【獣医師監修】猫は大根を食べても大丈夫!主な栄養成分や与える際の注意点を解説

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はじめに

愛猫が大根を食べたがる場合は、適量を守って与えれば問題ありません。

猫にとって有毒な成分も含まれておらず、90%以上が水分でできているので水分補給として与えることも可能です。

今回は猫に大根を与える時の正しい量や与え方やどんな栄養素が含まれており、どんな注意事項があるかを紹介します。

含まれる栄養素に問題がなくても、適量や与え方を間違えると猫の身体に負担がかかってしまうので注意が必要です。

飼い主は食材の危険を理解した上で、猫に大根を与えましょう。

猫は大根を食べても大丈夫!

猫にとって大根は、食べる量を守れば与えても問題のない食材です。

大根には根の部分と葉の部分がありますが、猫はどちらの部分も問題なく食べられます。

大根は猫にとって有害な食べ物ではない

大根は猫にとって毒になる成分は含まれておりません。

生のまま食べても問題はありませんが、猫は本来肉食動物のため植物の消化が得意ではないため与えすぎにならないように気を付けましょう。

根の部分はすりおろし、葉の部分は茹でて細かく切り刻むことで、より消化がしやすくなり安全に食べることができます。

大根は白い根の部分も葉の部分も問題なく食べられますが、味付けは絶対にしないでください。

調味料は、猫の身体にとって塩分過多や糖分過多になる可能性が高いです。

猫に大根を与える際は、味付けをせずに素材のままの状態で与えましょう。

また、猫は大根の葉を好んで食べる子が多いので心配する飼い主の方が多いですが、与えすぎなければ問題ありません。食べ過ぎ防止のために猫の手の届くところに大根を置くのはやめましょう。

大根は水分が90%以上

大根は、成分の90%以上が水分なので水分補給のためにも重宝する食材です。

すりつぶすと大根から水分が出て食欲のないときのも食べやすく、消化にも良いのでおすすめです。

大根に含まれる主な栄養成分

猫が食べられる大根の根と葉の部分、それぞれに含まれる栄養素を紹介します。

大根の根100gに含まれる栄養素

エネルギー15kcal
水分94.6g
たんぱく質0.4g
脂質0.1g
炭水化物4.1g
灰分(無機質)0.6g

大根の葉100gに含まれる栄養素

エネルギー23kcal
水分90.6g
たんぱく質2.2g
脂質0.1g
炭水化物5.3g
灰分(無機質)1.6g

大根の根の部分・葉の部分どちらの表を見てもわかるようにほとんどが水分でできており、カロリーも低いです。

高齢の猫やダイエット中の猫でもおやつ代わりに与えることができます。

また、全体的に根の部分よりも葉の部分の方が含まれる栄養素が多いのが特徴です。

大根に含まれる栄養素のうち注目すべき成分をそれぞれ紹介します。

カリウム

大根の根の部分にも葉の部分にもカリウムが豊富に含まれています。

大根の根100gに含まれるカリウムの量大根の葉100gに含まれるカリウムの量
生:230mg
茹で:210mg
生:340mg
茹で:180mg

カリウムは主要ミネラルに分類され、猫にとっても必要不可欠な栄養素です。

細胞を正常に機能させてくれるので、筋肉のエネルギー代謝や神経刺激の伝達を助け、体内の水分調節を手助けします。

他にもカリウムは利尿作用があり、ナトリウムを尿と一緒に排出することから血圧低下や脳卒中の防止にも効果があると言われています。

しかし、余分に摂取してしまったカリウムは尿と一緒に体外へ排出しなければなりません。

腎臓病の猫では十分に排出できずに、高カリウム血症になる可能性が高くなるので注意が必要です。

カリウムの値が高い時に見られる症状
  • 筋力の低下
  • 四肢の痺れ
  • 脈拍の異常
  • 嘔吐
  • 死亡

十分に排出できずに体内のカリウムの値が高くなると身体に不調が出て、最悪の場合は命を落とすこともあります。

過剰摂取は愛猫を危険にさらす可能性があるので与える量は必ず守りましょう。

鉄分

大根の根100gに含まれる鉄分量大根の葉100gに含まれる鉄分量
0.2mg3.1mg

鉄は必須ミネラル成分であり、血液中のヘモグロビンを構成するための成分です。

鉄が欠乏すると貧血を起こしてしまうので猫の貧血防止にも向いており、タンパク質と一緒に摂取すると吸収力が上がります。

丈夫な歯や骨格を形成するためにも重要な栄養素なので、子猫や妊娠中の猫には特に欠かせない成分です。

ビタミンB

ビタミンBの種類大根の根100gに含まれるビタミンBの量
ビタミンB10.02mg
ビタミンB20.01mg
ビタミンB60.04mg

ビタミンBは疲労回復を助け、脳の働きを活発にしてくれます。

また、代謝も上がるので肥満の猫のダイエットや肥満防止にも繋がります。

ビタミンC

大根の根100gに含まれるビタミンC量大根の葉100gに含まれるビタミンC量
53mg12mg

ビタミンCは抗酸化作用があり活性酸素を除去する働きがあるので、猫の体を若々しく保ち老化を防いでくれます。

また、免疫力を高める効果も期待できるため風邪予防やがん細胞の抑制、コラーゲンを生成し皮膚を健康に保つ役割もしてくれるので猫にとって重要な栄養素です。

猫は自分の体の中でビタミンCを作り出して蓄えることができる動物ですが、老猫になると十分な量作り出すのが難しくなる場合もあるため、食事からも積極的にビタミンCを摂取することが望ましいです。

年齢や体質が原因で上手く作り出せない可能性もあるので、1日に必要なビタミンCが摂取できるように対策しましょう。

ビタミンCは水溶性なので水に溶けやすく、余分なビタミンCは尿から排出されるため、過剰摂取のリスクは低いです。

しかし、腎機能に問題のある猫は尿の排出が上手くできずに、体調不良の原因になってしまう可能性があるので注意しましょう。

イソチオシアネート

イソチオシアネートは、大根自体には含まれていませんが、大根おろしを作る時などにすりおろすことで発生する辛みのある成分です。

大根の部位によって含まれている量が違います。

根の上の部分約3mg
根の真ん中の部分約10mg
根の下の部分約30mg

下の方にいくほど含有量が多くなるので絡みが強くなるため、与える際は胃に刺激を与えてしまうため注意が必要です。

イソチオシアネートは、解毒作用や血液の循環を助けてくれるので、がん予防にも向いている期待の成分だと注目が集まっています。

血液をサラサラにすることにより、動脈硬化や脳梗塞なども予防にも向いています。

最近研究も進み注目されている成分ではありますが、辛みがあるので胃腸へ刺激を与える可能性があるので注意しましょう。

猫に大根を与える際の注意点

猫にとって有毒な成分は含まれていない大根ですが、摂取量や摂取の仕方を間違えると身体に悪い影響が出る可能性があります。

栄養補給のために大根を猫に与えるのならば、注意事項を把握した上で与えましょう。

与える時の注意点を紹介するのでぜひ参考にしてください。

与え過ぎると消化不良を起こす可能性がある

猫に大根を与える際に1番注意するべきなのが与える量です。

与えすぎると猫は消化不良を起こし、下痢・嘔吐をする危険があります。

猫は野菜の消化が得意ではない

猫は肉食動物なので、野菜の消化が苦手です。

元々肉をメインとして食べていたので、草食動物のように野菜の消化がしやすい身体にできていません。

しかし、動物を食べていたころも食べた草食動物の胃の中に残った植物を一緒に食べていたため、全く消化ができないわけではありません。

猫の食事は総合栄養食で補えるため無理に野菜を与える必要はなく、与えるならば少量のみに抑えましょう。

また、与える際はなるべく消化がしやすいように細かく刻んだり、大根おろしなどペースト状にしてから与えるのがおすすめです。

与え過ぎると消化不良を起こす可能性

猫は全く野菜の消化ができないというわけではありませんが、時間がかかるため無理に多くの量を与えてしまうと消化不良を起こし、下痢・嘔吐などの症状が出ます。

猫に野菜を与える際は、それぞれの野菜の与えても良い適量以上を与えることがないように注意してください。

猫に与えていい大根の量

猫に1日に与えても良い大根の量は、1日の総摂取カロリーの10%以内です。

総摂取カロリーは猫の体重や運動量によってそれぞれ異なりますが、基本的には(30×体重+70)×係数でカロリーを計算することが可能です。

猫の状態係数
成猫去勢・避妊済み:1.2
去勢・避妊なし:1.4
肥満の猫1.0
子猫4ヶ月未満:3.0
4~6ヶ月:2.5
7~12ヶ月:2.0
老猫1.1

年齢や猫の健康状態の係数を参考に、愛猫に合った必要摂取カロリーを計算して正しい量を与えましょう。ただし、大根のカロリーが非常に低いため、そのままの計算では与える量がかなり多くなってしまいます。

そのため以下の量を目安に(平均体重の4〜5kgの猫に対しての摂取量)してください。

与える大根の部分1日の摂取可能量(目安)
大根の根輪切り1㎝程度
大根の葉10g程度
大根おろし小さじ1程度

基本的に猫は総合栄養食を主食として摂取することが望ましいので、大根はトッピング程度に抑える必要があります。

栄養バランスを崩さないためにも、大根を食べ過ぎて総合栄養食が食べられなくなることがないようにしてください。

甲状腺に問題のある猫には与えない

大根自体は猫にとって毒になる成分が含まれていませんが、甲状腺に問題を抱えている猫にはおすすめできません。

食材自体が毒でなくても、体調や病気によっては危険な状態に繋がってしまいます。

ゴイトロゲンがヨウ素の吸収を阻害する

大根はアブラナ科の植物なので、ゴイトロゲンという成分が含まれています。

ゴイトロゲンは、ヨウ素の吸収を阻害する働きがあるので必要とする甲状腺ホルモンに影響し、甲状腺に負担をかけてしまう可能性があり危険です。

大根はどうしても食べさせなければいけない食材ではないので、愛猫の体調や不調を確認し無理に食べさせることがないようにしてください。

甲状腺に負担をかける可能性があるため与えない方がよい

大根は、上記で解説したように甲状腺に負担をかけてしまう可能性があります。

今のところ大根を食べたせいで甲状腺の機能が低下したという報告はありませんが、元々甲状腺に疾患のある猫は避けた方が良いです。

せっかく栄養補給のために食べるのに、反対に身体の負担になる事がないように気を付けましょう。

アレルギーに注意する

猫は、大根を食べることによって食物アレルギーの反応を起こす可能性があります。

大根にはタンパク質が含まれていますが、タンパク質に免疫機能が過剰反応する事が原因です。

初めて大根を与えるときは大根おろしなどを少し与えてみて、猫に下痢や吐き気、皮膚の痒みなどのアレルギー反応が出ていないかしばらく様子を見ましょう。

もしもアレルギー症状や身体に異常が出てしまった場合は、すぐに動物病院に連れて行ってください。

少量ずつ与えて異常がないか様子を確認する

初めて猫に大根を与える場合は、アレルギー反応が起こらないか確認しながら少量ずつ与えてください。

最初は舐めさせる程度にし、数日間何も身体に反応が起こらなかったら1口、2口と量を増やしていきましょう。

アレルギー反応が起こらないことが確認出来たら、1日に与えていい量を守って与えるようにしてください。

猫は大根を生でも食べられる?

猫は大根を生で食べても問題ありません。

大根には炭水化物を分解し消化を助けるアミラーゼという成分が含まれています。

アミラーゼは熱に弱いため、加熱をしないほうがおすすめです。

大根は生でも食べられる

猫は大根を生でも食べられます。

むしろ加熱をしてしまうと栄養素が失われていくので、大根に関しては生のまま食べる方がおすすめです。

しかし、お刺身に添えられているツマには注意してください。

ツマ自体に問題はありませんが、一緒に添えられていた刺身の成分が付着していると体に不調が出る可能性があります。

どうしても与えたい場合は、よく水で洗ってからにしましょう。

刺身は生物なので、時間が経つと食中毒などが起こる可能性もあります。

提供されてから時間が経ってしまった刺身に添えられたツマは、猫には与えないようにしてください。

大根おろしは猫が消化しやすい

大根の栄養素を効率よく吸収するためには、皮を剥いてすりおろしたものか、すりおろした汁を与えると良いです。

大根おろしやおろし汁は、野菜を消化するのが苦手な猫にとっては1番食べやすい方法になります。

アレルギーが出ないかどうかを確かめる際にも、大根おろしやおろし汁を少量舐めさせるところから始めるのがおすすめです。

固形の大根を食べるよりも挑戦しやすいので、まずはすりおろした状態の大根から食べさせてみましょう。

大根の皮や葉はどうする?

大根の根の部分に付いている皮は、食べたら毒というわけではありませんが消化に良くないので剝いてから与える方が望ましいです。

また、大根には茎・葉もありますが、猫に与える際は茹でてから細かく切り刻んで与えましょう。

皮はむいた方が食べやすい

皮を食べても猫の身体に毒ということはありませんが、消化がしにくくなるので皮を剥いてから与える方が食べやすいのでおすすめです。

皮を剥いてすりおろして与えましょう。

葉を与える場合は茹でて細かく切る

大根の葉は、根の部分よりもビタミンやミネラルなどの栄養成分が豊富に含まれています。

しっかり茹でて火を通してから細かく刻んで、総合栄養食のトッピング・ふりかけのような感覚で食べさせてあげると良いです。

葉の部分にはカリウムやカルシウムも豊富に含まれているため、過剰に与え過ぎると高カリウム血症や結石などの尿路疾患や、腎疾患を引き起こす可能性があるので、与えすぎには注意しましょう。

まとめ

今回は猫に大根を与える際の適量・与え方、与える際の注意点を紹介しました。

大根は猫にとって毒になる成分が配合されていないので、安心して与えることができます。

根の部分は生のままでも与えることができ大根おろしやおろし汁にしたり、葉の部分は茹でてから切り刻んで与えるのがおすすめです。

しかし、どんなに栄養豊富な野菜でも過剰摂取をしてしまっては、身体に不調が出てしまうので必ず1日に摂取して良い量は守ってください。

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