は温かい状態でその他の材料と混ぜると、溶けやすいのでおすすめです。
特に鶏や鰹節の茹で汁は、食欲のない時でも匂いで食べたがる可能性があるので、用意ができる方は茹で汁で作ってあげましょう。
経口補水液を与える際の注意点
猫の体調が悪いときに飲ませる経口補水液ですが、与える際の注意ポイントがあります。
身体のためにと思っても、猫の様子を見ながら無理のないように与えましょう。
無理に飲ませない
もしも猫が嫌がって飲まないなら、無理に飲ませることはしないでください。
体調不良な姿を見ていると不安になって飲ませなきゃと思ってしまいますが、無理やり飲ませると誤飲などで余計に辛い思いをさせる可能性があります。
また、無理やり飲ませられて猫が水を嫌いになって水分補給を完全に拒否してしまうのも危険です。
スプーンなどで少しずつ与える
脱水症状を起こしている時や腸が弱っている時に、急に大量の水分を飲んでしまうと下痢嘔吐をする可能性があります。
体調の悪い猫に経口補水液を与える際は、スプーンなどで少量ずつ時間をかけて与えましょう。
水分補給をしてくれると安心しますが、勢いよく欲しがっても初めは様子を見ながら飼い主が一口ずつ飲ませてください。
元気がない時は動物病院で診察を受ける
猫が体調不良を起こしていたり、明らかに脱水状態になっている場合は必ず動物病院へ連れて行き診察を受けてください。
砂糖水で作る経口補水液は、あくまで応急処置です。
原因の解決・病気の治療ができるわけではないので、なるべく早く治療を開始できるように専門の獣医に診てもらいましょう。
まとめ
今回は猫に砂糖を与える際の注意点や方法を紹介しました。
猫にとって毒性のない砂糖ですが、過剰摂取は肥満・糖尿病などを引き起こす危険があります。
肉食動物の猫には砂糖は不必要ですし、甘味の感じない猫にとって美味しいと思うわけでもないので無理に与える必要はありません。
しかし、脱水症状や体調不良で水分補給ができない場合には、砂糖水の経口補水液として利用できるので応急処置が必要な時はぜひ試してみてください。